2017年02月24日

「最後のオペ」記念撮影 なにが問題?

2月22日にフジテレビ系列でスクープとして流れたこのニュース。




どう思います?

この院長先生も、こんな論調でマスコミに突かれてしまったから、「患者に申し訳ないことをした。軽率だった」と謝罪をしているけど、まあ、そんな特別なことじゃないし、大げさな! という思いもあるんじゃないかと思います。

どこの手術室でもふつうにあることですよね、きっと。


そもそもスクープと銘打ったこの報道。

これって事件でもニュースでもなく、ただのゴシップ報道だと思いません?

「最後のオペの記念とはいえ、全身麻酔で眠らせ、何が起こるかわからない状態の患者と写真を撮るという、非常識な行動。」と断罪する取材記者。

あまりに浅いというか、軽いなぁ。さらには主観的すぎるしロジックがなにも見えません。なにが問題なのか、論旨が不明です。

この文面を見るかぎり、この取材記者は、手術室を常に全身全霊を込めての真剣勝負が繰り広げられている神聖な場、みたいに考えているんでしょうね。

だからこそ、非常識、という短絡的結論に至っているのでしょう。

正直、ドラマの見すぎじゃない? くらいにしか言えないです。


またこの問題を別の視点で、患者に無断で写真を撮ってSNSに晒したことを問題とする見方もあります。

こっちに立脚したとしても、このFNSの報道はマズイです。

「SNS上にアップされた、1枚の写真。真剣に手術をしているとみられる医師と対照的に、ピースサインをしてみせる看護師。さらに、カメラ目線でポーズをとる医師たちの姿もあった。しかし、その下には、手術台に横たわる患者の手。」

患者の手に肖像権があるのかどうかはわかりませんが、まあ、無許可で他人の写真をSNSにアップしたことは問題だとしましょう。

でも、患者の肖像権を侵害した写真をSNSに載せるのと、全国ネットのテレビ放送で載せるの、どっちが問題なんですかね?

そもそもフジテレビ側は、SNSにアップした看護師に写真の公開許可をとったんでしょうか?

また、手が写り込んでいる手術を受けた患者に、「あなたの手の写真を公開しますよ」と許可を取ったんでしょうか?

幸い、この取材記者は患者の権利云々ということは主張していませんが、もともとは問題ではなかった、もしくは小さな問題をいたずらに拡大して、この記者はいったい何をしたかったのか? 正義の名の下、無責任に騒いで野次を飛ばしているだけにしか見えません。


いろんな意味で、巨大ブーメランが返ってきてそうなこの報道。

なんとも微妙でした。

同業者の皆さんはどう捉えたでしょうか?

法的な問題、倫理的な問題。

いろんな視点がありますが、確実に言えるのは、SNSの拡散性を正しく認識して、クローズドな世界とSNSをごっちゃにする危険は認識した方がいいですね。

(そういう私もYahooニュースのページのキャプチャ、許可とってませんけどね。引用の範囲とご理解いただけたら…)






posted by Metzenbaum at 07:59 | Comment(1) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2015年08月07日

手術中の音楽は事故発生率を上げる、という研究

興味深い報道がありましたので、クリップしておきます。

手術中の音楽、患者の安全を脅かす恐れ 研究




手術中の音楽、患者の安全を脅かす恐れ 研究
2015年08月07日 11:01 発信地:パリ/フランス

【8月7日 AFP】音楽をかけながらの手術は、手術チーム内で会話が聞き取れずに指示を繰り返す可能性が、音楽をかけていない場合と比べて5倍高いとの研究結果が、5日の専門誌「先進看護ジャーナル(Journal of Advanced Nursing)」に掲載された。音楽をかけながらの手術は一般化しているが、論文はこの習慣に疑問を投げかけている。

研究論文は「手術室での音楽は(手術)チームのコミュニケーションをさまたげる可能性があるが、安全を脅かす恐れのあることとしてはほとんど認識されていない」と警告している。

研究者によると、50%以上の手術が音楽をかけながら行われている。割合は国によって異なり、たとえば英国では音楽をかけながらの手術が72%に上っているという。

■音楽かけながらの手術、返事促す回数5倍に

手術室で音楽をかけるのは最近始まったことではない。100年前、英国の草分け的な外科医は、手術前に麻酔をかけた患者の気分を落ち着かせるために、音楽家を雇って演奏させていた。だがこの慣習はやがて、患者のためのものから、手術スタッフのためのものへと変化して行った。

外科医が音楽をかける理由は、ストレスの緩和、ホワイトノイズの遮断、集中力アップなどさまざまだ。しかし、その有効性や悪影響についてはこれまでほとんど検証されたことがなかった。

英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の上席研究員、シャロンマリー・ウェルドン(Sharon-Marie Weldon)氏ら研究チームは、英国で6か月間に行われた音楽のかかっている手術、かかっていない手術、計20件を録画した。

結果、医師あるいはスタッフが、話し掛けた相手に応答を求める事例が5000回以上あった。そのような事例は、音楽がかかっている場合がそうでない場合の5倍だった。

「音楽に外科医の集中力を高める効果や外部の雑音を遮断する効果があるかどうかにかかわらず、チームのコミュニケーションを損なう恐れのあるものは何であれ、患者の安全を脅かす恐れがある」と、論文は結論付けた。(c)AFP





日本の手術現場で音楽なしというのはあまり考えにくい状況ですが、オペ中に音楽を、というのは世界共通事項だったんですね。

そこだけでも興味深いところですが、このような研究対象になるとは!

オペ室の看護師さん、職場の「看護研究」で、このネタ、いかがですか?

術者の音楽の趣味とBGMの相関を取ってみるとか(笑)





posted by Metzenbaum at 11:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2015年07月18日

「なんかヘン」を見抜く急変前の察知 ミラクル★メソッド

院内急変対応トレーニングとしてのBLSとACLS。

もはやそれだけで済む時代は終わった、ということは、このブログでも何度も書いています。

といっても、なかなか皆さん、納得してくださらないのですが、そんな方はぜひ、今月号のエマージェンシー・ケア誌の特集記事を見てみてください。

救急看護分野の専門雑誌ですが、きっと病院の図書室でも置いてあると思います。



冒頭の一節を引用してみますね。

「院内心停止の70%は、その6〜8時間前以内になんらかの症状やバイタルサインの異常があると言われています。また『急変』とは『急に変化した』ということですが、実際には急に変化をしていなくても、その徴候を見逃していれば、気がついたときには『急に変化した』ということになります。」

これ、私がいつも「患者急変対応コースfor Nurses」や、「AHA-PEARSプロバイダーコース」で言っているのと同じことです。

ACLSプロバイダーマニュアルG2010に書かれている、院内心停止は「救助の失敗」であるというのも同じことですね。

院内心停止の多くは防げる、という認識に世の中は変わってきているのです。

言い換えれば、「急変」という言い訳は通用しない時代になっています。

変化に気づく閾値が低いから「急」と感じるだけであって、それは看護者の能力・観察力が低いだけ、とも言われているわけです。

ちょっと考えてみてほしいのですが、「急変が多い病棟」というのはどういうことなんでしょうね?

なにか憑いてるんじゃない?

みたいなジョークではなく、看護のレベルが低い病棟、という視点で見なおしてみたらどうでしょうか?



心臓が停まったあとの対応(つまり、これがBLSとACLSです)ができなくてはいけないのは、今までと変わらないにしても、ACLSプロバイダーマニュアルでも述べられているように、ACLS教育は院内心停止を減らすというアウトカムに関しては十分な成果を出せていません。

それは院内での突発的な心停止は2割程度に過ぎないというデータから、BLS/ACLSがダイレクトに適応となる急変は、院内の2割り程度にしか過ぎないからです。その他の心停止は、心臓が停まる前の様態変化の段階で気づいて介入し、心停止にさせないというレベルでの対応が求められています。いちど心停止になるとその予後は悪いのは言うまでもありません。

つまり院内の心停止を減らしたいと考えたら、心停止の予兆に気づいて、心停止にさせないためのメソッドが必要なのです。

それが先の雑誌特集でコンパクトに纏めてあるのですが、キーワードを挙げると、

 ◆着眼点としての呼吸・循環・神経
 ◆ABCDEアプローチ
 ◆SBAR
 ◆RRT(Rapid Response Team)

といったところでしょうか。

1.急変の予兆は「呼吸・循環・神経系」の異常として現れるから、日頃からこの3つの視点に合わせた観察に慣れておくこと。

2.呼吸・循環・神経系を細かく見ていき、安定化させるためのメソッドとしては、救急界の常識、ABCDEアプローチで。

3.生命危機につながる異常に気づいたら、体系的な報告様式(SBAR)を用いて、無駄のない効果的な応援要請を行い、医師や病院内の救急対応システムを動かすこと。

といった流れが、イマドキ風の急変対応とその教育になります。

詳しくは、ぜひこの記事を読んでみてください。


ここで概要を掴んでもらったら次の段階へ。

知っていることとできることは別問題、ですよね。

訓練としては、私はAHAのPEARSプロバイダーコースが最適と思っています。

ただし、映像を使ったディスカッションだけではなく、シミュレーションを省略せずに行うのが重要。
(開催団体によってはシミュレーション訓練を省いているところも多いので注意!)

リアルな急変場面の映像をみて、体系的アプローチで評価をして、それを自分の言葉で報告(通報)すること。
やってもらうと、だいたいの皆さんがうまく行きませんので、AHA講習には含まれない内容ですが、「(昨今の常識として)SBARっていう方法知ってる?」と紹介し、試してもらっています。

そして、医師到着までの間、チームダイナミクスを活用して安定化を計るという訓練。

こんなあたりが、いま、求められている病院での急変対応教育なんじゃないかと思います。


皆さん、お気付きの通り、メソッドはわかったけど、それをどうやって訓練していくのか、というのが問題で、昨今の救急看護に関する学会に参加すると、「気づき」を高める方法、報告訓練、あたりをテーマとした発表が増えてきています。

既存のプログラムとしては、

・AHA-PEARS Provider Course(ペアーズ)
・患者急変対応コースfor Nurses
・INARS(アイナース)

あたりですが、これらを参考にオリジナル講習を構築するというケースが多いようですね。

救急看護学会あたりが、ナース目線で日本のナースにマッチしたプログラムを開発・普及してくれることが望まれます。




posted by Metzenbaum at 18:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2015年05月15日

看護師ができる救命処置:喉頭鏡とマギール鉗子

窒息解除法といえば、ハイムリック法と腹部突き上げ法が有名ですが、これはどちらかというとプレホスピタルやバイスタンダーによるファーストエイドの話。

医療機関での「処置」としての窒息解除では、吸引や鉗子による除去がよく行われます。

吸引装置があれば、看護師ならサクッと使って救命をトライするかと思いますが、鉗子を使った除去についてはどうでしょう?

看護師でもできる応急処置:喉頭鏡とマギール鉗子
喉頭鏡とマギール鉗子


現実、あまり行われていないと思いますが、喉頭鏡とマギール鉗子を使った直視下の異物除去も看護師が行っていいことになっているそうです。

「口腔内ならびに咽頭内異物による換気不全では、直接喉頭鏡を用いマギール鉗子や吸引による直接の異物除去はは備品や設備があれば看護師が施行できる処置である。」

(篠崎正博:エマージェンシー・ケア誌 vol.18 no4 , p.12, 2005)


根拠となるのは、逆説的ではありますが、救急隊員が行える処置だから、ということのようです。医療従事者としての免許を持っていない救急隊員(救急救命士以外)でも行える処置なので、看護師なら当然できる、というロジック。

もちろん、他の看護技術と同じで、やったこともないのに訓練も受けてないのにやっていいという話ではないのはいうまでもありませんが。


また、あくまでも口腔内や咽頭内の異物だというのも一応建前上のポイントかなと思います。

喉頭展開は絶対的医行為と考えるようです。

このあたりは、新生児蘇生(NCPR)で、「ナース(助産師)でも気管内吸引はするけど、気管挿管はしちゃダメ」というあたりにも似てるかもしれません。




posted by Metzenbaum at 23:52 | Comment(4) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2014年08月28日

「白衣の天使」のホントの意味

天使ってなに?

