2016年07月28日

「無許可で医師、看護師が宿直勤務…県立病院が労基法違反」

またまた発覚! 公立病院の労働基準法違反の開き直り。

クリップしておきます。

無許可で医師、看護師が宿直勤務…県立病院が労基法違反


無許可で医師、看護師が宿直勤務…県立病院が労基法違反

2016年7月26日(読売)

埼玉県病院局は25日、県立循環器・呼吸器病センター(熊谷市)で、労働基準監督署の許可がないまま、医師や看護師の宿直勤務が行われていると発表した。人員不足が原因で、労働基準法違反の状態が続いている。

 労基法では、夜間の宿直や休日の日直勤務を行う際は、労基署の許可が必要と定めている。宿日直勤務の職員は、病室の巡回などの軽度な業務しか従事できない。

 同センターは1994年5月の開院当初に許可を得たものの、許可書を紛失。2014年2月に再申請したが、熊谷労基署が不許可とした。理由として、医師や看護師が足りず、通常勤務と宿日直勤務の境目が不明確で、心臓へのカテーテル治療などの高度な医療行為を宿日直職員が常態的に行っていると指摘された。

 同局は「許可がないのは好ましい状況ではないが、医療サービスの質は低下させない。許可を受けられるよう、勤務条件の整備や、医師の増員に努めたい」としている。

 同様の労基法違反が千葉県の6病院で今月判明したことを受け、同局が県立4病院の状況を調べた。



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2016年07月24日

日本一タチの悪いブラック企業といえば、やっぱり病院。【千葉県立病院無許可当直】

日本一タチの悪いブラック企業といえば、やっぱり病院、でしょうね。



「労働基準監督署に当直業務の許可申請をしたけど、許可されなかったから、無許可でやってました」というこのニュース。6つの千葉県立病院がすべて、というのだからびっくりですよね。つまり公務員が業務命令で違法な労働をさせられていた、ということです。

病棟勤務の看護師さんはあまり意識していないかもしれませんが、夜勤と当直は違います。

ここで問題になっているのは、当直です。

当直は、ちょっとした見回りなどの軽微な業務で、基本的には寝ていて良い業務です。週40時間の法定労働時間にはカウントされません。ですから当直業務の翌日、つまり当直明けはふつうに日勤業務となります。

夜勤は、昼間のかわりに夜に勤務するわけですから、朝、定時を超えれば、明けとなって家に帰れますよね?

それとは違う、一般的には医師に適応されている勤務体系です。

小さい病院だと看護師でも病棟勤務の人も当直扱いのところもあるらしいですが、2交代とか3交代とかの大病院では基本は「夜勤」のはずです。ただ、大病院でも手術室では当直制のところも多いとは思います。


この当直業務、翌日もふつうに日勤になるってことは、寝られるのが前提。

ですから、

「常態としてほとんど労働する必要のない勤務であり、原則として、通常の労働の継続は許可しない」

という条件が満たされていない限り認可はされない、ということになっています。(医師・看護師向けにはもう少し細かい規則がありますが…)

今回の千葉県の場合、こういった労働者を守る条件が担保されていなかったので許可されなかったわけです。つまり、業務形態からしたら当直ではなく、夜勤として勤務させるべきなのですが、そうしなかった。無許可当直という横暴な手に出たわけですね。

さらに、今回の立入検査で指摘されて、是正するのかと思えば、記事によれば、「千葉県は『当直勤務が認められないと翌日の勤務ができないため、医師などの数が足りなくなる』としており、労働基準監督署と引き続き協議を続けたい」ということです。

つまり、「ムリなんだもん、しょうがないじゃん。大目に見てよ〜」と堂々と言っているわけで、、、


ふつうだったら、それなりに処分がでてもいいところを、病院の公益性ゆえに許されるんでしょうかね。

一般企業だって、労働基準を守って残業代を出してたら、仕事が回らない。潰れてしまう、ってよく言ってますよね。でも病院だとそれが許されるのか?

社会的にみたら、地域で病院が機能することは必須なことですが、そのしわ寄せを一労働者である医療従事者が自分と家族を犠牲にしているとしたら、あまりに不健全な社会構造ですよね。


ただ、こういうことって全国のどこの病院でもあることで、恐らく実態とは違う申請でも、当直許可が降りているんじゃないかって気がします。だからこそ、千葉県も「そんな厳しいこと言わないでよ」と強気に出ているわけですが、逆にまっとうな判断をしてくれている千葉の労働基準監督署は拍手ものだなと思います。




千葉の県立病院 医師や看護師が無許可で当直勤務

7月22日 12時39分(NHKニュース)
千葉県にある6つの県立病院すべてで、労働基準監督署の許可がないまま、医師や看護師に深夜などの当直勤務をさせていることが分かりました。千葉県は、「これまでもたびたび許可を申請してきたが、認められなかった」として、労働基準監督署と引き続き協議を続けたいとしています。

病院で医師や看護師が深夜に待機や監視の軽い業務を行ったあと、翌日に通常の業務を行う「当直勤務」は特殊な勤務形態であるため労働基準監督署の許可を得る必要がありますが、千葉県がんセンターなど千葉県内にある6つの県立病院すべてで、許可を得ないまま、当直勤務をさせていることが分かりました。
千葉県によりますと、ことし5月、労働基準監督署から千葉県がんセンターの立ち入り検査を受け、勤務の現状について確認を求められたということです。千葉県は「これまでもたびたび許可を申請してきたが、『深夜の業務が軽い業務とは言えない』などという理由で当直勤務として認められなかった」としています。
千葉県は「当直勤務が認められないと翌日の勤務ができないため、医師などの数が足りなくなる」としており、労働基準監督署と引き続き協議を続けたいとしています。



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2015年01月08日

残業代、ちゃんともらってますか?

興味深いニュースがあったのでクリップしておきます。

700人に残業代未払い 熊本赤十字病院に是正勧告
700人に残業代未払い 熊本赤十字病院に是正勧告(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/local/kumamoto/20150108-OYS1T50029.html

最近、この手の大規模な残業代未払いが目立ちますね。

あんまり表立っては言われないけど、病院でどこも超ブラック企業。

叩けば誇りがでる身体。それは皆さんがよく知っているところですよね。

いままでは暗黙の了解で、みんな我慢してた、というかそういうもんだと飼い慣らされてきたわけですけど、そのタガがはずれはじめたのかなという気がしています。

きっかけはおそらく北海道の事件じゃないでしょうか?

女性職員自殺で発覚…数億円の残業代や深夜手当未払いか KKR札幌医療センターに是正勧告
女性職員自殺で発覚…数億円の残業代や深夜手当未払いか KKR札幌医療センターに是正勧告(産経ニュース)
http://www.sankei.com/economy/news/141021/ecn1410210014-n1.html

若い看護職員の命が犠牲になったことで表立って動き出した病院に横行している違法な労働体制。

この報道のインパクトが強かったんじゃないかなと思います。

今回の熊本赤十字病院の未払いが表に出てきた経緯はわかりませんが、北海道のように人が死んだわけではないようです。

そこまでのインパクトがなくても、過去2年分の不当な未払いは取り返せる。

そんな意識と知識が看護職員の中でも高まってきたと思いたいです。

さて、次は?






