新年早々雑談からスタートです。
今日のテーマは「患者様」という呼び方について。
最初、この患者様という言い方を聞いたとき、ふざけて言ってるのか!? と思いました。
慇懃無礼というか、こんなミスマッチなイメージの言葉、定着するはずはないと思っていたら、いつの間にか全国に広まっていきましたね。
昔ほどの違和感はないけど、今でもやっぱりヘンな言葉だと思っています。
私が感じるこの違和感はなんなのか? それをどう説明したらいいかと悩んでしまうのですが、やっぱり「ミスマッチ」ということに尽きると思うんですよね。
「様」をつけることで、相手を目上に持っていこうという意図なんでしょうけど、だったらそもそも「患者」というマイナスなニュアンスの言葉自体を変えなくちゃ意味がないんじゃないの? と思います。
患(わずら)う者、ですよね。そんな表現をする以上、そこには「どうぞお助け下さい」とすがるようなイメージがあるとは思いませんか? そうであるなら、いくら「様」をつけて上位イメージをつけようとしても、これは滑稽でしかありません。助けて欲しいとすがるわけだから、助けて進ぜようという医療者が優位に立つスタンスが自然に生まれるのは当然のこと。これじゃ根本的に相手に「様」をつける意味ないじゃん、と思うのです。
患者という言葉はあくまでも状態を表わすだけの客観的な言葉であるはずです。決して呼称ではありません。例えば似たような言葉で「障害者」という言葉があります。これは「障害を持っている」という人の状態を表わすだけであって、決して呼びかけには使いません。「そこの障害者!」なんて呼びかけたら完全に差別発言ですよね。それじゃ、障害者様と呼べばいいのかというと、どう考えてもそれはおかしい。
それとおんなじだと思うのです。なぜか患者さんを患者さまに変えることでお茶を濁したけど、実は「さま」でも「さん」でもどうでもよくて、問題は「患者」という部分にあると思います。あくまでも医療サービスを受けにきているだけの人なのだから、「お客さま」でいいと思うし、そこに商売気が感じられて不適切というのであれば、福祉の世界のように「利用者さん」という言い方の方がいいんじゃないでしょうか。
病院を利用する人にもいろいろいます。例えば人間ドックで検診を受けに来る人は、基本的に健康ですから「患者」じゃありませんよね。その部署ではどんなふうに呼んでいるのでしょう? 出産を控えた人も患者じゃありません。産婦さん? 赤ちゃんを産んだばかりの人は褥婦さん?
まあ、基本的には個人を呼ぶなら「佐藤さま」みたいに固有名詞で呼べばいいんでしょうけどね。問題は「患者様各位」みたいな病院利用者一般向けの案内表示くらいなのかもしれません。
もうこれだけ浸透している「患者さん」という言い方を私は否定しません。
でも「患者様」はどこか間違っていると思う。「様」という敬称を付けたいのであれば、そんな子ども騙しみたいな小細工でごまかすのではなく、原点に戻って「患者」という言葉をきちんと考えて下さい、と言いたいです。
追記ですが、放送大学の試験の件はあいまいな情報かいてすませんでした。
ありがちなのは病院内に張ってある張り紙の「患者様各位」というのだったり、うちらが院内レポートに記載するときくらいなのかな。
いずれにしても「様」をつけただけで相手を敬っている風を装う安直な表現、好きになれません。
以前オンコールの記事に書き込みさせてもらったものです。
(結局明日、オンコールになりました。心外が来たら24時間いつでも飛んで行くことになります…)
私も、学生の時から患者様、には抵抗があって今現在も「〜さん」とか「患者さん」と呼んでいます。提出するレポートにも「患者さん」表記です。
固有名詞があるのだから、やっぱり患者さんのお名前をきちんと呼ぶ方がいいなあと思うんです。様ってつけたって結局患者ということには変わりないわけですし。
確かに実際に患者さんを呼ぶ時に「患者様」と呼ぶ場面は滅多にありませんが、どうも私も好きになれません。
そこで敬うよりもうちょっと別の方法が無いかなあ…と思う今日この頃です。
レポートで三人称として書くとき、私は「さん」もつけずに「患者」としています。二人称のときは患者○○氏(さん)。不特定多数を表わすときには、かえって「さん」をつけると不自然、と私は思うのですが、どうでしょう? 学術論文レベルになるとたぶん「さん」はつけていないと思うのですが。。。
なおさん、病院利用者の立場としてコメントありがとうございました。確かに個人医院などで様付けで呼ばれると、仰々しさというか、よそよそしい感じがしますよね。
これまでパターナリズムで結果往来だった医療界が接遇なんてことを遅ればせながら考えはじめた結果、とってもおかしなことが起き始めています。根本的な医療者対患者の関係性を見直さないで、言葉遣いとか小手先ばかりをいじっているものだから、不自然さが際だっているのが現状。医師の権威主義に対する抜本的な対策ができないから苦肉の策なのかなと、私は個人的に思っています。
要するに患者風情が何様か?と
憤っているようにしかみえません。
上に立つようなものの見方で「救ってやってるんだから」有り難く思えとでも言いたげな。
だったら提言者である貴方こそ、患者というなの差別用語を控えたらどうです?
