2008年04月01日

「人工呼吸の省略」が正式採用になりました

とりあえず速報です。

このブログでも何度かお伝えしている新しい心肺蘇生法としての人工呼吸の省略。

それがいよいよ正式なものとなりました。

心肺蘇生法のフラグシップ団体であるアメリカ心臓協会AHAが3/31付で、
条件付きではありますが、人工呼吸は行なわない胸骨圧迫だけの心肺蘇生法を正式採用し、世界中で普及活動を展開する声明を発表しました。

これまでも論文レベルで、人工呼吸をしない方が蘇生率が高いというデータはいくつも出ていましたが、蘇生を普及する側のガイドラインとして、ここまではっきりとした方針が銘打たれたのは画期的なことです。

ガイドライン2010の発表を前に、世界の蘇生事情に激震が走った形になりました。

http://www.americanheart.org/presenter.jhtml?identifier=3011764

唐突な話で恐縮です。

日本時間で本日未明に発表になって朝一番でチェックしたばかり、という状況なもので、、、、

また今度詳しく書きます。
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2008年02月08日

「知っていること」と「できること」の違い

前回、看護師は思いのほか心肺蘇生技術が身につけていない、という私が勤務する病院の実状について書きました。

きっとみんな、できない、という自覚はあんまりなかったと思うんです。
もしかしたら、思いのほかできない自分にびっくりしたという人もいるかもしれません。

一次救命処置なんて、手技で言えば気道確保、胸骨圧迫、人工呼吸くらいなものです。簡単といえば簡単。教科書をみればやり方は図説してあるし、難しそうにも見えない。

教科書を読んで、手順はしっかり覚えた。よし、これでOK。

・・・・というのが、もしかしたら、今までの看護教育の中の蘇生技術だったんじゃないでしょうか??

私の学校はそうでしたもん。
成人看護学のヒトコマとして心肺蘇生法に関するビデオを見て、バックバルブマスク(BVM)の実物を手にとって見ただけでお終い。期末の筆記テストでは、正しい心肺蘇生法の手順を選ぶような問題が出た記憶があります。

ベッドメイキングみたいな、ナースの精神論を説く目的としか思えないような非現実的な手技に関しては、バカバカしいほどに何回も何十回も、下手したら何百回も練習させられるのに、蘇生技術は机上の学習でおしまい。

おそらくみんな心肺蘇生法のやり方は「わかった」とは思います。
でも、それが実際に「できる」かといえば別問題。

この決定的な違いを認識しないかぎり、看護師を続ける上で悲しい出来事はたくさん起き続けるに違いありません。

実はこれは、「教育」と「インストラクション」の違いなんです。

シミュレーション教育の第一人者である獨協医科大学の池上敬一医師がおもしろいことを書いています。


「知っていること」と「できること」の違い

地球温暖化について「知っている」だけでは、地球温暖化は食い止められない

地球温暖化を食い止めるには、具体的な「行動の変容をもたらすこと」が不可欠

例:電気を節約する

それには「教育」だけでなく、「インストラクション」が必要



「知っていること」と「できること」の違い

タバコの害について教育すること、知っているだけでは害は防げない

問題を解決するためには、具体的な「行動の変容をもたらすこと」が不可欠

例:禁煙ができる

それには「教育」だけでなく、「インストラクション」が必要



心肺蘇生技術は実践できてナンボのものです。いくら知識があってもそれが使えなければ無意味。知ってるだけじゃダメなんです。

じゃぁ、練習すればいいのかといえば、確かにそうなんですが、ただ闇雲に練習してもダメ。

何のために? という動機づけと、到達目標がクリアなビジョンとしてはっきりしていないかぎり、その体得した技術を有効に発揮することは難しいでしょう。

そうやって人の行動を実戦可能な状態にまで持ち上げていく技術がインストラクションです。


考えてみれば、看護師が行なう患者指導の類は、みんなインストラクションですよね。

上の例でもありましたが、タバコが有害だってことは言われなくたって誰でも知ってます。そんな人にタバコの有害性を得々と説明(教育)しても、もしかしたらあまり意味がないかも知れません。

患者教育をしてもぜんぜん効果がないと感じるなら、それはタダの教育であってインストラクションではないから、とも考えられます。

それじゃ、効果的なインストラクションをするにはどうしたらいいのか? 今、アメリカではそういったインストラクションの理論がうち立てられ、少しずつ日本に入ってきています。

そのひとつが、医療従事者向け心肺蘇生教育でおなじみのアメリカ心臓協会(AHA)のコア・インストラクターコース

いま、日本の医療教育が大きく変わろうとしています。

行動変容をもたらす働きかけ ― ナースならきっと誰でも気になるテーマだと思います。

とにかく、知っていることとできることは別問題なのだという点をしっかり理解しておくだけでも、いろいろ新しい道が見えてくるかもしれませんよ。
posted by Metzenbaum at 01:54 | Comment(2) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2008年02月05日

義務としての心肺蘇生・AED

心肺蘇生法とAEDに関しては、このブログの中でもかなり以前から取り上げています。このブログをスタートさせた2006年当初は、まだAEDが物珍しい感じでしたが、今ではすっかりと市民権を得て、まるで別世界に来たかのような印象すらあります。

AEDが爆発的に普及してくれたのはとてもうれしいことなのですが、当初から心配していたことがいよいよ起きはじめています。

『胸に打球、救命措置遅れ後遺症と県を提訴』(2008年1月9日:信濃毎日新聞)
『中国・昆明の高地トレで死亡 両親が日体大を提訴へ』(2008年02月03日:朝日新聞)

前者は高校野球の練習試合で直球を胸に受けて心停止に。生徒がすぐに心臓マッサージをして駆けつけた救急隊員の除細動で心拍再開。しかし後遺症が残ったという事例。

『原告側は、野球では球が当たることやそれによる心臓振とうは予測できたのに、引率教員は自動体外式除細動器(AED)を持ち運ばず、救命処置が遅れたと主張。代理人は「胸に打球を受けて倒れた場合、心臓振とうとみて、引率者が人工呼吸や心臓マッサージなどをすべきだったのにこれをせず、安全配慮義務を怠った」としている。』(2008年1月9日:信濃毎日新聞)

後者は、大学水泳部の強化合宿として高地トレーニングの練習中にケイレン発作が出現。コーチと部員が心臓マッサージと人工呼吸を試みるも3時間後に死亡が確認。

『高所での潜水は危険が伴うとされる。だが同部は合宿前に心肺蘇生法の講習を開くなどの対策をとらず、心臓の動きを正常に戻すため電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)を携行していなかったという。代理人は、事故直前のタイムが普段よりかなり遅かったのにメニューが中止されなかった▽プールから引き揚げ後すぐに心肺蘇生が実施されなかった――といった部員の証言もあると指摘。危険性の周知▽体調管理▽救助体制の整備などの安全配慮義務を怠ったことが事故を招いたと訴える。』(2008年02月03日:朝日新聞)


いずれも「適切に心肺蘇生が行なわれなかった」、「AEDの準備や訓練が行なわれていなかった」というのが、訴訟の争点となっています。立場・状況的に注意義務を問う内容です。

2008年に入ってにわかに目立ちだしてきたこの手の訴訟ですが、その是非や問題点はいろいろありますが、少なくとも私たち医療従事者はこうした世の中の流れを見て、身を引き締める必要があると思います。

ナースなんですから、当然AED、使えますよね?
正しい効果的な心肺蘇生ができますよね?

これが世間の目です。

内情を知っている人は、看護師養成カリキュラムにきちんとしたBLSが盛り込まれていないことは承知しています。でもそれは世間の人からすると相当ビックリな事実かもしれません。ナースは医療の心得がある専門家。看護師にとっては心肺蘇生なんて常識として身についているもんだと信じているのだから。

そういう世の中の大前提がありますから、医療従事者の場合、かなりシビアです。
ただ無我夢中でCPRをすればいいというわけではなく、その質が問われる可能性が高いと考えられるからです。

ナースでありながらAED講習を受講していなかった、ゆえに適正な対処ができなかったとなったら問題でしょう。

AED自体は音声メッセージで指示を出してくれますから、まったくはじめての人でも電気ショックを掛けることは可能です。でもショックだけじゃ助からない。効果的な胸骨圧迫があってこそはじめて「蘇生」が成立します。

頭でわかっているだけじゃダメ。体が動かなくては。
わかることとできることは別ですから。

医療関係者であれば、自動体外式除細動器(AED)ではなく、より高度な手動式除細動器を取り扱うこともあるでしょう。でも、手動式の機械が使えるからといって、AEDトレーニングが不要とは思いません。

例えば、解析後、「ショックは不要です。必要ならCPRを続けてください」と音声メッセージがでる場合がありますが、訓練を受けていない人はどうしたらいいか戸惑う可能性が大です。心電図モニタが付いていれば、サイナスに戻ったのか、心静止なのかわかりますが、普通のAEDには心電図モニタ画面は付いてません。このあたりの理屈は、きちんとAED講習を受けてガイドライン2005の勉強をしていないと、わからない部分じゃないでしょうか。


市民が善意で行なう心肺蘇生と、医療従事者が行なう業務としての心肺蘇生は、根本的に違うと私は考えています。

日本ではこれまで心肺蘇生というと「善意の行為」ばかりを前提としていて、義務・業務という視点で心肺蘇生を捉えることされてこなかった気がします。医師の世界では多少はあったのかもしれませんが、看護師レベルでは皆無といっていいと思います。

市民として求めれているレベル、医療従事者として求められているレベルというのを自覚している必要があるでしょう。

例えば、市民レベルの心肺蘇生講習では、口対口人工呼吸しか教えません。

でも、医療現場で口対口人工呼吸をするかといえば、まずあり得ない。

というかむしろ不用意に直接の口対口人工呼吸なんかしたら、極論を言えば医療従事者失格です。

にも関わらずナース向けと銘打っているCPR講習でも、いまだに口対口人工呼吸しか教えない場合もあります。

じゃあ、どうしたらいいのか? フィジカルアセスメントと状況・優先順位を考えて、通報後、胸骨圧迫だけをするのもひとつの判断だし、手近なところにある(はずの)バックバルブマスクを使って換気するというのがベスト。ただし胸骨圧迫の開始を遅らせるべきではありません。現実問題としては、通報して応援と資器材が到着した後になってからバックバルブマスク換気を開始するというパターンでしょうね。

滅多にあることではないとはいえ、医療の専門家である以上、市民向けコースで習うようなひとり法のパターンしか知らないというのは問題だと思うのです。

そこで私は声を大にして言いたい。

看護師であれば、医療者のたしなみとしてAHAのBLSヘルスケアプロバイダーコースか、日本救急医学会のICLSコースを受講してください、と。

数年前には研修医には「義務」となりました。内科系認定医取得にも必須ですし、この流れは間違いなく看護師にも下りてきます。

アメリカのように、2年毎に医療従事者向けBLSコースを修了したという証明がないかぎり、就労を続けられないというような世の中になるのも時間の問題かもしれません。

最近は病院の中にも、廊下など誰でも取り出せる場所にAEDを設置するケースが増えてきました。そんな病院に勤務する医療スタッフがAEDの使い方の訓練を受けていなかったなんてことは許されないでしょう。


今回、続いて報道されたAED訴訟、最初はAED普及にブレーキをかけるものになるのでは? という気もしましたが、いまは好ましい傾向だと考えるようになりました。

AED訴訟が起きているからと言って市民の人が躊躇する理由はまったくないと思います。自信がなくてもいい、結果を恐れることなく、手を出してほしい!