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2013年08月21日

公務員ナースにも労働基準法は適応される

毎月楽しみにしている日本看護協会ニュースの「ナースの働く時間・相談窓口」。

今月号は、公立病院勤務の公務員ナースの労働条件に関するもの。

ナースの働く時間・相談窓口2013年08月号


「公立病院勤務です。労働時間管理に疑問があり上司に尋ねたところ、「私たち地方公務員は労働基準法の適応外よ」といわれました。本当ですか?」


私も似たようなことをいわれたことがあります。

朝の業務開始前の準備が労働時間に含まれないのはおかしいと、職場組合に投げかけたところ、議事の俎上に乗る前に、執行部の人から「医療従事者は労働基準法とは別の別の基準があるから違うんだよ」と。

すぐに嘘だとわかりましたが、後にわかったのは嘘ではなく、その人が無知なだけでした。

同じようなことが公務員の場合も言われているみたいですね。

それにしても、この質問の場合は、上司とありますから、管理者研修を受けた師長とかだと思いますが、この場合の無知は罪ですよね。


この「ナースの働く時間・相談窓口」という存在、私は看護界の救世主として大いに期待しているのですが、残念なのは回答がいつもマイルドすぎること。

「職場の皆さんで話し合い」、、、ってあるけど、話し合いで解決する問題じゃないですよね。

間違っているのはその上司なんだし、さらに上の労務管理部署に相談しましょう、が正しいと思う。

波風立てないためにはこれも賢明なのかもしれないけど、悪いのは上司なのに、その是正を部下に求めて、その責任に押し付ける空気、私は嫌いです。

ナースの事なかれ主義を考えれば、結局泣き寝入りで終わるのが常なのだから。





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2013年06月24日

日勤−深夜勤の日に勉強会の強制参加、どうします?

会員に毎月送られてくる看護協会ニュースで毎号楽しみにしているのが「ナースの働く時間・相談窓口」というコラム。

看護師の労働条件に関するQ&Aです。

今月号はこんな感じでした。

日勤−深夜勤の日の勉強会の強制参加、どうにかならないか、という内容。
ナースの働く時間・相談窓口


この点、Twitterに投げかけたら、「私だったら勉強会なんて行かないね」という意見が多数。「いつ休むんだ。業務的にも危険なのに、強制参加させる師長がおかしい!」とか。

さて、皆さんはどう考えますか? そしてこんな場面に自分が直面したら、どう行動しますか?
(オペ室ではこんな勤務はあまりないと思いますが)

おかしい、参加する必要はないし、業務の安全のためにもこんな勉強会には参加すべきではない、と考える方が多いことでしょう。

でも実際に、「私、参加しません!」と声に出して言える方、どれくらいいますか?

「でも、全員参加になっているのよ。来てちょうだい!」

とか師長に言われた時、その後の申し開き、説得ができますか?


看護界では何かと根拠を問われることが多いです。

現場の新人教育の中でも「その根拠は?」ってよく聞きません?

同じように、強制参加の根拠を尋ねたり、逆に皆さんが参加しないことが正当である根拠を示して説明したらどうでしょう?

根拠が後ろ盾してくれるのは、皆さんが「勉強会に参加しない」ことのはずです。

逆に強制参加させることの根拠はない、もしくは相当薄いはずです。

つまり皆さんは絶対に勝てます。

もし、師長とか周りのスタッフに根拠を持って認めさせることができないとすれば、それは皆さんのプレゼンテーション能力に問題がある、もしくは、根拠に自信がもてない勉強不足、自信のなさ、そもそもこの問題を真剣にどうにかしようとしていないだけ、なんじゃないのかな、と私は思います。

私だったら、そもそもこんな勉強会には参加しませんし、もし参加するなら必ず時間外勤務申請(残業代の請求)を出します。まさかそれを勝手にカットされるということはないと思いますが、そんなことをされた日には、不法行為として騒ぎ立てます。

もちろん証拠は取っておきますよ。つまり師長から「強制参加」という言葉を引き出してメモなり録音なり記録をとっておいて、残業代の申告書のコピーと、給与明細書の照合を行なうとか。そこまで証拠が揃っていれば労働基準監督署に持っていけば一発です。実際にそこまで行かないにしても、証拠が揃っていて、出すところに出す準備は整っているという点を示せることが大事。

もし仮に看護師ひとりひとりが、ここまでいかないにしても問題提起をしていかないから、こういう奉仕の精神なのか強制自己犠牲なのかわからない間違った慣行が変わらないんだと思います。

自分の問題、ではなく、看護界の社会問題になっているってことです。

つまり、自分が我慢すればいい、という自分勝手な行動が業界全体をおとしめているという視点でもぜひ考えてほしいです。





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2013年03月04日

発熱しても学校を休まないことは、美談ですか?

皆さん、このニュース、どう思います?

私は、学校も教員も生徒も、記事として取り上げた新聞記者も勘違い甚だしいと思っています。

日頃、このブログでも訴えている空気・雰囲気の持つ無言の強制力の弊害。

看護界を支配している暗黙の力と同じ構図を感じます。

体育会系のノリというか、シゴキの体質というか、日本特有のものなんですかね。

これがひどくなって、同調しない者を非国民と呼んで、権力のみならず、ムラ組織の中でお互いに圧力をかけたのが戦時中の日本です。

この皆勤賞を巡って、圧力を感じ、苦しんだ生徒はいなかったのでしょうか? こういう間違ったことを美談として取り上げるの、反対です。


男の結束…全員で1年間皆勤達成した高3クラス

 福岡県筑紫野市の県立筑紫高(友野晃校長)は卒業式を前にした28日、クラス全員で1年間の皆勤を達成した3年5組に特別皆勤賞を贈った。

 同校のクラス皆勤は7年ぶりという。

 5組は男子ばかり36人の理系クラスで、昨年4月、担任の中村健教諭(46)が「全員で無欠席を目指そう」と呼びかけたのをきっかけに挑戦。高熱やけがで欠席しそうになった生徒もいたが励まし合い、対外試合や受験などの公欠を除いて全員が1日も欠かさず登校したという。

 全校生徒の前で友野校長から表彰状を贈られ、学級委員長の吉丸和志さん(18)は「男子ばかりなので、『絶対に休むな』と言いやすかった」と話し、弓削匠さん(18)は「男子クラスの結束力の成果」と胸を張った。

 中村教諭は「何度もピンチに見舞われたが、生徒たちの頑張りに尽きる。頭が下がる思い」とたたえた。

 また同日、太宰府市の県立太宰府高(小柳和孝校長)でも卒業式前の表彰式があり、小学校入学から12年間の皆勤を果たした生徒6人などが表彰された。
(2013年3月1日08時55分 読売新聞)




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2012年12月26日

有給休暇が取れない場合の戦い方

皆さん、有給休暇、ちゃんと取れますか?

使わないと2年間で失効してしまう年次有給休暇。ここ数年、私は余らせたことがありません。失効してしまう分はぜんぶ使いきってます。

だって考えてみれば、有給休暇というのは「仕事をしなくてもその日の分の給料をあげますよ」という太っ腹な労働者にはうれしい制度。

ナースの日当、給料明細から計算できますが、少なくとも1万円はあるはず、5-6年も働いていれば1万5千円程度はあるんじゃないでしょうか?

年次有給休暇が時効で失効するというのは、その日数分✕1万数千円をドブに捨てているようなもの。
例えば20日分が失効するということは、20万円以上の損失。


もったいない。あり得ない話です。

私は有給休暇を余らせたことはありませんが、周りのスタッフが同じかというとそうでもなく、みんなは平気でドブに捨てています。それが不思議。

みんな口々に言います。有給休暇を取るだなんてそんなことできない。だってみんな使ってないでしょ? って。

まあ、別に他の人のことは知りませんけど、年次有給休暇は労働者の権利なわけで、自分で申請しなければ取れません。それを取らないというのはまた個人の自由なわけで、私はとやかく言いませんが、あまりにもったいないと思う次第でして。

このブログでもしょっちゅう書いてますが、職場というのは労働者が年次有給休暇を申請したら、拒否できないことになっています。だから有給が取れない、なんてことはないです。取らないだけ。つまり自分の責任。

周りの空気を読んで、目立つことをしたくないというそれだけなんですよね。

あいにく私は鈍感力が強いので、そういうの気にしません。それで堂々と有給休暇の申請をして、そして普通にそれを取得しているだけ。

女性社会特有の日和見主義なのかなと思うのですが、どうやらそれだけではなく上からの圧力も存在しているということを最近知りました。

私は物事をはっきり言う方なので、私には言わないだけなのか、ふつうの子が有給を取りたいというと、あーだこーだ言われるらしいんです。

それは師長とか職場の先輩とかだけじゃなくて、職員課の職員も!

