2007年03月18日

新人必読!−オペナーシング4月号『手術室看護師一年生ステップアップマニュアル』

3月も半ばを過ぎ、そろそろ院内の勤務異動・ローテーションの話題で持ちきりになっている頃ではないでしょうか?

当院でも4月以降の人事が発表になり、今年は新入職員の他、院内異動のローテーターが3名も入ることになりました。

今度来る人たち、希望なのかそうじゃないのかはわかりませんが、病棟からオペ室という異質な世界に飛び込んでくるには相当な覚悟が必要なのかもしれません。

オペ室に行くにはどんな勉強をしたらいいの??

そんな心配をしている人にお勧めなのが、つい先日発行されたばかりの手術室看護専門雑誌「オペナーシング ope nursing」 4月号icon

オペナーシング2007年4月号icon

特集 『手術室看護師一年生ステップアップマニュアル』


[主な内容]
安全… 患者誤認防止、体内異物残存防止
体位… 神経走行と関節可動域
記録… 医療事故発生時の記録について
麻酔… 麻酔科医の役割、気道確保
清潔・不潔… オペ室ならではの高度な清潔概念
滅菌・消毒… 滅菌の種類、消毒との違い、インジケーターの重要性


毎年、オペナーシングの4月号にはこんな新人向けの特集が組まれているのですが、オペ室ナースが最初に押さえておきたい基礎知識がギュッと凝縮されて詰まっています。オペ室業務の概要を知るという意味でもとっても有意義ですので、オペ室関連で読むべき最初の1冊として毎年お薦めしています。

器械の名前とかは、器械出しのテクニックなどは入職したら1から丁寧に教えてもらえるのであまり心配はいりません。まあ、鉤あり、鉤なしの違いくらいは本から勉強してもいいかも知れませんが、基本的には現物を手に取ってみなければわからない部分だと思いますますし、施設によって器械セットの組み方とか、器械の呼び方なんかは違ったりしますので、入職してから実地で覚えるのがいちばん。

ということで、まったく準備なしでも問題ないとは思いますが、なにかしておかなくては落ち着かないという勉強熱心な方は、今の時期は仕事全体の概要・流れを掴んでおくというのがいいのかなと思います。

たとえローテーターで看護師としての経験年数があろうとなかろうと、手術室業務の大半は初体験のことばかりですので、まっさらな1年生と比べて何か期待されていることは、ほとんどありません。あまり気負うことなくフレッシュな気持ちで異動の4月1日を迎えてくださいね。

【参考過去記事】
手術室を知るために〜オススメの本「手術室の中へ―麻酔科医からのレポート」
posted by Metzenbaum at 16:26 | Comment(9) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2007年02月05日

手術室で働く人たち―看護助手

手術室で働く人たちと言えば、手術室看護師、麻酔科医、執刀の外科医たちが中心ですが、忘れてはいけない存在があります。

それが看護助手の皆さん。看護補助者とかナースエイドという言い方もあるみたいですが、いわゆる「助手さん」たちですね。

一般病棟同様、オペ室にも常勤の看護補助者が働いています。手術室の助手さんがどこまでの業務をするのかは病院によってだいぶ違うみたいですが、うちの助手さんたちは、たぶん、かなり働いてくれている方だと思います。

中央材料室から上がってきた滅菌物の仕分け、滅菌ガウン着せ、術後の掃除、次のオペのための部屋のセッティング、術中に落としてしまった器械の洗浄+ハイスピード滅菌、シリンジや吸引チューブ、手袋等の部屋の物品補充、体位交換やベッド移動の手伝い、などなど。

書き出したらきりがないのですが、オペ室内のありとあらゆることをやってくれています。術中に何か器械が急に必要になった場合、廊下に顔を出して、「曲りのクーパー、持ってきて!」とかいうとちゃんと持ってきて、場合によっては滅菌パックを剥いて手洗いさんに渡してくれますし、手術の器械なんて、実際に使うところを見ているわけでもないに、よく名前と形を覚えているなとホント感心してしまいます。助手さんなしではオペ室がまわらないくらいに重要な働きをしているというのは事実です。

そんなオペ室の助手さんたちですが、決して手術室専門ということでの採用ではありません。病棟で働く看護助手さんたちとまったく同じで、たまたま配属がオペ室になっただけというだけ。

たまに雑誌の通信講座の宣伝で「看護助手のスキルを教えます」みたいなものを見かけることがありますが、ふつう看護助手というと患者さんを検査室へ連れていったりベッドサイドの手伝いみたいなイメージがあると思います。そんなつもりで就職したらオペ室に配属となったら、複雑ですよね。

オペ後の部屋の掃除で、血だらけの床を拭いたり、肉片を拾ったり....

そんなせいか人事異動などで新しい助手さんが入ってきても、長続きしないでやめてしまうパターンが多く、今いる人たちは10年選手ばかり。本来は滅菌物のパックを開けてもらうのは看護師がやるべきなのかもしれませんが、助手さんたちにも安心してお願いできるのはそんなキャリアがあるからなのかもしれません。

◆ 手術室看護助手の専門性

いま私の勤務するオペ室では、術後訪問にいけるようにしようということで業務改善を行なっています。看護師が行なわなくても良い仕事は極力他の人に任せる、ということで助手さんたちの仕事がドンドン増えていっているのが現状。

ちょっと前までは、翌日の手術の術式毎の外回りグッズ(蛇管、シーツ、導尿セット、クッション類)を集めるのは看護師の仕事でしたが、マニュアルを整備することで今では完全に助手さんの仕事になりました。

最近では、部屋のセッティングまで任せようということで徐々に進めつつあるところです。部屋のセッティングは術式によって、また患側が右か左かによっても麻酔器の位置や配管の通し方が違ってくるので、それをいかにマニュアル化するかが今の課題。

そうやって、悪い言い方をすると看護師は助手さんたちに仕事を丸投げしているわけですが、よくも文句も言わずにやってくれるものだと正直思ってしまいます。実際、助手さんたちの仕事量はかなり増えていて、そのうち助手さんたちの不満が爆発してしまうのではないか、と心配するくらいによくやってくれています。

以前から続いているこのプロジェクトですが、昨年度、私がリーダーをやることになってからは、単に仕事を増やすだけではなく、看護助手業務の見直しということで、助手さんの負担軽減についても考えるようにしています。

無資格の助手さんたちではありますが、Dr.相手に滅菌ガウンを着せたりと専門的な仕事もしてもらっていて、これは助手さんたちでなければ任せられない仕事です。一方部屋の掃除などは誰がやってもいいわけで、今はオペ室の廊下や休憩室は専門の清掃業者が入っていて、手術をする部屋だけは助手さんとナースで掃除をしています。この部分も業者委託にできれば、助手さんたちにはもっと助手さんでなければできない仕事に専念してもらえる。

ナースはナースで専門的な仕事をしていますが、オペ室の助手さんたちも充分に専門的な業務をこなしていることをもっと認めるべきです。助手さんたちはただの「人手」「お手伝いさん」ではない。そんな認識をナース側がはっきり自覚しなければいけませんし、助手さんたち自身にも自信を持ってもらいたいというのが私の理想。年輩の看護師の中には、「そんな仕事は助手さんにやらせておけばいいのよ」みたいな人たちがまだまだいますからね。

今までみたいな仕事の丸投げだけじゃ、これからはついてきてくれないと思います。無理難題を押付けるのではなく、どうしたらその仕事を任せることができるか方法論をきちんと考え、数ある仕事のなかでも優先順位をはっきり明示する。看護師サイドとして自分たちの業務改善のしわ寄せが全部助手さんたちにいっているようでは、職場全体としてはただの不均衡であって、改善になんてなっていないと思うんです。

アメリカではオペ室の助手に関しても、資格制度があるそうです。
ナースエイドとはいえ、オペ室で専門的に働いているんだという誇りを持てるような環境にしていきたいと思っています。
posted by Metzenbaum at 00:20 | Comment(9) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年11月22日

忘年会シーズンに医療系替え歌などはいかが?

気付けばもうすぐ12月。
12月はオペ室ナースにはとっても忙しい時期。
なにに忙しいのかって? そうです、忘年会ラッシュに襲われるのです。

病棟勤務であれば、病棟毎に一回だけかもしれませんが、外科系各科と関わりの深いオペ室では、外科に婦人科、形成に泌尿器科と、それぞれの医局からお誘いがかかります。

当然全部なんか行かれっこないから、あの先生と懇意にしてるからなぁといった具合に選んで行くわけですけど、新人ともなると挨拶がてらということでいくつもの忘年会をはしごして、12月中は毎日ヘロヘロみたいなことがなきにしもあらず。

もちろんオペ室主催でも忘年会を開きます。その日は各科ともオペ件数を減らしてくれますので、外科系ドクターのほとんどが参加してくれます。ですのでオペ室の忘年会は100人規模、かなり大がかり。

そこで毎年新人さん(ナース&麻酔科医+研修医)たちが宴会芸をやる(やらされる?)のが恒例。今年はいったいなにをやるのかな? 密かに楽しみです。去年は流行りモノということで男連中はレイザーラモンHGだったみたいですけど。だいたい「恥ずかしい系」という不文律があるみたい。毎年、新人さんたちはイヤがりながらも練習に励み、最後ははじけてやってますね。


そんな宴会シーズンの12月。
それに先駆けた話題として、「医療替え歌」なんてどうでしょう?
イベントの多い年末年始にもしかしたら役立つかも!?

まずは、下記のページを開いてみてください。

渚のバルコニー〜手術器具の歌〜
http://homepage.mac.com/btr/yakuribu/6th/11.html


お手元のパソコンにプラグインが入っていれば、ボーカル入りの音楽が聞こえてくるはずです。

> 曲がったケリーで
> 持ってて メッツェンで切って
> 3-0絹糸で結紮 そして止血
> あらゆる基本は糸結び
> ほらそこ、緩んでる


原曲は松田聖子の「渚のバルコニー」。ちょっと古い歌ですけど知っている人なら、歌詞を読んでるだけでも笑えるんじゃないでしょうか? まあ、よくできてますよね。

こんな医療系の替え歌、二次会のカラオケなんかにどうですか?


この替え歌サイトのトップページはこちら。

『薬理部ヒット曲集』

階層下を見てもらえばわかるとおり、ものすごい数のラインナップです。
これらすべて音声入りで聞けるというのだからまた驚きです。

これだけのモノを作りだした「薬理部」さんというのがどういう方たちなのかは詳しい情報はないのですが、医学部(?)内のサークルのようなものなのかなと思います。解剖や薬理など、暗記物のための語呂合わせというか、覚え歌が中心ですので。

実際にレコーディング(?)して自主制作CDのようなものも作っていたようです。力の入れように、すごいなぁと思うと同時に楽しそうでなんだかうらやましいデス。


数ある替え歌の中で、私の個人的なお気に入りをいくつかピックアップしておきますね。

17.浪漫飛行 (BLS)
> 君と出会ってから いくつもの 息を吹き込んだよ
> 満たされるのさ your lung

> 脳の中が 知らないうちに 形を変えてしまう前に

    ↑シュールな表現に脱帽!


23.時代(生き死にのうた)
これ、すごいです。曲のハマリ具合も見事だし、フムフムと勉強になっちゃいました。歯科医は死亡診断書はかけるけど死体検案書は書けないのね、とかね。小難しい横文字がないぶん、わかりやすい!? 

とにかく膨大な替え歌が揃ってますので、秋の夜長に、ツボにはまる一曲探し、いかがでしょうか?(笑)
posted by Metzenbaum at 21:04 | Comment(6) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年11月11日

[再考] 手術看護の専門性

先週末に何気なく書いた「手術室外回り看護の専門性」というブログ記事ですが、思いのほか、皆さんから力の入ったコメントを頂いてちょっとビックリ。

このブログ開設当初からお付き合いさせて頂いている「なっちゃん」さんのブログでもこんなふうに取り上げていただきました。

患者さんの身の回りと、麻酔看護を担当する外回り業務が、手術室での看護の神髄という点では、ほぼ異論がないにしても、器械出し業務はどうなんでしょう? これまでも何度も「器械出し業務に看護はあるか?」というテーマで拙い意見を書かせてもらっていましたが、例の 『 【座談会】手術看護の専門性を考える 』 を通して、またあれこれ考えてしまいました。

当初、私の意見としては、器械出しは法整備さえ整えばナースがやる必要はなくなるだろうと書きました。これは専門化が進んでいるアメリカの制度を踏まえての意見でした。日本看護業界全体って、意識してか無意識か、欧米化に向かっていますしね。

アメリカでは器械出し業務は専門の技士さんが行なっていて看護師の業務ではない。そんな話を書いたら、アメリカ在住でナース資格取得を目指してがんばっている方からブログを通してメッセージが届きました。アメリカのサージカル・テック surgical tech の具体的な話を聞かせて頂き、とても有意義なやりとりになりました。これもインターネットならではの出会いでしたね。そんなアメリカの手術看護を知る方とのやりとりのなかでは、外回り業務と器械出しを切り分けた場合、いろいろ問題が出てくるのでは?? という疑問も沸々。

まあ、そんなふうにこのブログを開設してから、いろいろな方から刺激を受けて、私もいろいろ考えを深めたり改めたり。手術室看護について再考している今日この頃です。

手術室認定看護師制度ができてから、その教育内容には注目していました。これまで「看護じゃない!」 なんて言われることさえあった手術室業務が「専門」として認められたのですから。御上(おかみ)の方ではいったい手術室業務のどこの部分に注目して専門性を見いだしたのか―? 非常に気になるところでした。

ところが手術認定看護師が誕生して、幾分日が経っているにも関わらずいまいちその具体的な内容が見えてこない。(専門雑誌等はチェックはしているつもりなんですけどね。見落とし?)そんなやきもきした気持ちがあったなかで、あの対談記事はよかったです。

外回り看護(麻酔看護)ばかりが注目されているのかと思いきや、器械出し業務にも専門性を見いだそうとしているという方向性があるんですね。


器械出しは,施設や担当医が変わっても通用する,手術看護の独立したスキルだと思います。もちろん慣れた担当医との阿吽の呼吸も重要ですが,外科医が施設を移っても手術ができるのと同じように,熟練した看護師の器械出しスキルも普遍的に通用するものだと考えています。


確かに器械出しのテクニックはある意味財産かもしれません。そこは専門職に就いたものとして誇りに思ってもいい部分だと思います。実際仕事をしていても、手術の進行を先読みできて医師から指示がある前に、いいタイミングでスパッと器械を渡せると快感ですしね。職人としての技術を売り物に転職を考えることもできそうですし。

その器械出しのスキル、「病棟にいっても役に立たないじゃん」とはよく言われますが、そもそも病棟業務を基準に考えること自体がどこか違うんじゃないとも思います。

これは看護学校にいたときから思っていたことですが、看護教育システムの中では、あくまで病棟看護が基本なんですよね。まあ、全国に100万人いる看護職の配置分布をみると、病棟勤務が圧倒的に多いのは事実ですが、それが看護のすべてじゃないでしょ、と思うのです。

看護師の役割/業務は保助看法で規定されているもので「診療の補助」と「療養上の世話」のふたつ。これが看護師の独占業務です。これを出発点とすれば、「診療の補助」も看護師の立派な仕事なのですが、これに関して誇りを持とう、というような空気はあまり感じられないのが現状だとは思いませんか?

現行の(というか私が受けてきた)看護教育を考えると、療養上の世話こそ看護婦の仕事であるという雰囲気があると思うんです。それはどうしてなんでしょう? やっぱりDr.の指示がないと動けない部分よりは、看護師として独自に動ける「療養上の世話」に目がいくのかもしれませんね。「補助」で終わるのではなく独自性をという願いも理解できなくはありません。

それもわからないでもないですけど、その発想でいくといまの手術室の仕事の半分は看護師にとって魅力がないものになってしまう。それが残念でなりません。

近年、看護婦という国家資格名が看護師と改称されたり、看護大学があちこちに創設されたり、看護の仕事を専門職として確立しようという動きが見られています。もしかしたらそのあおりが手術室看護の領域に影響を与えているのではないかな。

今の看護界の流れで看護の専門性を追求すると「療養上の世話」が主たる看護業務で医学的知識はその「療養上の世話」の行為に根拠性を持たせるための添え物に過ぎないという流れになりかねない。手術の直接介助という高度に医学そのものの仕事に携わっているといううちらオペ室ナースは、看護の専門性からあぶれていってしまうのでは?? そんな危惧さえ感じてしまいます。

もっと自信をもって働きたいし、ORナースに憧れて看護師になりたいという若い人がもっと増えてほしい。まあ、つまりところはそれだけなのですが、看護界のはぐれもの手術室看護師の未来と日本看護界の流れを考えると愁いに沈んでしまう私でした。

『迅速な器械出しで手術・麻酔時間を短縮、患者への侵襲を最小限に抑えるという意味で器械出し業務も看護である。』

そんなこじつけみたいな理由付けではなく、「診療の補助という立派な看護を実践している」、そんなふうに堂々と言えるようになりたいなぁ。



ところで、EB Nursing という看護雑誌をご存じでしょうか? 心臓外科医で有名な南淵明宏氏(よくテレビにも出ている人です)の連載エッセイがあるんですが、その最新号でオペ室ナースについて書かれていました。私が求める手術室看護師の3つの条件、みたいな内容だったのですが、おもしろかったですよ。オペ室の仕事を好きになれ、とか、外科医としては専属ナースを望んでいるとか。OPE室ナースの専門性という点で励みにもなる内容です。病院の図書室にでもあったら是非読んでみてください。

EBNURSING(イービ−・ナーシング)
Vol.6 No.4 2006年 Autumn


ナースの常識!? 医者の非常識!?(最終回) 南淵明宏
「声を出そう 行動しよう 無謀な医者の行為にじっと我慢するのは止めよう」
posted by Metzenbaum at 23:39 | Comment(8) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年11月03日

うつ病の電気けいれん療法 m-ECT

私たち手術室看護師は基本的には手術を行なうすべての診療科を担当します。
言ってみればバリバリに"外科系"なのですが、なぜか変わったところでは精神科/神経科(これってちょー内科系です)の処置を担当することがあります。

◆ 電気けいれん療法ECTとは?

精神科の処置、それは m-ECT と呼ばれる「電気けいれん療法」です。専門的には『修正型電気痙攣療法』 modified electroconvulsive therapy と言うようです。

おそらく看護学生時代に聞いたことがあるかもしれませんが、重度のうつ病の治療方法として、頭に電気を流すという治療方法があります。その拷問まがいな衝撃的な内容に学生時代には「なんて時代錯誤な治療法!」と過去の話と思っていました。でも実は現代にもバリバリに通用している治療方法なんですね。

なんでそんな精神科の電気痙攣療法を手術室看護師が担当するのかというと、実はいまは電気ショックを全身麻酔下で行なっているからなんです。

こめかみのあたりに電極を当てて、電気を流して全身に痙攣を起させるのがこの治療の目的です。ふつうに意識下でやったら、痛みがあるでしょうし、痙攣のせいで脊椎圧迫骨折を起したりといろいろな問題があります。かつては麻酔を掛けずに行なっていたため、実際にいろいろなトラブルがあったし、人権的にも問題視されたということもあったようです。

精神科病棟に専用の部屋とスタッフがいればいいんでしょうけど、現状として麻酔をかけるには手術室が一番都合がいいでしょう、ということでオペ室で電気ショック治療を行なっています。うちらは麻酔科ナースとしてお手伝いをしているという感じです。

◆ オペナース的 電気ケイレン療法ECTのポイント

ECT介助のポイントとしては、筋弛緩のタイミングとタニケットを使うあたりでしょうか。うちではマスク換気で酸素化のあと、ラボナールで意識を消失させます。麻酔科医がマスク換気を続けている間に精神科の医師が器材の準備。タニケットを足に巻きスイッチを入れて末梢の血流を途絶させた後、麻酔科医は筋弛緩剤(サクシン)を投与。

充分に筋弛緩が効いたのを確認後、いよいよこめかみのあたりに電気ショックをかけます。するとそのショックによって痙攣が起きるのですが、体幹は筋弛緩が効いているので反応なし。痙攣するのはタニケットを巻いてある側の足だけです。

ここでようやく謎が解けたんじゃないでしょうか? なぜ電気痙攣療法にタニケットが必要なのか―。

電気ショックによってちゃんと痙攣が起きたか確認しなくちゃいけないけど、全身が痙攣すると危ない。だからターニケットで血流を止めて腕なり足なりだけが痙攣するようにしているわけですね。

こうして全身麻酔+筋弛緩をうまく使うことで安全に電気ショック療法が行えるようになっているのです。電気けいれん療法というとイメージ的にどうしてもあまりいい感じはしませんが、いまではECTと呼び、使う器材もかつてのような木箱に入っている手作りチックな器械ではなく、心電図や脳波などが自動モニターさせる専用のECT装置が開発されています。実際に目の当たりにすると、ちゃんとした近代的な治療なんだということが納得できるはず。

◆ ECTの治療効果と最近の動向

このECT、確かに効果があります。ECTの適応になった患者さんは毎週オペ室にきて1クール5回だったかな。電気痙攣療法を続けるのですが、最初に担当したときに比べて、後半クールになると素人目にもよくなっていることがわかります。最初は挨拶にも反応がなく完全に無表情だった人が、自分から「よろしくお願いします」なんて挨拶してくれるようになるんですよ!

麻酔併用によって安全に電気ショック療法が行えるようになった今、副作用としてあるのは健忘くらいだそうです。前後の記憶が抜けることがあるという程度のモノらしいですが。かつての電気ショック治療とECTは別物と考えた方がいいのかもしれません。

最近、新聞などでも電気けいれん療法が取り上げられたり(『脳に「電流」うつ改善』:読売新聞)と、なんとなくブームになっているのを感じます。うちの病院では以前から行なっていましたが、最近はにわかに件数が増えてきたのも事実です。

数年前にパルス型治療器が日本でも認可になったのと、治療方法がきちんとマニュアル化されたという点が大きく関係しているみたいです。日本は精神医療が遅れているなんていいますが、これから大きく変わっていくところなんでしょうね。

以上、今日は手術室看護師の知られざる仕事内容のひとつ、精神科の修正型電気痙攣療法について取り上げてみました。

ECTマニュアル 科学的精神医学をめざしてicon『ECTマニュアル 科学的精神医学をめざして』icon
(本橋伸高 著、医学書院)

長い歴史がある電気けいれん療法が現代のm−ECTとして生まれ変わるまで。これまでとかく閉鎖的な各施設毎に独自に行なわれてきた電気ショック治療でしたが、それをいかに安全に効果的に行なうかをきちんとマニュアル化した画期的な本だったようです。


posted by Metzenbaum at 20:52 | Comment(8) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年10月28日

オペナースにも便利な湿潤療法材料「ハイドロコロイド」〜うるおい療法

昨日は香港の医学博物館に行ったときの話を書きましたが、今日も旅行に関連した話をひとつ。

私は海外に行くと、必ず地元のドラッグストアに足を運びます。
で、今回、香港のドラッグストアで見つけてきた「掘り出し物」がこちら。

香港のドラッグストアで見つけたハイドロコロイド材 hydrocolloid

なんだかわかります?