天上界にいる神さまと、地上にいる下々の人間をつなぐメッセンジャーだよね?

看護師のことを「白衣の天使」ということあるけどさ、





なかなか姿を現さないで、出てきてみると難解な言葉で、ありがたい箴言を賜るお医者様。

そして下界にいる患者さん。

恐れ多くて質問もできやしない。

その間を取り持つ存在。

だからナースは白衣の天使なんじゃない?


この現代にナースを白衣の天使と呼ぶとき、それは医療ヒエラルキーとパターナリズムの揶揄に思えてならない。




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2013年01月24日

オペ室でもiPhone、便利!

今日、骨折手術の外回りに入っているときに、新人ナースが「明日、初めて観整固(観血的整復固定術)の手術に入るんです。見学に来ました」とやってきました。

レントゲン写真とか、実物のスクリューなんかを見せつつ、オペの合間であれこれ説明をしていたのですが、こんなときに役立つのはiPhoneに入れている過去に作った骨折手術手技のプレゼンスライド。

骨折手術の説明プレゼン

過去の資産を有効活用する意味でも、日頃持ち歩いているスマートフォンに入っていると、ここぞというときに出せて便利。

ナースステーションまで戻ればパソコンにも入れてるんですが、必要なときにサクッと出せるという意味では、iPodとかiPhoneのような携帯端末が有効です。

その他、滅菌手袋装着の動画なんかも、便利に活用しています。

参考にどうぞ。



posted by Metzenbaum at 23:31 | Comment(2) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2012年09月22日

現場教育に厳しさは必要?

オペ室内で「職場環境を良くしよう!」というアンケート調査を行いました。

管理職に相談した上で、きちんと組織だった形でやったらきっとスタッフの本音はでないだろうと思ったので、私が個人的に部署内カンファレンスで全員に持ちかけて、匿名性を死守するということで自由記載で意見をもらいました。

結果、赤裸々な意見が噴出。どうやってそれを公開するか、悩みに悩んで体重が2キロ増えてしまったくらい。で、それを元に、みんなで共有すべき問題を抽出、改善策を考えるということをやってみました。

そんな取り組みの中から、どこの職場でもあるような当たり障りのない部分を幾つかをご紹介しょうと思います。


「後輩指導が厳しすぎる。やり方が陰湿でイジメみたいな場面が見受けられる」という指摘

まあ、どの職場でも似たようなことはあると思います。指導する側としては、相手のことを思ってやっている愛情なんだ、という言い方をよくします。今回の意見交換の中でもやはり上からそのような意見がでました。

この問題で、よく言われるのは、仕事している以上、厳しくて当たり前、とか、最近の新人は生ぬるい。ちょっというとすぐに仕事に来なくなる、とか言われることもあります。

そして当の指導される側としては、辛く思い悩んでいるという事実。

このあたり、皆さん、どう考えますか?

どうも、私は体育会系にありがちな「シゴキ」のような負のスパイラルを感じてしまうんですよね。

on the job trainingは、「ひとりで業務をこなせるようになる」のが目的であって、それ以上でもそれ以下でもないのでは?

新人指導は効率よく「できるようになってもらう」ことに主眼を置くべきで、そこに「社会の厳しさを教えてやる」的なものって必要? と思うのです。

"しつけ"までしてやるって言われたら、私だったら「余計なお世話です!」っていうだろうな。



指導に厳しさは必要か?

自分たちがそうやって育ってきたら、そういうものだと思い込んでいて疑わないのだと思いますが、厳しさという名目で、新人さんたちを気持ち的に追い込むことは教育的に見てプラスなのかどうか?

諸先輩方はよく言います。あの時厳しくしてもらってよかったと今は思っていると。

そう言われてしまったら、下の子たちは何も言えなくなります。その言葉をもって、若い子たちは耐え忍ぶわけですけど、よくよく考えたら、それって単なるコーピングの一種なんじゃないかと思うんですけど、どうです? みなさん。

人間ってうまくできていて、嫌な思い出は忘れてしまうか、美化していい思い出にすり替えることで心を守る働きがあります。

あの時は辛くて辛くて死にたかったくらいだけど、今になったらいい思い出です、的な。

ホントはつらい思い出しか残っていないけど、心が耐えられないから、よかったものだと思い込む。ホントに厳しくされてよかったんですかね? イジメられるのが好きな嗜好の方もいるかもしれませんけど。

そんな先輩の言葉って、真に受けちゃいけないよなと私は思ってしまうのです。

後輩への厳しい指導に関して、あれこれ意見が出る中で、私はこんな話をしてみました。

それがみんなにどう届くかはわかりませんが、少なくとも厳しい指導は厳しい指導で意味があるという上から下への一方的な意見だけではない、ということが伝われば。

本人のために良かれと思ってやってあげたことでも、本人がそれで苦痛を感じるって教育的にどうなんでしょうね。極端な話、それで人を殺したという事件もあったわけです。相撲部屋の「可愛がり」事件とか。本人は正義のつもりでやっていても、結果的にそれは人を傷つけるだけだったり、正義に名を借りたイジメだったり。

教育も、経験や伝統ではなく、きちんと科学に根ざしたやり方も知っておきたいですね。それとなにより、目的を明確にすること!


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2012年05月25日

手術室で「看護」の教育をしていますか?

久々にオペ室ネタです。

4月からフレッシュな新人ナースが入ってきて、院内の異動者とあわせると8名の新人さんたちでオペ室はあふれかえっています。

そんな新人さんたちと一緒にオペにつくことも少なくないのですが、ここ最近は完全に教育担当から外れているので、新人さんたちの進捗状況もイマイチ把握出てきておらず、戸惑う場面がしばしば。

そこで改めて思ったのは、新人教育として、挿管介助とかA-Line介助、とかの到達目標はあってチェックリストもしっかり作られているのですが、ナースとしての総合力に関する教育とか評価基準がないんだなという点でした。

いずれも部分的なトレーニング、つまり臨床場面の一部を切り取ったものでしかなくて、例えば外回り業務といった一連の流れの中での実行性というか、パフォーマンスは必ずしも鍛えられていない、ということです。

挿管介助ができて、抜管介助ができて、対極板のシールが貼れて、、、

一つ一つができたとしても、きっと手術の外回り業務はできません。

まあ、当たり前の話なんですが、一つ一つのパーシャル・タスクを積み重ねて、手術の外回り業務というパフォーマンスに仕上げるための、間をつなぐものが教育システムの中にないというか。

これは新人さんたちの目標の立て方にも端的に現れてきます。

今日はV-Lineの介助を完璧にできるようにしたいです、とか場面を切り取った形ので目標はよくあげてくるのですが、そんなこと以前に入室時に患者さんへの声かけや非言語的コミュニケーションがめちゃくちゃだったり。

モニターを装着するときにどんな風に説明しながらやってくの?

