2012年12月30日

ナースのためのファーストエイドの学び方

うれしい限りです。

看護師向け総合雑誌でファーストエイドの特集記事!



今までも看護雑誌では年に何回かはいわゆる急変対応特集が組まれてきましたが、いつも似たり寄ったりで、BLSとかせいぜいACLSの話ばかり。

ごくごく最近では、心停止前の「気づき」が重要ということで、AHA-PEARSとかPALSで言われている急変の早期認識と安定化という話も書かれるようにはなってきましたが、いわゆるファーストエイドに焦点が当てられたのは初めてじゃないかなという気がします。(私の個人的印象です。間違っていたらご指摘ください)

去年だったかおととしだったか、日本救急看護学会がナースのためのファーストエイドコースを開発、そのテキストとして立派な本もリリースされましたが、そちらはどうもイマイチでした。

ファーストエイドという概念を持ってきたことや前書きで書いてあることはとてもいいのですが、中身が伴っていないというか、「それってファーストエイドじゃなくて、研修医向け院内救急マニュアルをパクっただけでしょ」的な。

実は今回の月刊ナーシング誌の特集記事も、ほぼ同じ執筆陣なのですが、今回はビジュアル的に攻めていて、処置だけでなくて、搬送のことなども含めて、実践対応が具体的に書かれているのがいい感じ。

首吊り自殺を発見したときのファーストエイド     ナースのための切創のファーストエイド

鼻血のファーストエイド     トイレで倒れた人を発見した場合のFA


出血とか、嘔吐とか、かなりリアルに撮影を行なっていて、気合い入ってます。リアルな患者、症例の写真じゃないからよろしくね、みたいな注釈が入ってるくらい(笑)

細かい突っ込みどころはちょいちょいありますが、保存版にしてもいいくらいの良い特集記事です。

特に看護の総合雑誌で、こんなファーストエイドの特集が組まれるまでになったんだ、とうれしい限り。私がファーストエイドの必要性を訴え出したのはいつのことだったか。

具体的にAHAのファーストエイド講習を開催しだしたのは2007年か2008年だったと思います。

当時は、まだBLSとACLSが全盛で、心停止前の急変対応という発想はメジャーじゃなかった。

でもその当時から信じていたことが、こんなカタチで現実になってきて、感無量というか、微力ながら社会PRを続けてきてよかったと思った次第です。

今回の特集記事で、主幹の三上剛人さん(救急認定看護師で有名な方です)が書かれている巻頭言から、いくつか引用します。

「それもそのはず、多くの方は応急手当やファーストエイドの教育を重点的に受けてきた覚えがないからです」

「現代看護のなかで応急手当やファーストエイドは『いまさら覚えなくても実践できるはずの古くさい看護技術』と感じられている気がします。病院での医療は、医療技術の進歩、高度医療が優先され、病人、けが人を手当するという原点から少なからず遠ざかっているように思います」

「応急手当は一般市民向けというイメージではなく、私たちにも必要な看護技術の一つであり、市民よりもより専門的に実践していく必要があるものです」




このあたりの言葉をすべてのナースに受け止めてほしいなと思っています。

ナースだけど、交通事故に遭遇してなにも出来なかった。ある意味当然です。ナースはそういう教育は受けていないのだから。この場合、ナースだからできることを考えるのはそもそもの間違い。三上さんは「市民よりも専門的に」とは言うけど、まずは市民としてできることをやりましょ、というのが基本だと思います。最初から医療現場と同じように動こうとするとできるわけないんですから。

ほんとはナースたるもの、市民レベルのファーストエイドくらいは常識的に知った上でナースになるというのが当然なんでしょうけど、残念ながら日本の教育体制はそうなっていないわけですから、個々のナースに危機感を持って学んでほしいなと思う次第。

その上では、今回の特集記事はとてもいい刺激になると思います。

強いて言うなら、ナース向けというなら、どんな症例でも基本となる傷病者アセスメントを体系的に解説してくれるともっとよかったかなと思います。ここでも残念ながら各論の寄せ集めになっちゃってるんですよね。これが日本古来の救急法講習に通じる欠点。

傷病者と対峙したときに見るべき普遍的な視点、つまり傷病者アセスメントというファーストアプローチが抜けているせいで、どう考えても脊椎損傷を疑う優先順位が高いだろうという紙面上の症例でも、頚椎保護の視点がスッポ抜けていたリ。

まあ、そんな点を差し引いても、悪くない記事です。

最後にもしもっとFA学びたいと思ったら、救急看護学会のファーストエイド講習は第一選択には勧めません。まずは市民向けファーストエイド講習からはじめることをお勧めします。救急看護学会のFAは本質的にはファーストエイドじゃないのでご注意を。

以下、これまでこのブログで書いた関連記事をリンクしておきます。参考にしてください。



ナースにも必須のファーストエイド
http://or-nurse.seesaa.net/article/178283160.html
ナースにとってのファーストエイド
http://or-nurse.seesaa.net/article/190820699.html
アウトドアで看護ボランティア
http://or-nurse.seesaa.net/article/51303125.html
登山医学セミナーに参加
http://or-nurse.seesaa.net/article/48826683.html


【その他、別ブログで書いた関連記事】
 相当ボリュームがありますので、正月休み、ゆったり時間の読み物にどうぞ♪

ファーストエイド・非心停止対応関連記事(全27記事)
http://aha-bls-instructor.seesaa.net/category/14911652-1.html

ウィルダネス・ファーストエイド(高度な野外救急法)関連記事(全16記事)
http://aha-bls-instructor.seesaa.net/category/8237256-1.html



posted by Metzenbaum at 13:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック