2007年01月28日

自分の勉強のため? それとも業務?

先日、オペ室看護師の先輩とちょっとした言い争いになってしまいました。新人看護師の超過勤務申請を巡っての話だったのですが、その中でジェネレーション・ギャップというか育った時代の差を感じた一見でした。

うちのオペ室では、入職して1年目の新人さんに対しては厳しいというか理不尽なしきたりがいろいろあります。例えば入職して半年は時間外勤務申請をしちゃダメとか、はじめて受け持つ手術の場合、手術が定時を延長しても残業代は付かないとか。

皆さんの施設ではどうでしょうか? そんなのがふつうなのかな?

私自身が1年目のとき、正直、「理不尽」だと思いました。まあ、その頃は右も左もわからず教えてもらっている身分なので、とりあえず我慢してやり過ごしました。でも自分がプリセプターをするようになったり、新人教育に関わるようになってからも、やっぱりおかしいものはおかしい! という思いは消えず、数年前から少しずつ改善に乗り出しています。

まず手始めにやったのが「入職して半年は時間外勤務申請をしちゃダメ」という規則の撤廃。つまり新人は残業が付けられないという決まりです。根拠はなに? と就業規則を調べてみたけど、そんな記載は一切なし。実はこれは内規というか文書には残せない暗黙の申し合わせだったことが判明。

労働基準法的にはいくら新人であっても定時を越えて働かせた場合は、通常時給の1.25倍は支給しなくちゃいけないことになっています。その点を指摘したら、上司はシブイ顔をしながらも「わかりました」と認めてくれました。

特にオペ室なんて、医者の都合で手術が延長するだけで、看護師のせいで時間外になるんじゃありません。それなのにこれまで誰も文句のひとつも言わなかったのが非常に不思議でした。(新人自身からは言えないのわかるにしても、2年目以降は「喉元過ぎれば」ってやつなんでしょうね)

で、冒頭の先輩とのやりとりの話に戻りますが、問題になったのは「新人が初めて受け持つ手術の場合、手術が延長しても残業代は付けられない」という点。

私はこの点もすっかり撤廃になったつもりでいましたが、どうやらその先輩はそうは思っていなかったようで、「最近の新人は自分の希望で入った手術でも平気で時間外申請しているけどどうなってるの?」と、教育担当の私に訴えてきたのでした。

自分の勉強のために特に希望して手術を担当しているのに、残業代をもらおうなんてけしからん! というのが、その趣旨のよう。

でも、トレーニング的な要素が含まれていようと「業務」を行なっているのであれば、その分の賃金が出るのはあたりまえ。そうじゃなければただ働きさせてることになりますしね。

「自分の勉強のためなんだから」というセリフは、新人教育を巡ってはよく耳にしますが、自分の勉強っていったいなんなんでしょう? 別に手術を担当するのは趣味でやってるんじゃなくて、仕事でやってるわけです。業務を遂行するために必要な訓練・勉強は仕事の一部なんじゃないの? と私は思っているのですが、古い先輩にとってはどうやらそうではないようで。。。

新人はタダでさえ能力が低いのだから、一人前に超過勤務手当てをもらおうなんて贅沢言うんじゃない、みたいなことを平気でクチにする古い人もいます。だからこそ1年目と10年目じゃ時間あたりの給料単価も違うわけで、そのことを知ってか知らずか、ぜんぜん理屈に合ってない。

看護師には職業倫理的に自己研鑽が求められていますが、そうした個人的な学習と業務上必要な学習を混同されている部分がある気がしてなりません。

私自身は勉強することは決して嫌いじゃないので、仕事以外のこともあれこれ勉強してますが、それは個人の意欲に任されている部分です。日々の業務に必要な最低限のことは業務時間内に教える・訓練するべきだと思っています。今後はそんな職場環境にしていきたいと思って、あれこれ改善策を考えているところです。
posted by Metzenbaum at 01:34 | Comment(11) | TrackBack(0) | 看護師の労働条件
2006年12月05日

夜勤? 当直? オンコール? 労働基準法と手術室勤務

◆ 独特な手術室看護師勤務体制

病院に看護師として就職するとき、まずチェックするのが勤務体制だと思います。2交代制? 3交代制? というやつですね。

ところどっこい手術室勤務となった場合、二交代制も三交代制も関係ありません。たいていの病院の場合、手術室の勤務は病棟とは別枠で規定されていることが多いからです。

そもそも中央部門に属する手術室では、基本的には外来などと同じで平日の日勤帯が勤務時間です。つまり月曜日から金曜日まで、朝8:30〜17:30というのが標準でしょうか。