患者さんに服を脱いでもらうときの配慮の仕方。

こんなことはチェックリストには載っていないので、教育システムとは別の部分で自然と身につけていくしかない現状。

でも、私たちの仕事って「看護」なんですよね。

「診療の補助」という医師の助手的な業務に関してのみチェックリストを作ってきっちり教えて、ってやってます。でも、そんなことより看護の視点だとか看護介入を教えるべきだと思うけど、現在の教育カリキュラム・システムの中にはまったくない。

かつて自分も手術室の教育プログラム策定には関わってきて、多分に意見もしていたのですが、教育を離れた今になって気付いたこと、でもあります。

手術室看護師の場合、最初のうちはどうしても器械出しを含めた技術習得が中心となって「看護」を実感できる場面が少なくて、バーンアウトしたり、離職したりということが多い職場です。

だからこそ、診療補助のテクニカル・スキルのトレーニングだけではなく、看護としてのノン・テクニカルな部分も教育システムとして強調して意識させるべきじゃないかと思いました。

ただ、具体的にそれをどうするか?

それは、インストラクショナル・デザインを学ぶ者としての私の今後の課題です。


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2011年02月19日

日本環境感染学会 in 横浜

今日は横浜で開催された日本環境感染学会に行ってきました。

日本環境感染学会

感染関係の学会は初参加だったのですが、いろんな職種の発表が入り混じっていて面白いですね!

演題をざーっと見ていて思ったのは、今年は手指衛生がすごく多い。

それも看護師からではなく、薬剤師さんや臨床検査技師、歯科医師などからの報告もあって、視点やベースになるものがずいぶん違っていて、一口で医療現場の手指衛生とくくってはいけないのだと実感しました。


手術時手洗い法に関する発表もたくさんありましたよ。

企業の展示ブースでもウォーターレス法用のグルコン酸クロルヘキジン配合の擦式アルコール製剤のラインナップが多くて、時代は完全にウォーターレス法にシフトしているのを感じました。


さて、今日の日本環境感染学会参加を通して書きたいテーマは次の2点。


1.ナースのプレゼンテーション

2.学割の魅力

ページを分けて書かせてもらいます。
posted by Metzenbaum at 23:48 | Comment(1) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2010年11月11日

シカゴ外科学博物館

いま、アメリカのシカゴに来ています。

AHAインストラクターとして、アメリカ心臓協会(AHA)のガイドライン2010アップデートを受けるためにはるばるシカゴまで。

資格更新でハワイには何度か行っていますが、アメリカ本国は初めて。

初めての場所だと、空港からどうやって町中へ行こうとか、街の勝手もわからずドキドキです。

幸いIPhoneが使えるので、調べ物はすぐできるし、地図とナビ機能も便利。

大いに助かってます。


さて、到着してすぐの今日は、時差ぼけでぼーっとなりながらも、地下鉄に乗って街の中心地に行ってブラブラと。

シカゴというと博物館や美術館が有名なのですが、ぼけた頭で中途半端な時間で行くのもナンなので、結局、ちょっと離れたところにある医療史博物館に行ってきました。

Museum of Surgical Science

という医大に併設された博物館。

正確には外科学博物館、でしょうか。

シカゴ外科学博物館

行ったときはたまたま特別展の最中で、日本でもおなじみの「人体の不思議展」をやってました。

プラスティネーション(プラスとミック)という体液を樹脂に置き換える技術で保存した本物の人体の解剖学展示。

展示内容は企画展に完全に入れ替えられていて、もともとの展示物(昔の医療器具)などは、プラスティネーション標本の合間におまけみたいな感じで展示されていて、たぶん展示数も相当減らされていたんだろうな。

ちょっと残念。

海外に行くたびに、この手の医療系の博物館には行くようにしているのですが、どこも置いてある物はだいたい同じですね。

器具で行ったら、抜歯鉗子、穿頭のドリル、児頭鉗子など。

特に鉗子分娩の鉗子はどこも沢山取りそろえてあります、なぜか。

ここは外科学博物館というだけあっておもしろいなと思ったのは、消化管吻合に使う自動縫合器や吻合器開発の歴史的推移が展示されていたところ。

ぜんぜん知りませんでしたが、自動縫合器の開発には日本人も関わっていたみたいですね。

特にNakayama式というタイプは、今のエチコンの原型になっているような感じ。

そのほか企業から提供された人工骨頭や、髄内釘のT2、頸椎前方固定のプレミアの原型みたいなプレート、PLIFに使う腰椎後方固定の器具など、インプラントの歴史をおうような展示も個人的にはおもしろかったです。

市街から地下鉄で3、4駅。普通の人がわざわざ行くような所ではないかもしれませんが、オペナースの皆さんでしたら、ぜひどうぞという博物館でした。


ちなみに本来のこの博物館の目玉は、インカ時代のお墓から出てきた外科手術の跡がある頭蓋骨。

血腫除去なのかな? かなり大きな穴が空いた頭蓋骨が展示されています。

驚くべきは、穴の輪郭に仮骨が形成された跡がある点。

つまりその人は手術後に何年も生きていた、ということです。

直径3センチくらいは空いてましたが、不思議。


ということで、シカゴ日記でした。
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2010年09月24日

手術室ナースはもっと強気に出ていいんじゃない?

