2013年04月14日

手術室看護の魅力、ここで学べること

さて、4月ですね。

各職場、ホヤホヤの新人ナースが、先輩の後ろにくっついておそるおそる病院内を動き始めた頃でしょうか。

あいにく私はナースの仕事を辞めてしまったので、今年の新人さんとは会えていないのですが、そういえばこの時期、新人さんの入職とともに私たちも、年度始めというフレッシュな気分になったのを思い出しました。


さて、すでに現役ではない私ではありますが、オペ室に配属された新人さんに向けてのメッセージを。

オペ室勤務を希望してきた人も、そうでない人もいるかと思いますが、とりあえずオペ室に配属になった以上、そこでの仕事を楽しんでほしいなと思っています。

こんなはずじゃなかった、という気持ちを引きずっていると、ナースとしての1年目という大事な時期を不毛なものにしちゃいます。



オペ室に看護はあるのか?

よく言われる命題です。

きっとこの答えは病棟勤務しか知らない看護師には決して見えてこない真実があると思います。



総合病院であれば、全身麻酔下の手術が多いことでしょう。

患者さんと意識下の関わりができるのは、術前訪問の時と、入室から全身麻酔導入までのわずかな時間。覚醒後は意識が朦朧としていて、患者さんの記憶には残らないし、、、、

さて、そこでできる看護とはなんなのでしょう?

全身麻酔がかかって、意識が消失した後には、看護的関わり、看護介入はないのでしょうか?

もしかしたら、麻酔で眠ってしまった後からが、本当の意味で手術室看護師の腕の見せどころかもしれません。

言葉を発することができない患者さんから、どんなメッセージを受け取るか、が問われるからです。



ちょっと話はそれるようですが、私はファーストエイド(応急処置)を教えています。心停止以前の急変対応や、事故や急病への対応を医療者や市民を対象に指導しているのですが、子どものファーストエイドや急変対応は、大人の場合と違ってやや特殊です。

何が起きたのか? どんな状態なのか? 子どもは言葉で語ってくれないことが多いからです。泣きじゃくる子どもや、まだ話ができない子ども。なにか様子がおかしい! 大人だったら「どうしました?」「どこが痛いですか?」などと問診ができますが、子どもは非言語的な情報からしか判断できない場合があります。

また大人であれば、状況を説明したり、話をすることで安心してもらったり、精神的なフォローもできますが、小さな子どもに言葉だけでアプローチするのは困難です。

そういった意味で、子どものファーストエイドは、アセスメントにしてもケアにしても大人とは違った難しさがあります。言葉で語ってくれないから、こちらから五感を使って察してあげないといけないのです。


これと同じことが手術室でも言えるんじゃないかと私は思っています。

全身麻酔中、患者さんは言葉では訴えてくれません。痛みや寒さ、気分不快。手術中、患者さんの体の中では劇的とも言うべき変化が生じています。

医療処置のときに起こりがちな血管迷走神経反射。採血のときなら、気分が悪くなってきた、頭がクラクラする、など、患者さんの言葉で兆候に気づけます。

しかし、手術中には訴えがない。

じゃあ、どうするか? ひとつはモニターですよね。血圧や心拍数の変化から、痛みや迷走神経刺激などわかります。

出血量と輸液のinからも患者さんの体の中で起きている心拍数等の変化の判断ができる場合があります。

顔色、発汗具合、体温、尿量、etc.。

患者さんは生命兆候の変化として手術中もさまざまな訴えを発しているのです。

その反応は本当に患者さんの訴えなのか、それとも麻酔科が投与している薬剤による反応なのか? そんなことも考えないと、患者さんからのサインは読み取れません。

麻酔中の生命維持は麻酔科の仕事です。しかし、ナースはナースとして、日ごろ患者さんのちょっとした顔色の変化に気づくように、麻酔科とは違った視点で患者さんの訴えを聞けるかもしれません。

また全身麻酔中の患者さんは、「恥ずかしい」という気持ちを表出できません。しかし意識がない人でも、人権を持った人間であることに代わりはありません。医学的処置とはまったく関係のない問題、患者さんの意識にも上らないことかもしれませんが、そんな全人的に患者さんのことを考えることができるのは、おそらくナースだけです。

手術室看護師は、全身麻酔で言葉を発することができない患者さんの「代弁者」なのです。

今はまだ、器械出しデビューに向けて、手術手順を覚えるのに手一杯かもしれませんが、手術室看護師は麻酔科ナースとしての視点で患者さんと関わるんだということを覚えていてください。

外回り業務をするようになって、慣れてきたら、きっと今書いたようなことも実感として感じるような日が来ます。

言葉という言語的コミュニケーションに頼らず、患者さんの訴えを聞き分ける。

そんなアドバンスドなスキルを鍛えることができるのが手術室の魅力です。


皆様のオペ・ナースとして成長を応援しています。


posted by Metzenbaum at 16:16 | Comment(1) | TrackBack(0) | 外回り/麻酔看護
この記事へのコメント
初めまして。
通りすがりの者で申し訳ないのですが、失礼ながら質問させて頂きます。
私は23歳で小さい頃から気管狭窄で何回も内視鏡や軟骨の気管移植などしています。

覚えている記憶の中では今まで全身麻酔で気管さ状態を1年に1回見るというもので、全身麻酔には慣れています。
ですが、今回の手術は簡単に言うと気管の悪い所を切り取って上下を縫合するというものです。その際tチューブにします。
なので、全身麻酔は当然なのですが、一週間は眠るようなんです。

鎮静?っていうんですか?
なので、鎮静からちゃんと目覚めるかな?人工呼吸器はうまく外せるのかな?の二点がちょっと不安。

私はtチューブに、したいのでやる気満々ですがやはりちょっと不安というか、、、。

先生は手術自体や経過を心配してくれているようなんですが、(もちろんそちらの不安もあります。)私的には上二点が不安だなぁと。

誠に意味不明の文章で申し訳ないんですが、お時間があるときに御返事頂けたらと思います。
よろしくお願いします。
Posted by いくえ at 2013年04月18日 19:37
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