ですので、手術室勤務になるとウィークデーの昼間しか働かないという看護婦らしからぬ勤務になります。準OLなどと言われる由縁ですね。ただしOLと決定的に違うのは、勤務時間外や休日でも緊急手術に対応しなければならないところです。そこで出てくるのが交代でまわってくる当直(宿直)とかオンコール on callと呼ばれる独特の勤務体系。

夜間など、病院によっては「夜勤」扱いにしているところもあるみたいですが、通常は24時間オペをやっているわけではなく、夜間は実働が生じない場合もあるので、夜勤扱いにするのは病院にとっては不利益。そこで急患時の待機番ということで、病院内に拘束される「当直」か、自宅待機のオンコール制が採用される場合が多いようです。(夜勤制の病院の場合、オペの仕事がないときは救急センターに手伝いに行くという勤務にしている場合が多いようです。)ちなみに、私の職場では、平日の夜は当直、土日祝日はオンコール体制になっています。

平日の9時〜5時が基本のオペ室勤務。病棟に比べて楽か? という話にもなりますが、それはひとえにこの当直やオンコールの回数によります。通常、待機番として2人(器械出し+外回り)は必要ですので、仮に10人しか看護師がいない手術室では、単純計算で1ヶ月あたり6回の待機番が回ってくることになります。

1ヶ月のうち1/5は夜お酒は飲めないし、土日祝日に当っていれば遠出もできず、いつ病院に呼ばれるかというハラハラ感のうちに過ごさなければなりません。これを考えると、休みは休みできっと保証されている病棟の方がいいよなと思ってしまいます。

待機番というのは、労働基準法の上では通常勤務時間(週40時間)にはカウントされませんので、待機料という僅かなお金と引き替えに自分の休みを献上しているようなものです。私の勤務する病院の場合は、土日祝日は24時間のオンコール体制。待機料は4,000円ほどです。実際に呼ばれて手術(仕事)をすれば、超過勤務扱いとして実働分が支給されます。月に3回くらいだからやってられるけど、これ以上あったらまっぴらごめんです。それを考えると、オペ室勤務で転職を狙うなら手術室スタッフが多い病院の方がいいと思っています。(大病院だとそれなりに急患件数も多いから呼ばれる頻度は高いかもしれないけど)

ということで、もし今後手術室勤務を希望する新卒者・転職者の方がいたら、あまり公募に載ることはない手術室の勤務体制とスタッフ数をチェックするのを忘れずに!(笑)

先ほども書きましたが当直やオンコールの場合は、労働基準法で定められている週40時間という就業規則には含まれませんので、きっちり週40時間で組まれて仕事をしている病棟勤務者に比べると、オペ室の勤務条件の方がキツイとは言えると思います。

◆ 夜勤と当直(宿直)、オンコール on call の違い

夜勤というのは、まあわかると思います。夜から勤務に出て、次の日の朝まで勤務することですね。三交代制、二交代制で勤務時間に違いはありますが、基本的には昼働いているのと同じように夜働くだけで、休憩時間をのぞけばすべて実働時間です。賃金的にはふつうの日当+夜勤手当というのが付きます。

わかりにくいのが当直(宿直)と言うヤツ。これは法律的には「宿直」と言って、労働基準監督署に特別に届け出た上で許可される特別な勤務体制です。基本的には待機が主な仕事で、ルーチンとしてふつうの勤務と同じような仕事をさせる場合は「宿直」扱いにはできません。当直の通常業務として認められるのは電話番や見回りなどの軽微な労働だけですので、救急センター等でひっきりなしの患者を相手にする医師の場合、本来は夜勤にすべきであって「宿直」は不適当というのが現状だったりします。宿直の場合は、宿直手当てとして日当の1/3以上は出さなくてはいけないとかことになっていて、緊急オペなどで実働があった場合は実働分の時間外勤務手当てが付きます。

宿直は法律で規定された勤務体制ですので、条件等が法規則で決められていますが、重要なのは、先ほども書いたように労働基準法の上では通常勤務時間(週40時間)にはカウントされないという点。

つまり夜勤であれば、当然その後は明けになって家に帰れるけど、宿直の場合は原則、次の日も日勤です(有給を取らない限り)。法律的には電話対応とか軽微な仕事しかしないのが原則だから次の日の勤務には差し支えないだろうという考えで規定されているようですが。でもいちおう当直に関しては多くて週一回というような法律的な規制はいちおうは敷かれています。