 癒合膠片
 高効保護
 創傷治癒

なんて書かれています。

英語表記を見ると、

 Hydrocolloid
 Advanced Protection
 Wound Healing

ってな感じ。

◆湿潤療法(うるおい療法)材料

そう、いま流行りの湿潤療法(うるおい療法)に使うハイドロコロイド材の絆創膏です。ジョンソン&ジョンソン社から出ているバイドエイド「キズパワーパッド®」と同じものといえばわかるでしょうか?

臨床的にいえば、オペ室でおなじみのカラヤヘッシブ®とか、褥瘡治療などで使うデュオアクティブ®などの仲間です。

ハイドロコロイド材の特徴はキズ口からの滲出液によってドロドロに溶けるところ。それが創傷部を湿潤環境に保ち、細胞の治癒活動を促進。結果的に早くきれいにキズを治す働きがあります。

医療用被覆材としては先ほど上げたようにカラヤヘッシブ®やデュオアクティブ®など、いろいろな種類がありますが、民生用としては数年前に販売開始になったバイドエイド「キズパワーパッド®」が日本唯一。で、買おうと思うとこれが高いんですよね。6枚入りで定価850円だったと思います。

一度貼ったら5日間は貼りっぱなしで、シャワーも可となってますので、コスト的にはそれほどでもないかもしれませんが、気軽には使えない感じなのが残念。

ちょっと説明が長くなりました。とにかく日本ではかなりお高い感じの民生用ハイドロコロイド材絆創膏を、香港のドラックストアで格安で見つけた、というお話しでした。

値段はというと22香港ドル。$HK1が約17円ですので、約370円。となりにはJ&J社のキズパワーパッド®が並んでいて、こちらは$HK37=630円。まあ日本で値引きされているのと同じくらいの値段ですね。Watsons というおそらく香港のドラッグストアチェーン店のオリジナル商品のようで、Watsons に行けばどこにでも置いてあります。空港内にもありました。

◆ 手術室看護師としても見逃せない湿潤療法

その香港のハイドロコロイド材をちょっと多めに買い占めてきたのですが、なんのために? というと、実際手術室での仕事の上でもけっこう重要なんです。

手術室看護師の仕事のうち、外回り業務はともかく器械出し。これは手を外科的手洗いできっちり洗って滅菌手袋をして行なう仕事です。いってみれば手先を使う水仕事みたいなもの。

そんな器械出しナースにとって、手のケガは致命的です。

手にキズがあると、手袋に穴でもあいた場合、自分自身が血液感染の危険がありますし、反対に自分の体液で患者さんを汚染することにもなるから。そういった意味で手にキズがある場合は器械出し業務から外してもらうのが原則。

とはいえ、包丁でチクッと刺してしまったり、飼いネコに引っかかれたり手先の傷なんてちょっとしたことですぐ出来てしまうもの。

そんなときに 湿潤療法 ⇒ ハイドロコロイド材 なんです。

キズが新鮮なうちにきれいに水洗いして、ハイドロコロイド材を貼っておくと、ホント傷の治りが早いです。包丁で切ったくらいのちょっとした傷なら次の日かせいぜい2日後にはきれいに傷がふさがっています。擦り傷やひっかき傷ならうっすらと上皮化しているのがわかります。

手先を傷つけることができない手術室での仕事だからこそ、ケガしたらすぐに適切な処置ができるように、仕事場にはもちろん日頃からハイドロコロイド材は手放せません。

湿潤療法は、理屈的には傷口からの滲出液が創面を被っている状態を作ればいいだけなので、ハイドロコロイド材を使わなくても、よくいわれるようにサランラップ®の切れ端とかビニール袋などを使って「ラップ療法」にしても同じですが、ラップをハサミで整形する手間を考えるとハイドロコロイド材のほうが便利。適度なクッション性もありますしね。

手術室で創のドレッシング用にカットして余ったカラヤヘッシブ®やデュオアクティブ®などがあったらこまめにキープしておくのも手です。私の場合、怪我したときはカラヤヘッシブ®を傷よりひとまわり大きめにカットして貼付。その上から固定用として肌色のマイクロポア®を貼ったり、防水性が欲しい場合はカテリープ®などの透明フィルムを使ったり。そんな感じでこれまで凌いできました。

今回、香港で良質の湿潤療法素材ハイドロコロイドをどっさり仕入れてきたので、当分の間はケチケチせずに使えそうです。市販品のキズパワーパッド®を使っているときは1枚丸々使うともったいないのでハサミで小さく切って使っていたものでした。

話は回りまわってしまいましたが、『 オペナース養成講座 』的アドバイスとしては、

ケガしたら消毒なんてしないで水洗い。
その後、ハイドロコロイド材か透明フィルム材などを貼って、
湿潤療法にする。ふつうの救急絆創膏(カットバン)はその場しのぎで使うのは、
いいとしても長く放置はNG。ガーゼを当てるなんてもってのほか。
そうすれば1-2日で、堂々と手洗いできるようになりますよ〜


ということで、今回の話はお終いです。

手術後の被覆にも使われている湿潤療法、以前にもこのブログで取り上げました。
気になる方はそちらもご覧下さいね。
 ⇒ 『百害あって一利ナシ「創の消毒」〜閉鎖湿潤療法』

[ おまけの話 ]
posted by Metzenbaum at 22:12 | Comment(10) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年09月18日

豊胸手術 〜 美容外科の世界

皆さんの病院では、豊胸手術ってやってますか?

私の勤務する病院では、形成外科の他に「美容外科」も正式に標榜しているので、もしかしたら市中総合病院ではあまりしないようなコスメティックな手術も結構行なっています。

ここで美容外科手術の経験を積めば、そのうち美容外科クリニックに転職できないかななんて冗談半分に思っているんですが、やっぱり美容外科手術は見ていてとても興味深いです。

ということで、もしかしたらオペ・ナースの間でもあまり知られていないかもしれない美容外科手術の話を少しばかり....

◆ 豊胸手術

よく女性誌なんかにも広告が載っている豊胸手術、実際のところ、やることはシンプルです。皮膚切開して大胸筋の上で脂肪層を剥離。そこにシリコンバック(最近はシリコンではなく生理食塩水を入れたものが多いです)を入れて、ドレイン留置して閉創。ただそれだけです。片側だけだったら30分ちょっとかなぁ。

手術のポイントとしては大胸筋の剥離でしょうか。かなり広範囲に渡って剥離をしますので一般的な剥離子ではちょっと無理。そこで専用の剥離子を使います。正式な名称はなんというのか知りませんが、うちではブーメランと呼んでいます。ホント見た感じブーメランのような形をした大きな器具で長さは3-40cmはあるでしょうか。それを腋窩に付けた5cmほどの切開創から挿入、胸の膨らみの立ち上がりラインに合わせて筋層と脂肪層を剥離していきます。

このとき、シリコン・バックの大きさに対して剥離がギリギリくらいだと乳房の立ち上がり角が大きくなって不自然になります。自然に見せるためにどの程度剥離をするかが手術のポイントのような気がします。

まあ、いずれにしても仰臥位に寝ててもツンと上を向いた乳房、張りがあってすごくきれいなのですが、患者の年齢によっては不自然に見えることも。。。そのへんのさじ加減と本人の理想がバッティングしてなかなか難しそうです。

実際に豊胸手術を受けに来る患者さんを見ていると、若くて30歳前後、多いのは30代半ばから40代前半くらいの人が多いです。やっぱりある程度お金を持ってないと受けられない手術だからでしょうね。独身の方が多いのかと思いきや、結婚されている方もいたり、いろいろ事情は複雑みたい。

うちでは、他のクリニック等で入れたシリコン・バッグの入れ替えなど修正手術を行なうこともあります。そのときにビックリするのが、切開ラインを乳房の下に入れていることがある点。ふだんは若干垂れる胸の裏側になるから見えなくていいのかも知れませんが、修正でサイズが変わったりすると、明らかに膨らみの一部に皮切ラインが来てしまったりして、見た目上、非常によろしくない気がします。一度そこにキズを作ってしまうと、どうしても次もその皮切ラインを使って切らざるを得ませんので、最初から脇の下で切っておいてくれたら良かったのにね、みたいなことがよくあります。

もし豊胸手術を受けられる方がいたら、切開ラインがどこに入るのか、きちんと確認しておいたほうがいいよと、お節介ながら思っています。

◆ 美容整形手術という言葉

最後にまた余談です。世間一般では美容整形という言い方をしますが、医学的には×。医療法によって正式に定められている診療科名(標榜科)としては、美容外科が正解。マスコミで整形手術、プチ整形だなんていうものだから、瞼を二重にするために整形外科にかかる人が実際にいるとか。我々からすると「え、まさか!」という笑い話にしかなりませんよね。(整形外科の荒々しい骨大工のイメージと、繊細な形成・美容外科のイメージ、対極みたいな感じなので)

世に流布している「美容整形手術」という言葉、罪作りな言葉だと思います。
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2006年09月09日

ローテーターの方の悩み・・手術室の看護とは

次のようなコメントを頂きました。

病棟8年経験して今年からOP室になりました。

半年働いてみて、正直、手術室というところはどうも自分の看護観には合わないところだなあというのが実感です。

管理人さんは最初から手術室になじめましたか?

手術室って自由がないんですよね。自分でプラン立てて自由に動くことができない。常に誰かの指示で動く。なんてつまらない世界だろうと思ってしまいます。直接介助はなおさらです。一通り器械の名前を覚えたらあとはそれを出すだけ。毎日同じことの繰り返しで楽しいと思えることが何一つありません。今は覚えることもたくさんあるのでORナースとして最低限の勉強はしていますがそれ以上つっこんで勉強してみようという気にはなれません。

特に器械出しは別に看護師じゃなくてもできる仕事なので自分が看護師になった意味がわからなくなります。アメリカのように器械だし専門の助手ができればいいのになあと思ってしまいます。

手術の介助がうまくできても看護師としては何のメリットにもならないと思ってしまいます。将来それが何の役にたつのかと…。

医師のお守りもうんざりします。

私は管理人さんのように前向きに取り組むことはできません…

最初はふつうにお返事を、と思ったのですが、ちょっと長くなりそうだったので、場を変えてこちらでお返事を書かせていただきたいと思います。
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OPナースさん

はじめまして。コメント下さってありがとうございました。
いまOPナースさんが思ってらっしゃることは、おそらくオペ室配属となった方のほとんどが感じるであろう代表的な御意見だろうと思います。

オペ室業務に「看護」はあるのか―。

これは非常に重いテーマで、私もいつか書きたいとは思っているのですが、今までのところでは、下記項目で触り程度をサラッと意見を書いています。

『もっともオペ室らしい仕事−「器械出し」業務とは?』
http://or-nurse.seesaa.net/article/15166756.html
『手術室看護の専門性』
http://or-nurse.seesaa.net/article/20843308.html

このテーマで、自分の考えを語り尽くす自信はありませんが、改めて現段階で私が思うことを綴ってみますと、、、、、


好き嫌いはどうしてもあると思います。病棟看護を基本と考えたら、オペ室業務はどう考えても特殊すぎますから。

でも思うのは、病棟看護が看護であって、オペ室業務はそうではないということではないと思うんですね。これは学校教育も大きく関係していると思います。看護学校で教わることは基本的に病棟の仕事ばかり。学生のとき手術見学に行ったとしても、そのときの視点は「手術見学体験を術後ケアに活かす」ですよね。手術中も"看護"があるわけですが、そのことはほとんど触れられることがありません。そうした病棟看護偏重教育というのも大きく影響しているはずです。