それって驚きでした。職員課に有給取得の相談に行ったら「有休使えるのは忌引とか病欠ですからね、普通は。常識の範囲で!」と言われたらしい。

私が知っている常識は、法令なので、もし私がそんなことを言われたら黙ってないなと思いました。


この問題、私だったらこうやって攻める! という例を紹介します。

まずはネコをかぶって職員課職員の言質を取ります。要は、有給は取れないもの、取らせない、みたいな発言を引き出すわけです。ここであまり強気に攻め込んだり、戦ってはいけません。あくまで知識がない普通のナースを演じてください。そうすると向こうも強気に出てボロがでますから。

ここで強気に攻めればとりあえず目の前の問題は解決するかもしれませんが、その場だけの話。今後恒久的に権利を勝ち取りたければ、後に説明するように文書として残る形で結果を出すべきなのです。会話は会話だけで終わってしまって、後に続かない。だからこの場では頑張り過ぎないこと。

できれば、録音もしておくといいのですが、まあそこまでは必要ないかもしれません。でも話をした人の名前と日付と時間はメモしておきましょう。

で、次に労働組合にその件を尋ねます。「職員課にこんなふうに言われたんだけど、、、」と。

力のない労働組合の場合は、この手の問題を避けようとしますから、その場合は、組合会議などの場で公開質問の形に持ち込みます。会議の場での発言は議事録に残されます。つまり、事実として記録に残るわけです。

そうなると、組合としても動かないわけにはいかなくなる。

記録に残らない話だと、いくらでもごまかしますし、知らなかったふりをします。だから記録残ったという事実があることが大事。そこからはじまります。文書に残らないと、亡き者にして無視をしつづけますから、とにかく文書で、ということが必要なわけです。

こんな感じで、私はこれまで何度か労働組合を使って制度を動かしてきましたが、最初は勝手もわからず、順当に決められた手続きで意見を出しましたが、それは執行部内の非公開で議事録の残らない会議でしか取り上げられず、理由は示さずに無視されました。なんどもその点を叩きつつ、結局1年以上、膠着状態が続きました。

そんな経験を踏まえて、次からは執行部への予告なしにゲリラ的に公式会議で発言する形で問題を提起。騒然とされましたが、さすがは公開の場。検討させて頂きます、という発言を得て、そこから打開策が生まれました。

私の主張は至極まっとうなもの。組合員の目があるからムゲにもできない。それが公開質問のメリットです。逃げられなくなるんですね。


こんなふうに組織に圧力をかけるためには、1:1の個別の話し合いではなく、公開の場へ持ち込むというのが勝因となります。

また主張はあらかじめ文書にまとめておくことをお勧めします。それは言い漏らしを防ぐという意味合いと、いついつこういう内容を伝えたという証拠になるからです。最後はそれを先方に提出すること。

ホントは文書での回答を要求するといいのですが、そこまではしてくれない場合がほとんど。でも文書で質問されると先方に与えるインパクトは大です。最後の手段としては内容証明郵便で送りつけると脅迫に近いくらいの効果が期待できます。

これは病院相手ではありませんが、以前、とあるトラブルで使って、その効果の絶大さを実感したことがありました。

本気で戦いたい方は、参考にどうぞ。





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2012年12月18日

オペ室オンコールの翌日、有給? 代休?

日本看護協会の協会ニュースからの引用です。

看護協会ニュース2012年12月号「ナースにはたらく時間・相談窓口」

【相談】手術室師長をしています。夜間はオンコール体制で、拘束回数は4週間で9回です。夜間呼び出しの翌日はスタッフを有給で休ませていますが、最近、夜間の緊急手術が増え、このままでいいものか悩んでいます。

【回答】夜間呼出しで実働した翌日の休養のため、有給休暇を強制的に取得させることは、有給休暇の趣旨(労働基準法第39条5項)に反し不適切です。これを機会に夜勤交代制の導入や、翌日の勤務を免除する代休の制度化の検討をお勧めします。なお、代休を与えても、実労働した時間の”割増賃金の割増分(所定時間外・深夜)”を支給する義務は消滅しないのでご注意ください。



週40時間の法定労働時間とは別に、月に9回も仕事が終わった後の拘束があるなんて、ひどいと思いません?

オペ室は有給消化率がいいとか他部署からヤッカミを言われることもありますが、こんなふう本来なら代休になるところを有給で休んでいるという不健全な現状。

オンコール体制や当直を巡っては、不当にこき使われているケースが全国的に横行しているようなので、手術室看護師は労働法規をしっかり勉強して、声を上げていく必要があります。




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2012年09月25日

部署内のグループ活動への超過勤務申請について

先日書いたオペ室環境改善に関するアンケートを元にしたオペ室内カンファレンスに関する話題第二弾です。

「部署内のグループ活動(小さな委員会活動みたいなものです)の話し合いに残業代が付かないのがおかしい!」

こんな訴えが俎上にあがりました。

「えっ、私はふつうに時間外申請を書いてますよ。仕事だからあたりまえじゃないですか。書かないから付かないだけじゃないですか?」

というのが私のコメント。

事実、私、委員会活動だけじゃなくて、院内の勉強会とか講演会などでも残業代を申請していますが、それが不法に切られたことはありません。

これに対して、師長は「看護部長からこれはどういうことかと言われて問題になったことがある」という裏話をみんなの前で打ち明けてくれました。

そして、看護部の方針からすると、部署内のグループ活動は自主的なものであるという位置づけで、時間外勤務には当たらないとしているが、師長としては本人から時間外申告があったものを勝手に修正することはできないし、していないと。

悪い言い方をすると、法律を知っていて堂々とやった者勝ちの状態だったということが白日の下へ。

さて、この問題をどうするか? いわゆる病棟カンファレンスでの議題ですから、とかく白黒はっきりさせるというか、結論を求めがちですが、議事を進めていた私はあえて師長に判断・結論を求めませんでした。

師長は中間管理職として辛い立場にいるのはわかっていたから。

板挟みになっている師長の現状も、私が知っている範囲で勝手にみんなに話しつつ、法律的な労働者の権利と、今の実際の職場の現状を理解してもらうことに努めました。

で、もしオペ室の全体の意見としてグループ活動に賃金を公式に認めるという方針を得たいという点で一致するなら、師長経由で看護部に働きかけるのではなく、私の方でとりまとめて職員課や労働組合に訴えかける形で動いていく点を提案しました。

あとは、みんなの意思、思いがどこまで固まるか、というだけ。

そして来月以降のカンファレンスへの持ち越しとなりました。


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2011年05月14日

看護の美意識と労働意識

以下、Twitterでのつぶやきの焼き直しです。

ブログは休止中させてもらってますが、Twitter では引き続きあれこれ書いています。



私が職員組合に訴えていた病院職員の勤務時間に関する問題点、すったもんだのすえようやく動いてくれて、全職員向けにアンケートが実施されました。まだ正式な集計は出ていませんが、看護部職員は、「患者のためだから」「それじゃ仕事が回らないから仕方がない」といった視点のずれた回答が目立ちます。


患者を目の前にしてがんばっているのはいいけど、いつまでがんばり続けるの? で、結局辞めていくんでしょ? 無責任ながんばりで残る人に負担をかけるのはやめてほしい。現実仕事が回らないのはわかるけど、それをシステムの問題として捉えて変えてかないと、使い捨て人材の業界、変わらないよ。


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2010年04月22日

有休消化・・看護協会の後ろ盾

看護協会ニュースにとってもためになる記事がありました。

看護協会ニュース2010年4月号タイトル

看護協会2010年4月号の中の一コラムです。

有給休暇の取得について看護協会のアドバイス

「有給休暇の取得について」

質問:人が足りないからと有給休暇を取らせてもらえません。法的に問題はないのでしょうか?