最後に問題なのは、オンコールです。これはたぶん病院独特なもので法律的にはあまりきっちりとした規定がないのが現状。いちおう労働基準法的には「手待時間」に相当すると言われていますが、病院側のいいようにオンコール制が乱用されているというのが現状のようです。例えば麻酔科医が一人しかいないような小さな病院だと、麻酔科医は365日、24時間on call体制。1年中お酒は飲めないし、旅行にすら行かれない、なんて状況に。ひどいもんです。

本来は自宅にいようが、自由が制約されているという点で待っている間も「労働時間」に該当するというのが本来の法解釈のようです。でも実際のところ、実働してはじめてお金が付くだけで、病院によっては「待機料」も出ないひどいところもあるとか。労働に対する対価と休日の保証という点で、労働者として手術室看護師を考えたとき、いちばん割に合わないのがオンコールに関する部分だと思います。

手術室独自の勤務、いいのか悪いのか? 病棟に比べると、比較的ドクターの勤務体制に近いかもしれません。まあ、完全に労働基準から逸脱している医師の激務に比べればまだ看護部はマシですけどね。

以上、あまり語られることのない手術室勤務と労働基準法のお話しでした。
posted by Metzenbaum at 22:28 | Comment(13) | TrackBack(0) | 看護師の労働条件
2006年12月02日

長時間のオペに就いて、看護師の労働の意味を考えた

久々に長い手術についた今日。
ふだん脊椎の手術を担当しているので、4-5時間くらいはなんでもないのですが、今日のは外科の開胸手術で8時間! それも予定時間は3時間のところが延びに延びてこんな時間に!

外回り担当だったので、手術中は暇といえば暇なんですが、時々、あれ出せこれ出せと言われるし、洗浄やらリークテストで生理食塩水を補充したりと、コマコマと動いているうちに、いつのまにか8時間もたっちゃったという感じでした。

立ち位置から離れられない器械出し担当ナースに比べれば自由に動けるし、頭が痒くなればかけるのでまだいい方ですが、これが仕事として楽なのかは正直よく分かりません。麻酔導入から執刀まではめちゃくちゃ忙しいし、終刀してから帰室までの間もしかり。

病棟の看護婦さんからしたら、8時間もの間、好きなCDを流してオペ室内にいただけでしょ? なんて思われているのかも知れません。まあそれは事実ではあるけど、でもそうでもない気もするし。。。。

「働く」っていうのはいったいどういうことなんでしょうね? なんかふと考えてしまいました。

「額に汗して…」、なんて日本語がありますが、汗水たらして肉体を酷使するのが「仕事」みたいな雰囲気が世の中にはなんとなくありませんか? でも、世の中にはいろんな仕事があるわけで、例えば銀行の入り口にずっと立ち尽くしている警備員さん。立っているだけでも立派な仕事。ボイラー室でずっと計器を見つめている技師さんも1日中座っているけど立派に仕事中。

看護婦の仕事って、職業分類したらどんな感じになるのでしょう? サービス業? 肉体労働?

ブルーカラー、ホワイトカラーという分け方もかつてありましたが、ナースの仕事っていったいなんなんでしょう??(そりゃ医療職に決まってるジャン、と言われたらそうなんですけど)

ただ、言えるのは一般的なナースの仕事と、オペ室看護師の仕事とではまたちょっと質が違っているという点。

長いオペでの外回り看護師は、リスクマネージメント要員としての要素が強いのかな。なにかあったときに素早く対応するための待機番みたいなもの。考えてみれば、手術中の麻酔科医の仕事は完全にそれですね。

病棟ナースにはない「待機番」(もしくはon call)があるのも、うちらの手術室看護師ならではの勤務体制。自宅もしくは病院内で緊急手術に備えて待機するだけで賃金が発生します。待つのも仕事のうち。

病棟の仕事とオペ室の仕事がまったく違うのは誰が考えてもわかりますが、労働の意味が違ければ、求められているものも違うわけで、どちらも看護というくくりの中には収まってはいるものの、単純に比較できるものではないのだと思いました。


スイマセン、疲れて帰ってきてなんだかよくわからないことを書き綴ってしまいました。完全に実もふたもない話です。まじめにコメントを下さると、もしかしたらもしかしたらなにも答えられなくなっちゃうかも。よっぱらいのたわごとと読み流してくださいな。このブログ、私的な日記にするつもりはなかったんだけどなぁ。ここのところオペが立て込んでいてちょっと疲れているのかも。

先日、オペナースは手術のマネージメントをする! みたいなことを書いたばかりだったのに、なんか違うことを言っちゃってるかも。
posted by Metzenbaum at 01:57 | Comment(3) | TrackBack(0) | 看護師の労働条件