先日、こんな新聞報道がありました。


『看護師不足で手術待ち760人…横浜市大病院』

(2010年9月17日09時14分 読売新聞)

 横浜市立大学付属病院(横浜市金沢区、631床)で4月、手術待ちの患者が計約760人に上っていたことが同病院のまとめでわかった。

 手術担当の看護師が足りず手術件数を増やせないことが要因で、初診から手術まで2か月以上かかるケースも多い。同病院は「緊急度の高い患者は優先して手術を行っており、生死にかかわるような問題は起きていないが、患者の不安を軽減させたい」として、看護師確保を目指している。

 同病院によると、院内から「手術室が有効に活用されていない」という意見が寄せられたため、同病院の外科系診療科の各部長12人を対象に4月にアンケートを初めて行った。その結果、手術待ちの患者数は、整形外科300人、泌尿器科120人、一般外科や眼科が各60人、形成外科が48人――など計760人いた。

 初診から手術までにかかる期間は、皮膚科の1〜2週間を除き、脳神経外科や口腔(こうくう)外科など5科が「1か月〜2か月」、形成外科や泌尿器科など6科が「2か月以上」と答えた。

 同病院の手術室で働く看護師が、望ましい51人よりも8人少ない43人で、12の手術室のうち、8室ほどしか手術の予定を組むことができない状況だ。手術担当の看護師は勤務時間が長いため、希望者が少ないという。

 一方、2009年度の同病院の手術件数が初めて5000件を突破するなど、がん患者などで手術が必要な患者が急増していることも手術待ちの患者が増えている原因になっている。

 同病院では看護師を増やすため、就職する看護師を対象に支度金にあたる「入職準備金」20万円を支給する制度を今年度から新たに設けた。また、今年7月から手術室の看護師専用の駐車スペースを新しく5台分確保するなど待遇の改善もしているという。

 同病院は「病院だけでなく、大学を挙げて看護師の確保に取り組んでいきたい」としている。

(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100917-OYT1T00247.htm)



この問題、看護師不足と手術室看護師不足がごっちゃになっていますが、本質は手術業務をできるナースの絶対数が足りないことでしょう。

手術室から病棟へ手伝いに行くことはあっても、その逆は逆はまずありません。


病棟業務はナースならある程度誰でもできるけど、手術室業務はまず無理。

手術室で働くナースにいかに特殊なスキルが求められているか、ということです。

手術室で一人前に働けるナースに成長するまでは3年はかかると言われています。

いくら病棟からベテランナースが移動してきたとしても、この3年というのは変わりません。



病院の中で一番の稼ぎ頭でもある「手術」を支える特殊技能を持ったオペ室ナース。

この人たちがいなければ、いくら優秀な外科医がいても手術は回りません。


想像してみてください。仮にオペ室ナースが全員ストライキを起こしたらどうなるか?

他部署からの補充はまず無理ですし、オペ室経験のあるナースを雇おうにもそうそう見つかるわけもない。

手術室が1日動かなければ、下手すれば億単位の経済損失。


オペ室ナースって実は病院にとって、とても重要な存在で大事にすべき。

看護部のコマの一つとしてコロコロとローテーションさせたり、興味がないような人を無理矢理配属するような場所ではありません。


なんてことが、この事件から少しは看護部長クラスに伝わればいいのになと思っています。
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2010年05月15日

IPhone

この前、携帯電話をIPhoneに変えたという話を書きました。

もともと、私、携帯電話って持ってなかったんです。

携帯をはじめて買ったのは、休日の緊急オペ呼び出しのオンコール番のとき、家にこもってなくていいように、というのがきっかけだったので、携帯を持つようになってからまだ5年もたってません。

病院からの呼び出し用に買ったようなものですから、使い道はもっぱら着信のみ。自分から発信することはほとんどなかったし、ましてや携帯メールなんてものは、まったく使いこなせず。

小さい10個のキーで文章を書くなんて高度は技はパソコンに慣れきった私には使えるわけもなく、携帯にメールをもらっても返事ができないから人に教えていなかったし、たまに来るメールにも返事は自宅のパソコンからという始末(笑)


パソコンはそれなりに使いこなしている私ですが、携帯はとことんダメでした。(周りの人からは、今どき信じられない人! と言われます)

パソコンメールに関しては、かなりヘビーに使ってます。私は看護師以外にいくつもの兼業を持っていて、心肺蘇生講習のイベント企画や物書き、NPO法人の事務管理、複数のホームページの管理ならびに問い合わせ対応など、それらはすべてメールでのやりとりが基本。そんなわけで、病院での仕事が終わって家に帰るとメールボックスには、必要なメールだけで5ー60件なんてざら。

それを夜の9時、10時に帰ってから処理するのですから寝るのはいつも2時、3時なんて具合でした。


これがIPhoneに変えてみたら、あれって、携帯電話というよりは小さなパソコン、インターネット端末。パソコンメールに普通にアクセスできて、速度もそこそこ。病院の昼休憩時間なんかにもメールをチェックして、ちょっとした返事ならできるし、そうでなくても家に帰るまでの間に返事のアイデアを練れるので、ずいぶんと楽になりました。

好き嫌いはあるみたいですが、パソコンと同じキー配列で文字入力ができるのも魅力。あれがなければ私は携帯で文章を書こうなんて思いませんもん。


あとすごく便利なのが、カレンダー機能でのスケジュール管理。

紙の手帳は捨てて、今はIPhone一本です。

パソコンで入力したデータとIPhoneのデータを自動で同期できるので、パソコンの上でメールで舞い込んできたスケジュールを、パソコンのカレンダーに貼り付けすれば、それがIPhoneでいつでもどこでも見られる、これって便利です。

待ち合わせ場所の住所や連絡先を手書きで手帳に写すって結構面倒です。

それがコピペでいいし、住所の地図(Google Map)なんかのURLを貼り付けておけばIPhone上でも地図が見れるし。

あと院内・院外を含めて、月に5−6回の心肺蘇生講習の企画・運営を行っているのですが、その参加受講者とインストラクターの管理にいつも苦労していました。これも申し込みがあった時点で、IPhoneでもパソコンでもカレンダー上に入力しておけば、いつでもどこでも参照できて便利。

