編集は三上 剛人さん。救急認定看護師で有名な方です。
執筆陣もほとんどが救急認定看護師。
救急認定看護師で、ファーストエイドといえば、日本救急看護学会が出した「ファーストエイドすべての看護職のための緊急応急処置」がありましたが、コンセプトとは裏腹にファーストエイドとは名ばかりで、ひどい内容でした。(ナースのための救急センター初療マニュアルとしては、いい本なんでしょうけど、ファーストエイドじゃなかったです、内容が)
この点は、執筆陣も感じていたんでしょうね。
そこで出てきたのが(看護職のためのファーストエイド実践書)「もしもの時に必ず役立つ!緊急・応急処置Q&A」です。
まえがきのいちばんはじめにこんなことが書かれています。
「本書は、病院内で起こる急変を想定したものではありません。救急看護師向けに書かれた限定的な本でもありません」
やっぱり先のファーストエイド本は「救急看護師向けに書かれた限定的な本」だったんでしょうね。
さて、この「もしもの時に必ず役立つ!緊急・応急処置Q&A」のいいところは、アセスメントの手順がしっかり書かれているところ。看護職向けとしているだけのことはあります。
ABCDEアプローチでの一次評価、AMPLE聴取や全身観察の二次評価など、医療界で標準の体系的アプローチに準拠しています。やっぱりナース向けとしてはこうでなくちゃ。
また観察の視点や、病院にいってから処置のことも軽く触れられているため、他の「市民向け」応急手当解説書と違って、救命の連鎖的なつながりをもった視点でファーストエイドが学べるんじゃないかと思います。
看護職向けと考えたら、やや簡単に書かれているといえるかもしれません。一般の方向けとしてはやや手ごたえのある内容かもしれません。
その点を踏まえて、今のところもっともお勧めできるファーストエイド解説書かなと思います。