2006年10月28日

オペナースにも便利な湿潤療法材料「ハイドロコロイド」〜うるおい療法

昨日は香港の医学博物館に行ったときの話を書きましたが、今日も旅行に関連した話をひとつ。

私は海外に行くと、必ず地元のドラッグストアに足を運びます。
で、今回、香港のドラッグストアで見つけてきた「掘り出し物」がこちら。

香港のドラッグストアで見つけたハイドロコロイド材 hydrocolloid

なんだかわかります?

 癒合膠片
 高効保護
 創傷治癒

なんて書かれています。

英語表記を見ると、

 Hydrocolloid
 Advanced Protection
 Wound Healing

ってな感じ。

◆湿潤療法(うるおい療法)材料

そう、いま流行りの湿潤療法(うるおい療法)に使うハイドロコロイド材の絆創膏です。ジョンソン&ジョンソン社から出ているバイドエイド「キズパワーパッド®」と同じものといえばわかるでしょうか?

臨床的にいえば、オペ室でおなじみのカラヤヘッシブ®とか、褥瘡治療などで使うデュオアクティブ®などの仲間です。

ハイドロコロイド材の特徴はキズ口からの滲出液によってドロドロに溶けるところ。それが創傷部を湿潤環境に保ち、細胞の治癒活動を促進。結果的に早くきれいにキズを治す働きがあります。

医療用被覆材としては先ほど上げたようにカラヤヘッシブ®やデュオアクティブ®など、いろいろな種類がありますが、民生用としては数年前に販売開始になったバイドエイド「キズパワーパッド®」が日本唯一。で、買おうと思うとこれが高いんですよね。6枚入りで定価850円だったと思います。

一度貼ったら5日間は貼りっぱなしで、シャワーも可となってますので、コスト的にはそれほどでもないかもしれませんが、気軽には使えない感じなのが残念。

ちょっと説明が長くなりました。とにかく日本ではかなりお高い感じの民生用ハイドロコロイド材絆創膏を、香港のドラックストアで格安で見つけた、というお話しでした。

値段はというと22香港ドル。$HK1が約17円ですので、約370円。となりにはJ&J社のキズパワーパッド®が並んでいて、こちらは$HK37=630円。まあ日本で値引きされているのと同じくらいの値段ですね。Watsons というおそらく香港のドラッグストアチェーン店のオリジナル商品のようで、Watsons に行けばどこにでも置いてあります。空港内にもありました。

◆ 手術室看護師としても見逃せない湿潤療法

その香港のハイドロコロイド材をちょっと多めに買い占めてきたのですが、なんのために? というと、実際手術室での仕事の上でもけっこう重要なんです。

手術室看護師の仕事のうち、外回り業務はともかく器械出し。これは手を外科的手洗いできっちり洗って滅菌手袋をして行なう仕事です。いってみれば手先を使う水仕事みたいなもの。

そんな器械出しナースにとって、手のケガは致命的です。

手にキズがあると、手袋に穴でもあいた場合、自分自身が血液感染の危険がありますし、反対に自分の体液で患者さんを汚染することにもなるから。そういった意味で手にキズがある場合は器械出し業務から外してもらうのが原則。

とはいえ、包丁でチクッと刺してしまったり、飼いネコに引っかかれたり手先の傷なんてちょっとしたことですぐ出来てしまうもの。

そんなときに 湿潤療法 ⇒ ハイドロコロイド材 なんです。

キズが新鮮なうちにきれいに水洗いして、ハイドロコロイド材を貼っておくと、ホント傷の治りが早いです。包丁で切ったくらいのちょっとした傷なら次の日かせいぜい2日後にはきれいに傷がふさがっています。擦り傷やひっかき傷ならうっすらと上皮化しているのがわかります。

手先を傷つけることができない手術室での仕事だからこそ、ケガしたらすぐに適切な処置ができるように、仕事場にはもちろん日頃からハイドロコロイド材は手放せません。

湿潤療法は、理屈的には傷口からの滲出液が創面を被っている状態を作ればいいだけなので、ハイドロコロイド材を使わなくても、よくいわれるようにサランラップ®の切れ端とかビニール袋などを使って「ラップ療法」にしても同じですが、ラップをハサミで整形する手間を考えるとハイドロコロイド材のほうが便利。適度なクッション性もありますしね。

手術室で創のドレッシング用にカットして余ったカラヤヘッシブ®やデュオアクティブ®などがあったらこまめにキープしておくのも手です。私の場合、怪我したときはカラヤヘッシブ®を傷よりひとまわり大きめにカットして貼付。その上から固定用として肌色のマイクロポア®を貼ったり、防水性が欲しい場合はカテリープ®などの透明フィルムを使ったり。そんな感じでこれまで凌いできました。

今回、香港で良質の湿潤療法素材ハイドロコロイドをどっさり仕入れてきたので、当分の間はケチケチせずに使えそうです。市販品のキズパワーパッド®を使っているときは1枚丸々使うともったいないのでハサミで小さく切って使っていたものでした。

話は回りまわってしまいましたが、『 オペナース養成講座 』的アドバイスとしては、

ケガしたら消毒なんてしないで水洗い。
その後、ハイドロコロイド材か透明フィルム材などを貼って、
湿潤療法にする。ふつうの救急絆創膏(カットバン)はその場しのぎで使うのは、
いいとしても長く放置はNG。ガーゼを当てるなんてもってのほか。
そうすれば1-2日で、堂々と手洗いできるようになりますよ〜


ということで、今回の話はお終いです。

手術後の被覆にも使われている湿潤療法、以前にもこのブログで取り上げました。
気になる方はそちらもご覧下さいね。
 ⇒ 『百害あって一利ナシ「創の消毒」〜閉鎖湿潤療法』