訴訟で問題になっているのは、いずれも注意義務があると考えられる立場の人・法人であるという点は理解しておくべきです。

こうした訴訟をきっかけに、これまでは善意のCPRしかなかった日本社会に、ふたつの棲み分けが確立していくことになると思います。

つまり善意で行なう市民のCPRと、職業上・立場上の義務から行なうCPR。
前者は悪意がないかぎりは免責されますが、後者は一定水準の技術提供義務が発生し、当然定期的な技術維持が求められる。

医療従事者はもちろん、教師やスポーツ系の指導者、ツアコン、警察官などなど。

こういった職務上、蘇生に携わる可能性がある人たちは多いに焦った方がいいと思います。

いまは両者がごっちゃになっていますが、明確な区分がされていけば、市民が訴訟を恐れて尻込みすることなく、それでいて、責任ある立場の人たちは自信を持って手出しすることができるようになるのではないでしょうか?

いずれにしても問題は、善意のCPRと義務のCPRがないまぜにされていること。
今後の社会的成熟に期待したいと思います。
posted by Metzenbaum at 22:47 | Comment(11) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年12月16日

ACLSプロバイダー(G2005)を受講する人へのアドバイス

先日、ガイドライン2005バージョンのAHA-ACLSプロバイダーコースを受講してきました。
そこで、これからACLS受講を考えている方へのアドバイスをいくつか。

まず結論を言います。
ガイドライン2005のACLSコース、かなり簡単になりました。
今まではナースにとってはちょっとヘビーかなという印象もありましたが、2005バージョンのACLSプロバイダーコースならICUやER勤務以外の看護師でも大丈夫。

興味がある人は誰でも受けて下さい、という位に現実的でシンプルにわかりやすくなりました。なんだか難しそう、と後込みしていた方も、ぜひ受講をオススメしたいと思います。


AHA-ACLSプロバイダー・コースが扱う範囲はこれまでと変わりません。

10個の核となるシナリオ、ということで、呼吸停止、CPR+AED、心室細動/無脈性心室頻拍、急性冠症候群、徐脈、安定した頻脈、不安定な頻脈、心静止、無脈静電気活動、脳卒中に関して、初療で行うべき二次救命処置をシュミレーショントレーニングを含め、学んでいきます。

やることは同じなのですが、中身がだいぶ整理されたというか、最低限やるべきことに特化されましたので、これまで難しいとされていたPEAの原因究明なども具体的な方向性を示さなくても「原因究明を考える」ということが明示できれば実技試験(メガコード)もパスということになりました。

QRS幅が広い安定した頻脈の場合なども、専門医にコンサルトするという方向性が明確に打ち出されていて、ACLSの範疇からは事実上、除外されました。

結局のところ大切なのは効果的なCPR、つまりBLSが大事なんだということで、ACLSの中でも胸骨圧迫の大切さが何より強調されているのが印象的でした。これまでACLSのシンボルでもあった気管挿管も今は参考程度に体験するだけで、実技試験にも挿管は含まれません。

なぜなら挿管に手間取って胸骨圧迫の中断時間が長くなってしまうのが問題で、バックマスク等できちんと換気ができていれば挿管する必要はないというのがガイドライン2005のACLSの基本コンセプトです。

ということで誰もが心配する実技試験(メガコード)に関しては、ふたつのパターンしかありません。

・頻脈(PSVT)→迷走神経刺激→VF→PEA
・徐脈→経皮ペーシングの準備をしている最中にVF→心静止

このシナリオはテキストにもはっきりと明示されています。(英語版p.125〜)
つまり実技試験の問題は最初からテキストに書かれているということなんですね。

ACLSの守備範囲には脳卒中なども含まれていて、ずいぶんと範囲が広い感じがしてしまいますが、実技試験に関しては、PSVTに対する迷走神経刺激+アデノシン、徐脈に対して経皮ペーシング、それにICLSでもおなじみのVF/Pulseless VTへの対応、PEA/心静止のアルゴリズムだけを押さえておけばOKです。(もちろん他が不必要というわけではありませんよ。最重要事項はココというお話しです)

筆記試験の方は、4−5問だったかな、心電図も出てきますが、総じて簡単です。ACLS Providerマニュアルの付属CD内にあるプレテストの内容の中から出題されます。どちらかというとプレテストの内容をもっとシンプルにわかりやすくしたのが筆記試験と考えていいかと思います。

◆ ICLSとAHA-ACLSの違い

日本救急医学会のICLSは心停止した人に対する初療を学びます。それに対して、AHA-ACLSは、心停止の一歩手前の人へのアプローチも含めて学ぶコース。

心停止になって慌てる前に、実はできることがあるという点を学べるのは大きいと思います。ACLSを知っているとアルゴリズムが明解に示されていますので、危険な状態かどうかがある程度判断できる。

受講料が高いのがネックですが、ぜひナースにも積極的にACLSコースを受けてほしいと思っています。日本語版のACLSプロバイダーマニュアルも今月12月20日に発売予定ですし、以前のようなハードルの高さはだいぶなくなりました。
気軽な気持ちで受けてもいいんじゃないかと思います。


追記:ついに念願のACLSプロバイダーマニュアル日本語版が発売開始になりました!


ACLSプロバイダーマニュアル 日本語版(G2005)

出版元がこれまでの中山書店からシナジーという会社(出版社?)に変更になっているのでご注意下さい。価格は6,720円也。

聞くところによると、ヘルスケアプロバイダーマニュアルと同様、CD−ROMの付録は省略されているようです。受講に際して必要条件となっているプレテストは印刷された形で付属するらしいです。

日本語のテキストができたとあって、今年一年くらいはACLSコース受講ラッシュが起きそうな予感。受講希望者は早めに受講申請した方がいいと思いますよ。
posted by Metzenbaum at 02:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年12月02日

ACLS(AHA)+日本救急医学会ICLS同時開催コース

約4年ぶりになるでしょうか?

アメリカ心臓協会(AHA)のACLSプロバイダーコースを受講してきました。

ガイドライン2005バージョンACLSは、テキストも教材DVDもまだ日本語版ができていないので、しばらく「待ち」だったのですが、非公式の翻訳版がいただけることで、えいやとばかりに受けてきました。

(ウワサによると、待望のACLSプロバイダーマニュアルは、おととい11/30日発売開始予定だったそうですが、、、、出たのかな??)

事前に受講済みの方からいろいろと情報はもらっていましたが、確かにガイドライン2000のときに比べて、シンプルに、易しくなりましたね。

前回受けたときは、救急の勉強を始めたばかりだったので、右も左もわからないような状態。それからすれば、いまはそれなりの知識もあるからなのかも知れませんが、受講生を混乱しがちな部分が、よりすっきりと整理された感じがしました。

これは前回も感じた点ですが、ACLSって合理的でわかりやすい!

まあ、それが標準化プログラムということなんですけど、フローチャートですっきりと流れが整理されていて、手順を踏めば誰でも同じ処置にたどり着けるというのは感激ものです。

頻脈とか徐脈とか、すごく複雑そうな気がするけど、よくぞここまで整理してくれました! と拍手したい気分です。

2005年のガイドライン改定のキモはBLSにあったと言われていました。それも実際に受講してみてよく分かりました。

これまではACLSのシンボル的な感じだった挿管は、ほとんど取り扱われなくなりました。かわりに強調されたのは効果的なCPR。つまりBLSの部分なんですよね。

脳卒中や急性冠症候群のところでも強調されていますが、本当に危ない人の大半は病院に来るまえに命を落としている。いくらACLSチームががんばってもそれじゃ地域社会の救命率は改善されない。

そうなると社会という単位で考えたときにはACLSよりBLSの方が重要ということ。

ガイドライン2005のACLSは、「専門医にコンサルトする」という項目がとても多くなっていました。以前はPEAだったら、原因究明で緊張性気胸を疑うから聴診を、とか心タンポナーデ疑いがあるからエコーを、などとある程度の方向性を示す必要性があったと思いますが、今はそこまでは求められていません。

初療で本当に緊急性を要することだけに絞っている点が、現実的でいいんだと思います。


シンプルという意味では、日本救急医学会のICLSの方がわかりやすいです。

ICLSは、成人の心停止(VT、pulseless VT、心静止、PEA)だけに絞ったコース。それに対してACLSは、脳卒中、急性冠症候群、徐脈、頻脈(安定/不安定)といった、心停止の一歩手前の状態までも含んだコース。

以前の私の考えは、ACLSは看護師にとってはオーバースペック。専門を究めたい人向けという気がしていましたが、ここまでシンプルに整理されていれば、是非ナースも! という気がしてきました。

最近では、BLSインストラクターを目指す一般市民の方も受講するようになっていますので、看護師としてはうかうかとしていられないところじゃないでしょうか(^^)


そうそう、書いているうちに最初に付けたタイトルとはかけ離れた話になってしまいました。

今回、私は、アメリカ心臓協会(AHA)の公式なACLS Providerコースを受けてきたのですが、コース修了後には日本救急医学会(JAAM)のICLSの修了証もちゃっかりもらっちゃいました。

今回の二次救命処置講習は、AHA-ACLSとJAAM-ICLSの同時開催コースだったんです。

同時開催というと正確じゃないかもしれません。もともとICLSの内容はすべてACLSに含まれていますので、ACLSを修了すればICLSのカリキュラムも完了したことになるという理屈、おわかりでしょうか?

要は書類だけの問題で、今回は主催者の方で、コース開催前にAHAと日本救急医学会の両方にコース開催申請をしておいてくれたので、希望に応じて、両方のカードが発行可能だったんですね。

たぶん世の中では、ICLSとACLS、同じスタッフが兼任しているというところが多いと思います。今回受講したところとは違いますが、私の地元でも、AHA-ACLSコースとICLSコース、やっているインストラクターはどちらも同じメンバーで、資器材も共有、会場も一緒。
今日はICLS式でいきます、明日はACLSね、という感じでやってます。

でも、聞かないですね、こういう同時開催って。

現実的な意味はあまりありませんが、受講生にとっては1回で二度おいしいということで、とてもおもしろい企画だと思いました。

ちなみに私が受講したコースは、医師会の公認コースとしても申請を出しているので、医師免許を持っている受講生には医師会の修了証(認定?)も出るんだそうです。1回で3度おいしい!?
posted by Metzenbaum at 23:09 | Comment(3) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年08月19日

ICLSとACLS

看護師の"新常識"として、アメリカ心臓協会(AHA)が提唱している一次救命処置 BLS や二次救命処置 ACLS を勧める記事をなんどか書いてきました。

心肺蘇生の標準化プログラムといったら、なんといっても本家本元はアメリカ心臓協会(American Heart Association)のBLS&ACLSですが、日本にはICLSという日本独自の救命標準化プログラムがあって、しばしば受講生に混乱を来たしているようです。

最近、私もAHAのみならずICLSにも関わようになってきたので、AHAとの違いなどを含めて少し書いてみようと思います。


まず先に結論
 ・看護師向けとしては内容・経済性からICLSがいちばんオススメ
 ・さらに興味があればAHA-BLS、AHA-ACLSへとステップアップすると良いのでは?
 ・ただしICLSは公募ではないクローズドコースが多くて、受講機会が少ないかも


◆ ◇ ◆ ◇


『ICLSとACLS、内容も名前も似たような感じだけどなにが違うの?』

この世界の門を叩いた人がたいてい感じる疑問ですが、おおざっぱに言ってしまうとこんな感じになります。

『本家本元はアメリカ心臓協会が開発したACLS。でも救急現場では必要ない高度な内容を含むために簡略化して、さらに日本独自の事情を加味して作られたのが日本救急医学会のICLS』

ICLSは以前はACLS基礎コースなどと呼ばれていた時代もありました。しかしAHAからはコアとなる10のシナリオを含まないとACLSとは呼べないというクレームがついて今ではICLSという言い方に統一されています。