今回はたまたま手術室看護がテーマとなっていますが、例えば外来業務はどうでしょう? 透析室は? さらには採血室の看護はどうなっているんでしょう? 採血は臨床検査技師でもできますから技師さんが中心という場合もあるかもしれません。でも必ずひとり以上は看護師が配属されていますよね。企業の検診などで採血に行くのはナースであって検査技師ではありません。

それらもすべて看護なんです。看護師でなければいけない理由がある。

看護とはなにかを考えるときに病棟業務を出発点にして考えると、あまり正しい答えは出てこない気がします。

私は最初からオペ室は希望していましたので、さほど問題なく馴染んでいます。(第一希望ではありませんでしたけど)今はあまりに確立されていない感が否めない手術室看護をどう作っていくか、そんなあたりに視点をおいて楽しんでいます。

自由がないとおっしゃいますが、私は結構自由だと思うんですよね。もちろんそれは病棟経験をベースにおっしゃっているOPナースさんの考える自由とは違うかもしれませんが。例えば、術前訪問から始まる短い時間ではあるけど、最初から最後まで完全に自分が関わることができますよね。なにか看護計画を立てれば自分の思うように完遂が可能です(言い遅れましたけど外回り業務のことを言っています)。また研究分野も遅れていますので、ちょっと病棟の視点を取り入れるだけで、斬新な新しい看護提供が開発できるかもしれない。ちょっと視点を変えてみると色々違った面が見えてくるかもしれませんよ。

おっしゃるように器械出し業務に"看護"を見いだすのは、私も苦労しています。今のところの私の理解は、法律的にいえば"診療補助"も立派な看護師の仕事だから、と捉えています。あと、実際に器械出し業務が専門業者への外注などになったら、、、と考えてみると、ちょっと困ったこともいくつかありそうです。全麻導入〜オペ体位をとるまでの繁雑な業務は外回りと手洗いが協力してやっていますが、それはお互いにオペ室ナースとして器械出しも外回りもできる知識・技術があるからスムーズにいくんだと思うんです。このあたりの協力体制は自分自身、働いていて気持ちよさを感じています。特に頸椎手術なんかはお互いにプロの仕事をしているなぁなんて自画自賛したり(笑)

> 手術の介助がうまくできても看護師としては何のメリットにも
> ならないと思ってしまいます。将来それが何の役にたつのかと…。

これはおそらく将来病棟勤務に戻った場合、器械出しの知識・技術は役に立たないという意味でおっしゃったのだと思いますが、まあ、知ってて悪い知識・技術ではありませんよね。ここぞというときに底力を発揮する場面もあるかもしれませんよ(^^)

強いて私の場合でいいますと、器械出し業務を通して血を見ても慌てなくなったのはメリットかなと思います。日常生活で動脈性出血を見ても慌てず対処できたのは、やっぱり器械出しのお陰だと思います。それって看護師としては強みですよね。(そんなもんかいとは言わないでくださいね)

器械出し技術が役立つといったら、ベッドサイドでちょっとしたナートをするときとか、救急センターで緊急外傷処置をするときくらいかなぁ。オペ室から他病院の救命センターに異動した友達は、穿頭とか、結構役立っているようですよ。

せっかくオペ室という特殊な職場に来れたのですが、ぜひ積極的な視点を見つけて頑張っていただけたらなと思います。私も実は将来的には他部署希望です。いまはそのために訓練を積んでいるところとも考えています。少なくとも外科系の仕事をされるなら、オペ室経験が役に立たないはずがありません。それだけはお伝えしたいと思います。というか、病棟経験があって、オペ室も、となれば今後はどこに行っても鬼に金棒ですよね。

いろいろ思うところを書かせてもらいましたが、OPナースさん個人を批判するものではありませんので、その点どうぞご理解下さい。OPナースさんが感じておられることは、きっと中途異動になった人ほとんどがそう感じているはずですので、全国のそんな方たちへのメッセージとして読んでいただけたら幸いです。

OPナースさんもおっしゃっているように看護観の違いから、現在の仕事がツライという点も理解できます。ですので、今後手術室で積極的な視点を見つけるか、もしくは師長に相談して再異動を希望するか。OPナースさんにとっていい道が見つかることをお祈りしています。
posted by Metzenbaum at 23:10 | Comment(14) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年08月31日

手術室 ― 医師とナースの人間模様

今日は、以前もちょこっとリクエストがあった、手術室での医師と看護師の人間関係についてサラッと書いてみようと思います。

私は、オペ室経験しかないのですが、どうも病棟ナースに比べるとオペ室ナースの方が医師たちとうち解けることが多いような気がします。

単なる私の印象なんですが、毎年の忘年会の様子なんかをみると、そう感じてしまうんですねぇ。病棟主催の忘年会に参加して、さて二次会ですという場になると、なぜかその科のドクター連中は、病棟ナースじゃなくてオペ室ナースの集団と一緒に別に店に行っちゃったり。病棟主催の2次会カラオケにしても、夜中過ぎて最後まで残っているのはなぜかオペ室スタッフとDr.だけだったり。

なんか病棟ナースのDr.との付き合い方を見ていると、どうもあっさりしているというか社交辞令的な空気を感じてしまうのです。まあ、そんなことは病棟の雰囲気とかにもよるとは思うので一般化はできませんが。

ただ事実としてあるのは、仕事をする上で一緒に過ごしている時間は、病棟ナースに比べてオペ室のほうが長い、というのはあると思うんです。術式によっては5-6時間も超至近距離で器械出しをするわけですしね。

オペ室で働いている方ならご存じのとおり、オペ中というのは別に四六時中ピリピリした雰囲気というわけではありません。いろいろ無駄話をしながら、まったりと時間が過ぎていくというオペもあるわけで、とかく医師たちとおしゃべりをして時間が過ぎていくという場面も多いです。

そんなことからも、とかくオペ室ナースは医師たちと密な関係性がある気がします。オペが難航して長丁場になってしまった場合などは、麻酔科医や外回り看護師も含めて、なんとかチームで乗り切っていこうみたいな気持ちを強く感じることもあります。終わったときは、ホント心の底からお互い「お疲れさま!」の気持ちにもなります。そういう共同作業からの連帯感というのもあるかもしれません。

あと、おもしろいのは医師たちは、病棟や外来での顔とオペ室での顔はずいぶん違うらしいという点。オペ室ではわがままで、すぐに怒鳴ってペアンを放り投げるようなDr.が、病棟ナースの間では紳士的で好きなドクターナンバーワンになっていたり。。。

(余談ですが、とある整形のDr.は、「こんなヤワな器械使えるか!」とエイヒを床に投げたことがあります。エイヒは漢字で書くと鋭匙。鋭いサジという意味。つまりその「ドクターはサジを投げた」わけですね。 ね、笑えません?)

基本的にはオペ室に来ると「素」が出るんだと思うのですが、同じ医者のことでも病棟ナースとオペ室ナースで意見が二分されるというのはおもしろいところだなぁと思います。
posted by Metzenbaum at 01:09 | Comment(18) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年07月23日

「歯科口腔外科」ってなに? 手術をする歯医者さん

骨折の観血的整復固定術の続きと見せかけて、実は今日はぜんぜん関係ない話です。(←いろいろな方からコメントを頂いて、どうも勉強不足が判明。もうちょっと資料を揃えないと続きが書けそうにないので。。。。)

手術室にいると、外科系のすべての診療科とお付き合いしていくわけですけど、なかでもちょっと特殊なのが『歯科口腔外科』です。なにが特殊かって、同じメスを持つ立場でも口腔外科医は「医科の医師」ではなく、歯科医師免許で仕事をしているという点。
(補足ですけど、医師免許と歯科医師免許は別物です。医師免許は医学部医学科、歯科医師免許は歯学部歯学科でそれぞれ6年間勉強しないと取れません。たまにダブルライセンスのDr.もいますが、編入したとしても10年は必要)

学生の時分、保助看法の勉強をしていたとき「看護婦は医師または歯科医師の指示の下…」なんて文字を見たとき、歯科医の下で働くのは歯科衛生士じゃん、看護婦がなにをするの? なんて思ったものですが、まさかその自分が歯科医師と一緒に仕事をするようになるとは思いもしませんでした。

歯医者さんといえば、どうしてもクリニックで歯を削っているイメージがあります。ところが、ふつうの総合病院の普通の手術室で、こんな切った貼ったの仕事をしている歯医者さんもいるんだ、と正直驚きでした。

歯科医の中でも口腔外科を専門にやっている人はやはり特殊みたいで、歯科医師の間でも口腔外科医は「外科の先生」と言って、ちょっと区別しているような雰囲気もあるようです。

■ 歯科口腔外科の手術

口腔外科領域で歯科医師はどんな手術をしているのかというと、、、

● 抜歯(埋伏歯等)
● 嚢胞摘出
● 唾石摘出
● 舌腫瘍切除
● 顎下腺摘出
● 下顎骨観血的整復固定術
● 頸部リンパ節廓清
● 消炎術

ってなところです。ときどき形成外科とコラボして、美容外科領域の下顎・上顎骨切術なんかも行なっていますが、おおむねうちではこんな感じ。

基本は口腔内の手術になるのですが、顎下腺摘出や観整固などは顔面皮膚にメスを入れ、口腔外からアプローチすることもありますし、頸部リンパ節廓清などは下顎から首にかけてかなり長い皮切をして、ガバッとキズを開くかなりダイナミックなオペです。

私が初めて口腔外科のリンパ節廓清手術を見たときは、「え、ホントにいいの?? 歯医者さんがそんなことして!」と思ってしまったほど。このとき、私の歯医者さんのイメージはガラリと変りました(笑)

口腔外科は医科と歯科の中間領域に位置して、耳鼻咽喉科や形成外科とかぶる部分ともなっています。顎下腺手術などは耳鼻科でやることもありますし、最初にかかった科がどこかという問題にもなるんでしょうね。下顎骨折は噛み合わせ(咬合)の問題から歯科口腔外科の独壇場がふつうみたいです。

■ 麻酔を掛けたり、腸骨を切ったり、、、

歯科医師は口腔内の治療に関することはすべて歯科医師免許のもとに行えることになっています。口腔内治療に必要であれば全身麻酔を掛けることもできるし、下顎骨折等で骨移植が必要とあらば腸骨から採骨することもOK。歯医者さんが腰にメスを入れる、、、なんだか不思議な気もしますが、まあとにかく法律的にはそういうことになっています。

で、実際に歯学部には歯科麻酔科という診療科(講座)がありますし、歯科医師免許で病理解剖をやっている人もいるし、歯学部は口周辺の解剖生理・病態しか勉強しないと思ったら大間違い。実は私が学生時代に教わった解剖学、生理学、病理学の先生は歯医者さんでした。(近くに歯科大があってそこから外部講師として来てました。生理学の先生は歯学部在籍の医師免許保持者でしたが)医学部生からしたら、「浅い」のかもしれませんが、いちおう全身の解剖生理・病態はやっているみたいです。


医師の組織である病院の中に、ほんの数名だけいる歯医者さん。
育った教育環境が違うせいなのかわかりませんが、他科医と比べてとってもジェントル。ローテートで2年おきくらいにメンバーは変るのですが、どの人もとっても親切で、ナースに対する態度も非常に丁寧。いい人たちなんですよねぇ。そういった意味でも口腔外科は特殊。

うちの病院も、歯科口腔外科外来には歯科衛生士さんが数名いるらしいです。でもオペの手伝いは決してせず、手術室でのオペ介助は我々看護師が行なっています。法律的には歯科衛生士がオペ介助に入ってもいいはずですけど、例えば歯科手術しかしないような歯科大学の手術室では衛生士さんがやってるんでしょうかね?