これまで苦労していたことがIPhone1台でだいたいどうにかなってしまうというのが、使って見ての驚きでした。

大げさなことをいうと、ライフスタイルが変わります。

パソコンとインターネット相当のものをいつでも持ち歩けるということに加えて、パソコンの使い方も変わってきます。いままではパソコンの中にしか入っていなかったデータが、「同期」によって自由に持ち出せてどこでも見られるようになる、編集できるようになるのですから。



以上、私的な利用についてでしたが、病院での仕事でもIPhone、便利です。

電波の入る場所に限定すれば、無料で医薬品「添付書類」の検索、閲覧が可能。

有料でよければ「今日の治療薬」をインストールすれば、電波をオフの状態でもいつでも検索できますから、オペ室の中でもいつでも薬を調べられます。

あとちょっとしたメモやIPhoneで取った写真を簡単にパソコンと同期できますから、気づいた点をちょこちょこと貯めていけば、それがパソコンにも蓄積されて、後々便利に使えるデータベースになります。

図書室で雑誌を読んでいて気になる記事があったら、IPhoneのカメラでカシャ。コピーを取るほどではないようなちょっと気になるという記事でも気軽にカメラでスキャン(傾きを補正してスキャンしたように画像処理してくれるアプリがあるんです)。これも便利。


仕事がらもらう名刺もIPhoneで撮影して全部写真画像で管理(タグを付ければ検索できるようになります)。

整形オペで予定外にインプラント業者に連絡しなくちゃいけないときとか、いつも持ち歩いているIPhoneにすべてデータが入っているという安心感は絶大です。


書き出したらきりがないのですが、日本の携帯文化に慣れている人にはイマイチなIPhoneかもしれないけど、パソコンベースで動いている人間にはとっても画期的な道具で、いまはまっています、というお話でした。
posted by Metzenbaum at 14:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2010年04月24日

意外とこれまで気づかれなかったんです

4月に入職してきたオペ室一年生の皆さん、今週は器械出しデビューで、きっと緊張の一週間だったことでしょう。

今頃ほっとしている頃かもしれませんね。
(日曜日になると、また新しい手術のことで頭がいっぱいになっちゃうかも)

さて、今日は久々に「雑談」として四方山話を思い、キーを叩いています。


今年入ってきたオペ室一年生の一人に早くも私の素性がばれてしまいました。

インターネット上では派手に色々書き散らかしていますが、職場の人たちはそのことは知りません。

別に隠しているわけでもないけど、宣伝しているわけでもない、ただそれだけなのですが。

手術室の看護に関して、インターネット検索するとあちこちで私のブログ記事がヒットするのでそのうちみんな気づくでしょ、程度に思っていましたが、意外とこれがバレないんですよね、不思議と。

このブログを始めてもう何年もたちますが、その間で職場の人にバレたのって過去に二回だけ。ヒントはいっぱいあるはずだけど、要は私の職場の人たちがあまりインターネットを活用していないってことなんでしょうね。

確かに職場でのパソコン・リテラシーはそれほど高くないです。

携帯電話は皆さんすごい勢いで使いこなしていますが、自宅できちんと回線を引いてインターネットを活用している若い子ってそれほど多くないんでしょうね。


携帯といえば、ちょっとまえにIPhoneに変えました。

あれ、すごいですね。

携帯というよりは、ポッケにはいるパソコンといった感じ。

医療現場でもけっこう使えます。

いま、職場で、仕事にIPhoneを活用しているドクターも増えてます。


次回はそんな話を書こうかなと思います。
posted by Metzenbaum at 02:51 | Comment(4) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2010年03月01日

手術室看護の専門性、「看護管理」誌記事

手術室業務をマジメに考えている人必見の雑誌記事特集。

雑誌「看護管理2010年2月号」


「看護管理」2010年2月号
 =周術期看護を取り巻く諸問題=

■≪インタビュー≫標準的で,安全性が担保された手術室の効率運営に向けて
 −周術期のオペレーションを集学的な研究領域へと発展させるために
■≪インタビュー≫手術看護の独立性,専門性とは何か
 −手術部看護師の配置基準創設に向けて

■手術看護の専門性確立に向けた支援
 −手術部看護師長として人事労務管理改善のため行動する
■手術看護における質保証の仕組みづくり
 −認定看護師の活用と予防倫理に基づく実践
■手術室に配属された看護師の教育体制の構築
 −ゆるやかな専門化と定着をめざして
■手術器械出し専門職員(スクラブテクニシャン)の育成と臨床活動に関する検討
 −手術看護の専門性とは何か

■≪インタビュー≫周術期チーム医療の理想的なあり方,看護師が果たす役割とは
野村実氏に聞く
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2009年12月01日

手術室看護師にACLS訓練は絶対に必要です

予告した手術室でのACLS勉強会が終了しました。

結論:
手術室では、BLS〜ACLSまでの一貫した知識とトレーニングが不可欠


手術台にACLSに対応した心電図波形が出せるマネキンをおいて、急変場面を想定、実際に廊下にある除細動器を取りに走ってもらいました。

BLSだったら、コードブルーで医師が到着したら、引き継いでおしまいというパターンですが、場所は手術室ですから麻酔科はその場にいます。

ましてや手術室という特殊区域ですから、そもそも外部から医師やスタッフが駆けつけてくれるわけでもありませんし、手術室ナースはそのまま貴重な人的資源であることに間違いありません。

ということで、どう考えても初期発見のBLSだけで終わるわけではなく、むしろACLSの領域の方がウェイトが大きいかもしれません。(病棟だったら、夜勤のラウンドで急変を発見するというシチュエーションが重要かもしれませんが)

BLSがACLSの基礎であることは間違いありませんが、BLSで終わらせたらいけない、というのが手術室の急変対応シミュレーションの基本であるべき、と考えるようになりました。


まあ、本音を言ってしまえば、病院勤務である以上、どんな部署であっても、その場でBLSからACLSに移行していくという意味では同じなのですが、今回のオペ室内シミュレーションを通して、少なくとも手術室ではそうあるべき、と強く思いました。
posted by Metzenbaum at 22:25 | Comment(3) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2009年07月14日

看護師教育、大卒標準へ

日本看護協会の「協会ニュース」の号外が出たのをご存じですか?