AHA-ACLSの「コアとなる10のシナリオ」というのは、呼吸停止、BLS+AED、心室細動/無脈性心室頻拍、無脈性電気活動、心静止、急性冠症候群、徐脈、不安定な頻拍、安定した頻拍、急性虚血性脳卒中のことです。

このうち、例えば徐脈や頻脈、急性冠症候群や脳卒中などは即緊急性を有するものではなく、初動処置として教える必要はないんじゃないかというのがICLSの考え方。本当に緊急を要するものだけを教えて、心停止の最初の10分間にできることを効果的に教えるというのがICLSの基本コンセプトになります。具体的に言えば、基本的な成人のBLSの他にVT/VF、心静止、無脈性電気活動の場合の対処方法をトレーニングします。

確かにそのとおりで、AHAのACLSは医師にとってはいいのかも知れませんが、ナースやコメディカルにとってはチト難解だよなぁというのは私も感じます。

私はこれまでAHAのBLSとACLSを受講してきましたが、BLSはともかくACLSを仲間の看護婦に勧めることはできませんでした。なぜなら、内容が難しいのと、講習が2日間、費用も約4万円と高額だったからです。ICU勤務とかならいざ知らず、手術室看護師にはオーバースぺックな感じがしました。実際私がACLSを受講してから3年がたちますが、その間勤務先病院のナースでICUを含めACLSを受講したという話は聞いてません。

最近、ICLSコースにインストラクターとして参加する機会があって、そこではじめてICLSの実際に触れたわけですが、これはいいなと思いました。ぜひすべてのナースに受けてほしいコースだと感じました。

AHAがBLSで1日、ACLSで2日、合わせて3日かけて学ぶ内容から、緊急度の高い部分だけをピックアップして1日で学ぶのがICLS。費用もAHAだとBLS−2万円、ACLS-4万円合わせて約6万円のところを、ICLSなら5,000〜8,000円程度。(費用に関しては、実はICLSは採算を度外視した部分があるので、あまり健全な料金設定とは言えない部分もあるのですが、まあ今回はそれは別問題ということで。。。)

これだったら気軽に受講してもらえるし、私も安心して友達に勧めることができます。

ナース向けとしてはとても良いコースなのですが、問題はその開催数と募集要項。

ICLSの公式ウェブサイトがあるのですが、そこを見ても、どうやったら受講できるのかははっきり書かれていません。開催予定コース一覧なんていうページもあるのですが、ほとんどが非公募のコースばかりで、なんのために載せているのか意味不明。インターネットベースで活動の輪を広げようという姿勢がほとんど感じられません。

私の地元でもICLSはクローズドコースばかりで、地域のMC協議会に参加している病院関係者しか受講できないのが現状。

せっかく良いコースなのに一般には開かれていないというのがICLSの問題点だと思います。この点AHAのACLSなら、インターネット上から申し込む公募制がほとんどですから、受講の窓口としてはACLSの方が広いというのが現状なのかもしれません。

ICLSを受けたいと思ったら、ツテを探すということを私は勧めています。勤務病院の救急センターのスタッフなどに相談してみると案外MC協議会から募集が来ていたりする場合もあります。あとは院内にICLSのインストラクターがいないか探すこと。

ICLSを受講できる立場にある人には、ACLSより先にICLSを受講することをオススメします。ICLSで基本的な救命処置の流れを押さえて、ある程度自信をつけてからステップアップとしてAHA-ACLSに進むとスムーズだと思います。


◆ AHA-ACLSとICLSのテキスト

テキストと事前勉強についてもよく質問があるようですが、ガイドライン2005に基づいた二次救命処置(ALS)のテキストは、まだあまり日本語化されておらず、AHA-ACLSを受講しようと思ったら、英語版の"ACLS Provider Manual"が必須になってきます。AHAガイドライン2005日本語版iconを参考に受講される方もいるみたいですが、ACLS Provider Manual 付属CD−ROMのプレテストに解答をすることが受講の条件になっていますので、現段階ではちょっとハードルが高いかも。私はACLSプロバイダーマニュアル日本語版が出てから受講しようかなと思ってます。

DVDと写真でわかる心肺蘇生法完全マスター 日本版・最新「救急蘇生ガイドライン2005」に沿ったBLS、ALSiconICLSの方は、いちおうガイドライン2005対応の公式テキスト「日本救急医学会ICLSコースガイドブック 改訂第2版」iconが市販されていますが、薄っぺらいわりに値段が高くてイマイチ。私は買ってしまいましたが、正直後悔しています。もしICLS受講に際して参考書を買うとしたら、この8月に発刊になったばかりの『DVDと写真でわかる心肺蘇生法完全マスター』がわかりやすくてオススメです。

ビジュアルガイドの部分と、エビデンス等の解説のバランスが良くて、一冊でBLS〜ALSまでが関連づけて書かれているので便利です。私の知るかぎりICLSに限らずガイドライン2005のBLS + ALSを学ぶ入門書としては第一選択にいいと思います。

BLSは看護師としての常識といってもいい時代になったと思いますが、二次救命処置のALSに関してはまだまだこれから。でもすべての看護師免許を持っている人には知っておいてもらいたい内容だと思っています。


関連記事 ⇒『 ICLSとACLSの違い
(姉妹サイト:AHA-BLSインストラクター日記 内)
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2007年07月06日

看護師―「臨時応急の手当」として指示なくてもAED使用可能

まずはお詫びです。

前回記事「病院に勤務する看護師は医師の指示がないとAEDを使えない!?」の中で、事実誤認があり、不正確な情報を流していたことがわかりました。

申しわけありません。

この場を持って訂正させていただきたいと思います。

前回記事の中で、私は看護師の場合は4つの条件を満たさなければ医師法違反の可能性があると書きましたが、この部分は決定的に間違いでした。

厚生労働省通達にある「業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心停止者に対し応急の対応をすることが期待、想定されている者」というのは、あくまで市民救助者のうち「一定頻度で対応が想定されている」人のことを指していたようです。つまり看護師や救急救命士など医療従事者はこれに含まれていないということです。



AEDによる電気的除細動はれっきとした医療行為ですから、原則的には医師以外が行なえないという事実は変わりません。

バイスタンダーとしての一般市民に関しては「反復継続の意志」はないので医師法の制限は受けないというというのは前回確認したとおりです。しかし一般市民の中でもスポーツインストラクターやライフセイバーなど心肺蘇生の現場に立ち会う頻度が高いと考えられる人たちに関しては、医師法の免責のために下記の4つの条件が課されています。

1. 医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難であること
2. 使用者が、対象者の意識、呼吸がないことを確認していること
3. 使用者が、AED使用に必要な講習を受けていること
4. 使用されるAEDが医療用具として薬事法上の承認を得ていること

反復継続の意志を持って医療行為(AED)を使う可能性があるという点では、看護師も同じで、医師法違反を棄却するための条項が必要なはずなのですが、これに関しては、どうもしっかりとした厚生労働省の通達というのは出ていないようです。

保助看法に基づいて、医師の指示さえあればAEDだろうと手動式除細動器だろうとナースが使用できるのは間違いありません。AEDに関してとある企業が厚生労働省に出した質問状への回答によってもそれは確認されています。(⇒ 質問状とその回答 PDF

この場合、医師の直接の指示でなくても「包括的指示」でOKのようです。

ですから、医師の指示のもとでしか医療行為は行えないという原則はここでも生きていますから、もし病院にAEDを設置するのであれば、病院の救急体勢としてナースによるAEDの使用を明文化して、「包括的指示」を明確にしておくことが重要というのは前回書いたのとかわりありません。

問題は、そうした医師からの指示がない場合にナースがAEDを使えるか、という点です。

ごくふつうの一般市民は問題なくて、ライフセイバーなどはきちんと講習を受けて医師を捜す努力をすればOK。では、ナースの場合は??

ここで思考が止ってしまいます。

いろいろ調べているのですが、どうもこれに関してははっきりとした法的見解は出されていないようです。

ただ、知識のない一般市民が安全に使えると言われているものを、看護師が使ったからといって問題になるのはおかしい―。

おそらく、ナースが医師の指示を待たずにAEDで除細動をしたとしても、責任を問われることはないでしょう。それは常識からの推察であって、公式な通達も判例もありません。

強いてそれをバックアップするなら、保助看法第37条の「ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない」という条文でしょうか。

看護師の場合、臨時応急の手当てとしてなら、通常の業務範囲を超えることが許されています。医師法違反を棄却するとしたら、おそらくこれが根拠となるのではないかなと思います。これに関しては厚生労働省への質問状とその回答という形ではある程度は見解が示されているようです。(⇒こちらの最後の項目

結論です。

1.院内にAEDを設置するなら、コメディカルが使用する際の包括的指示を明文化しておくことが望ましい

2.医師の指示がない場合のナースによるAED使用は明文化された基準は存在しない。ただし「臨時応急の手当」としてであれば保助看法で認められている


このことについては引き続き、意見・情報をお待ちしています。よろしくお願いいたします。なお私の勘違いについて指摘を下さったsantaさん、ありがとうございました。

最後に参考になるページをもうひとつ挙げておきます。

救急看護メーリングリスト上での議論 『ナースのAEDはだめ!?』
posted by Metzenbaum at 01:55 | Comment(10) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年06月30日

病院に勤務する看護師は医師の指示がないとAEDを使えない!?

(この項目の内容は再考中です。必ずコメント欄を併せてご覧下さい。なお訂正として「看護師―「臨時応急の手当」として指示なくてもAED使用可能」を7/6アップしました。)

先日、ブログを見てくれた人からメールを頂きました。

AEDの使用に関する質問(意見?)なんですが、要約するとこんな感じ。

「一般の人がAEDを使うときは、指示なんて待たなくてもすぐ使えるけど、看護師や救命士が勤務中に使うときは医師の指示があるまで待たなくてはいけない。病院によっては"医師の指示がなくてもすぐ使用していい"という約束が決められているところもあるけど、私の施設では何も指示がない。つまりAEDはあっても手動式除細動器と同じで意味がないのでは?」

この話を聞いて皆さんはどう思われますか?

私も最初、「勘違いですよ〜」なんて軽くお返事しようと思ったのですが、よく考えてみたら、決して間違いではなく、けっこう深刻な問題をはらんでいることに気付きました。

実はAEDの使用に関しては、一般市民と医療従事者では条件が違っているという事実をご存じだったでしょうか?

◆ 医師以外がAEDを使用するときの条件


a.一般市民は無条件にAEDを使って構わない。

b.医療従事者は下記の条件の満たさないかぎり、医師法違反を問われる可能性がある。
  1. 医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難であること
  2. 使用者が、対象者の意識、呼吸がないことを確認していること
  3. 使用者が、AED使用に必要な講習を受けていること
  4. 使用されるAEDが医療用具として薬事法上の承認を得ていること


例えば病院の廊下で人が倒れたとします。たまたま居合わせたお見舞いの人だったら、目の前の人のことだけを考えてすぐにAEDを装着してショックをかけて構いません。でも、看護師の場合は、まずは医師を捜すことを考えなくちゃいけない。まっさきに自分でショックをかけようとは考えちゃいけないんですね。

それに市民であれば講習を受けていなくてもOKですが、医療従事者はAED講習を受けていないかぎり、AEDを使用することはできません。

おかしな話だと思いません? 