スイマセン、最後は雑談風に終わらせてしまいました。
posted by Metzenbaum at 23:20 | Comment(6) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年07月18日

内視鏡手術が流行りだけど、、、(王監督の腹腔鏡下胃全摘)

今日は、中身のないホントの雑談です。勉強になるような話はこれっぽっちもありませんのでご容赦を。

さて、昨日あたりから、王監督が腹腔鏡下胃全摘手術を受けたという話で持ちきりですね。
手術時間が7時間って言ってましたっけ? うちではラパロのトタールはやってないので、7時間というのがどれほどのものだかはよくわかりません。とかくオペ時間が長いといわれている大学病院でやってこの程度の時間ですから、市中病院ではもうちょっと早いのかなぁ。

テレビ報道のウソ!?

うちでも腹腔鏡下の結腸切除は行なうんですが、ラパロとはいえ、病巣部摘出のときには結局5〜8センチくらいの皮切は置くんですよね。胃全摘もおそらくそうなんだと思いますが、テレビの説明では、トロッカーの小さなキズの図示ばかりで、摘出用皮切の話をしないのは、ちょっと詐欺まがいじゃない? と思いながら見てました。

あれを見て、ラパロ手術を希望する人(患者)が増えること請け合いですが、思ったよりキズが大きくて「騙された〜」、なんて思う人が続出しないことを願うばかりです。

ラパロの胆摘(腹腔鏡下胆嚢摘出術)くらいだったら、ホントにトロッカーの小さなキズだけで済みますから、内視鏡手術のメリットは絶大だと思うのですが、腸切とか胃切となってくると、小さいとはいえ10cm弱のキズができるわけで、結局はキズの大小の問題だけじゃない? と思ってしまうのですが、どうなんでしょう?

実際の入院期間などは、明らかに開腹手術より短いので、それなりのメリットはあるのは間違いないとは思うのですが、手術時間が倍近く掛ること、不自然な体位を強いられること、気腹の影響、出血時のリスクなどを考えたら、自分なら諸手をあげて受け容れられる方法ではないなと感じています。このあたりは勉強不足で、思いっきり無知な発言をしているかもしれませんが、まあ、どうぞご勘弁を。

動物を使った腹腔鏡手術トレーニング

余談になりますが、腹腔鏡手術を行なう医師たちの手術手技の練習はどうやって行なっているかご存じですか?

他の手術同様、現場で実地に覚えるというパターンもありますが、本格的にラパロ手術を行なう Dr. たちが技術研鑽に活用しているのは、生きたブタを使ったシュミレーション・トレーニング。(ブタと人間、腹腔内はよく似てるんです。ただよーく見ると、肝臓の葉が人間より多かったりして、ちょっとヘンな気分にもなりますが、、、)

海外では動物を使ったトレーニングは廃止されつつあると言いますが、日本では内視鏡手術を行なうための動物実験施設が存在します。時代の流れからすると、そのうちバーチャルリアリティのトレーニング・マシーンにとって変るのかもしれませんが、現状としてはそうした実験動物の犠牲の上に、ラパロ技術が成り立っているのも事実。

実際、その子豚を使った手術練習の現場を目にすると、なかなか複雑な思いがこみ上げてくるのですが、いつか機会があったらそんなシュミレーション・ラボの様子をお話ししようかと思います。学生時代からふつうに動物実験を行なってきた医学部教育と、そうでない看護学部教育の違いを痛感しました。

感情論に支配されないでラパロ手術と動物実験を語るためには、もっと勉強しないと!、です。
出直してきます。

【最後にちょっとしたまめ知識 … ラパロという言葉】
本文中でも、「ラパロ」という言葉を多用しましたが、その正確な意味、ご存じですか? この場合、laparoscopic の略で、前半のラパロ laparo が腹腔手術の意味、スコピック scopic はスコープ、つまり内視鏡ですね。合わせて腹腔鏡下手術のこと。「ラパロ」という言葉が決して「内視鏡」を指しているわけではないことに注目してください。

ラパロというのは、そもそもは腹腔内手術を表わす言葉なんですね。laparotomy といえば scope という語がついていないのでタダの開腹術のこと。ですがなぜか慣例的にラパロといったらラパロスコピックの略というふうに捉えられているようです。

以上のことから、例えば「ラパロの肺切除」なんて言葉はあり得ません。ラパロはあくまでも腹腔内を覗く場合にかぎって付く枕詞(?)だから。内視鏡下肺手術はふつうはVATS(video-assisted thoracic surgery)なんて略されます。thoracic は解剖学用語で胸部とか胸郭という意味。ソラシック・カテーテルという言葉は聞いたことありますよね。

以上、お粗末ながらラパロという言葉にまつわるマメ知識でした。
posted by Metzenbaum at 23:22 | Comment(5) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年07月15日

手術室看護の専門性

『手術室看護の専門性』 ‥ これは、オペ・ナースなら誰もが考える深い深いテーマだと思います。
手術室「業務」の専門性だったら、いくらでも列挙できますが、これが手術室「看護」となると、うーん、、、と唸ってしまうんですねぇ。。。。

そんなオペナースにとっては究極のテーマ、かもしれない、手術室における看護師の役割と、その看護の専門性ということについて、私が思っていることを書いてみようと思います。

これはいわゆる「看護観」ってヤツになりますので、「それって違うんじゃない?」と感じられる方もいると思います。ま、こんなヤツもいるんだよという程度のひとつの参考にしてみてください。(意見・反論、大歓迎ですが、どうぞ理性的なコメントをお願いしますね)


◆ 手術室看護の特殊性と専門性

「手術室に看護はあるの?」
「患者との関わりが希薄なオペ室の仕事は看護師としてつまらない」


よくそんな意見を聞くことがあります。
病院の同期なんかと話していても「オペ室って特殊すぎて、もうほとんど看護じゃないよね」なんて笑顔で言われてしまうと、反論したくなる反面、言葉が詰まってしまうのも事実。

まあ、結論から言ってしまえば、手術室看護は立派な「看護」だと思います。ただ、それはいわゆる外回り業務、もしくは麻酔看護の部分があるからです。器械出し業務(直接介助:直介)の部分に看護性があるのかと言われると、私的には No と思っています。

で、現状として手術室看護師の仕事は麻酔看護と器械出しから成り立っていますので、全体としては「看護なの、かな、、、」という感じで100%とは思い切れていません。

看護の専門性がわりかし確立していると言われているアメリカでは、正看護師の上級資格として麻酔専門看護師というのがあって、麻酔を掛けたり、術中管理を看護師が行なうことが認められています。それに対して、器械出し業務は、看護師ではない専門技師(テック:tech と呼ばれているらしいです。たぶん technician の略)が担当しているとのこと。つまりやっぱり器械出しの仕事は「看護」とは別らしいんですよね。

皆さんは、器械出し業務が「看護」だと思いますか?

もしそうだと思うのなら、その理由は?

私がこれまで聞いたことある理由といえば、「迅速で正確な器械出しで医師をサポートして、患者へのリスク・負担を軽減させる意味で看護である」みたいな論調。うーん、こじつけだよなぁ、と思ってしまいます。

強いて、それが看護であるというのなら、法律的な解釈から考えれば確かに器械出しも立派な看護と言えます。

保助看法(保健師助産師看護師法)で定義されている看護師の役割を皆さん覚えてますか?

『傷病者や褥婦に対する療養上の世話または診療の補助 をなすことを業とする者』

『療養上の世話』と『診療の補助』が看護師の独占業務でしたね。
日本の法律上の原則では「診療の補助」、つまり医療行為の介助は看護師以外が行なうことはできません。(PT、OT、工学技士、検査技師、救命士など、他の法律によって限定的に解禁されている部分もありますが、、、)

手術の器械出しは「医療行為の介助」の最たるものなわけですから、当然看護師以外には許されていない。ゆえに立派な看護師の仕事=「看護」であるとは言えると思います。

こんな話をすると、そもそも『看護』とはなんなのか? というこれまた難しい命題にぶち当たってしまいます。

看護の専門性というような話をするときというのは、一般的には「療養上の世話」の部分に関してのみ言っている気がするんですよね。

「私たちは医者の小間使いじゃありません!」なんてセリフはまさにそうです。法律でいうとも「診療の補助」も看護婦の立派な仕事のはずなんですが、この部分は、指示によってしか動けない「医者のお手伝い」ですから、看護師のプライドとしてはあまり認めたくない部分なのかも。看護師としての自立・独自性を求めると、やっぱり本当の意味で独占である「療養上の世話」に着目せざるを得ない。で、器械だし業務には「療養上の世話」チックな部分はみじんたりとも存在しないわけで、、


◆ ちょっと視点を変えて
THAやTKAなど、人工物手術をするときはうちの場合、インプラント業者の方が立ち会ってくれます。外からレーザーポインタを使って、「次はこれを使いますよ〜」みたいに教えてくれるのですが、いつもとは違う使い慣れない器械セットが来たりすると、すんなり出せずに相当もたついたり、、、。だったら最初から専門の業者の人が器械出しをしてくれた方がいいんじゃない? と思うこともあります。

実際、中小の病院ではインプラント業者の人が手洗いをしてインプラントの器械出しをする場合もあるそうです(最近は減っているそうですけど)。そんなことを考えても、器械出しはやっぱり慣れた人であれば誰がやってもいいのかなという気がします。問題があるとすれば法律的に看護師以外がやってはいけないと言う部分だけ。

業務内容を考えてみると、外回り業務(麻酔看護)には絶対に看護の視点が必要だと思います。医師だけには任せておけない看護師としての視点・役割が必要です。それに対して器械出しが看護婦でないといけない理由が思いつかないんです。

なにかとアメリカに追従している日本ですが、将来的には臨床工学技士みたいに器械出し専門技師みたいな新しい国家資格ができたりするのかなぁ、そうなったらオペ室ナースというよりは、麻酔のことに専念する麻酔科看護師という認識に変っていくんだろうな。

去年だったか、新しく手術室認定看護師制度ができました。その一期生たちがいま現場で活躍しているはずですけど、彼女たちはなにを学んできたのでしょう? そこでは器械出しについてはどう教えられていたのかな、非常に気になるところです。
【追記】 続きを読む
posted by Metzenbaum at 23:02 | Comment(16) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年07月09日

百害あって一利ナシ「創の消毒」〜閉鎖湿潤療法

3年くらい前までは、どの科の手術でも、閉創の皮膚縫い後は、イソジンやヒビテン綿球でキズを消毒してからガーゼを当てていました。

でもいまでは、術後の創消毒は、ほぼ完全撤廃になっています。消毒液の変りに生理食塩水で洗浄を行なう、もしくは生食濡れガーゼで清拭するというスタイルに変ってきています。

皆さんの施設ではどうでしょうか?

