【ブログ移転のお知らせ】

引っ越しました。

【新】オペナース養成講座|https://or-nurse.com/

3秒後に自動的に新サイトの当該ページへ移動します。(2019.1.18)

2017年08月31日

医療用ドリルバー使い回し 看護師だけが処分?

見過ごせないニュースがありました。

使い捨ての医療機器、洗って再使用 兵庫医大病院



整形外科や脳外科、歯科口腔外科などで使用する窒素ドリルの先端バーの再利用。
きっとどこの病院もやっていることだと思います。

むしろ、再利用禁止品だと知らないで、再生するのがあたりまえという感覚すらあるかもしれません。

それが医療現場の現実です。

事実、2006年の調査では、92.1%の医療施設が単回使用器具のなんらかの再使用をしていたという報告があります。


さて、今回、大きく着目したのは、最後の一文。


「同病院は看護師らの処分を検討する」


看護師の責任が問われている、ということです。

これは免許を持って働いている専門家として、自分が手を下してやったことですから、当然と思います。

仮に医師の指示であったとしても、ある意味、「実行犯」なのは事実ですから。


しかし、現場の看護師の感覚からしたら、納得できないという意見も少なからずあるだろうとは思います。

手術室ならびに中央材料室で働いていた自分の経験からは、立場からすると、こうしたことは珍しいことではないし、職場の空気感として、あたりまえで疑問を感じることがないような雰囲気も理解できます。

医師の指示があったとしても、直接指示というよりは、歴代の慣習みたいなもので、昔からそうしているからあたりまえ、ということで、明確な指示の証拠はおそらく出てこないでしょう。

あったとしても、「これ、回しておいてよ」程度の軽い一言。

このことから、恐らく医師の責任を追求するだけの証拠は出てこないと思います。


となると、確実に言えるのは、現場で実際に手を下して再滅菌処理をした看護師の責任だけです。

理不尽だと思うかもしれませんが、免許をもって専門業務についている以上、看護師もその判断と行動の責任はあって当然ですし、専門職者の倫理観としておかしいと思うことはおかしいと声を上げて、場合によっては上司や医師の指示であっても拒否しなければならないのです。

これがただの会社の上司と部下の関係とは違う部分です。

現場感覚では、ただのコマのひとつに過ぎない自覚かもしれませんが、世間からしたら一個の専門家なのです。





使い捨ての医療機器、洗って再使用 兵庫医大病院
8/29(火) 18:43配信
神戸新聞NEXT


 兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市武庫川町)は29日、厚生労働省の通知で手術後に廃棄するよう定められている医療機器を、洗浄して患者130人に再使用していたと発表した。同病院によると、感染症など患者の健康被害は確認されていないが、手術後1年間は経過観察を行うという。

 この機器は、骨に穴を空けるドリルの先端に取り付ける金属製器具4種類。昨年12月から今年7月末にかけ、医療機器の洗浄を担当する複数の看護師が事前協議をせずに、手術で1度使った器具を洗浄、滅菌し、整形外科と脳神経外科で135回の手術に再使用していた。

 7月中旬に厚労省から西宮市保健所に情報提供があり、8月1日、同保健所と近畿厚生局が立ち入り検査。その後、同病院を文書で是正指導した。

 病院によると、看護師らは「厚労省の通知は知っていたが、滅菌して安全性が担保されていれば再使用しても問題ないと思っていた」と説明。同病院は看護師らの処分を検討する。

 相談についてはフリーダイヤル0120・456・613(平日午前9時〜午後4時45分)





参考まで、この手の使い回しは、「違法」ではありません

厚生労働省医薬局長通知(医薬発第1340号)で、製造者には再生禁止を添付文書に記載することを義務付けていますが、医療機関に対しては、再生使用してはいけないとは定めていません。医師の判断・裁量としては許容されている、とも言えます。

平成16年2月9日付厚生労働省医政局長通知(医政発第0209003号)の中では、

「ペースメーカーや人工弁等の埋め込み型の医療材料については医療安全や感染の防止を担保する観点から、その性能や安全性を十分に保証し得ない場合は再使用しない等の措置をとるなど、医療機関として十分注意されるよう(中略)よろしくお願いする」

とあり、再生使用は禁止ではなく、なるべくしないようにお願いね、という程度の扱いになっていることを申し添えておきます。

行政からの通達文で、よろしくお願いする、というのも、歯切れが悪く、背後に渦巻くなにかを感じさせます。




この記事へのコメント
いつも楽しく読ませて頂いております。
ドリルバーの再利用と器械の再利用は、何か違うのでしょうか。私もディスポ品の使い回しは当たり前のように目撃しますが…
これで処分というのは納得いかないですよね。
Posted by STOP at 2017年09月01日 10:44
はじめましてというか昔医龍のときコメントしたひでほと申します。大きいオペ受け歴20回でいろんなオペ受けています。整形は10回以上、消化器外科系も複数回、心臓はAVR2回(それも非代償性肝硬変)、Ao形成、
なぜか、もうだめだというやばい状況で生かされています。
まえおきが長くなりました。創外固定器って再利用可なのでしょうか?1回目の病院でホフマンは買わされたことになっていました。2回目の転院先ではオルソフィックス、レンタルでした。ご指導お願いします。2回目のときは輸血でHCVに感染の肝炎患者でした。
Posted by ひでほ at 2017年09月01日 18:04
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
2017年08月31日

医療用ドリルバー使い回し 看護師だけが処分?