第一発見者が看護師だと除細動のタイミングが遅れる可能性があるなんて。それだったらなんの制限もない市民に発見してもらった方がいいという気すらしてきますよね。

◆ 医師法の問題 ― 反復継続の意志

こんなチグハグな現状を生んでいる元凶は医師法17条の「医師でなければ、医業をなしてはならない」という縛りにあります。『医業』とはなにかというと「医行為を、反復継続する意思をもって行うこと」です。

この「反復継続の意志」というのがくせ者で、例えば素人が緊急避難的に医療行為を行なっても、それは「反復継続の意志」がありませんから、医師法違反にはなりません。(これが医療行為である除細動(AED使用)を一般人が行なっても構わないとされる根拠となっています。)

ところが、業務に携わっている看護師の場合、部署によってはCPAは日常的。AEDを使う機会も一生に一度あるかないかという市民レベルとは大きく異なります。

それゆえに「反復継続の意志」があると見なされてしまいます。つまり、医師法に抵触してしまう。これを回避するためにつけられた条件が、先ほどの4つの項目になるわけです。

市民にとっては緊急避難だけど、看護師/救急救命士にとっては「業務」なので、市民と同列レベルの免責とはならない、ということなんだと思います。

法的な理屈はわかったけど、実際の運用を考えたら、ちょっとねぇ。。。

そこで出てくるのが冒頭の質問であった「"医師の指示がなくてもすぐ使用していい"という約束事」、つまり包括的指示という話になるんだと思います。

病院内の取り決めとして、CPAを発見した場合、看護師は通報しつつAEDを使用して早期除細動を行なう、というようなガイドラインや業務基準を作っておけば医師法違反の問題を回避できます。

もともと手動式除細動器であっても医師の指示(包括的指示であっても)があれば看護師は診療補助として行なうことができるわけですから、AEDに関しても包括的指示さえあれば、OK。

そう考えると、病院にAEDを設置するということは、単にAEDを購入して設置しましたという話では済まないということになります。

病院内の業務基準の改定を行ない、AED使用のガイドラインの明文化、それにコメディカルスタッフに対してAED講習を義務づける必要が出てきます。


ご存じ、除細動は1分遅れる毎に7-10%の蘇生率が低下すると言われています。ですので、厚生労働省が出している条件にある「医師等による速やかな対応を得ることが困難」というのの「速やか」の解釈も1分1秒レベルと考えれば、その場に医師がいなければ看護師が使って構わないという理解もできます。

こうした解釈で運用している病院もあるのかもしれませんが、より確実性を期すためには包括的指示の明文化とスタッフへのAED講習(自前で教えてもいいし、外部のコースを受けさせてもいいし)の徹底が望ましい、ということなんだと思います。

それにしても「反復継続の意志」という医師法の解釈。やっかいです。これについては在宅看護での医療行為や救急救命士法制定のときも大きな障壁となってきました。

素人ならやってもいいけど、資格を持っていたらダメだよという不思議な結論。もっと抜本的に法体系の見直しをするとか、どうにかならないんでしょうか?

◆ AED包括指示のない病院勤務の場合

包括的指示が存在しない病院に勤務している場合はどうしたらいいのでしょう?

看護師個人としてきちんとAED講習を受けていればAEDを使用してもいいと思いますが、グレーゾーンな部分が残っているという点はきちんと認識しておいた方がいいと思います。

例えば、ショックボタンを押す前に「医師の到着が間に合わなかったため、やむを得ず自分がショックボタンを押します」みたいな宣言を、周りの人に聞こえるようにしておくこととか。

バカバカしい話だとは思いますけど、自分を守るためにも少し考えたほうがいい部分かもしれません。


なお、看護師や救命士であっても非番にバイスタンダーとして現場に遭遇した場合は「業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心停止者に対し応急の対応をすることが期待・想定されている者」に該当しませんので、一般市民と同じ扱いになるはずです。
posted by Metzenbaum at 13:02 | Comment(9) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年06月13日

AEDに関する不適切な報道―毎日新聞

よくここでも書き込みして下さるmimimiさんのブログで知ったのですが、AED(自動体外式除細動器)を巡ってちょっと気になる新聞報道がありました。

2007年6月12日付けで報道された毎日新聞の、『北教組:AEDの「一方的導入」に反対』という記事です。


北教組:AEDの「一方的導入」に反対

 駅や公共施設などへのAED(自動体外式除細動器)設置が進む中、北海道教職員組合(北教組、中山和則委員長)が学校への「一方的導入」に反対することを12、13両日、札幌市北区で開く定期大会の議案に盛り込む。北教組は「一律に反対するわけではないが、学校の態勢づくりや講習会も必要になる。救急態勢の整備を急ぐことが先決」と説明しているが、疑問の声も出そうだ。
(中略)
 AEDは8歳未満の子供に対する使用が禁止されているため、小学校低学年には使えないほか、水の事故で胸部が濡れている時は有効でなく、「学校現場でAEDに過大な期待をするのは問題」というのが北教組の主張。しかし、スポーツの部活動や試合中に心停止で死亡したり、AEDにより救命されたケースも全国的に報告されており、道教委は導入を進める構えだ。【千々部一好】


いつだったか愛地球博で市民による初のAED救命報道があって以来、マスコミではAEDはおおむね好意的に取り上げられてきました。

それが今回、ネガティブな報道を目の当たりにして、悲しい思いでいっぱいです。

なにが悲しいって、

この報道が誤った情報に基づいて書かれている

からです。

・「AEDは8歳未満の子供に対する使用が禁止されている」
・「水の事故で胸部が濡れている時は有効でな」い


どう思いますか? 「北教組の主張」として紹介されていますが、文脈からすると新聞報道としても、この主張は「正しい」と肯定しているように見えますよね?

しかし実際は、前者は明らかな間違い、後者は不正確な表現と言わざるを得ません。8歳未満の子どもにもAEDは使えますし、胸部が濡れていても水分をふき取ることでAEDは有効だからです。

以下、日本版ガイドライン2005からの引用です。

『AEDは小児にも使用できる。(中略)2006年6月時点において、薬事法上の承認を受けた小児用パッドは2種類。(中略)なお、1歳未満の乳児に対してはAEDを使用しない。』
(救急蘇生法の指針 市民用・解説編, P.31)


『傷病者の胸が濡れている場合:乾いた布やタオルで胸を拭いてから電極パッドを貼り付けてください』
(救急蘇生法の指針 市民用・解説編, P.36)


確かにAEDが日本で認可された直後の2004年には8歳未満の小児へのAEDの使用は認可されていませんでした。しかしその後小児へのAED使用が認められ、少なくとも去年2006年6月に出版された日本版公式ガイドライン2005である「救急蘇生法の指針―市民用・解説編」には、この点はしっかりと明記されています。それからもう1年以上経つというのに、、、

「北教組の主張」は古い誤った認識に基づいているわけですが、その点、「今」を伝えるはずの新聞報道で是正せず、ただ伝聞形式に流すというのはあまりに無責任だと思います。果たしてこの記者は「北教組の主張」が間違っていることを認識した上で、この記事を書いたのでしょうか?

結果的に、毎日新聞という権威ある報道機関が、

「AEDは8歳未満の子供に対する使用が禁止されている」
「水の事故で胸部が濡れている時は有効でな」い

という誤った認識を世間に流布したことになり、これは日本の地域の救命率向上(AED普及)の大きな障害となりかねない由々しき事態だと考えます。

今後、場合によっては訂正記事が出されてもおかしくないレベルだと思うのですが、どうでしょうか。
しばらく動向を見守っていきたいと思います。



【追記】
読売新聞社のサイトから、新たに関連記事を見つけました。

『北教組、学校への「AED一方的導入反対」(北海道)』
 止まった心臓に電気ショックを与えて、不整脈を正常な状態に戻す医療器具AED(自動体外式除細動器)の学校への配置について、北海道教職員組合(北教組)は12日、札幌市で始まった定期大会で「一方的な導入に反対する」との方針を表明した。AEDは公共施設などでの設置が広がり、救命活動に生かされたケースが全国で報告されている。学校への設置推進は、道教委が進めるばかりでなく、北教組が支持する民主党も4月の札幌市議選で公約に掲げていた。導入反対方針には組合員からも疑問の声が上がっている。

 北教組議案では、反対理由について<1>配備より、学校の安全体制づくりなどが主体<2>AEDは「医療行為」であり「有効性、必要性、安全性」に疑問がある――とし、「講習の強要など様々な問題が生じている」ことを理由に「一方的導入に反対していかなければならない」と記されていた。

 定期大会では、代議員から「命にかかわる問題で、(設置反対に)市民の理解は得られないのでは」との質問があった。北教組執行部は「全面的に否定はしていない。AEDは万能ではなく、一般的には成人向けで有効性に疑問がある。まれに火災を起こす」などとし、「導入については慎重な対応が必要だ」と答弁した。

 北教組の方針について、学校への設置を公約した民主党札幌の小野正美幹事長は「現場には様々な課題があり、(政党と支持団体が)すべて一緒の考えでなければならないということはない」とコメントした。

 道医療政策課によると、道内に設置されているAEDは昨年11月現在、1305か所で1581台。前年同期の321台から約5倍に増えるなど、急速に普及が進んでいる。

 道の医療政策などの検討機関である「総合保健医療協議会救急医療専門部会」も昨年6月、道に対して自治体庁舎などのほか、学校など不特定多数が利用する施設での設置が望ましいと提言。道もAEDの普及が望ましいとの立場で、道内の保健所などを通じて啓発活動を展開している。

 北教組定期大会では、各支部の代議員から、現在参議院で審議中の教育改革関連3法案などに対する民主党や日本教職員組合(日教組)の反対姿勢が弱いとの不満が相次いだ。また、いじめ実態調査や全国学力テストへの「非協力運動」で批判を浴びたことについては、「北教組バッシングだ」といった発言の一方で、「取り組めば取り組むほど逆風が強くなる。世論の状況をみた戦術の配置をすべきでは」との意見も出された。(2007年6月13日 読売新聞)



今度は北海道教職員組合(北教組)に矛先を向けてみたいと思いますが、これはもうなんといったらいいのか、、、酷い! の一言ですね。
学校で子どもたちの健康に関して責任ある立場(=一種のヘルスケアプロバイダー)である教職員たちの意識の低さには愕然とするばかりです。

『AEDは「医療行為」であり「有効性、必要性、安全性」に疑問がある』
『「講習の強要など様々な問題が生じている」』

なにをいまさら、と呆れてものも言えません。

特に講習の強要うんぬんと公然と言えてしまうところ、恥ずかしくないんでしょうか? なんだか社会的に大きな問題に発展しそうな予感がします。。。

posted by Metzenbaum at 17:24 | Comment(9) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年06月01日

『BLSヘルスケアプロバイダーマニュアル 日本語版(AHAガイドライン2005準拠)』が発売開始に!

待望の「BLSヘルスケアプロバイダー・マニュアル日本語版」のAHAガイドライン2005バージョンが、ついに販売開始になりました。

私はまだ手にとって見てはいないのですが、オンライン書店のアマゾンでは、今晩中に注文すれば明日の土曜日には発送してくれるとか。

BLSヘルスケアプロバイダーマニュアル日本語版AHAガイドライン2005準拠

『BLSヘルスケアプロバイダーマニュアル 日本語版
 ―AHAガイドライン2005準拠』


これからBLS for ヘルスケア・プロバイダーコース受講を考えている人は、早まって英語版を買ってしまわないように、ご注意を!

一般市民でも気軽にBLSヘルスケアプロバイダー(HCP)コースを受講できるようになった今日この頃、日本語版の発売で意識の高い市民の方の受講がひろがっていくのは間違いないでしょうね。

詳細は「AHA-BLSインストラクター日記」の方をご覧下さい。
posted by Metzenbaum at 22:32 | Comment(5) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年05月13日

「ドクターコールに応じますか?」

日経メディカル-ドクターコールに応じますか?いま書店に並んでいる雑誌、日経メディカル2007年5月号の第二特集がおもしろかったです。

『ドクターコール』に応じますか?
 ―758人の意識調査と体験談―


ドクターコールというのは院内ではなく、「ご病気の方がいらっしゃいます。お医者さまはいらっしゃいますか…」という飛行機や新幹線でのアレです。

昔からこの手の話題はインターネット上の掲示板やメーリングリストで色々論じられていましたが、きちんとした調査結果は珍しいなぁと思いながら読ませてもらいました。

758人を対象にしたアンケートで、ドクターコールに応じると答えた人は34%。「そのときになってみないとわからない」が48%。「応じない」とした人は17%。

この数字をどう見るでしょうか?