回答:取得制限は違法行為です。また入院基本料算定維持を理由とする時季変更指示はできません。「上司が部下に取得してはならないと伝える」「取得日数の限度を示す」「取得理由を限定する」などの行為は労働基準法違反の疑いがあります。

だそうです。

いざというときのエビデンス(?)のために、看護協会ニュースを大事に取っておきましょう。だってお上が言っていることなんですから、切り札としては強いですよ(笑)
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2010年01月27日

ナースの労働意識の不思議

皆さん、朝一番で行われる手術の準備ってどうしてますか?

心臓の手術とか、整形のインプラントが多い手術など、始業時間より早めに来て準備をすることってありますよね?

その場合、時間外労働(超過勤務)の扱いはどうしていますか?

私の勤務する病院では、器械出しの準備に関しては、早出ということで時間外請求していますが、外回り業務に関しては時間外申請しないという暗黙の了解があります。

皆さんのところではどうでしょう?

外回り業務は、さほど準備に時間がかからないということなんでしょうけど、よくよく考えてみるとそれは思い込みで、実際は心臓手術とか、1日に15件近く行う白内障手術の準備だとか、明らかに始業時間から業務をはじめたのでは間に合わない、それもちょっと間に合わないというのではなく、絶対に無理という術式があります。

そこで、そういった外回り業務でも早出の時間外申請をするようにしない? とオペ室カンファレンスでオペ室スタッフに提案したのですが、、、、

結果は否決。

けっこうびっくりな結果でした。

別に、師長とか上司がダメといっているわけではないんですよ。

みんなの希望はどうなの? という場面で、「時間外勤務扱いにするべき」で手を挙げたのが6名。「不要」というのがその他ほぼ全員の約20名。

仕事をしていて、それをきちんと労働として処理をすることに反対意見がスタッフから出るとはいったい何なんでしょう? 美意識なんでしょうか?

「病棟だって、勤務が始まるより早く来て記録を見たりしているでしょ、オペ室だけが特別だとは思わない」

というような意識が強いようで、、、

でも24時間稼働している病棟に比べて、手術室は朝一番では空調を入れたり、麻酔器のパイピングをしたり、「開店準備」が必要という意味で、病棟とは違います。

似ていると言えば飲食店。昼11時オープンのラーメン屋で、11時以前の仕込みの時間は労働じゃないといっているようなナンセンスさ。

お金お金といっているみたいな卑しいイメージでとらえているのかなとも思いました。

プロとして仕事をするなら対価が発生するのは当たり前で、それなしではプロとしての仕事は成り立ちません。

それに手術という高度にリスクを伴う業務を行っているのに、そこに賃金が発生しないのは問題でもあります。

賃金が発生しない=正規労働ではない=病院の業務監督外

その病院の業務監督外で事故が発生した場合、誰がどう責任を取るのかという話にもなります。

勤務外に勝手にやっていたことで発生した事故。

そこでも労災は下りるんでしょうかね。。。。


プロとして働くことの意味。

自己犠牲と誤解されているナイチンゲール精神。

自己満足。


そんなことをいろいろ考えてみました。
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2009年04月28日

当直時間はすべてが労働時間と地裁判決

病院の労働条件を巡って画期的な判例がでました。

医師の当直は、実働分だけではなく、その当直時間すべてが労働時間であるとのこと。

当直(宿直)についてご存じない方はピンとこないかも知れませんが、とにかくすごいことなんです。

詳しくは下記の朝日新聞記事をご覧下さい。

http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000904230003

医師とおなじ当直業務をしている手術室看護師(病院にもよりますが)にとっても切実な問題です。

新聞記事はそのうちウェブから末梢されてしまいますので、必要な方は早めにプリントしておくことをお薦めします。


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2009年03月01日

看護師長のための労働基準法基礎知識

月に数回は本屋をはしごして、丸一日を過ごす私ですが、今回の収穫はこちら。

ナーシングビジネス誌
Nursing BUSINESS Vol.3 no.2
(2009年2月号)
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ナーシングビジネス誌は、比較的最近刊行された新しい看護雑誌で、主に看護管理や病院経営など、看護のビジネスとしての側面に着目した雑誌です。

今回の特集記事は「もう悩まない 勤務スケジュール 作成の基本を学ぶ」というもので、別に管理職でもない私にはどうでもいい内容。

普段はあまり手に取らない雑誌なのですが、なんだか気になるものがあったんですね。

なにげなく中を見てみたら、思わず「あった〜」と心の中で叫んでしまいました。

「これだけは知っておきたい労働基準法の基礎知識」(高平仁史、p.24〜31)

勤務表を作成する看護師長さん向けに書かれた記事ですが、有給をくれないとか時間外を勝手にカットするような、あまりに無知な師長さんにお困りの皆さんにもぜひ読んでもらいたい記事です。

これまでこのブログの中でも何度も指摘していますが、有給休暇を請求したら病院にはそれを拒否する権利はありません。つまり皆さんは理由はなんであれ、休みたいときに休む権利があるんです。

強制参加させられる病院内の勉強会。これも業務と見なされますので、時間外手当てがつきます。

そんなの社会人としての常識なのですが、病院は非常識の世界。あまり知られていません。正当な主張をしてそれが通らなかった場合。そんなとき「エビデンス」としてこの記事のコピーを手元に置いておくといいかも知れません。

新しい雑誌なので、病院図書室などにはあまりないかも知れませんが、どこかで見かけたらコピーを取っておくことをお薦めします。

参考まで、雑誌連動関連記事としてメディカ出版のウェブで、当直業務に関する法律的な解釈が解説されていました。当直業務のあるオペ室ナースの皆さん、是非読んでみてくださいね。

『ナーシングビジネス』3巻2号FEATURE連動企画 本誌で掲載しきれなかった「当直勤務」解説!



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2008年10月12日

『働きすぎは法律違反です!』…看護学雑誌特集記事

・年次有給休暇がぜーんぜん取れない!
・強制参加の勉強会、残業代でないの??
・etc.

劣悪な労働環境に悩んでいる看護師さんに朗報です。

「働き過ぎは違法です」看護学雑誌icon
看護学雑誌2008年9月号( Vol.72 No.9)
特集「仕事熱心もいいけれど 働きすぎは法律違反です!」


私の知るかぎり、看護界の労働基準法違反の数々を真っ正面から問題にした画期的な特集記事です。

本屋さんの労働関係書コーナーに行くと、「よく分かる労働基準法」みたいな本がたくさん出ているのですが、それの看護師版です。

一般書ではふつうのサラリーマンを前提に書かれているため、交代勤務や当直などの記載があまりなく、いまいちピンとこなかったりするのですが、この特集はほんとうれしかったです。

病院の労働環境の異常さは、このブログの中でも再三取り上げていますが、ようやく上司や病院に突きつける「エビデンス」として使える資料が出てくれた、と思っています。

強制参加の勉強会なのに残業申請を認めないような上司(師長)がいたら、この雑誌を突きつけてやったらどうでしょう?