貴方がやってることは、只の言葉遊び
「様」をつけることに違和感をぼえるのは貴方が、対人関係において「人」として大成してないからに他ならないです。
私が書いた内容はおっしゃるようにただの「言葉遊び」かもしれません。でもそうであるなら、話の発端である患者さん→患者様と言い方を改める風潮自体もすでに言葉遊びですよね? この点、どう思われますか?
普通に、「患者さん」、「松本さん」の方がいいですね。
ただ、知人のナースに聞くと、透析にやってくる患者さんは、患者という自覚よりも「金を払ってサービスを受けてやる」という意識が強いせいか、「○○様」と呼ぶ医療機関もあるなんて話を聞きます。
どちらが良いのか、または正しいのかはわかりませんが、どちらがベターかと聞かれれば、「患者さん」、「○○さん」が良いのではないかと思います。
ついでに言うなら、医師のことを「先生」と呼ぶのも正直なところ違和感があります。専門家を先生と呼ぶなら、レントゲン技師もナースも先生と呼ぶべきです。
ところで、「患者」という言葉が差別用語という話も出ましたが、初耳です。いつの間に差別用語になったのでしょうかね(^^;)。また、「患者」が差別用語なら、何と言い換えたら正しいのでしょうか。
業界の人間ではないけど、業界のネタを記事にしている者として、正しい呼び方があるなら、ぜひ教えてほしいです。
「患者が差別用語」というのは、私の書いた文章から某氏が早計に解釈して出てきたのだと思うのですが、正直、あれはナース相手を想定して書いた文章なので一般の方が読んだら誤解を招きやすい部分もあったなと思っています。
最近、このブログのある特定ページのアクセスが異様に伸びていて、調べてみるとどうも某掲示板サイトからリンクが張られているようなんです。そのせいで本来は医療関係者が検索から跳んでくるだけだったのに、一般の方のアクセスが増えていて、ちょっとおかしなことになっているみたい。
私は「患者」という言葉が差別用語とは思っていません。でも「患者さん」と相手に呼びかけること自体がもしかしたら本当は失礼なことかもとは考えています。例えば泥棒の被害にあって警察に行ったときに、「次にお待ちの被害者さん、どうぞ」とは言いませんよね。被害者とか患者というのは客観的な第三者の状態を表わすときに使うのは自然だけど、呼称としてはしっくりこない。そんなことを言いたかったんですけどね。
医者を先生と呼ぶのはヘンというのも同感です。それを含めてしばしば医療現場では、敬語の使い方が間違っていることが多いですよね。「もうすぐ○○先生がお見えになるのでお待ち下さい」とか。私は病院利用者相手と話していて医者に言及するときは、基本的に「医師」と言うようにしています。「麻酔科の医師から説明があったと思いますが…」みたいに。
「患者様」という言葉、私も違和感を感じていました。実習中も「○○さん」とお名前で呼ばせて頂いたり、あるいは看護師さんに報告するときは「患者さん」「○○さん」と呼んでいたように思います。母性の実習では「患者さん」ではなく「対象者(さん)」と呼んでいました。
「様」という言葉を敬称として使うのにふさわしいのかと・・・。でも、その違和感は私がその呼び方に慣れていないから感じるものだと思っていました。
医療現場において上下関係が生まれてしまっていたから病院に来る方に「様」をつけるのは正直どうなのかと感じました。医療がサービスとして考えられるようになっているのは昔の医療が閉ざされていたからとか・・・。そのため、医療者の意識改革やサービス改革としてわかりやすいものが言葉で表現していくことだったのではないかと思いました。
ついこの間、風邪で病院にかかったとき、医師や看護師の言動が仕事であるとわかりつつもやっぱり医療者に感謝の気持ちを感じました。やっぱりありがたい。だってつらい症状を和らげてくれたり、「ただの風邪ですね」って言われただけで安心しましたもん。医療者になろうと勉強中の私ですらそう感じたなら、医療関係者ではない方々からしたらより強く感謝の気持ちを抱くんじゃないかと・・・。
自分たちの計り知れない領域の知識を持ち、病を抱えた人の生活の質の向上を目指す医師や看護師、医療関係者にはやっぱり感謝です。ただただ感謝です。