何より問題なのは、ドクターコールに応じたことがある200人のうち、次の機会があったら、また名乗り出るかという問いに対して「応じない」と答えている人が24%もいる点です。

さらに言えばドクターコールに応じてよかったかという問いに対しては「あまりそうは思わない」が17%、「まったく思わない」が2%。

非常に残念なアンケート結果ですが、それが現状なんでしょう。
法的責任を懸念する声が最も多かったようですが、それより現実問題航空機内という劣悪な環境で何ができるのかという不安が大きいのもわかります。知識があるだけにかえってコワイという面もあるでしょうし、何より世間の目と医者の実状の差が問題なのかなと私個人は思いました。

航空機内という閉鎖空間で不安のどん底にいる患者本人と家族、それにフライトアテンダント。そこに医者が現れたら救世主のように感じると思います。でもそこには医者に対する不理解というか、医者ならなんでもできる、どうにかしてくれるという過剰な期待が渦巻いてはいないでしょうか。

ご存じのように医療の世界も細分化されていて、専門外のことはさっぱり自信がないというのも我々にはよく分かる話。最近では研修医制度が整備されて、ひととおりのことは出来る人材が育ちつつあるようですけど、まだここ数年の話。

ドクターコール経験者の声として、

「居ないより居た方がましという程度に考えてほしい」

というのは本当にわかる気がします。

アナウンスのときに症状などを言ってくれたら、ずいぶんと手を挙げやすくなるのにとは言われていますが、現実問題、プライバシーや他乗客への不安を招く可能性から難しいそうです。

誰もが気にする法的責任に関しては、改めて免責という点が法的根拠を元に説明されていました。医師には応召義務がありますが、自宅開業していたり病院に勤務している最中でなければ関係ないので、航空機内では完全に任意。つまり「義務」ではなくあくまで善意の範疇なので、通常診療と同じような責任は発生しないようです。

それでも「悪意又は重大な過失」があれば損害賠償の責任という点はついてきますが、劣悪な航空機内の出来事であれば「過失」という法的判断がなされる可能性はないというのが法律家の見解でした。


その他、記事中からおもしろかった点をいくつか挙げると、、、

航空機内のAED操作はドクターコールに応じた医師が操作した場合と客室乗務員の場合を比べると、客室乗務員の方が使用判断までの時間が短かったという調査結果があるそうです。「だから、AEDの操作は自分でやるより乗務員に任せた方がよさそうだ」だって。

コストの問題ですが、国際線の飛行機が緊急着陸をすると、コストはおよそ1,000万円。この判断を医師が迫られる場合があるけど、医師はあくまで意見を述べるだけで、最終判断は機長の責任。医師に請求書が回ってくることはないのでご安心を。

新幹線の緊急停止の場合、停車時間は約4分。その後、スピードアップすることで挽回できることも多いらしい。「迷惑がかかるなどと考えず、止めた方がいいと思ったらためらうことなく伝えてください」、とJR東海。



以前もどこかの記事で書きましたが、医師や看護師、救急救命士などの医療資格というのは、公益性があるというか、一種の公共財産のような意味合いがあると私は考えています。

職業上必要な資格であり個人に付随するものではありますが、医療行為というきわめて特殊なことを許された人ということで、貴重な人材といってもいいと思います。

ですから、そういった特殊性を自ら自覚して、いざというときには職業人としてではなく、特殊技能をもったひとりの人間としてその知識・技術を発揮できたらいいなと私は思っています。

医療者として誇れるような人間でありたい。今は私は職業的に救急とは直接関係ない部署にいますが、最低限の自己研鑽は続けていきたいと思っています。

もちろん個人の責任で判断する部分なので、敢えて手を挙げないという判断も尊重されるべきだと思います。ただ私個人としてはこうありたい、そんな話でした。
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2007年04月29日

ガイドライン2010では、人工呼吸がなくなる!?

心肺蘇生の国際ガイドライン2000のあたりから、人工呼吸は必須ではないかも、、、というようなことは言われていましたが、ガイドライン2005では、人工呼吸の必要性がかなり下がってきました。

突然の心停止では、血中に酸素が残っているので倒れて最初の数分間は人工呼吸はあまり重要ではないというエビデンスが出ましたし、過呼吸が胸骨圧迫の効果を妨げるという点が根拠性を持って示されるようになってます。

次回の心肺蘇生国際ガイドライン2010では、これがさらに進んで、「市民のバイスタンダーCPRでは人工呼吸は行なわない」というくらいになる可能性が高くなってきました。

というのは2007年3月17日付けのイギリスの医学雑誌 The LANCET に掲載された東京発の論文 が業界に大きな衝撃を与えたからです。

詳しくは最近立ち上げた別ブログ「(仮題) AHA-BLSインストラクター日記」の方に書きました。

私自身は、まだ原著に目を通していないので、ネット情報からの寄せ集めみたいな感じですが、興味がある方は見てみてくださいね。

最近、手術室看護のことではなく、こういう救急蘇生関係の話が多くなってしまったので、以前からここを見てくださっている方たちにはご迷惑をおかけしています。

今後、救急関係の話題は「AHA-BLSインストラクター日記」に切り分けていこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
posted by Metzenbaum at 02:19 | Comment(9) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年04月22日

ヨーロッパ蘇生協議会 ERCガイドライン2005(心肺蘇生法)

先日は、東京で開かれた日本旅行医学会の大会に行ってきたという話をしましたが、そこでの最大の収穫はなんといっても、ERCガイドライン2005の一端に触れることができたという点だと思います。

2008年には日本でもERCガイドライン準拠の公式BLSコースである"immediate life support"が受講できるようになるとか、、、。そんな話を含めてあれこれ書いてみようと思います。

◆ ERCガイドライン2005とは

ERCガイドライン2005 ― 初めて耳にする人もいるかもしれません。

これは2005年にヨーロッパ蘇生協議会 European Resuscitation Council(ERC)が発表した主にヨーロッパ諸国で採用されている心肺蘇生ガイドライン2005です。

ガイドライン2005というと、日本ではアメリカ心臓協会(AHA)がとりまとめたAHA版ガイドライン2005が有名ですが、実は心肺蘇生のガイドライン2005って地域ごとにいろんなバージョンがいっぱいあるんです。知ってました?

世界的に有名なのは、アメリカを中心に広く採用されているAmerican Heart Association(AHA)のガイドラインと、イギリスを中心としたヨーロッパで採用されているEuropean Resuscitation Council(ERC)のガイドライン。先頃発表になった『救急蘇生法の指針 2005 改訂3版―医療従事者用 (2005)』も言うなれば、日本版ガイドライン2005ということになります。

◆ 国際会議ILCORで国際コンセンサスCoSTRが作られて、各国ガイドラインが作られる

この辺の仕組みはちょっとややこしいのですが、心肺蘇生のやり方を世界的に統一しようとして開かれる国際会議がILCORと呼ばれています。世界各国の蘇生関連団体が一同に介してあれこれとエビデンスを持ち寄って検討。そのILCOR会議を経て出来上がった同意事項(国際コンセンサス)がCoSTRといって、これがガイドライン策定の根幹部分になります。

このCoSTRを各団体が持ち帰って、地元の事情を加味しつつ整理してガイドラインに仕上げて発表、というのが各ガイドライン策定作業の流れになります。数あるガイドラインの中で特に世界的に有名なのがERC版とAHA版というわけです。ヨーロッパではガイドラインといえば当然ERC版のことを指します。

◆ ERCガイドラインとAHAガイドラインの違い

さて、今日の話のテーマは、ヨーロッパ版のERCガイドライン2005なのですが、これが実は微妙なところでAHA版ガイドラインとは違っているんです。

根幹部分はCoSTRという国際コンセンサスによって統一されていますので、30:2とか、「強く速く」とかは変らないのですが、ILCORで議題に上がらなかった部分や全体の合意に至らなかった部分をどう処理していくかは各団体任せ。そこが微妙な差異となっています。

例えば、私が以前から気になっていた点なんですが、AHA版ガイドライン2005のBLSでは、正常な呼吸がなければ2回の呼気吹き込み後に胸骨圧迫をすることになっています。でもこれっておかしいと思いませんか?

以前のガイドライン2000を思い出してみてください。呼吸がなければ2回の呼気吹き込みをして、その後「息・咳・体動」という循環のサインを確認、それがなければ心臓マッサージでした。

つまり、息を吹き込むのには循環サイン確認のために刺激を与えるという意味合いがあったわけです。で、AHAガイドライン2005では、循環サインの確認は信憑性がないということで廃止されました。それなら呼気吹き込みも当然なくなるだろうと思いきや、なぜかしっかり残されています。

胸骨圧迫の重要性をときつつも、そのまえに呼気吹き込みという「急ぐ必要のない動作」を挟み込む不可解さ。AHAガイドライン2005のHealthcare ProviderコースDVDの冒頭でも、ポケットマスクを取りだして組み立ててから呼気吹き込んでますが、あの時間がもったいないとは皆さん思いませんでした?(ストップウォッチで計ってみましたが、呼吸がないのを確認してから胸骨圧迫開始までには、なんと30秒もかかっていました。)

そんな疑問にスパッと答えてくれるのが、ERCガイドライン2005だったりします。ヨーロッパ版ではInitial rescue breathsと呼ばれる最初の2回の呼気吹き込みをバサッと切り捨てています。その説明がこちら。

Initial rescue breaths
During the first few min after non-asphyxial cardiac arrest the blood oxygen content remains high, and myocardial and cerebral oxygen delivery is limited more by the diminished cardiac output than a lack of oxygen in the lungs.Ventilation is,therefore, initially less important than chest compression.

It is well recognised that skill acquisition and retention is aided by simplication of the BLS sequence of actions. It is also recognized that rescuers are frequently unwilling to carry out mouth-to-mouth ventilation for a variety of reasons, including fear of infection and distaste for the procedure.For these reasons,and to empha-sise the priority of chest compressions, it is recommended that in adults CPR should start with chest compression rather than initial ventilation.