看護協会ニュース「大卒標準へ」

保健師助産師看護師法を含む看護周辺法規の改正案が、衆議院本会議を通過、2010年4月から施行されることが本決まりとなりました。


いろんな条項が盛り込まれていますが、なんといっても大きいのが、写真の見出しにもなっている、看護師教育が大学卒業が標準となる点が明示されたこと。

これで、かつての准看護師制度と同様、看護専門学校が縮小閉鎖の方向へ動くことが加速化しそうです。

准看護師と違って、現行の看護師免許は大卒でも専門学校卒でもまったく同じですから、免許制度上の格差はたぶんないと思いますが、病院内での処遇は大卒と専門学校卒でますます違ってきそうです。

わかりやすいところでは、今後は管理職になるためには大卒じゃないとダメってことになるでしょうね。

まあ、もっともいまの病院制度の中では、師長や看護部長への昇格を虎視眈々と狙っている、なんて奇特な方はそうそういないと思いますが(笑)
posted by Metzenbaum at 23:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2009年06月13日

イメージが固まるまで

かねてから準備を進めていた学会のイベントが終了し、ほっと一息の土曜日。

これから頭を切り替えて、頼まれていた単行本に載せるエッセイ約10枚(原稿用紙)に取り掛かります。

数日前に急にきた原稿依頼で、それを受けたときは学会準備で頭がいっぱい。でもまあ、何とかなるだろうと思って引き受けちゃいました。

で、いまそのネタをあれこれ考えているのですが、、、、


ここで思うのは、文章を書くにしてもイベントを成功させるにしても、なにかをアウトプットするにはイメージが固まっていることが重要なんだなという点。

普段すらすらと筆が進むことって、要は日ごろから頭の中であれこれ考えていて、内容や主張が大きなイメージとして固まっているからこそ、文字という形になって外に吐き出せるのだと思います。


今回の原稿依頼は急な話で、これまで頭の中で考えをこねくり回す時間がまったくなく、いまからはじめた段階。

だからちっとも筆が進みません。



依頼がきたとき、あまり考えずに直感で「これなら書ける!」と踏んで、引き受けました。

一応そのときのインスピレーションが小さな点として中核にありますから、その周辺を膨らませてある程度の大きさになったとき、初めて文字として出せるような、そんな気がしています。

こんなときは、パソコンの前に向かっていたずらに文字を打っても、骨格がしっかりしていないから、流れが迷走するだけ。


そこで、私はお風呂に入ります。

で、ぼんやりと頭の中でイメージを膨らませてみます。

いちばん効果的なのは、自宅のお風呂ではなく、温泉だったりスーパー銭湯なんかにいって、数時間を費やすこと。


文字情報が目に飛び込んでこない環境で、何もしない必然性がある空間が重要です。

そうして、イメージが形になってきて、行ける! と思えるようになったら、一気に書き始める。


思えば、これまでもそんなパターンでいろんな場面を乗り切ってきたんだなぁ、と思いました。

そんな手ごたえを感じて、いまパソコンに向かい始めたのですが、なぜか肝心の原稿ではない、こんな駄文を書いている私。


現実逃避?

締め切りまであと数時間。
posted by Metzenbaum at 22:12 | Comment(3) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2009年04月05日

新人オペナースのための参考書案内

4月、新入職者の季節です。

うちの病院に就職してきた60名の新人ナースたちは、先週は病院全体のオリエンテーションで、いよいよ来週から配属部署への勤務が始まります。

今年、私のオペ室には4名のまっさらの新人さんたちがやってきます。

病院全体の懇親会があって、私は一足先に皆さんにお会いしたのですが、やっぱり聞かれるのは「いまからどんな勉強したらいいですか?」という点。

部署配属が発表になったのは数日前だというのに、すでに3冊もオペ室関連本を買ってきました、なんて気合いの入った子もいて、頼もしいかぎりです。

オペ室業務は看護学校でもあまり習わないし、何をするのかイメージが付かず、参考書もあまり出回っていないので、新人さんたちはどうやって勉強したらいいのか、病棟勤務者に比べて悩むことが多いみたい。

このブログの中でも、多い質問が「参考書を紹介してください!」だったりしますからね。


私自身、本好きで本屋のはしごで1日つぶせる人間ですから、このブログの中でもこれは! と思う本をたくさん紹介してきました。

過去ログを読んでいただければと思うのですが、あまりに散在しすぎているので、4月のこの時期、まとめてみました。

これから一人前のオペナースを目指す皆さま、参考にしてください。


まず、オペ室配属になって手術室での仕事の全体像を把握することが先決です。そこでお勧めなのが 手術室の中へ―麻酔科医からのレポート (集英社新書) です。

手術室の中へ―麻酔科医からのレポート」(弓削孟文:集英社新書)麻酔科医が一般向けに書いた手術室での仕事の流れを解説した本です。実は一般市民向けとしてはちょっと難しい内容なのですが、これから手術室で働こうとするナースにとってはちょうどいい感じの本になってます・普通の新書なので値段も手頃。本格的なオペ業務に入るまえにさっと目を通しておきたい本です。

手術室の仕事は「器械出し業務」と「外回り業務」に分かれますが、ここで重要なのは麻酔看護という視点。

よく、プライベートで「看護師です」と自己紹介すると「何科の看護婦さん?」と聞かれますが、皆さんは強いていうなら麻酔科看護師、ということになります。

麻酔のエキスパートであることが手術室看護師に求められていますが、本職である麻酔科医師からみてオペ室ナースはどうあるべきかという点も、この本から読みとれると思います。

次に目を通すべき本としては先日紹介したばかりの『徹底図解 手術と解剖のしくみ―盲腸の切除術から最先端の内視鏡手術まで』(坂井建雄、新星出版、1680円)でしょうか。これも一般人向けなので読みやすいです。主に器械出し業務に役立つ情報がカラーイラスト豊富に紹介されています。

徹底図解 手術と解剖のしくみ―盲腸の切除術から最先端の内視鏡手術まで


オペ室では外科系すべての手術を扱いますので、ひととおりの経験ができるまでは3年はかかると言われています。つまり最初の3年は次々とずっと新しいことが入ってくると言うことです。幅広く書かれているこの本は、そんな数百もある術式に対応するために辞書的にも使えると思います。