最近なにかと「エビデンス」が叫ばれるようになり、手術室関連でもずいぶんと見直されていることがたくさんあります。中でもその最たるものが術後消毒ではないかなと思います。

これまで、伝統的に閉創時にキズの消毒をしていましたが、それって意味があるの? と考えたときに、実はまったく根拠性はないことが明らかになってきました。さらに言えば創傷治癒の過程を考えれば、消毒は意味がないどころか、かえって人体には害となっていると認識されるようになってきています。

◆ 消毒薬は人体の細胞にとっても毒である

消毒薬というのは、細菌の蛋白合成を破壊することで殺菌性を発揮するわけですが、細菌のタンパク質だけを選択的に攻撃できるわけもなく、当然人体の細胞も破壊します。構造的に考えれば細胞壁をもたない人体の細胞の方が細菌なんかより弱いわけですから、細菌を殺すための消毒薬が人体細胞を攻撃しないわけはありません。つまり消毒薬は細菌にとっても人体にとっても「毒」です。

傷口からは、創傷治癒を促すサイトカインなどがたわわに出ていて、キズをくっつけようと頑張っているのに、そうした創傷面の細胞を死滅させて、キズの治りを遅くしているのが消毒薬の作用の実態です。

◆ 消毒の効果はせいぜい2時間 包交時消毒の無意味さ

縫合した後の創傷面は、外界に接しているわけすし、キズの周りの正常皮膚には、毛穴の奥に常在細菌がいっぱい隠れています。消毒をした直後はいいですけど、30分〜2時間もすれば消毒効果が切れて、消毒前とおなじ常在細菌叢に戻りますから、一時的な消毒は無意味です。

病院によっては、毎日、包交を行ない24時間おきに消毒をしているかもしれませんが、これもナンセンス。消毒効果が2時間とすれば、1日のうちに無菌(?)状態はたったの2時間しかなく、残りの22時間は雑菌だらけの状態になっているわけですから。

ということで、創に対する消毒はナンセンス、むしろ百害あって一利ナシというのが昨今の常識になってきています。術後の包帯交換を無菌操作で行なうのも意味がなく、滅菌ガーゼを使う必要もないので、病院によっては包交台自体を廃止しているところもチラホラと出てきているようです。(さらにいえば外傷のナート Naht [縫合:独語] も清潔操作で行なう意味はないので、未滅菌のプラスチック手袋で行なう病院もあるそうです)

実は傷口の消毒ということは、海外の教科書には昔から載っていなかったそうです。なぜか日本では伝統的に行なわれてきていて、その意味や必要性は論文等でも議論されずに、とうとうこの21世紀まで来てしまったという部分なのだとか。

◆ 閉鎖湿潤療法

「消毒が有害!」ということと併せて、創傷治療法も見直されてきて、最近はうるおい療法とか湿潤療法と呼ばれる治療法が優性になってきています。

これまで傷口にはガーゼを当てていましたが、これもキズの治癒過程からはあまりよろしくないとして、うちの病院でも透明ドレッシングテープ(カテリープ®やテガダーム®など)や、カヤラヘッシブ®などのハイドロコロイド材が使われています。

傷口から出てくる滲出液には、治癒を促進するためのサイトカインなど有用な物質が含まれていて、その効果を最大限に発揮するためには滲出液が乾燥しないように湿潤環境を保つことが重要になります。キズにガーゼを当ててしまうと、滲出液が吸い取られて十分な効果が発揮できないというのが、ガーゼ廃止論の趣旨です。

そこでフィルム・ドレッシング材を当てて滲出液を逃がさない方法や、さらに発展させてハイドロコロイド材という、滲出液に触れるとドロドロに溶けて創面の湿潤環境を保持するための特殊素材でできた創面保護材が使われるようになっています。

特にオペ室では、カラヤヘッシブ®というハイドロコロイド材が流行りで、ウロが最初に使って以来、脳外、心外、外科、整形と、あらゆる科で引っ張りダコになっています。

ハイドロコロイド材のカラヤヘッシブ  閉鎖湿潤療法につかうカラヤヘッシブ karayahesive

皮膚縫いが終わったらキズの上にぺたっと貼ってそれでおしまい。あとは最大1週間くらい貼りっぱなしで、滲出液が多かったり皮膚トラブルがなければ、基本的にno 処置、no 包交。キズの予後もいいようです。

◆ 市民レベルでも閉鎖湿潤療法 〜 バンドエイド「キズパワーパッド®」

こうした閉鎖療法は市民レベルでも広まっていて、幼稚園や学校の保健室でも消毒はせずに、キズにはラップ(台所用ラップ、クレラップ®/サランラップ®等)をキズに当てるという応急手当てが普及しつつあります。

ハイドロコロイド材は、ジョンソン&ジョンソンから、バンドエイド「キズパワーパッド®」という民生用材料も市販もされていて、テレビCMを見たことある人も多いんじゃないでしょうか?

意外と病院関係者の方が頭が古くて、『ケガ = 消毒+ガーゼ』と思ってしまいがちかもしれません。下手するとこのあたりは小さな子どもがいるお母さんの方が最新事情に詳しい、なんてこともあるかも、、、

オペ室看護師といえば、外科系の代表格。ぜひこの新しい創傷治療についても情報を仕入れておくといいですよ。最近では看護雑誌でもよく特集されていますし、インターネット上では、閉鎖療法(うるおい療法)の第一人者 夏井睦先生のウェブサイト「新しい創傷治療」がオススメ。医療者ならぜひ一度は目を通してみてください。眼からウロコなことがいっぱい書かれてますよ〜 いままでうちらがやっていたことはいったいなんだったのか...? と思うこと必至。

◆ 最後に、注意
閉創後の傷を消毒するかしないか、ガーゼをあてるかカヤラヘッシブ®をあてるかの判断は最終的に執刀医が行ないます。医者によっては最近の考え方を知らずに、もしくは知っていたとしても旧来の方法にこだわる場合もあります(特に古い医者ほどこの傾向は強いです)。進言することはできても、最終判断はあくまでも医師が行なうべき部分ですので、あまり出過ぎたことは言わないようにご注意を。また過渡期といえば過渡期にありますので。

うちの病院でもひとりだけかたくなに術後消毒を続けるDr.がいて、やんわりとは言っているんですが、どうやらポリシーのようで、、、

さらば消毒とガーゼ―「うるおい治療」が傷を治す  これからの創傷治療/夏井睦icon『さらば消毒とガーゼ』は、一般市民向けに書かれた閉鎖湿潤療法のガイドブック。幼稚園や小さな子どもがいるお母さん層で話題になっているととか。科学の粋に見える医療界、でも実は古い因習に従う封建的な体質に支配されている医学界の常識への挑戦状としてもおもしろく読めます。『これからの創傷治療』iconは医療者向けに書かれた閉鎖療法教科書。具体例がカラー写真で豊富に載っていて「へぇ〜」と驚くようなことがたくさん載ってます。
posted by Metzenbaum at 14:18 | Comment(16) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年07月02日

手術室の勤務体制

土曜日は、自宅待機の on call 番だったんですが、もう今日はポケベルは鳴らないだろうなぁと思って寝入っていた明け方、しっかり呼ばれてしまいました。

寝てても呼ばれてしまえば速やかに病院へ向かわねば、、、、
ということで帝王切開を終わらせて、掃除をして家に帰ってきたらもう完全に朝。これが土曜日(厳密には日曜日の朝だけど)だったからよかったけど、日曜on callで月曜の明け方に呼ばれてしまったら、そのままふつうの月曜日勤業務が続いていくわけで、、、、

ということで、今日はオペ室の勤務体制について書いてみたいと思います。

◆  ◆  ◆  ◆

病院によっていろいろ違ってくるとは思いますが、通常、予定手術というのは平日の日勤帯に組まれています。つまり月曜〜金曜日の朝8:30〜17:30の間がオペ室スタッフの勤務時間となります。

実際は定時ですべての手術が終わることなんて滅多にありません。中にはひとつの列に4時間予定のオペを2件も入っていることもあって、それだけですでに8時間だし、麻酔時間や入れ替えを含めたらどう考えたって定時で終わるわけがありません。「オペ室は定時上がりで楽だ」なんていうのはただの幻想です。

定時を越えた手術に関しては、件数が少なければ残り番と夜間待機の当直で動きますが、3-4件以上残ってしまった場合は、日勤の人がが残って手術をこなしていきます。

でも、土日にはオペは組まれていませんので、基本的にオペナースはお休みです。それはいいところかな。祝祭日も予定オペはありませんので、年末年始やゴールデンウィークなどもカレンダー通り。数年前に年末年始が9連休になる年があって、私はしっかりと海外旅行を堪能してきました。

病棟に比べると、なんだかいいことづくめに思えるオペ室勤務ですが、そうは問屋が下ろしません。それが冒頭に書いた on call 番というヤツですね。

これは主に休日に突発的に入る急患手術に対応するための当番です。この当番になると朝8:30から翌朝の8:30までは自宅待機となります。30分以内を目安に病院に駆けつけられればいいので、携帯電話さえ通じれば近所に買い物に行くとかはできますけど、いつ呼ばれるかというヒヤヒヤ感がつきまといます。

家にいても、料理を作っている最中に呼ばれてしまったら途中で放り出して行かないといけないし、お風呂の中にも携帯電話をビニール袋に入れて持ち込む始末。病棟勤務者にはない独特の勤務体制ですよね。

そうした on call 番が私の職場の場合は月に1-2回あります。うちの場合はまだスタッフ数がそこそこいるからいいですけど、これが中小の病院だと少ない人数でon callをまわすから大変だと思います。

急患対応の on call 番は基本的に2人。帝王切開とかアッペ(虫垂炎)程度ならまだいいです。寝ぼけた頭でも十分に対応できますから。ところが、AAA(腹部大動脈瘤)や CABG (心臓冠動脈バイパス術)、脳外のくも膜下出血のクリッピングなどは大手術となると話は別。輸血の請求だとか、とても二人体勢ではきついです。でも他にスタッフがいないのだから仕方がない。病院内に看護スタッフの数はおおけれど、オペに付けるのは自分たちしかいない、そう思うと、まあ、やりがいのある仕事という気がしてがんばれるものです。

病棟勤務とオペ室勤務。どっちが楽かなぁと考えることがあるのですが、私的にはやっぱりオペ室かな。休みが定期的だし、夜勤(当直)は月1-2回程度。比較的規則正しい生活が送れるし、計画的に遊びやすい!(笑)

反対に病棟勤務者に言わせると「常に5日勤なんて考えられない!」なんて言います。でも一般企業の会社員の生活を考えれば、それがふつうですよね。日勤が5日続くのがキツイだなんて、反対に言えば毎週のように夜勤+明けがある病棟勤務というのはそんなにも楽なものなのかなと思ってしまうのですが、私は病棟経験がないのでよくわかりません。

病院に就職する際に、2交代制か3交代制か、など勤務体制についても十分チェックするはずですが、これがオペ室勤務になってしまうと、また別な話。そんなことまでは入職案内には書かれていないと思います。けっこうそれって落とし穴な部分だと思うんだけどなぁ。

そもそも病院に就職して「あなたオペ室に配属ね」と言われた時点ですでに想定外、「やられた!」という感じかもしれませんが、、、、

もしこれから就職、転職する人で、オペ室希望だったら、オペ室の勤務体勢、特に休日の on call 番についてはしっかり聞いておいた方がいいと思います。病院内待機なのか、自宅待機なのか? 月に何回くらい当たるのか、など。あと平日の勤務も当直制を取っているのか、夜勤制なのか? などなど。

カレンダー通り勤務の手術室では、最近ではハッピーマンデー法の関係で、土・日・月と3連休が増えたのは嬉しいことです。なんだかんだ言っても、連休が多い今のオペ室勤務、私は好きです。
posted by Metzenbaum at 06:32 | Comment(9) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年06月02日

形成外科医の"巧の技"「Z形成」について

さきほどアップロードしたドラマ「医龍」の話の続きです。
今回の放映で、私のツボにはまったのは、胸部の弾丸摘出のあとに主人公が言った台詞。

Z形成したからキズはほとんど目立たないようになるだろう」

いや〜、こころにくい配慮! と思いましたね。

この一言、なかなかマニア心をくすぐります。医龍ではわかる人にしかわからないキーワードがあちこちに埋めこまれていて、医療関係者としてもなかなか楽しめます。

Z形成というのは、ナースでも知らない人が多いんじゃないかな。
たまたま前回投稿した形成外科の話で少し触れていたんですが、今回のドラマにインスパイアされて、説明用の図まで作っちゃいました。