(European Resuscitation Council Guidelines for Resuscitation 2005より)


きわめて明解です。

AHAがなぜ最初の呼気吹き込みを残したのか、その説明はAHAガイドラインを見ても載ってません。(私の知るかぎり、、、、誰か見つけた人がいたら教えてください)

いずれにしてもCoSTR/ガイドライン2005の基本精神を汲むのであれば、最初の2回の呼気吹き込みは不要だと私は考えています。そこで私が勤務する病院のCPR+AEDのトレーニング・プログラム(私が原案作成しました)では、ヨーロッパ版に習って省略しちゃいました。AHA版ガイドラインでも心理的抵抗があるなら、呼気吹き込みは省略してもいいとははっきり書いてあります。だったら最初からなくしちゃった方がいいのにと思うんですけどね。



で、スイマセン、話はちょっと脱線しましたが、日本旅行医学会の中で、なんと驚くことに日本ではきわめてマイナーなERC版ガイドライン2005に関する講演があったんです。しかも演者はERCの主要メンバーでILCOR会議の副議長も務めているというビックな方。

日本ではこれまで聞くことができなかったヨーロッパ蘇生協議会の立場として、ガイドライン2005の解説を聞くことができました。

ここでようやくAHA版とERC版の差異の理由というか、コンセプトの違っているんだということがわかりました。

結論からいうと、ヨーロッパ版では突然の心停止や不慮の事故への「予防」という観点が強く盛り込まれていて、AHAはどちらかというと「治療」という観点に重きを置いている、そんな特色の違いがあるのだそうです。

だから、市民救助者を強く意識したヨーロッパ版では、心理的抵抗を減らすために最初の2回の呼気吹き込みや、難しいとされる頸動脈触知を省略した。でもAHA版は医療従事者の存在を強く意識しているために、それらを残した、ということらしいです。

講演後の質疑応答では、やはりそんなところも質問にでて、ガイドライン2010では、AHAとERCの差異は縮まるのかという質問に対しては「それぞれの立場があるので非常に難しい」というのがその答えでした。。

ここから先は私の勝手な考えですが、AHAもERCもそれぞれBLSとACLSの教育プログラムを作っていて、特にAHAなどは日本も含め世界中で教育普及活動を展開しています。何万人もいる普及員(インストラクター)のことを考えると、コース内容を大きく変えるというのは段階的にやっていかないと大変なんでしょうね。

特にアメリカのAHAではBLSインストラクターの多くは特に医学的なバックグラウンドがない民間人ですから、コース内容の切り替えを浸透させるのが難しいのかも。そういった理由で、エビデンス的に問題がないレベルで旧来のやり方を踏襲しているというのが現状なのかもしれません。

◆ 2008年度から開催されるERC公式コース

2008年から日本にもヨーロッパ蘇生協議会(ERC)のBLS教育プログラムが導入されることになりそうです。現在、日本旅行医学会が準備を進めている段階です。

すでにアメリカ心臓協会AHAのハートセイバーコースやヘルスケアプロバイダーコースが浸透している日本に、なぜ今ERCのコースを導入するのか?

当然の疑問ですが、これに対して日本旅行医学会の説明では、添乗員など旅行に関わるスタッフには、突然の心停止について「予防」の段階から教えるERCの"immediate life support"コースの方がより有益と考えた、とのことです。

現実問題として、旅行添乗員やフライトアテンダントなど非医療従事者が、既存のAHAコースに参加するのが難しかったという現状もあったでしょうし、学会として独自に養成コースを持ちたかったという面もあるんでしょうね。

いずれにしてもAHAがほぼすべてと思われがちな日本に、ヨーロッパ蘇生協議会(ERC)という世界の二大勢力のもうひとつが入って来るというのは非常に興味深いと思っています。日本の蘇生教育普及面でも大きなイベントなのか、会場には日本蘇生協議会の会長の姿がありましたし、私の見間違いでなければ日本ACLS協会の重鎮の姿も....

2008年のERCコース導入、楽しみです。
posted by Metzenbaum at 12:49 | Comment(10) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年04月07日

AHA-BLSインストラクターの小技 ― ストップウォッチの消音化

4月で新しく新人オペナースが入ってくるというのに、本題とは関係ない話で恐縮ですが、今日もAHA-BLSインストラクターの話です。

ガイドライン2005のBLS(一次救命処置)では、蘇生には胸骨圧迫(心臓マッサージ)が最も重要というエビデンスから、「胸骨圧迫の中断は最小限に!」と強く言われています。そのため、ひとりでCPRを行なうときは、30回の胸骨圧迫が終わってから、2回の人工呼吸を経て次のサイクルの心臓マッサージを開始するまでの時間は10秒以内で! と勧告されています。

アメリカ心臓協会AHAインストラクター用ストップウォッチそのため、AHAのBLSインストラクターは受講生の動きを見ながらストップウォッチで時間を計ることになっています。

アメリカ心臓協会(AHA)が出している「インストラクターズ・パッケージ」(Instructor's Package : BLS for Healthcare Providers)というBLSインストラクター向けのテキストとDVDのセットを買うと、中にはわざわざストップウォッチも入っていたりします。それくらいに、この時間管理は重要なことのようです。

受講生からすると胸骨圧迫30回が終わるやいなやピッと小さな音が聞こえるはず。実技試験の時も当然、このピッ音はたびたび聞こえてきます。

当の受講生は練習に精一杯で、もしかしたらあんまり気になっていないかもしれませんが、あのピッという音で、自分のやっていることが「評価の目」で見られていると感じてしまって、もしかしたらプレッシャーなんじゃないかなぁ。「心地よい満足感のもとで技術を習得してもらう」というAHA教育の精神からしても、あのピッ音は「試験っぽい」イメージがしてあまり好ましくないような気がします。

ということで、あのストップウォッチの動作音を消したいと思うのですが、AHAのインストラクターズ・パックに入っているロゴ入りストップウォッチには消音機能なんてたいそうなものはついておりません。そこで習熟したBLSインストラクターの中には、あえて音がしないストップウォッチを別に用意して使っているなんて話もありますが、せっかく持っているAHAロゴ入りストップウォッチをみすみすお蔵入りさせるのはもったいない!

そこで、やってみました! 「AHA純正ストップウォッチの消音化」の報告です。

◆ AHA純正ストップウォッチを改造 → 消音化

「AHA純正ストップウォッチを改造!」だなんて大げさなことを言っても、まあ、なんてことはない、内部のスピーカーの配線をちょんぎったというだけのことなんですけどね(^^;。

きわめて単純な発想です。スピーカーの電線を切れば音は出なくなる、ただそれだけ。

説明するまでもないのですが、せっかく写真を撮ったので「改造」のポイントを簡単にご紹介しようと思います。

ステップ1:ストップウォッチ本体裏側の黒いネジを5本外す
細めのプラスドライバーでネジを5本はずすと、簡単にウラ面パネルがはずれます。その際、手荒にやると押しボタン部分やスプリングがどこかへ飛んでいってしまうのでご注意を。

AHAストップウォッチの消音改造:ウラ蓋を外す

ステップ2:基盤のスプリング2つを外してから、銀色のネジを4本外す
ネジとは別に2本の小さなスプリングがついていますので、なくしちゃうまえに外しておきます。それから4本の銀色のネジを外します。

AHA-BLSインストラクター専用ストップウォッチ

ステップ3:赤いバッテリーが入った赤いパネルを外し、緑色の基盤を取り外す
電池が入っている赤いパネルを取り除くと緑色の基盤が見えます。これは特にネジ止めされていないので、つまめば簡単に取り外せます。緑の基盤をひっくり返すと、いくつかの部品がついた面が見えてきます。

stop_watch_4.jpg

ステップ4:スピーカーから出ている細い金属線をカットする
基盤の下の方に突いている黒くて丸い臼石のような形をした部品がスピーカーです。よーく見ると、スピーカーから極細の金属線が2本出て基盤にハンダ付けされているのがわかると思います。この線のどっちかをハサミでチョキンと切れば改造完了。

アメリカ心臓協会ストップウォッチ

あとは元通りに組み立てててネジ留めするだけ。簡単でしょ?

もしいつか元通りに音が出るように戻したいと思ったら、ハンダ付けの部分をきちんと半田ゴテで取り外して導線にテープを巻くなりして絶縁しておく方がいいかも知れません。

バカみたいな小技でしたが、BLSインストラクターで誰か参考にしてくれる人がいたら幸いです。

でも、くれぐれも「改造」は自己責任でお願いしますね(^^)

追記:
posted by Metzenbaum at 00:42 | Comment(5) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年04月01日

AHAのBLSインストラクターになりました。

AHA コアインストラクター・コースに続いてAHA-BLSインストラクター・コースを修了。教育実習の評価(モニタ)も終わって、ついにAmerican Heart Association(AHA:アメリカ心臓協会)の正式なBLSインストラクターになることができました。

モニタというのは、実際の受講生相手に指導を行なって、その様子をファカルティ faculty もしくはリード・インストラクターという上級責任者にチェックしてもらう最終試験みたいなもの。ホンモノの受講生を相手にするわけですから、緊張します。責任を感じます。だって受講生はそれなりのお金を出してホンモノのインストラクターに教えてもらうつもりできているわけですから。

基本的にはリード・インストラクターがずっと見ていてくれるので、なにかマズイ点や受講生に対して失礼なことがあれば即座に適切な指導を代行してくれるので、受講生に不利益はないことになってます。

私は、ふだん病院内で病院スタッフ(事務員、看護師等)に成人のBLSを教えていますので、BLS指導のポイントはあるい程度はわかっているつもりでいましたが、受講生が支払っている金額だけのものを返さないと、と考えるととても難しかったです。

それってほとんど「接遇」の問題だと思うのですが、いかに受講生に満足度を感じてもらうか、心地よく技術を身につけてもらうか、その点がAHA教育のキモであり、難しいところだと感じました。

私が担当した受講生の方は看護師さんで、ガイドライン2000バージョンのBLS for Healthcare Providersコースを受けたことがある方。技術的にはほぼ完璧で特に修正するところがないという感じの人でした。

なのでインストラクターとしてやることは、できているところはきっちりと誉めて、自信をつけて帰ってもらうということになるのですが、コースの設定上、胸骨圧迫と換気は何回も何回も繰り返すものだから、後半になるのと、なにも言うことがなくなって来ちゃうんです。おなじことを同じ言葉でなんども褒めちぎっても白々しいだけだし、かといって黙っているのは良くないし。。。

相手にいかに心地よく感じてもらうか、難しい課題です。

◆ AHA-BLSインストラクターが教えることができる範囲

これまで私が知っていたAHAの一次救命処置(BLS:Basic Life Support)コースはハートセイバーAED(HeartSaver AED)と、BLSヘルスケアプロバイダー(BLS for Healthcare Providers)だけでしたが、実はAHAにはもっともっとたくさんのBLSカリキュラムがあるらしいです。

BLSヘルスケアプロバイダーが最高峰になりますが、その下に位置するハートセイバーコースには実にいろいろなバリエーションがあります。日本で行なわれているのはハートセイバーAEDだけですが、AED操作は含まないハートセイバーCPRコースとか、蘇生技術の他に出血コントロールや包帯法などを含んだハートセイバー・ファーストエイド HaertSaver First Aid なんていうのもあります。

◆ ハートセイバー・ファーストエイド

ハートセイバー・ファーストエイドのテキストAHAは救命処置(心肺蘇生)のことしかやらないんだと思っていたら、ちゃんと応急処置のプログラムもあったんですね。知りませんでした。ちなみにアメリカでは、このハートセイバー・ファーストエイドがいちばん受講生が多い人気(?)のコースなんだとか。

私自身、アウトドアスポーツをするものですから、ハートセイバー・ファーストエイドにとても興味があるのですが、残念ながらインストラクターコースの中では、止血や副子固定などのスキルをトレーニングする単元がありませんでした。なのに、そんな私が明日からでもハートセイバー・ファーストエイドを指導できるという現実、いったいどうしましょう?(笑) AHAの教育カリキュラムはよくできていると思うのですが、この点はちょっと疑問です。

現実的に今現在、日本でハートセイバー・ファーストエイドを開講しているのは、USカードグループの福井BLSさんだけのようです。

これまで日本のAHA公認コース展開は、医療従事者向けがほとんどで、たまにライフセイバー向けに Haert Saver AEDコースがチラホラと開講されていたくらいでした。

一般市民向け、それも陸系のアウトドア領域向けとも言うべきハートセイバー・ファーストエイドは日本ではまったく注目されていませんでしたが、この先、私が趣味の仲間に勧めるとしたらきっと『ハートセイバー・ファーストエイド&CPR』だろうなと思うんです。(山の中にAEDは担いでいけませんから)

この先、AHA-BLSインストラクターとして経験を積んで、ゆくゆくは日本のアウトドア業界にハートセイバー・ファーストエイドを広めたい! それが今の私の密かな野望です(^^)
posted by Metzenbaum at 16:27 | Comment(12) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年03月11日