各職場に1冊置いておいて置くべき雑誌ですね。
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2008年10月09日

「疲れ果てる看護師」〜朝日新聞記事

2008年9月26日の朝日新聞に掲載された記事をご覧になりましたか?

「疲れ果てる看護師」
=24歳、宿直明けに急死=



「疲れ果てる看護師」24歳、宿直明けに急死(朝日新聞記事)

朝日新聞の社会面に署名記事として掲載されたこの事件、私のオペ室でも話題になりました。

「問題は人数が少ないことなんだよね 人手不足なんだよ」
「この仕事の忙しさ…… 絶対事故が起きるわよ…… 怖いわ〜」

仕事に追われる苦しさをインターネットに日記を綴っていた24歳の看護師、高橋愛依さんが、その1ヶ月半後に急死。

「宿直明けの朝。ベッド代わりにストレッチャーで仮眠をとっていた高橋さんが、意識不明に陥っているのを同僚が発見。すぐに救命措置がとられたが二度と意識は戻らなかった」
(同記事より)

ただのニュース記事ではなく、朝日新聞社の記者と思いますが、能瀬輝彦氏による周辺事情調査・考察が続きます。

「手術部は密度の濃い職場だ。いったん手術が始まれば、何時間も立ちっぱなしで患者の介助や医師のサポートに回る。緊急手術がいつはいるかもわからない。
 そうした忙しさからか、同僚や先輩は次々退職し、26人いた職場は18人までに減った。宿直回数は増え、12日間連続の勤務になるなど疲れは溜まっていった。
 それなのに、補充要員は新人ばかりで負担は逆に増え、寮に書類を持ち帰って仕事をすることも常だった」
(同記事より)

うちもまさにそんな感じです。
ここのところ中堅でやめる人が多く、補充はあっても全くのオペ室未経験者ばかり。
いくら病棟で長い経験があっても、オペ室業務(実務)はまったく別。オペ室新人ナースが一人前になるには3年はかかります。

そんな事情を、人事権を握っている看護部長はまったく理解しておらず、ただの人数調整の人事配置しかしないから、職場に残った人たちはどんどん苦しくなるだけ。いまは新しく来た人たちが1年後もオペ室に残ってくれていて、そのときに自分たちが少しは楽になる、ただそれだけを願ってがんばっている感じです。

でもそのがんばりも、追い打ちをかけるように人がやめていくと、だんだん無理が出てきます。

その無理というのが、ただ「仕事がキツイ」というだけなら良いのですが、看護師の仕事はそうじゃありません。ましてやオペ室の仕事ともなれば、かなりの危険なリスクを伴う業務です。

絶対数が不足していて、かつそのうち一人前の人が半分もいない今となっては、これまでと同じ件数のオペをこなすのはどう考えても無理なのに、オペは減らない。

無理矢理手術をこなす影で犠牲になっているのは、『安全』です。

これまでは1年目の看護師同士のペアでオペを担当させることなんてあり得ないことでしたが、そうせざるをえない状況となっています。

過労の犠牲になった高橋愛依さんがブログで残していた言葉、

「この仕事の忙しさ…… 絶対事故が起きるわよ…… 怖いわ〜」

という言葉を本当に切実に感じます。

病棟と違って適正人員の基準が存在しないオペ室。7:1看護のあおりでオペ室の人員はカット。本当はいちばん手厚くして安全を確保しなければいけない職域なのに、そのガイドラインが一切存在しないのです。

病院経営的にも、いちばんの収入源となる部署なのに、その冷遇ぶりにはただただ呆れるばかり。

体を壊す前にこの場を離れようと考えてしまうのも仕方ないと納得できます。

先月末でまたひとり辞めました。

それと前後して、体調不良で連日誰かが休んでいるような日々が続き、忙しさが末期状態。

ちょうどいま、退職や部署移動の希望調査が行なわれています。

いまのオペ室崩壊に向けての序曲とならないか、、、気懸かりです。


オンコールと称して、労働基準法の週40時間の法定就業時間以外にも身柄を拘束されたり、深夜の呼び出しにも対応している手術室看護師の労働条件はどうあがいたって病棟勤務者より劣悪です。

それに耐えてがんばってきたのは、「自分たちにしかできない仕事」という自負があるからです。夜中であろうと自分が行かなければ手術はできません。病院内にナースはたくさん居たとしても、手術の準備・介助・マネージメントをできる人は自分たちの他にはいない。

そんな使命感が優位に働いているうちはいいのですが、限界を越えると発想は転換します。

同記事の最後には今回の事件の担当弁護士の方のコメントが載ってました。

「限界が来るまえに辞めてしまう看護師が多い。看護師たちの労働環境の改善は急務だ」

そう、看護師はいくらでも転職口があるのです。

問題が大きくなる前に身を引く人が多い職域。そうしてどんな劣悪なところでも入れ替わり立ち替わりは人が入っては抜けていく。その繰り返しで、決して問題の根本的解決にはならずに利用者である患者にとっては危険な状態が続いていくのです。

この記事を読んだうちの職場の主任がいってました。

この記事を書いた記者さんに病院内で講演してもらいたいなって。

こうしてオペ室勤務の特殊性と人員不足の問題が公になった今、今後の改善への兆しが少し見えた気がしました。


参考:ブログ『 愛依 love you ずーっとあいしてる
↑高橋愛依さんのお母さまのブログです
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2008年01月14日

休日出勤 ― 代休と振替休の違い、知ってますか?

看護界の労働条件について、あれこれ問題提起している「オペナース養成講座」ですが、今日は、家にいても緊急呼び出しがあり得る手術室看護師なら絶対に知っておかなければいけない「代休」と「振替休」の違いを取り上げたいと思います。

◆ 突発的な休日出勤は「代休」

手術室では、夜間や休日などの緊急手術に対応するため、自宅待機のon call番が持ち回りであると思います。

この場合も、仕事があるなしに関わらず本当は自由が制限されている、拘束されているという意味で、出勤扱いにしなければいけないのが、労働法規上の考え方ですが、まあ、この問題は以前にも取り上げたので、ここでは触れません。

今回の話は、オンコール番とは別に、必要があって病院に呼び出された場合の話です。

私の病院でもたまにあるのですが、その日のオンコール番がたまたま体調不良でオペに応じられなかった場合や、経験年数が若くて難しい術式に対応できなかった場合など、師長からの要請で、病院近隣に住むオペ室ナースに応援要請が入る場合があります。

皆さんもそんな経験ありませんか?

要は休日出勤というわけですが、皆さんの経験上、その穴埋めはどのようにされてきましたか?

「今日、3時間働いてもらったから、平日の明日は3時間遅く出勤してきていいわよ」

なーんて、言われた人はいませんか?

で、それにあなたは納得しましたか?