つまり何が言いたいのかというと、病院の利用者は医療者に感謝を抱く、医療者は利用者にサービス(と言わせてください)を提供する。(医療者側に患者さんに対する敬意があるかは個人差があります。)そして、ここに敬意のズレがあったからそれを払拭するために「患者様」と呼ぶことで意識ずけしたのではないんですかね。でも、病気を抱えた人が医療というものに感謝の念を抱かずにはいられないと思うんです。(透析などの場合は違うようですが)だから、互いの意識のズレが存在していることを把握して、かつ医療者が上に立っているような姿勢を示さなければそれで十分だと思うんです。有名な医者が患者さんに敬語を使って丁寧に説明したり、驕り高ぶった態度(そういう態度をとる人がいるならば)をやめれば、「様」とか使わなくても「さん」で十分な気がします。
患者?利用者?として利用したときにそう感じましたので書き込ませて頂きました。
結局何が言いたいのかっていう文章ですみません。
それから医師を「先生」、他の医療者は「さん」なのもなんか変ですよね。
お互いの意識のズレ、そうですよね。
問題はやっぱりDr.なんだと思います。様付けで呼ぶことも、たぶん最初はナースサイドで始まったんじゃないでしょうか? そうして敬意のズレを治そうと病院全体の雰囲気を変えつつあるけど、やっぱり最後に残るのはDr.なのかなぁという気がします。
それにしても、やっぱり単に様をつければいいというのは単純すぎる発想な気がしてしまうんですよねぇ。今度、様付けに関して看護論文が出てないか探してみようと思います。
最近の全国保険医新聞(?)に「患者様と呼ぶ喜劇」(だったかな)というコラムが掲載されていましたよ。まったく誰が「患者様」なんて言い出したのでしょう。
看護学校時代に接遇の講演にみえた講師に「患者様っておかしくないですか」と質問してみたらはっきりとは答えてもらえませんでした。
改めて「患者様」について検索してみたら、確かに「様」をやめて「さん」に戻しますみたいな内容のページが結構ありました。
『患者さんからは、『お客さま』と違って『患者』に『さま』は似合わないとか、『患者さま』の語感に違和感を覚える(患者自身も医療関係者も)、とってつけたような敬称なので、逆に慇懃無礼な感じがするだから『患者さん』で十分という意見が出てきました。言語学者からは、様はあまりなりたくない立場におかれている人に対して使う敬語ではないという指摘がありました。』(http://www.bekkoame.ne.jp/~tamiura/ostomeit2004.html)
やっぱりこれが自然なカンカクなんだよなぁとちょっと安心しました。
うちの病院でも、元スチュワーデスかなにかを呼んで接遇講座みたいのが行なわれたことがありました。患者に対して医者の話をするとき○○先生と呼ぶのはどうなのかと質問したのですが、なぜか講師ではなく司会だった職員課長がクチを挟んできて「一般社会ではなく病院ではそれが自然ですから」みたいなことを言っていたのが印象的でしたね。
私は美容外科のクリニックディレクターとして従事していますが、呼び名一つとっても問題の根幹はDr.だと思っています。
当院ではPTを「患者様」と呼ばせています。
理由は単純明快で大学病院に倣っただけです。
美容外科の利用者の中にはエステとの境界線が曖昧で、Dr.やNSに対して不敬な者がいるため、利用者側に「ここは病院(診療所)だと」と自覚を促すことが目的です。
しかしながら、当院の医師たちは「患者さん」と呼んでいます。 彼らの言い分は「そこまで媚びへつらう必要はない」です。
ある美容外科では、おっしゃるように「何ら患っているわけではない」との理由で「お客様」と呼んでいる所がありますが、Dr.たちは「患者さん」と呼んでいます。
変り種としてはIT企業が資本投下している美容外科ではDr.もスタッフも「クライアント」と呼んでいる所もあったりします。
私個人としては「患者様」と定義することで受け手の方々が「医療サービスを受ける者」と自覚してくれるという意味で「患者様」と呼ぶことを推奨しています。
自由診療のケースですが、何らかの考察の一端になれば嬉しいです。
美容外科の世界では、「医療サービスを受ける人であることを自覚してもらうためにあえて患者と呼ぶ」という視点はこれまで考えたこともなかったです。
確かにエステと同じカンカクで来院する客が多いことを考えると、、、うん、おもしろいですね。美容外科の接客のノウハウって先進的な面もある気がします。興味が出てきました。調べてみます。