AHAインストラクターへの途ーコアインストラクター・コース受講

またまた手術室看護とはまったく関係ない話です。興味がない方は遠慮なく読み飛ばしてくださいね。

AHAコアインストラクター・コース・マニュアル先日、AHA-BLSインストラクターへの第一歩として、コアインストラクター(Core Instructor)コースというのを受けてきました。これは大人が大人に教えるためにはどんな方法を使うと効果的かという点を学ぶ、いわば成人教育手法のセミナーです。

コア・インストラクター・コースの内容を紹介する前に、まずはアメリカ心臓協会AHAのインストラクター制度についてざっと説明しておきますね。

◆ AHAインストラクターの種類

アメリカ心臓協会(AHA)のインストラクター資格には大きく4つあります。

・PALSインストラクター(小児に特化した二次救命処置)
・ACLSインストラクター(一般的な二次救命処置)
・BLSインストラクター(一次救命処置全般)
・ハートセイバー・インストラクター(主に市民向け一次救命処置)

この中で私が取る予定なのはBLSインストラクター。この中にはハートセイバー・インストラクター資格も内包しているので、AHA-BLSインストラクターになれば基本的に一次救命処置はすべて教えられることになっています。

◆ 従来のAHAインストラクターになるまでの流れ

AHAのインストラクターになるには、BLSインストラクターならBLSプロバイダー認定を取っていることが前提条件。その上で「BLSインストラクターコース」を受講し、最後の修了試験に合格する必要があります。ただし「BLSインストラクターコース」を無事修了できたら即インストラクターになれるというわけではありません。次に「モニター」といって、実際にホンモノの受講生相手に指導しているところを試験官にチェックしてもらって、OKがでて初めてインストラクター認定がおりるという流れになっています。

◆ コアインストラクターの新設

今までは上のような流れでインストラクターになれたのですが、去年の夏あたりからAHAインストラクター認定制度が改定されて、コアインストラクター Core instructor コースというのができてしまいました。

これはなにかというと、これまでPALS/ACLS/BLS/Heartsaverと4種類あったインストラクターコースの中の共通部分、つまり成人教育の手法に関する部分を独立させて、ひとつのコースにまとめたということらしいです。

これによって、これからAHAのインストラクターになろうという人は、まずはコアインストラクターコースを受講して、その後でBLSなりACLSなどのインストラクターコースを受講しなければならないということ。ちょっと面倒くさくなりました。まあ、BLS以外にACLSやPALSインストラクター資格も取ろうという人にとっては、2つ目以降の重複部分がなくなるということでメリットでもあるのかもしれませんが。

◆ とてもユニークなAHAコアインストラクターコース
このコアインストラクターコースは、これまでにないとてもおもしろい形態をとっています。e-learningと言うんでしょうか? インターネットもしくはCD-ROMを使って独習するというのが基本スタイルになっています。

コアインストラクター・マニュアルを手に入れると、そこにはCD-ROMが入っています。そいつを自分のパソコンに入れると自動的にビデオクリップが流れ出して、その映像のレクチャーを見ながら自分で学習をしていきます。途中でいくつも問題が出てきますので、クリックして正しい答えを選択、そうやって全カリキュラムを修了するとコアインストラクター修了証をプリントアウトすることができる、という仕組みになってます。(おなじことはインターネットを使ってオンラインサービスでもできるようになっています。AHAの専用ウェブページに接続して、コアインストラクター・マニュアルに書かれているパスワードを入力するとインターネット上でもビデオ講習が受けられます。)


次のステップとしてBLSインストラクターコースやACLSインストラクターコースを申し込むときには、その修了証がないとダメ、というわけです。

パソコンで独習するコアインストラクター、なんだか簡単そうな気がしますが、全行程を終わらせるには7-8時間はかかるとか。しかも全部英語なので、ふつうの日本人にとってはちょっと厳しいものがあります。

英語に不自由がなければテキストだけを買って自宅で好きなときに細切れで勉強してコアインストラクター資格を取れるのですが、一般的な日本人の場合は、映像を見ながら日本人インストラクターが解説をしてくれるコアインストラクター・コースに参加する必要があって、テキスト代の他に受講料というのが別にかかってしまうのが難点。

◆ コアインストラクターコースで学ぶこと

コアインストラクターコースでは、心肺蘇生のテクニックがどうのこうのという話は一切ありません。内容はというときわめて教育学的な実践の話ばかり。

私たちが知っている教育とか人のものを教える方法というのは、実はほとんどが「小児教育」というのか「学校教育」というのか、つまりは子どもにものを教えるやり方なんです。仕事場で後輩に指導するときなど、無意識のうちに自分がこれまで受けてきた学校教育のやり方をマネしているはずですが、実は大人が大人にものを教えるには学校教育の手法では効果的ではないと言われるようになっています。

子ども相手の場合、九九みたいに意味も分からず詰め込み教育をするのもありですが、自我がはっきりとした大人の場合、まずはモチベーションをしっかり固めてあげることが重要。目的を再確認させて、自分から学びたいという気持ちに持っていって、そのための道筋を示すことが重要になってきます。

それに大人が大人を教えるのですから、「そこダメ! できてない!!」とモチベーションをそぐような指導の仕方はダメ。

とにかく根本的に小児教育と成人教育は違うんだ、というあたりを学んでいくコースです。コアインストラクターコースで学ぶことは、心肺蘇生教育だけではなく、看護師であれば職場での後輩指導にも活かせますし、ありとあらゆる教育活動に使える内容だと思います。これまでの日本の常識からすると目から鱗的な感じで、興味深く学べました。

ただ実際のところ、英語圏で作られた教材を使って英語での勉強になりますので、我々日本人にはストレートには入ってきづらい部分もあります。文化的に理解しがたいシチュエーションも多々ありましたし。世界のトレンドの先を行くAHAが取り入れた手法なので、今後こうした成人教育の方法は、別の形で日本の医療界・教育界に広まっていくような気もします。

いつか、医学界全体の教育制度の改善のためにも、日本の風土も前提に入れた日本版成人教育プログラムのようなものができるといいなと思っています。
posted by Metzenbaum at 13:52 | Comment(10) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2007年03月06日

高校生でもなれる!? AHA-BLSインストラクター(米国心臓協会)

わかる人にしかわからない話題で恐縮ですが、いま私が取り組んでいるアメリカ心臓協会 (AHA:American Heart Association) のBLSインストラクター認定資格絡みの話題をひとつ。オペ室看護とはまったく関係ない話ですので、興味がない方はスルーしちゃってくださいね。

◆ 意外と知られていないアメリカ心臓協会AHAの実際

前回、アメリカ心臓協会AHAのBLSインストラクターコースの受講が決まったという話を書きました。AHA公認のインストラクターになるからには、母体であるアメリカ心臓協会とはなんなのか、きちんと知っていなくては、と思い、インストラクター・マニュアルとは別にあれこれ勉強しているところです。

アメリカ心臓協会とはその名のとおり、アメリカに母体をおく学術団体(学会?)です。心肺蘇生の国際ガイドラインの制定に主導的に関わっていたり、世界中で心肺蘇生教育活動を展開している世界最大規模の学術団体なのですが、日本にAHAの教育プログラムが正式に入ってきたのは2003年と、実はかなり最近のこと。

そんなこともあって、アメリカ心臓協会(AHA)という組織に関する日本語での情報はかなり限られています。ACLSとかBLSなどのプロバイダーレベルの話であればしっかり本にもなっているのですが、インストラクターに関する情報や組織に関してはネット上でも日本ACLS協会のウェブサイトに載っているのが、おそらく日本語唯一の情報源なんじゃないでしょうか。

私も最初は日本語情報しか見ていなかったので、それがAHAの方針なんだと思っていましたが、どうもアメリカ本国のAHA公式ウェブを見てみると感じる印象がぜんぜん違うんですよね。もしかして日本のAHAとアメリカ本国のAHAは違う....? そんな気すらしてきました。

例えば日本では BLS for Healthcare Provider コースを受講できるのは、「医師、看護師、救急救命士、その他コメディカル」となっています。でもアメリカ心臓協会の規約を読むと、実は受講条件なんてことはどこにも書かれていないんですね。しかもインストラクターの条件としてはプロバイダー資格を持っていることと、16歳以上が好ましいと書かれているだけ。なんじゃそれ? と思いません? アメリカでは医療資格の有無なんてレベルではなく、高校生であってもAHAインストラクターになれちゃうってこと??

【Instructor Courses】
An AHA Instructor Course is designed to teach the methods needed to effectively instruct others in resuscitation courses. The AHA recommends that Instructors be at least 16 years of age.

【Instructor Course Prerequisites】
All prospective participants in an Instructor Course must have current Provider status in the discipline the candidate wishes to teach.




実際、アメリカでBLSインストラクターをやっている人の大半は非医療従事者だとか。まあ、あちらでは職業的にBLS講習を定期的に受けないと仕事を続けられない職種がたくさんありますから、BLS講習がビジネスとして確立しているということも関係しているのだと思いますが。

少なくとも受講生(プロバイダー)もインストラクターもみんな医療有資格者ばかりというのは日本だけのことみたいですよ。

◆ 日本ACLS協会≠AHA日本支部

2007年3月現在、日本でアメリカ心臓協会AHAと契約を結んで、AHA公式コースを開催できる団体(AHAカードを発行できる団体)は実は4つあります。

・日本ACLS協会
・日本蘇生協議会
・日本循環器学会
・日本小児集中治療研究会

以前は実質上、日本ACLS協会の独占でしたので、日本では「AHA=日本ACLS協会」という暗黙の図式ができていましたが、実はそうではなかったんですね。

私も以前は日本ACLS協会がアメリカ心臓協会の日本支部だと信じていました。だから以前からあった「USカードグループ」などと呼ばれている日本ACLS協会以外にAHAカードを発行できるグループや、日本ACLS協会は手がけていない小児専門の二次救命処置PALSコースを開催する日本小児集中治療研究会の存在が不思議でなりませんでした。

でも、アメリカ本国の規定を読んでわかるのは、AHAのトレーニングセンターの設置条件は比較的緩やか。一国一団体みたいなきっちりとした体系的なものではないんですね。条件さえ整えれば誰でも新しいトレーニングセンターを開設できるし、日本ACLS協会のその数ある中のひとつということです。

ちらっと話に出た「USカードグループ」というのは、アメリカのAHAトレーニングセンターに登録している日本人インストラクターたちが海外から日本へ出張してきたような形でAHA公式コースを開催、カードを発行しているという団体です。例えば 福井BLS というグループの公募を見ると、AHAのBLSコースなのに受講者の制限が一切ないと書かれています。「職業にかわらず,どなたでも受講していただけます.HPを検索しますと,BLSの講習は医師や歯科医師,看護師などが対象という記載をみることがありますが,それは過ちです.どなたでも受講できます.」だそうです。

日本ACLS協会のアメリカ心臓協会AHAコースに関する規約を読むかぎり、かなり制約が多いような印象を受けますが、実は国際組織としてのAHA自体はずっとずっとフレキシブルな組織で、制約が多いのは日本ACLS協会のローカルルールの方だったというのが現実のようです。

アメリカ心臓協会の公式ウェブからの情報を直に読んでみると、びっくりすることがたくさん書かれていてホントおもしろかったです。



かなりディープな、というかマニアックな話になってしまいましたね(^^;
きっと日本のこれまでのAHA事情を知っている人にとっては、かなり目から鱗的な話だったと思うのですが、いかがだったでしょうか?