これは実は間違いです。

休日出勤の場合の正しい勤務時間・賃金の計算方法は次のようになります。

例えば、休日に呼び出されて3時間働いたとしたら、3時間の時間外勤務(通常時間単価の1.25倍)手当ての他、休日手当てが加算されて、トータル1.35倍の賃金が発生します。つまり時間単価が1,000円の人の場合は、3,000円の1.5倍で、4,050円の労働対価が発生します。

さらに労働者として貴重な休日を潰したことになるので、その分の穴埋めとして雇用者は別の休みを与えなければいけないわけですが、その場合は丸々1日の休みを与えなければいけません。

たとえ30分しか働かなかった場合であっても、です。

このあたりがあまり知られていない部分じゃないでしょうか。

法律の上で、休日というのは24時間連続した形で与えなければならないということになっています。

たとえ30分でも、仕事を命じてしまった以上、それでその人の休日は休日でなくなってしまうので、別に丸々1日休みを与えなければ埋め合わせにはならないという理屈です。

先ほど例に挙げた「今日、3時間働いてもらったから、平日の明日は3時間遅く出勤してきていいわよ」という事後処理では、労働者は二重の意味で損していることになります。

まずは本来もらえるべき1.35倍の賃金分がもらえない、さらに本来はもらえるべき休日1日分がないという点。

労働法規に関する知識が欠如している管理者(師長、婦長)が多いので、この点皆さん注意してくださいね。

こうした休日出勤の時の勤務扱いを法律の用語で「代休」といいます。この言葉は大事なのでよく覚えておいてください。

◆ 予定された休日出勤は「振替休」

似た言葉で「振替休」というのがあって、これと混同している人が非常に多いので注意が必要です。

振替休という制度も休日出勤の代償制度なのですが、これは予定された休日出勤にしか適用されません。

つまり病院の就業規則として、土日が休みというという決まりがあるけど、土曜日に病院の設備点検があってどうしても出勤しなければいけないというような場合です。あらかじめ休日出勤が予定されていれば、代わりに平日のこの日を休みにしますという取り決めを事前にしておくことで、この場合は休みの日がずれ込んだだけという単純な扱いをしていいことになります。

この場合は、休日に働いているけど、賃金は平日と同じ扱いです。(1.5倍にはなりません)

これを法律用語で「振替休」といいます。

振替休が認められるのは予定された休日出勤であって、勤務表が作成される段階で代わりにいつを休みとするかという点があらかじめ指定されている場合だけです。

つまり突発に発生した休日出勤に「振替休」は認められません。

この「代休」と「振替休」の違いを知らない、もしくは勘違いしている人が多いので要注意です。

休日出勤を巡って、師長がアヤしげな発言をした場合、代休、振替休という言葉を出してみてください。それで違いがわかっていなそうだなと思ったら、職員課等に問い合わせることをお勧めします。

さすがに給与計算をする事務部門がこの違いを知らないということはあり得ませんので。

こうした緊急呼び出しがあり得る職種というのが看護業界ではきわめて限られるので、看護業界でもこうした話はあまり表だって語られることがない部分かもしれません。ですので労働者である手術室看護師各自がきちんとした知識を持っている必要があります。


皆さん、看護師の社会的地位を上げるためにも、当然のことは当然と主張できるようになっていきましょ。
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2007年09月16日

手術室看護師のための労働法規の基礎

労働基準法は、私たち看護師を含めてすべての労働者を守る基本的な法律。

知らなければ知らないでも日常生活に困ることはありませんが、損することはたくさんあるかも。知っているとお得なことがたくさんある、勉強するだけの価値がある法律といっていいかもしれません。

本屋にいくと労働法規の解説書はたくさんあります。
このまえ片っ端から読みあさってきたのですが、普通のサラリーマンを前提に書かれている本が多いので、私たち看護師のような夜勤や当直、待機番がある場合はイマイチわかりにくいのも事実。

ということで、私なりに手術室看護師のための労働法規ということでまとめてみました。今度院内でもミニ勉強会みたいなものをやりたいなと思っていまして、その準備もかねて。


1.労働法規とは?

19世紀の産業革命以来、昔から雇用者と労働者の間では確執が続いていました。仕事がほしい労働者と使ってやるという上から目線の雇用者。労働者を安くこき使いたい雇用者に対して人間らしい労働条件を求める労働者。

そんな常に対立関係にある使用者と労働者の間を取り持つのが労働関連法規で、その代表が労働基準法です。

ひとことで言うなら、「弱者ゆえに放っておくとこき使われてしまいがちな労働者を守る砦」と言ったらいいでしょうか。別名、労働者保護法なんて言い方もあるようです。

2.法定労働時間と残業代

労働基準法では、労働者が「働いてよい時間」というのが決められています。これは時代によって若干変動しましたが、今現在は1週間に40時間となっています。さらに各1日は原則8時間と定められています。法定休日というのも定められていて、少なくとも1週間に1日(24時間)は休日としなければならないことになっています。職場によっては週休二日制としているところが増えてきましたが、法律的には週1日の休みでOKとなっている点には注意が必要です。

この週40時間、1日8時間という法定労働時間を超えた分が、超過勤務/時間外労働です。

時間外労働分の賃金は割り増しになるというのはご存じのとおり。通常の時間外であれば時間単価の1.25倍、それが22時〜翌5時の深夜帯にかかった場合は深夜割増が加算されて1.50倍になります。これも法律できっちりと決められている点ですので、残業したのに加算がつかないぞという方は、ちょっと追求してみた方がいいかも知れません。

さて、実際に残業をした場合、皆さんの職場ではきちんと時間外申請できていますか? 雰囲気的に時間外申請を書いてはいけない雰囲気があったりしませんか?

上司が認めた場合しか時間外申請ができないという職場の話をよく聞きますが、これは法律的には間違いです。「労働者が使用者の指揮監督下で労働契約で義務づけられた労務を提供する時間」が労働時間です。そこに上司の判断は関係なく、指揮監督下で客観的に労働をしていると認められれば労働であると解釈するという判例がでているからです。その労働時間が法定労働時間を越えていれば残業扱いです。

使用者はいろいろ難癖をつけて書類上の残業を減らそうとしてきます。私の勤務先でもあった話なのですが、新規採用者は半年間時間外申請をしてはいけないという"おふれ"がありました。でも、これは労働基準法的にはNGです。その点を病院の職員課に問いただしたら、あっさりとおふれは撤廃になりました。どうやら職員課ではなく看護部が勝手に作った内規だった模様。職員課というのは病院の就業規則を司る専門部署。そんな部署ですから、この問題の違法性は言わずとも理解してくれたようです。

今、私が改善に取り組んでいるのは朝一番のオペの器械準備には早出が認められるのに、外回り業務の準備は時間外として認めないというシキタリ。これがおかしいという話は部署カンファレンスでみんなの前で師長とトークバトルさせてもらったのですが、結局師長の自己判断として認めないという強引な結論で終ってしまいました。

眼科や心臓手術、側臥位でのオペなどはそれなりに部屋のセッティングに時間がかかります。みんな30分以上早く出てきて準備をしているのに、それは「労働」ではないというのですから呆れてしまいます。

「病棟だって、みんな30分くらいは早く出てきてカルテから情報収集したりするでしょ」

というのが師長の言い分なのですが、それとは根本的に話は違います。病棟には夜勤者がいて24時間体制で動いている職場なのですから。オペ室では朝は麻酔器のコンセントを入れるところからはじめなければなんにもできません。

いわば開店準備です。それなしには患者を迎え入れることができないのであれば、それは当然正式な業務であり、労働です。飲食店で仕込みの時間は労働時間じゃないからね、なんて話はあり得ませんよね。

そんなわけで外回り業務は公式には時間外とは認めないということになっていますが、先にも書きましたように上司の許可判断は法的に関係ありませんから、私はきちんと時間外申請させてもらっています。今のところ気づいていないのか黙認しているのか、その分の時間外がカットされていることはありません。

病棟などでもありがちなのは、時間外申請を書いても、師長の手で勝手に時間数が削られるという話。これは明らかな不法行為になります。その事実が判明すれば病院に対して差額返金の要求ができますし、労働基準監督署に訴えてもいいレベルの話になります。ですので、毎月の時間外申請用紙は提出前にコピーを取ったり、自分の手帳などにきちんと記録をつけておいて後日照らし合わせができるようにしておくのが賢いやり方です。

看護師に関しては、病院の方針というよりは、看護部長や所属師長の労働法規への知識の疎さから違法な通達やしきたりがまかり通っているという場合が多いように思います。(師長たちは看護管理者講習を受けているはずですが、そこでは管理者としての労働法規は学ばないのでしょうか??)