見過ごせないニュースがありました。

使い捨ての医療機器、洗って再使用 兵庫医大病院



整形外科や脳外科、歯科口腔外科などで使用する窒素ドリルの先端バーの再利用。
きっとどこの病院もやっていることだと思います。

むしろ、再利用禁止品だと知らないで、再生するのがあたりまえという感覚すらあるかもしれません。

それが医療現場の現実です。

事実、2006年の調査では、92.1%の医療施設が単回使用器具のなんらかの再使用をしていたという報告があります。


さて、今回、大きく着目したのは、最後の一文。


「同病院は看護師らの処分を検討する」


看護師の責任が問われている、ということです。

これは免許を持って働いている専門家として、自分が手を下してやったことですから、当然と思います。

仮に医師の指示であったとしても、ある意味、「実行犯」なのは事実ですから。


しかし、現場の看護師の感覚からしたら、納得できないという意見も少なからずあるだろうとは思います。

手術室ならびに中央材料室で働いていた自分の経験からは、立場からすると、こうしたことは珍しいことではないし、職場の空気感として、あたりまえで疑問を感じることがないような雰囲気も理解できます。

医師の指示があったとしても、直接指示というよりは、歴代の慣習みたいなもので、昔からそうしているからあたりまえ、ということで、明確な指示の証拠はおそらく出てこないでしょう。

あったとしても、「これ、回しておいてよ」程度の軽い一言。

このことから、恐らく医師の責任を追求するだけの証拠は出てこないと思います。


となると、確実に言えるのは、現場で実際に手を下して再滅菌処理をした看護師の責任だけです。

理不尽だと思うかもしれませんが、免許をもって専門業務についている以上、看護師もその判断と行動の責任はあって当然ですし、専門職者の倫理観としておかしいと思うことはおかしいと声を上げて、場合によっては上司や医師の指示であっても拒否しなければならないのです。

これがただの会社の上司と部下の関係とは違う部分です。

現場感覚では、ただのコマのひとつに過ぎない自覚かもしれませんが、世間からしたら一個の専門家なのです。





使い捨ての医療機器、洗って再使用 兵庫医大病院
8/29(火) 18:43配信
神戸新聞NEXT


 兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市武庫川町)は29日、厚生労働省の通知で手術後に廃棄するよう定められている医療機器を、洗浄して患者130人に再使用していたと発表した。同病院によると、感染症など患者の健康被害は確認されていないが、手術後1年間は経過観察を行うという。

 この機器は、骨に穴を空けるドリルの先端に取り付ける金属製器具4種類。昨年12月から今年7月末にかけ、医療機器の洗浄を担当する複数の看護師が事前協議をせずに、手術で1度使った器具を洗浄、滅菌し、整形外科と脳神経外科で135回の手術に再使用していた。

 7月中旬に厚労省から西宮市保健所に情報提供があり、8月1日、同保健所と近畿厚生局が立ち入り検査。その後、同病院を文書で是正指導した。

 病院によると、看護師らは「厚労省の通知は知っていたが、滅菌して安全性が担保されていれば再使用しても問題ないと思っていた」と説明。同病院は看護師らの処分を検討する。

 相談についてはフリーダイヤル0120・456・613(平日午前9時〜午後4時45分)





参考まで、この手の使い回しは、「違法」ではありません

厚生労働省医薬局長通知(医薬発第1340号)で、製造者には再生禁止を添付文書に記載することを義務付けていますが、医療機関に対しては、再生使用してはいけないとは定めていません。医師の判断・裁量としては許容されている、とも言えます。

平成16年2月9日付厚生労働省医政局長通知(医政発第0209003号)の中では、

「ペースメーカーや人工弁等の埋め込み型の医療材料については医療安全や感染の防止を担保する観点から、その性能や安全性を十分に保証し得ない場合は再使用しない等の措置をとるなど、医療機関として十分注意されるよう(中略)よろしくお願いする」

とあり、再生使用は禁止ではなく、なるべくしないようにお願いね、という程度の扱いになっていることを申し添えておきます。

行政からの通達文で、よろしくお願いする、というのも、歯切れが悪く、背後に渦巻くなにかを感じさせます。




この記事へのコメント
いつも楽しく読ませて頂いております。
ドリルバーの再利用と器械の再利用は、何か違うのでしょうか。私もディスポ品の使い回しは当たり前のように目撃しますが…
これで処分というのは納得いかないですよね。
Posted by STOP at 2017年09月01日 10:44
はじめましてというか昔医龍のときコメントしたひでほと申します。大きいオペ受け歴20回でいろんなオペ受けています。整形は10回以上、消化器外科系も複数回、心臓はAVR2回(それも非代償性肝硬変)、Ao形成、
なぜか、もうだめだというやばい状況で生かされています。
まえおきが長くなりました。創外固定器って再利用可なのでしょうか?1回目の病院でホフマンは買わされたことになっていました。2回目の転院先ではオルソフィックス、レンタルでした。ご指導お願いします。2回目のときは輸血でHCVに感染の肝炎患者でした。
Posted by ひでほ at 2017年09月01日 18:04
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。