カラーイラストでみる外科手術の基本―ILLUSTRATED BASIC SURGERYさらに実際の器械出し業務に入っていったら役に立つのが「カラーイラストでみる外科手術の基本―ILLUSTRATED BASIC SURGERY」です。

手術室看護師もしくは研修医向けの「外科手術の手技基本本マニュアル」みたいな感じで、とにかく器械出しの基礎固めには最適な本。

さらに器械出しを極める、もしくは手術器械に詳しくなりたいという人には「カラーイラストでみる外科手術の基本―ILLUSTRATED BASIC SURGERY」がお勧め。

うちの病院ではどちらかというと、ナースより研修医や新人外科医が熟読している姿がよく見られました。かなりマニアな(トリビア的な?)知識を深めることができると思います。

さらに、各科の具体的な器械出し業務に入っていったときに役立つのがメディカ出版の手術室完全マスターシリーズがお勧め。比較的薄い本ですが、カラー写真入りで視覚的にすごくわかりやすいです。

nouge-kikaidashi.jpg

順次刊行されていくみたいで、今のところ次のようなラインナップです。


消化器外科の器械出し―カラー写真で理解する手順・ポイント・テクニック
整形外科の器械出し―カラー写真で理解する手順・ポイント・テクニック
脳神経外科の器械出し―カラー写真で理解する手順・ポイント・テクニック

ここまでくれば、基礎はバッチリ。あとは足りないとすれば、麻酔看護についての専門的な本はなにか一冊欲しいところです。(現在探し中)

その先は応用編になるかなと思います。
posted by Metzenbaum at 03:41 | Comment(9) | TrackBack(1) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2009年03月28日

手術室看護師としての新年度の目標

またもや季節が巡って、このブログをはじめてから何度目かの4月を迎えます。

4月といえば、手術室にも新人ナースが入ってくるフレッシュな時期。

もしかしたら、理想のナースの仕事像とのギャップに悩む人もいるんじゃないかと、毎年この時期には、新人オペ室ナース向けにポジティブなメッセージを投げかけてきたつもりですが、今年は、、、、、、スイマセン、ネタがありません。

ということで過去記事で申しわけありませんが、こんなページへのリンクを張らせてください。

『オペ室ナース1年生にエールを!』(2008年04月08日)


プリセプターやら新人教育担当やらをはずれた去年の1年間。まあ、別のことに必死になっていて忙しかったというのもあるのですが、オペ室内の現場教育からはすっかり遠ざかってしまった気がします。

新しく入ってきた1年生の子たちとも、なんとなく距離が遠いままになってしまっているような。。。


4月も間近なこの時期になって、そんな今までと違う自分に気付くようになりました。

思えば去年は大学で看護学なんてものをまた勉強しなおしてみたり、看護師教育制度を巡って論文みたいなものを書いてみたりと、別の視点から教育を振り返っていたような気もします。

学士(看護学)を取得した今は、今度は学士(教育学)の取得を目指して動き出したところでもありますし、幸運なことにこの4月からは大学で非常勤講師をさせてもらうことも本決まりとなりました。

なんとなく自分の中のベクトルが"教育"へ向かいはじめている今日この頃。

手術室に新しいスタッフがくるという自分自身ワクワクする気持ちを昇華させるためにも、手術室内の教育にもまた力を入れようと思っています。


自分自身がこれまで看護の世界で受けてきた"教育"は決して良いものではありませんでした。どちらかというと児童教育の延長だったと思います。

このブログの中でも何度も書いていますが、大人が大人に教えるためには、押付け教育・詰め込み教育である児童教育の手法は非効率的で、むしろ害になることが多いことが知られるようになってきました。

アメリカ心臓協会の公認インストラクターになったことで学んだ成人教育・インストラクショナル・デザイン。それを手術室の現任教育の現場で活かす、そしてできれば体系化して職場の教育システムとして定着させる。そんな目標を据えて手術室内で活動していきたいなと思っています。

なんだか来年はもう今の手術室にはいないような気がするので、最後の仕事としてなにか残していきたいなぁ。
posted by Metzenbaum at 03:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2009年01月19日

『徹底図解 手術と解剖のしくみ』

私、勤務先の手術室で「図書係」をしています。

年間5万円の予算をもらって、手術室看護師のために役立つ本を選んで購入するというのがその仕事。

もともと本が大好きで、本屋をはしごしては立ち読みだけで1日を過ごしてしまうような人間でしたから、いつのまにかそんな役割になっちゃいました。

実は、このブログで紹介している数々の参考図書も、みんなオペ室スタッフ用に私が選んだ本をご紹介していた、というわけなんです。

昨年もかなりの数の本を選んでは購入してきましたが、ここ最近の大ヒットは 『徹底図解 手術と解剖のしくみ―盲腸の切除術から最先端の内視鏡手術まで』(坂井建雄、新星出版、1680円)という本かなと思います。

徹底図解 手術と解剖のしくみ―盲腸の切除術から最先端の内視鏡手術まで
↑ 『徹底図解 手術と解剖のしくみ』


たぶん一般人向けの本だと思うのですが、その内容はあなどれません。

一般的な解剖学の話から始まって、手術とはなんぞやという話や、手術器具の基本、外科手術操作の基礎、そして各診療科の代表的な手術の概要が、精密なイラストと共に紹介されています。

こういう本って、とかく外科の初歩的な手術、たとえばヘルニアとか胃全摘くらいしか載ってないことが多いのですが、この本は眼科から整形手術まで載っていて、外科系全科を扱うオペナースには最適。

手術室専属の私がみてもとても勉強になる内容だし、オペ室ナース向けの専門書といっても過言ではないくらいのクォリティです。

うれしいのがその値段。あくまで一般書として売り出されているからでしょう、安いんです。

1,680円。

オペ室の書架においてからもこの本は大人気で、新人さんはもとより、そこそこのベテランナースも含めて個人購入してました。(師長がとりまとめて病院図書室を通じて発注。10数冊仕入れたみたい)

すべての手術室・外科系病棟の看護師にお勧めの一冊です。
posted by Metzenbaum at 00:19 | Comment(6) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]