労働条件に関してなにか疑問があって、直属の上司に言っても埒があかなければ、直接職員課や労働組合に相談すれば、あっさりと話が通ることが多いというのが私の実感です。ただそうすると直属の上司の顔を潰すことにもなるので、その辺は、それなりのプロセスを踏んでいく方が無難だとは思います。

3.当直/オンコールってなに?

手術室では24時間、いつでも緊急手術に対応するために、平日の夜間や休日なども当番制が敷かれているはずです。二交代制の夜勤にするのか、病院に泊まる当直にするのか、自宅待機にするのかは、病院の規模や急患の頻度によってマチマチだと思います。

私の勤務する病院では平日は当直制、休日は自宅待機のオンコール on callで対応しています。これらの法律的な扱いについて考えてみようと思います。

まず、当直というのはきちんと法律で定められた勤務体制のひとつです。


、、、、、と、書き続けようと思ったら、そういえば以前にこのブログの中で当直と労働法規の話を書いたことがあるのを思い出しました。自分でもすっかり忘れていて、情報確認でネット検索をして気づいた始末(^^)

お手数ですが、興味がある方はそちらをご参照ください。


4.年次有給休暇(年休)

皆さんの職場では有給休暇はきちんと取れていますか?

私の職場では残念ながら、希望して年休を取るという雰囲気はありません。

平日の夜間を当直制にしているせいで、本来は当直明けも通常の日勤なのですが、体力的にキツイのと安全上の配慮から当直明けは年休を使って休むというパターンが慣例化しています。そのため、他の部署に比べれば有給消化が良いといわれるのですが、希望での休みと言うよりは、単に病棟勤務者でいうところの夜勤明けに相当するものですので、休みといえどほとんどは寝て終るのが現実。

それ以外で有給休暇を申請する人はほとんどいません。

さて年次有給休暇というのはいったいなんなんでしょう? これもきちんと法律で定められた制度です。

誤解されがちなのですが、これは労働者がすでに持っている権利であって、与える与えないの問題ではなく「使用者は年休を与える義務を負う」ということになっています。つまり申請して与えてもらうという性質のものではなく、労働者がいついつ年休を取ると指定したら雇用者は認めなくてはいけないものなんです。

大事なことを言います。

年次有給を求められたら、雇用者にはそれを拒否する権限はありません。

もちろん理由も関係ありません。スキーに行こうが、学会に参加しようが年休の使い方は完全に自由です(唯一ダメなのは自社ストライキに参加する場合)。休暇申請用紙には理由を書く欄があったりしますが、そこに書く理由によって有給を認めるか認めないかという判断は法的にはあり得ません。ですので無記載でもOKですし、無難には「私用のため」にするのが得策です。さらに言えば、なんのために休むのかと理由を追及される言われもないということです。

年休請求に対して、雇用者が唯一行使できるのものに「時季変更権」があります。

これは、その日休まれるとどうしても仕事が回らなくなるので時季をずらしてほしいという雇用者側から申し出で、それが妥当なものであるなら労働者はこれに従う必要があります。

ただ、これも単に忙しいからという理由だったら、仕事はいつだって忙しいものです。よっぽどの場合でないとこの時季変更権を行使できないというのが通例です。同時期にたくさんの人が休んで、客観的に見て仕事が回らないという状況でもないかぎりはあり得ないと思っていいようです。

年休請求に対して拒否できるのは「時季変更権」が公使された場合のみ

これも重要なのでよく理解しておいてください。つまり、単に「休暇を認めない」という返答は「時季変更権」の公使になりません。かわりにいつなら休んでよいという通達が伴わなければいけないからです。

ですので、私たちが持っている年次有給休暇の残数はすべて消化することが可能です。時季に関しては必ずしも選べるわけではない場合もありますが、年休を使い切ることを妨げるものは法的には何もありません。

年休は2年間たつと効力がなくなってしまいます。在職年数にもよりますが、年休1日で少なくとも1万円前後、長く勤めていれば数万円分の価値があるわけですから、みすみす捨てるのはあまりにもったいない話です。

先にも書きましたが、私の職場では年休希望は出してはいけないものという暗黙の了解が大きく横たわっています。師長には迷惑な話かとは思いますが、そんな雰囲気を壊して誰もが自由に休める職場の雰囲気に持っていきたいというのも今後の私の自己課題です。

【追記】
この手の話に興味がある方は [看護師の労働条件] というカテゴリで6つほどの過去記事がありますので、そちらもご覧くださいませ。

参考サイト:『 知って得する労働法
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2007年04月28日

無賃で残業させることの危険性

手術室に新入職員が入ってきて数週間がたちました。
新人オリエンテーションも終わり、オペにもバリバリに入ってくるようになって、私もだいぶ新人さんたちと関わることが増えてきました。

それにしても今年は新しい人がたくさん入ってきて、反対に中堅どころがやめたり異動になったりで、教える側がタイヘン!

午前午後各ひとり、下手すると外回りと器械出しの両方を見なくてはいけないから、1日が終わったときには誰に何を教えたのか大混乱。夕方に「今日の振り返りをお願いします〜」なんて言われてもとっさに対応できないんですよねぇ。

それにしても、毎年のことながら新人の皆さん、がんばっていると思います。

朝は早く来て器械の準備をして、ドキドキしながらオペに入って、勤務が終わったら先輩を捕まえて今日の復習&明日の予習。先輩の手術担当が終わらないといつまでも「待ち」状態。その後で明日の手術に必要な物品を準備してから帰宅。帰ったら帰ったで手術手順マニュアルをまとめたりと、ふつうに仕事をしている以上にハードな生活だと思います。

それが社会人1年目というものなのかもしれませんが、中には家庭を持っている人もいますし、過度な負担にならないように応援していきたいと思っています。

◆ 新人手術室看護師の労働条件―ダブりの手洗い、残業代は?

ということで今日のテーマは新入職員の労働条件についてです。以前にも取り上げた、『自分の勉強のため? それとも業務?』の続編です。

去年は職場内にあった「新人は6ヶ月は残業代申請を認めない」という"掟"を撤廃させることに成功しました。で、それに続く今年のテーマは、

「ダブルで入っている手術が時間外に延長した場合、新人は残業とは認めない」

という"暗黙の了解"の撤廃を狙っています。


どういうことかと言いますと、新人のうちは独り立ちするまでは、先輩と二人体制で手術介助に入ることになっています。それは教育のためでもありますし安全確保のためでもあります。特に器械出し業務に関しては、当院手術室では診療各科を合わせて500くらいの術式があるそうで、ある程度応用力がつくまでは、新しい術式に入るときには先輩と二人で手洗いをしてサポートを受けながら器械出しの実地訓練を積んでいきます。これを通称「ダブり」とか「ダブル」と呼んでいます。

予定手術というのは、本来であれば夕方の勤務時間内には終わるように予定が組まれているはずなのですが、まあ、実際のところそんなにうまくいく日はほとんどありません。

17:30の定時以降に手術が延びた場合、通常なら超過勤務ですから残業代が支払われます。しかしダブルで入っている手術が延長した場合、先輩はともかく新人は残業申請をしてはいけないという暗黙の了解が存在しています。

もちろんこれは明文化された規則ではなく、昔から手術室で言われ続けている「暗黙の了解」です。

これがおかしいんじゃないの? というのが私の主張で、今年の改善目標です。

皆さんの職場ではどうでしょうか? このことについてどう思われますか?