形成外科手術テクニック Z形成皮弁

Z形成というのは、形成外科手術のテクニックで「皮弁」(ひべん)の一種です。
今回のドラマでは、銃創による皮膚欠損でしたが、ふつうは腫瘍摘出などで大きく皮膚を切り取らなくてはいけない場合などに、キズを目立たなくするために使われるコスメティックな皮膚形成技術です。

上の挿し絵で縦長の楕円が皮膚欠損部と思ってください。(図をクリックすると拡大表示されます)
キズが大きい場合、左右に縫い合わせようとしても寄せられません。そんなときは、オレンジの線で示したように皮切を入れ、脂肪層を剥離してペラッとめくれるような感じにします(フラップ状にする)。

で、次に青い矢印で示したように、フラップを上下に入れ替えるようにすると、キズはちょうどZ状になり、ジグソーパズルのように無理なく欠損部に組織をはめることができます。

補助線的に切れ目を入れることで、創を寄せるときの皮膚の緊張が周囲に分散されて、欠損部を埋めることができる、これがZ形成と呼ばれる技術です。長い直線のキズより、ジグザグなキズの方が視覚的に目立ちにくいということもあり、美容・形成外科の領域で多用されています。

Z形成を応用として、もっとたくさん切れ目を入れてW字型にしてより皮切線の延長を図ったり、さらに複雑な皮弁もありますが、まあ、パズルみたいで見ていておもしろいです。形成外科医の巧の技を感じるテクニックの代表じゃないでしょうか。

ドラマ「医龍」では心外(心臓外科)の医者が若い女性患者の胸にできたキズに気を遣って、そんな畑違いの高度な処置をしてあげたということでした。生きるか死ぬかの大きなオペなのに、そんな気遣い、こころにくいなぁと思った次第です。
posted by Metzenbaum at 00:27 | Comment(4) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年06月01日

ドラマ「医龍」から・・・麻酔科医って何者?

さて、先週予告したとおり、ドラマ「医龍」を見ての感想です。

今回の話は、バーの店員の女の子が強盗に撃たれて、たまたま現場に立ち会った麻酔科医と研修医が応急処置。でも出血が多く救急車内で蘇生を諦め心停止。病院についたら主人公が待ちかまえていて、「諦めるな!」と一喝。心臓の房室結節部に刺さっていた弾丸を摘出して見事にサイナスリズムに戻ってめでたしめでたしというお話しでした。

突っ込みどころその1。
神さまのようなスゴ腕を持つ麻酔科医が救急車内で匙を投げた症例なのに主人公が当然のごとく助けてしまったところ。麻酔科医というのは麻酔をかけるしか能がないという誤解がそこにありませんか? というのが私のつっこみ。

麻酔科医というのは、麻酔をかけて醒ますのだけが仕事ではなく、基本的には救命蘇生のエキスパートです。いまでこそ救命医という存在もありますが、消えつつある命を救うのは基本的に麻酔科医の専門領域です。

主人公でさえ一目おく蘇生のエキスパートである麻酔科医が「無理」と諦めた症例なのに、それを外科医である主人公がたやすく助けちゃったら、そもそもその麻酔科医の面目は丸つぶれというか、実は凄腕でもなんでもないんじゃない? と思ってしまうんです。

まあ、ドラマ上、グテングテンに酔っぱらってたし、私情も絡んできて冷静な判断ができなかったという好意的な解釈もできますけど、、、、。

よく考えてみたら麻酔科医って、世間的にはナゾな職業かもしれませんね。
うちらオペ室スタッフにとっては、非常に身近な存在で、常に麻酔科医とチームを組んで仕事してますが、病棟ナースからは麻酔科医の仕事内容は非常に見えにくいモノなのかも、と思いました。ましてや一般の人たちにとっては、麻酔科医って何者? と思うのも無理はないかもしれません。

医龍の最初の方は私は見ていないのですが、どうもこの麻酔科医、とにかく腕が良くて、その敏腕さの象徴が「一目見れば人の体重がわかる」「どんな人でも7秒で眠らせる」のだそうです。

素人さんにとっては、なにやらすごそうな印象を受けるのかもしれませんが、関係者から言わせるとナンセンス。だからなんなの? という感じです。麻酔科医にとっては重要な患者の体重(体重で麻酔薬の量が決まりますので)。それが一目で正確にわかるなら便利ですけど、まあ便利だなという程度のもの。

「7秒で眠らせる」というのは、体重や全身状態のデータを加味して、絶妙に麻酔薬の量を調整するということなんでしょうけど、別に7秒で意識消失しようが20秒かかろうが、臨床的にはなんの違いもありません。

麻酔科医の本領発揮というのは、その後の全身管理、手術侵襲などによって刻々とかわる患者の全身状態に対応していかに呼吸・薬剤を調整していくかにあると思うんです。

あとはトラブル発生時へのとっさの対応ですね。

よく言われますけど、麻酔科医の仕事は飛行機のパイロットと似ています。航行中は自動運転で一見ヒマそうだけど、常に飛行状態を監視し、いざというときに対応するという危機管理のエキスパートであるということ。

あと離陸(麻酔導入)と着陸(覚醒・抜管)のときだけは手動操作で技量が発揮されるという点も麻酔科医と似ています。

まあ、そんなわけで、麻酔科医の本領というのは術中管理にあるわけだけど、なかなか地味な部分なので、「7秒で眠らせる」というなにやらすごそうなキャッチコピーを持ってきたんでしょうね。
posted by Metzenbaum at 23:54 | Comment(8) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年05月27日

形成外科手術の話

手術室で取り扱う数多くの診療科のなかでも、私が個人的に好きなのは形成外科

なんだか形成外科手術には心惹かれるものがあるんですよねぇ。
他科とは明らかに違う雰囲気というか、単なる「技術」ではないアーティスティックな感じが好きなんです。

■ 形成外科とは?

一般の人にとって「形成外科」はあまり馴染みのない診療科かもしれません。他の診療科が胸部外科とか脳外科とか基本的に体のパーツ毎に専門化されているのに対して、形成外科が扱うのは体の体表面や見た目に関する部分すべて。

比較的新しく確立された分野で、総合病院のなかでも比較的大きめの病院でないと標榜してないかもしれません。

よくある形成外科の手術としては、ヤケドの植皮や褥瘡の皮弁形成、粉瘤などのちょっとした腫瘤(腫瘍)切除など。このあたりなら皮膚科でも整形外科でもやりますが、形成ならではの手術と言えば、やっぱり切断肢の接着でしょうか?

機械に巻き込まれて切断された指などを繋げる手術などは、やっぱり見ていて「技」を感じます。へぇ、ホントにくっつくんだ! となんだか魔法を見ている気分。そう、そこなんですよね、形成外科の魅力って。体表で見える部分を大幅に"改造"されていくのを見るのがとっても不思議なんです。

顎関節症などの、下顎の骨切手術では明らかに顔立ちが変わりますし、マブタを二重にする重瞼術、鼻を高くする隆鼻術、胸を大きくする豊胸術、乳癌でなくなった胸の膨らみをもう一度作る乳房再建術など。

■ 美容外科は形成外科の一部

そう、私の勤務する病院では、形成外科の他に美容外科も標榜しているんです。いわゆる美容整形手術ですね。世間では「美容整形」という言い方をしますので、整形外科の一種と勘違いしている人が非常に多いですが、正しくは美容外科といい、形成外科の領域になります。整形は骨を削ったりネジ止めしたりする力仕事中心の荒々しい男の世界。形成の繊細さとは対極にあるような気がします。(私の個人的意見ですけど)

形成・美容外科では見た目を重視しますので、当然皮膚縫合の縫い方はすごく丁寧。おなじ粉瘤を取るのでも、一般外科や整形外科でオペした場合、病変である腫瘍を切除するのが主目的だから皮膚縫いはおまけみたいなもので非常におおざっぱ。それに対して形成では腫瘍を取ってからが本番みたいな感じで、時間をかけて細かく縫っていきます。一般外科では3-0ナイロンで4針くらいで縫うところを形成外科では細い6-0プローリンで20針くらいかけて縫ったり。

皮下腫瘤なら外科系のどの科にかかっても切ってくれますが、私なら絶対に形成外科に行きますね。おなじ手術代を払うなら丁寧にきれいに縫ってもらった方がいいですから。

■ 皮弁形成のテクニック

形成外科手術について、なにか新人さんに役立つことを書こうかと思ったのですが、なかなか難しいですね。本当は形成外科の十八番ともいうべき「皮弁」テクニックについて説明しようと思ったのですが、図がないとちょっと難しいかも。。。。

大きな皮膚腫瘤を切除する場合、ぽっかりと皮膚が欠損してしまうわけで、そこをどうやって埋めようかというときに皮弁テクニックが出てきます。小さなキズであれば、両端の皮膚を寄せて無理矢理縫ってしまえばいいわけですが、数センチ大の皮膚欠損を寄せるとなると、まわりにシワがよってしまうし、縫着部に大きなテンションがかかってしまいます。

そのテンションを分散させてきれいに欠損部を埋めるために、創に切れ込みをいれて、皮膚と皮下組織を剥離しパズルのように組み合わせるのが皮弁(flap)やZ形成と呼ばれる技術。

このあたりはやっぱり文字だけで説明するのは無理ですね。百聞は一見に如かず。実際に皮弁手術を見たことあれば、すぐにその仕組みはわかると思いますが、ピンとこなければ病院図書室にある形成外科の本をあたってみてください。

一言に皮弁といってもいろいろなパターンがあって、「え、こんなこともできちゃうの?」みたいな例がたくさん写真入りで載っていると思いますので。なかには顔面部の皮弁などけっこうグロイのもあるんですけどね。

皮弁はデザインがキモですから、実際に切り始める前にマジックやピオクタニンで納得のいくまで皮切デザインを考えます。場合によっては手洗いをするまえに1時間以上かけてデザインをするなんてこともザラ。他の科の手術では考えられないそんなアーティスティックなところに形成外科の魅力を感じてしまうんですねぇ。

◆  ◆  ◆  ◆


美容外科の器械出しで修行を積んだら、将来的に美容外科専門クリニックで働けないかなぁなんて密かな願望。美容外科クリニックって基本的に日勤だけだし急患のon callもないし、給料、高そうじゃありません? (笑)

ナースのための新形成外科学(金原出版) 標準形成外科学(医学書院)『ナースのための新形成外科学』は、おそらく看護師向けに書かれた唯一の形成外科テキスト。使われている写真などがかなり古くさいのが難点だけど、他にいいのがないのだから仕方がない。ちなみに私はブックオフで105円で買いました(笑)。形成外科のテクニックをしっかり勉強したければ医師向けの『標準形成外科学』がわかりやすいです。コイツは病院図書室にも置いてあるはず。
posted by Metzenbaum at 00:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年05月25日

『オペ看』から見たドラマ"医龍"

5月に入ってからはメチャクチャ忙しくて、更新もままならぬまま気付けば5月も終わりになっていました。

今更ながら、今日、初めてドラマ"医龍"をみました。

(それにしても医龍と書いてメディカル・ドラゴンと読むんですね、、、、いやはや、なんとも、、、原作、マンガですよね、きっと)

ありがちな医者が主人公のドラマかと思いきや、オペ室ナースもかなりクローズアップされてたんですね。
いや〜、こんなに手術室看護師にスポットライトがあたったドラマって珍しくないですか?

手術場面もなかなかリアルなんですよね。まあちょっと不可思議なところはありますが、素人さんにはわからないような細かいところまで忠実に再現しようという意気込み、買いました。人工心肺の送血管なんかも本物じゃなかったですか? 