興味がなかった人にはごめんなさい。
でもしばらくはこんな話が続いちゃうかも。
posted by Metzenbaum at 23:01 | Comment(33) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2006年10月22日

心電図の基本とサイナス・リズム(洞調律)

以前に予告した 心電図基礎講座 の第二段です。
今回は心電図の基本となるサイナス・リズム(洞調律)と心臓の動きの基礎について取り上げます。

心臓の動きについて看護学校の1年生のときに生理学で勉強したはずですが、覚えていますか?

その頃は分厚い生理学の教科書の一部として漫然と勉強しただけであまり印象に残っていないかもしれませんね。でも心電図理解には絶対に必要ですから、学生時代の教科書を引っ張り出してきて、心臓の電気活動について一度復習しておくことをお薦めします。

現場で働きだしてからの勉強って、実務のため、必要に迫られて、という意味で学生時代の勉強とはだいぶ取り組み型が違ってくるものです。目的もはっきりしていますし、学生時代はわからなかったことでも、いま改めて教科書を読んでみると、すんなりと頭に入ってくることってありますよね。下手に心電図の専門書を手にする前に、一度解剖生理学の教科書を熟読するといいですよ。

◆ 心臓の動きと機能

ざっとおさらい程度に書きますが、まずは心臓の動きについて。

心臓は電気信号によって動いています。肝心要の電気信号は、心臓の右側上方にある「洞房結節」と呼ばれている部分から発生します。(辞典的には、「右心房内大静脈開口部に存在するわずか1.5mm×0.5mmの心筋細胞の塊」だそうです)

自動的にいいタイミングで電気信号を発生させて、それに基づいて心臓がドクンドクンと動きます。言ってみれば洞房結節は音楽の指揮者のようなものです。

心臓の上の方にある洞房結節から発生した電気は、まずは心房に伝わって、心房をドクンと収縮させる、その後、さらに下の方に信号が流れていくと、今度は心室がドクンと収縮。つまり上から下に向かって流れる電気信号によって、心房⇒心室の順番で正しく心臓が動き、血液を送り出すポンプ機能が正しく働くわけです。

この正しい順番というのが意外と重要で、仮に心房より先に心室が収縮してしまったら、正しく血液を送り出すことができません。心室性期外収縮とか心室頻拍の場合がまさにこれです。なぜなら、そのとき心室内には血液が満たされていないから。つまり空打ち状態です。

まずは心房が動いて、血液を心室に送り込む、それで次に心室が動いてその血液を全身に送り出す、この順番が重要です。心室だけがバカバカと動いても、血液を全身に送り出すという機能は成立しないわけです。この辺の理解は今後重要になってきます。

(私事ですが、最近疲れのせいか、私、心室性期外収縮(PVC)が頻発しているんです。自分でモニター心電図を装着して、脈を取りながらみていると、期外収縮のときは脈が触れずに飛びます。いわゆる結滞。心室は収縮しているけど、送り出す血液がないから脈としては触れない。そんなことを身をもって体験しました)

◆ 心電図とは

心電図は心臓が動くときの電気信号を記録したもの。洞房結節からでた電気信号は非常に小さいものなので、心電図では読みとれません。心電図で記録されるのは心臓がウニッと動くときに筋肉(心筋)が起す電気だけです。

P波 ⇒ 心房の動き
QRS波 ⇒ 心室の動き

(T波 ⇒ 次の拍動に備えて充電してる状態)


これだけは覚えておいてください。というより理解してしまってください。

心房の電気的興奮でP波が発生するとともに心房収縮、心室の興奮=QRS波が現れ心室の収縮が起きる。これを理解するヒントとして、私がいつも取り上げるのは解剖学の教科書にのっている心臓の断面図です。よーく見ると心房と心室では、壁の厚さがぜんぜん違うのがわかると思います。心室が分厚い筋肉でできていて、心房は薄っぺら。全身に血液を送り出す心室は大きな力が必要ですから筋肉が発達しているのは当然のこと。心室は筋肉が厚いから発生する電気も強い、そこでQRSのように高く記録されて、心房は薄いからP波みたいに小さく(低く)記録される。そんなふうに理解すると頭にしっかりと残るんじゃないでしょうか。

◆ 洞調律/サイナス・リズムという言葉について

正常な心臓の動きを何気なく洞調律とかサイナス・リズムと言いますが、その言葉の意味を考えてみたことがありますか?

洞調律の「洞」というのは、言わずとしれた洞房結節のこと。洞房結節からの調律(リズム)に支配されて心臓が動いている状態ということです。つまり正常な心臓の動きです。心臓には自律能というのがあって、仮に洞房結節がイカれてしまった場合、心臓の他の部分から心臓を動かす電気信号が発生するようになります。その場合は洞調律とは言いません。そうした状態が実際は結構ありがちなので、あえて洞調律、なんて言葉があるんですね。

現場でよく使われるサイナス・リズム sinus rhythm という言葉は、翻訳語である洞調律の語源です。サイナスというのは解剖学用語で、日本語では「洞」です。この場合は洞房結節(sino-atrial node)のこと。この洞とは、必ずしも心臓の部位を表わす言葉ではなく、例えば副鼻腔のこともサイナスという表現をします。形状を考えればまさに「洞」ですよね。副鼻腔の内視鏡手術のことをESSと略すことがありますが、Endoscopic Endonasal Sinus Surgeryの略だったりします。
posted by Metzenbaum at 16:02 | Comment(4) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2006年10月04日

モニター心電図装着の目的

今日から何回かに渡って、モニター心電図の基礎について書いてみたいと思います。
実は今月、部署内でモニター心電図の勉強会を主催することになっていまして、これはその下書きみたいなものです。パワーポイントでのビジュアルな資料も作っているのですが、あちこちから写真やら動画を無断取り込みしているので、公のウェブでは公開できそうにありません。ここでは主に文章だけの説明になってしまうので、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、その点はごめんなさい。

◆ モニター心電図はなんのため?

私のいる手術室では、局所麻酔手術を含めて、オペ室内で処置を行なうすべての患者にモニター心電図を装着しています。それはなんのためか? 究極の目的を言うと「患者が死なないように監視する」ためです。もうちょっと具体的に言うと、突発的に起りうる心停止(心室細動VFがメインですが)があった場合に備えて迅速に対応し救命するためというのが第一義だと思います。

次いで事実上の心停止である心室細動(VF)になってしまう前段階の危険な不整脈を早期発見・対処すること。これがもっとも実際的・現実的な理由かもしれません。

それともうひとつは虚血性心疾患の早期発見ということでしょうか。

まとめますと、

  【モニター心電図を装着する目的】
   1.心室細動(VF)の早期発見・対応
   2.VFにつながる危険な不整脈の早期発見・対応
   3.虚血性心疾患の早期発見

◆まずは丸暗記でも

モニター心電図を扱う看護師として、まず最初に知っていなければならないのは数ある不整脈の中でも心室細動(VF)波形を見分けることと、その緊急度を理解し、早急に取るべき対応方法がわかるという点です。

心電図の勉強をしようと本を手に取ると、まず最初にベクトルがどうのこうのとかアイントーベンの三角形とか小難しいことが書いてありますが、そんなことは無視。まずはパターン認識としてVF波形を頭にたたき込むことが最優先です。(そのためには正常なサイナス・リズムくらいは知ってなくちゃダメですが)もちろん理解することが重要ですが最初は丸暗記でもいいと思うんです。それくらいにVFは重要です。

心室細動は成人にとっては、健康であっても結構ありがちな不整脈で、突然死の最大の原因と言われています。たくさんの人が集まるところではけっこうな頻度で起きることが知られているため、駅や空港、野球場などでは心室細動対策がしっかりされているところが増えてきました。そう、AEDの配備のことですね。

このあたりの話は、このブログでもすでに取り上げていますので、まだの方はぜひ目を通してみてください。

『心室細動(Vf)とはなにか? 初動対応の重要性』
http://or-nurse.seesaa.net/article/19776815.html


次回は、正常なサイナス・リズムについて取り上げる予定です。異常な不整脈を見るには、やっぱりまずは正常波形を抑えておきたいということで。
posted by Metzenbaum at 00:56 | Comment(5) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
2006年08月14日

「AHAヘルスケアプロバイダー」BLS(ガイドライン2005)、受けてきました

この週末、American Heart Association(AHA:アメリカ心臓協会)の、BLS for Healthcare Provider(ヘルスケアプロバイダー)コースを受講してきました。救急蘇生ガイドライン2005対応の一次救命処置(BLS)コースです。

心臓マッサージが30回になってからのBLS講習は初めてでしたが、いや〜、やっぱりキツイですね。心マ30回の5クールって。時間にしたらたかだか2分間なんですが、後半なんかは回数を数える息も切れてくるし、心マで重ねている手も痛くなってきます。

ガイドラインの中に、2分毎に施術者を交代するのが望ましい、とまで書かれている理由がよくわかりました。

以前のガイドライン2000に比べて、肉体的にはキツクなりましたが、内容は相当に簡略化されて覚えやすくなってます。迷う箇所が少なくなったというか、だいたいが基本原則通りでいけるのがうれしい感じでした。

今回のコースは、ヘルスケアプロバイダー healthcare Probider 向け、つまりおおざっぱに言えば医療者向けのコースです。そのため一般市民向け救急蘇生とはだいぶ異なる部分がありました。

一般市民では、循環サインの確認はもちろん、脈拍のチェックもしないことになりましたが、ヘルスケアプロバイダーとしては、脈拍チェックだけは行なうのだそうです。ただし10秒以内に確実に触知できなければ、脈なしと判断して心マ(胸骨圧迫と言い方が変りました)を開始します。市民の場合は、最初から脈拍触知は無理ということで簡略化されているというわけですね。

実はこの部分、アメリカ心臓協会(AHA)とヨーロッパ蘇生協議会(ERC)で見解が割れているところで、ヨーロッパ版ガイドライン2005では、医療従事者であろうと脈拍チェックは一切なしです。

日本版の医療者向け新ガイドラインはまだ正式発表にはなっていませんが、どうもアメリカ寄りになるようです。このあたりの話は、前回の投稿で書いた文はちょっと不正確な部分がありますので、確認して修正するつもりです。

BLSヘルスケアプロバイダー・マニュアルアメリカ心臓協会AHAのガイドライン2005対応のBLSヘルスケアプロバイダー・コースは5月から始まりましたが、テキストも講習ビデオも完全に英語。昔みたいに筆記試験も英語なのかなとちょっとビクついて臨んだ講習でしたが、内容の簡略化もあって恐れるほどのものではありませんでした。(試験問題は翻訳ができてますし、講習中も必要な部分は日本語で解説が入るので問題ないです。)

⇒2007年6月に翻訳版テキスト『BLSヘルスケアプロバイダーマニュアル 日本語版AHAガイドライン2005準拠』が発売になりました。

今回は、完全にアメリカ準拠の方法で新しいガイドラインのBLSを学びましたが、日本国内の基準はどうなっていくんでしょうね。

過渡期にある今、もっともっと勉強しなくては! と思っています。


(おまけの話)
アンビューambu社の人工呼吸用フェイスシールドところで、AHAのインストラクターやアシスタントの人って、どうしてあんなにジャラジャラといろんな物を腰回りに付けてるんでしょうね? 講習で使う成人と小児のポケットマスクはいいとしても、理解できないのはキーホルダータイプのフェイスシールド。それをいくつもぶら下げてます。インストラクションでは絶対使わないものなのにね。日頃からあんなにたくさん持ち歩いてるのかなぁ。あまりに独特のスタイルなんで、町中で見てもきっとすぐにわかると思います(笑)

そういう私も、フェイスシールド、院内でも院外でも常時ひとつは持ってますよ。でもあんなこれ見よがしには持ってません。カギに付けてポッケに入れてます。

posted by Metzenbaum at 00:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)