◆ 労働法規で考えると

結論から言いますと、「ダブルで入っているから残業代が出ない」ということはあり得ません。もしこれが就業規則などに盛り込まれているとしたら違法ですし、賃金を支払っていないことも不法行為です。

労働基準監督署に相談に行けば、病院に監査が入って是正勧告が出されますし、不払い分の請求をすれば過去に遡って残業代の支払いも認められます。(だからとりあえず残業時間の記録をつけておくことが重要なんですよ >>新人の皆さん)

労働法規的に考えれば、もう答えは出てしまっているので、交渉もなにも労働基準監督署に訴えれば、それで解決なのですが、いちばん重要なのは職場内の各スタッフの意識だと思っています。

みんな「ダブルで入っているから残業代が出ない」のがあたりまえと教えられて育ってきた人たちですから、それがおかしいだなんてみじんにも思っていませんし、いまさら新人の残業代OKと言われたら「昔の自分たちはなんだったの?」と思う気持ちも分からなくもないです。

でも、結局のところ、問題はそこなんですよね。体育会系のクラブ活動でありがちな無意味に厳しいしごきの悪循環。自分たちがそうされてきたから、後輩にもおなじことを繰り返す。ある意味、パワーハラスメントです。疑問の声をあげようものなら、「最近の若いモンはなっとらん」みたいなことを言ったり、社会の厳しさを教えてやってるんだみたいなことを言って偉ぶる。

それが私はすごいイヤなんです。

ということで、先日、病棟カンファレンスの場でスタッフ全員に対して、新人に時間外手当てを認めないことの違法性と倫理的な問題について話させてもらいました。

よく誤解されているのですが、新人は最初の数ヶ月は試用期間だから残業代が出ないというのは間違いです。試用期間というのは法律で決められた制度ではありますが、これはあくまで 解雇 に関する特例措置です。14日以内であれば予告なしに解雇できるなど解雇に関する規制が緩いだけで、残業代を出さなくてよいという規定は盛り込まれていません。ここが第一の勘違い。

第二の勘違いは時間外手当てが支給されるかどうかに「上司の判断」は関係ないということです。管理者の監督下にある状態にあれば実働に関係なく「労働」ですし、残業に相当するかどうかという判断は上司が決めるのではなく「客観的」な判断で決まるというのが最高裁判所の判例です。(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁1 小判決平成12年3月9日労働判例778号11頁)

次によく言われる半人前なんだから、残業代が出ないのはあたりまえというのも、よく考えればおかしい話です。同じダブルで入る手術でも勤務時間内であれば通常の給料が支払われているんですから。「今の3時間はダブルで入っていたからその分を給料から差し引かせてもらいますよ」、なんて話はないですよね。

つまり半人前としての働きであっても、仕事は仕事です。それが一人前の実働になっていなくても現場でしか行ない得ない職業訓練を行なっているわけで、それが職場が必要としている事柄ですから、どう考えたって「業務」です。それに能力が低いということで基本給にしても残業代にしても1年目は賃金が安く設定されているわけですから、残業代を出さないという理由にはなりません。

◆ 安全と倫理の面から考えると

以上が労働法規の観点から見た説明ですが、もうひとつ重要な点として、安全と倫理の点からも問題であると思っています。こっちの方がアピールポイントとしては大きいかなと思っています。師長を含め、みんながこういう視点で考えたことがあったかどうか―。

まず基本の大前提は、手術介助は免許を持った人しか行えない危険を伴う行為であるという点です。

何が危険か? ふたつあります。ひとつは患者に害を与える可能性と、そしてもうひとつはメスや縫合針による針刺し事故、血液被曝、放射線被曝など自分自身をリスクにさらしているという点。さらに言えば医療過誤によって看護師免許の剥奪などの行政処分や刑事処分の可能性もあり得ます。

労働者として守られた環境にあってこそ、そうしたリスキーな行為を業務として行なうことができるというのが我々手術室看護師の立場です。

しかし、残業代を出さない、つまり時間外労働と認めないというのであれば「=業務ではない」ということになります。例えばそうした無賃労働中に事故が発生した場合、責任の所在はどうなっているのか? という問題が出てきます。無賃で働かされていて、C型肝炎に感染しましたとか、医療過誤で免許剥奪になりましたとか、たまったもんじゃありません。労災認定のときにも問題になるんじゃないでしょうか。

「本人が無賃労働を承知の上、希望してオペに入っているんだから」という意見もありますが、以上の理由からそうした危険な行為を行なわせる以上、それは上司命令による「業務」の範囲内でしか許されないことです。


そんな話をみんなの前でさせてもらいました。(もちろん師長にはあらかじめ了承を得ていますし、その場に師長もいました)

結局、ダブルの時間外を認めるか認めないかは手術室師長の責任です。オペ室業務の実態を病院の管理部門や看護部は知りませんし、ダブルのときは認めないなんて規定があるわけもありませんので。

まあ、いろいろ大人の事情があるんでしょうから、最終的に師長がどんな判断をするのかはわかりませんが、少なくとも現状にまかり通っている「常識」が正しくはないという新たな視点をスタッフ全員に提供できたと思っています。

職場の中の意識が変っていけば、上層部にアピールするにも力が違ってくるはず。

毎日遅くまで残っている新人さんたちを見るにつけ、せめて無駄な居残りと不当な無賃労働は減らしていきたいと思っています。


【 追 記 】
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2007年02月01日

朝のオペ室入室時刻=スタッフ始業時刻 準備はいつ?

前回、残業代の話を書いたついでに、今日は朝一番のオペの入室時間について思うところを書いてみようと思います。

私の勤務する手術室では、朝は8:30が始業となっています。
で、朝一番の患者さんが入室してくるのも8:30。

これ、どう思いますか?

始業時間と入室時間が一緒だったら、手術の準備はいつしたらいいんでしょう?

実際のところ、スタッフ(手術室看護師)は朝8時過ぎには出勤してきて、部屋のセッティングや器械の準備を行なっています。これは基本的に時間外手当ての付かないサービス早出です。

脊椎や心臓といった大がかりな手術に関しては、器械出し準備のみ、30分なり1時間の早出勤務(時間外手当てが付く)が認められていますが、外回り準備は一切ダメ。

今の手術室に就職して以来、私はとてもヘンなシステムだと思っているのですが、師長をはじめ他のスタッフは誰も疑問に思わないみたい。

「病棟だって自分で早くて出てきてカルテ見たり情報収集してるじゃない。それと同じよ」、だそうで、、、

でも思うんです。
24時間体制で動いている病棟と違って、オペ室では麻酔器のコンセントを入れるところから始まって、始業準備がなければオペをはじめることはできません。なのにそれが正式な業務と認められてない(勤務時間内に行えるシステムになっていない)のはとっても不思議です。

「そんなこと言ったって、外来だって同じなんだから」

だとしたら、うちの病院のスタンスが根本的に間違っているだけだと思うのです。外来もおんなじだからとか、病院内云々で語るのはナンセンスです。ほんの少し社会に、というか外に目を向ければわかることなのに。

例えば朝9時オープンの銀行。職員が9時に出勤してきて、開店は間に合うんでしょうか? 8時半なり8時45分始業で開店準備をしますよね。お客さん相手の商売は基本的に同じはず。飲食店なんかは仕込みなどの開店準備なしにお店を開けることなんてできっこありません。

ということで、いま、患者さんの手術室入室時間を遅くする、もしくは手術準備の早出出勤を堂々と時間外申請できるような体制にすべく、働きかけをしているところです。たかだか1日15分かもしれないけど、1ヶ月(20日)にしたら5時間ですからね。時給換算すると1万円近くになっちゃいます。

早出を当番制にして、毎朝各室の部屋と器械の準備をする係を作るというのもひとつの案。どうなるかはわからないけど、少なくともおかしいと思うことに関してははっきりと声に出していきたいとと思っています。


朝一のオペの準備時間、皆さんの施設ではきちんと確保されていますか?
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