心外オペシーンの術野、あれって作りもんなんですかね。VF時の心臓の動きがちょっと偽物っぽい気がしたけど、あからさまなニセモノってふうでもなく、見入ってしまいました。

途中からみたせいでドラマ自体の話の流れはさっぱり。やけにクサイ演出が鼻についた感じですけど、オペシーンが興味深かったから、まあ、ヨシとしよう。オペナースの私としては興味深いドラマだなと思った次第です。(今更かよ、と突っ込まないでくださいね)

来週、見れたらオペナース的視点で、いろいろと突っ込みを入れてみようと思います。


それにしてもORナースのことを "オペ看" って言い方、します?
ドラマのなかでオペ室ナース自身が自分のことを頻回に「オペ看」と言ってましたが、かなり居心地悪い響きでした。
業界用語っぽい言葉を使うことで「らしさ」を演出したいんでしょうけど、なんか間違っちゃってる感じ。

たまたま私のまわりでは、そういう省略形が一般的でないだけかもしれませんが、、、、

私の知っている "オペカン" は『 オペ患 』―― 手術を受ける患者のことを指す言葉です。

皆さんのところではどうですか?

ここのところ、『オペ看』のキーワード検索で、このブログに飛んでくる人、すごく多いんですよ。きっとドラマ「医龍」でこの言葉が広まっているんでしょうね。これでope室看護師に憧れて目指す若い子が増えたりするのかな(笑)
posted by Metzenbaum at 23:36 | Comment(6) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年05月06日

ブラシ不要の術前手洗いについて

『最近、疑問に思うのが手洗いの方法とガウンについてです。最近、手洗いの際にブラシの必要性がないということで、素荒いのみでOKになりました。しかし、まだブラシを使っている人もいます。ガウンもマスクがあるやつもあれば、ないのを使っている先生もいます。そこのところ、どれが正しいとかあるんでしょうか?マスクがいらないというエビデンスがあるんでしょうか?最近、OP室勤務になったのでわからないことだらけなんですが、なにか参考になるお話があればお聞きしたいのですが・・。お願いします。』
れんさんより)

またまた読者の方からご質問を頂きまして、ブログをやっている身としましてはありがたいかぎりです。ありがとうございました。

今回はQ&A風にいきたいと思います。

◆ 手洗いにブラシは必要か?

まずは手術前の手洗い方法についてですが、これについては答えはスパッと出ていて、全国的に共通認識として一般化してきました。

・ブラシは不要(使わなくて良い)
・固いブラシは使うべきではない

ブラシを使わない根拠は大きくふたつあると私は理解しています。
まずは、いくらゴシゴシ手を洗ったところで常在細菌の除去は不可能であるという点。毛穴の奥にも常在菌はいますので、いくらブラシを使って赤切れるまで手を擦ったり、消毒薬を塗りたくったところで、手が無菌状態になることはありません。一時的に無菌になったとしても30分もすれば毛穴の奥から細菌クンたちがゾロゾロと這い出てきますのでナンセンス。

そうしたことから、手術前手洗いは、汚れと一緒に附着した一過性菌を洗い流すことが目的であると明確に言われるようになってきました。そのためにはふつうのもみ洗いで十分。ということでブラシは不必要です。もみ洗いとブラシ洗いで残った附着菌の数に差があるかを調べるという研究がいくつもなされていますが、いずれの結果からも両者に差異はないということは実証されています。

ツメの間がもみ洗いでは十分に洗えなくて気持ちが悪いから指先だけはブラシを使うという考えも根強く残っていることは事実です。これについては私も否定しませんし、実際に私もその日一回目の手洗いの時はブラシを使っています。しかし次に述べる理由から、ブラシで擦るのは指先と手のひらだけにしています。

◆ ブラシを使わない方がいい理由は、、、、

ブラシは不要である理由を述べました。ブラシは使っても使わなくても洗い上がりに違いはない、よって使う必要はないというのがこれまでの論調でした。しかしもうひとつ、ブラシを使うべきではない、という積極的な理由が存在しています。

簡単に言えば、ブラシで皮膚に小さなキズができる可能性があるから。不必要に皮膚を傷つけるのはどう考えてもおかしいことですし、そのキズの部分にかえって菌がたまりやすくなるので、ブラシ使用は逆効果、というエビデンスがあるそうです。

実際に、皮膚が乾燥する冬場なんかはブラシによる"侵襲"を実感することってありますよね。イソジンやヒビテンの消毒薬がヒリヒリ滲みる感じがしたり。ブラシによって皮膚が傷ついている証拠です。

ブラシを使っても使わなくても洗浄効果に違いがないなら、ブラシを使わない方が手には愛護的だよね、というのがブラシは使わない方がよいという積極的な理由になります。

それでもまだブラシを使い続けている人がいるというのは、単なる習慣によるものといって良いと思います。これまでブラシでゴシゴシやってたのを急にもみ洗いに変えろといわれても、どうも洗っている感じがしなくてイヤだと言う人がけっこういるようです。

まあ、そういう人はきっと肌が丈夫なんでしょうから、放っておけばいいんじゃないでしょうか。これが明らかにアカギレになっているのにブラッシングを続けるようであれば、誰かがやめさせた方がいいとは思いますけど(笑)

古い医者なんかに多くありません? ブラッシングをやめない人って。
実は医療って科学に見えて科学じゃない部分が多いんですよね。根拠より経験則が重用視されて発展してきた領域だから。術後の創消毒だって無意味、むしろ有害と言われているにもかかわらずガンとして消毒をやめないのは意外と大御所と言われている古い医者だったりするんですよね。

◆ マスクの使用に関して

>ガウンもマスクがあるやつもあれば、ないのを使っている先生もいます。
>マスクがいらないというエビデンスがあるんでしょうか?

ごめんなさい、おっしゃっている状況がちょっとイメージしづらいのですが、マスクが付いているタイプのガウンというのがあるんですか?

マスクって口を被うマスクのことですよね?

もしかして、頭全体をすっぽり被ってしまうタイプのガウンの話をしてます?
ちょっとそこのところがわからなかったので、マスクについての話は保留にさせてください。

(追記)
コメント欄で補足説明を頂きましたが、滅菌ガウンにマスクが付いているタイプというのがあるそうで、不潔なマスクの上にさらに清潔なマスクがかぶさるような感じになるのだそうです。

つまり、マスクを二重にする意味、もしくは清潔なマスクをつける意味があるのか、というご質問と理解してよろしいでしょうか?

正直、そのようなマスク付きのガウンが存在すること自体、私は知りませんでした。当然、私の勤務する施設ではそのようなタイプのものは使っていません。

オペ室に出入りする人間は、普通に洗濯された術衣を着て、頭と口元にはディスポの帽子とマスクを付けています。手洗いして清潔になる場合は、その状態で普通のディスポの滅菌ガウンを着るだけ。顔まわりが清潔になることはないです。

正直、そうした設計になっているガウンの「意味」はよく分からないのですが、マスクが二重になっていれば、それだけ呼気や唾液などの飛散が少なくて、「悪い」ことはあまりなさそうですね。ただそれが必要なものかと言われれば、あって困ることはないけど、なきゃダメなものではないもの的な気がします。

マスク部分が清潔である意味は、、、ないでしょうね。
ドクター同士が顔を寄せ合うみたいに術野を覗き込んだときに、お互いに触れあってもいいように、という配慮??

スイマセン、ぜんぜん答えになっていませんね。
なにぶん現物を見たことも聞いたこともないモンで、、、
どなたかこのマスク付きガウンについてご存じの方いましたら、フォローお願いします。
posted by Metzenbaum at 08:27 | Comment(17) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2006年04月15日

人間の内臓を見て気持ち悪くないの?

オペ室で働いているというと、よく聞かれるのが、

「人間の内臓を見て気持ち悪くないの?」

という質問。

まあ、看護師免許を持っている人たちにはいうまでもないと思いますが、
答えは言うと「別に〜♪」です。
仕事中に、脳や内蔵を見ても特別気持ち悪いと思うことはまずありません。

でも、ちまたの素人さんたちのウワサはいろいろあるみたいですね。
よく聞く話は、解剖実習などの後は肉が食べられないとか、麺類が食べられなっただとか。

皆さん、学生時代に解剖実習もあっただろうし、オペ見学もしたと思いますが、どうでした?
たまに貧血を起す人はいますけど、その後肉が食べられなくなったなんて人はいなかったんじゃないかな。

まあ、実際に見たことがないと「妄想」だけが膨らんで、トンでもないことのようなイメージに支配されてしまうんでしょうね。見たことないからコワイ、そんなようなもんです。

手術を見て「気持ち悪い」なんて感じてたら仕事になりません。
例えば、確かに人間の肝臓なんかは、見た目はまさに「レバー」で、そのまま台所に置いてあってもおかしくないような感じがしないでもないけど、だからといってオペのことと日常の食材のイメージが重なることなんてまずないです。

内蔵は大丈夫だけど…

まあ、ふつうの手術というのは、電気メスなどで出血を止めながら切り進んでいくし、キズの状態もきれいなのでヘンな言い方ですけど、見た目もエレガント。それに手術の時は切っている部分以外は緑色の布(覆布)や撥水性のカバー(ドレープ)で被ってしまっているので、人間の体を切り刻んでいるという感じはしないものです。

ところが、さすがのうちらでも「ウッ!」っと思ってしまうのは事故などの外傷で、ぱっくり開いたキズだとか、挫滅されて潰れた四肢なんか。こういうのは正直、気持ち悪いと思うこともあります。

最近、私が見てちょっとダメだったのは、手を機械に巻き込まれて、手の平の半分くらいから先がベロンとめくれて、骨が剥き出しになってしまった事故例。全身麻酔後に、写真を撮るために骨だけになった指を持って拡げろと言われたときはさすがに相当勇気がいりました。

原形をとどめなくなった人体表面というのは、やっぱりキますね。
外傷事故のオペはイヤだ、、、、

それがオペ室にいるからまだ見られるけど、事故発生の現場だったら完全にダメかも。

実は高速道路で見たことあるんです。何台もの車に跳ねられてバラバラに飛び散った人体の一部を。最初はピンク色の腸の一部が見えて、それは良かったんですが、そのうちちぎれた胴体を見てしまったときはダメでした。

吐き気を催すとかそういうことはなかったけど、正直ショックで、しばらく頭の中が固まっているのがわかりました。


なにごとも、それが日常か、非日常かという違いなんでしょうね。

交通事故現場に携わる警察官とか救急隊員なんかは、現場で気持ち悪いとか言ってたら仕事にならないだろうし、プロとしてその現場の処理をしなくてはいけないという職務上の立場もある。だから、同じ物を見るのでも傍観者とは視点が違うわけで、心持ちも違うんでしょう。

もし自分でも、オペ室以外で血だらけの状態の人を見たら、、、、そう考えると、仕事モードかそうでないか、そんな違いなんだと思います。

最後に新人オペナースの皆さんへ:

直接介助の仕事は基本的に長時間の立ち仕事なので「貧血」というのはよくあります。(ベテランであってもね)あ、なんかアヤしいなと思ったら、早めに外回りさんに伝えてください。イスなんかを用意してもらってサッと座ってしまうのが一番。決して無理しないでくださいね。

いちばんコワイのは術野の中に倒れ込んでしまうこと。くれぐれもそんなことにならないように、調子悪いときはすぐに声に出して伝えること! そして倒れるときは後に倒れること(笑)

とにかく頑張りすぎないこと、これ重要なことなんですよ。
posted by Metzenbaum at 01:46 | Comment(3) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]