◆ 海外で薬を調達

海外のドラックストアに行くと、日本では市販されていないような薬品類が並んでいておもしろいです。

私がよく買ってくるのはアメリカなどでは市販薬として自由に買える抗アレルギー薬のクラリチン claritin®(薬品名:Loratadine)。花粉症の季節に備えて買いだめしています。

それと強力な止瀉薬で有名なロペミン®(薬品名:塩酸ロペラミド loperamide hydrochloride)もイモジウム Imodium ®という商品名で海外ではふつうに市販されています。海外旅行のお供には欠かせません。

塩酸ジフェンヒドラミンのような抗ヒスタミン剤も、乗物酔いとか睡眠薬代わり、軽い精神安定剤としてなどなにかと使えるのでよく買ってきます。

あとは消炎鎮痛剤(NSAIDs)も日本の市販薬は総合感冒薬的な感じであれこれ成分が混ざっているものが多いですけど、アメリカでは例えばアセトアミノフェンとかイブプロフェン、アセチルサルチル酸など、単身でも売られているので分量を調整しやすくて便利。

病棟勤務の看護婦であれば、内服薬は比較的手に入りやすいんでしょうけど、オペ室では飲み薬は基本的にはあり得ないので、薬は海外に行ったついでに調達している私でした。

学生の頃は、薬って薬品名と製品名のふたつがあるけど製品名だけでいいじゃんなんて思っていました。でも、今になって思うのは、世界共通の薬品名をきちんと押えておけば、海外で薬の成分を見ただけで何の薬だかわかるわけで、それってすごくない? と勝手に思っています。英語圏以外の国でも、薬品名は必ず英語表記がしてありますからね。それによく海外の薬は効き目が強いから要注意なんていいますが、きちんと成分・分量表示を見ればその辺も自分で調整できるのは看護師(医療者)ならではの強みかなと思っています。
posted by Metzenbaum at 22:12 | Comment(10) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
この記事へのコメント
こんばんわ。

クラリチンも海外ではOTCだったのですね・・・。
そういえば、1年ほど前でしたか、
イギリスでスタチン系をOTCにするとかで
ニュースになっていましたが、
どうなったのかなあ?と思いました。

そういえば、(結局買いませんでしたが)
手技ごとにどんな器械器具をどんな目的・順番で
使うのかという辞典を見つけました。

喫緊に必要というわけではなかったので、
お値段的にちょっと躊躇ってしまいましたが、
必要に迫られれば買おうと思います。



Posted by shisley at 2006年10月28日 23:38
クラリチンは確か数年前に処方箋不要になったはずです。(アメリカでは)
眠くならないし、効き目は長いし、いい薬ですよね。

以前お話しした本ですが、最近ちっとも本屋に行けてなくてずっと保留状態です。ごめんなさい。
Posted by 管理人 at 2006年10月29日 01:22
こんにちは。管理人さんが仰るとおり、こちらではClaritinは本当に皆使っています。
昼間はClaritinで夜はBenadrylと、組み合わせて使っているようです。私は夜Benadrylを使いますが、本当によく効くので最初は怖いぐらいでした。
Posted by CRNA at 2006年10月29日 21:34
アメリカ事情と言えばCRNAさん!

Benadrylという薬もあるんですね。こちらの方は知りませんでした。今度アメリカ方面に行くときには探してみます!
Posted by 管理人 at 2006年10月31日 00:30
どうもどうも、管理人さん。
いまBenadrylのパッケージ見てみましたら、ディフェンハイダミン25mgとスドエフェドリン60mgとなっていました。もしかしたらこちらのほうは日本でも処方箋なしで買えるのでしょうか? 
Posted by CRNA at 2006年11月01日 02:56
CRNAさん

ディフェンハイダミン
スドエフェドリン

って英語のスペルではどう書くんですか?

そういう形のカタカナ語にはなっていないみたいでイマイチよくわかりません。

エフェドリンならわかるけど、頭のスドっていうのはなんだろう??
Posted by 管理人 at 2006年11月03日 22:40
管理人さん、こんにちは。
英語では、
Diphenhydramine HCIと Pseudoephedrine HCIになっていました。日本だと違う呼び方かもしれませんね。
Posted by CRNA at 2006年11月05日 07:20
なーんだ。Diphenhydramine HCIだったんですね。カタカナ表記でもよーく考えたら気付けていたかも。

コイツは日本語では塩酸ジフェンヒドラミンと言われています。代表的な抗ヒスタミン剤。本文中でもちょっと触れている薬です。成分としては大衆薬にも含まれることが多いですが、単体としては売られていないかも。感冒薬の中の炎症を抑える成分として、あとは乗物酔いの薬としても売られています。最近ではこの成分を軽い睡眠薬として販売するケースも出てきました。ドリエルって言ったかな。「ドリエルとは、全国の薬局・薬店でご購入いただける日本初の睡眠改善薬です。」だそうです。

Pseudoephedrine HCIの方は、プソイドエフェドリンといって、エフェドリンの仲間。代表的な昇圧剤ですが、なんで睡眠薬に入ってるんだろう?? スイマセン、こちらのほうはよく分からないです。

ただ、日本でもジフェンヒドラミン成分の睡眠薬は、ちょっと前まではなかったけど、いまは市販薬としても手に入りますよという情報でした。
Posted by 管理人 at 2006年11月05日 12:11
こんにちは。日本では睡眠薬として販売されているのですね。道理で20分もしないうちに目が開けてられなくなるわけだ・・・・。 私はこれがないと風邪をひいた時などの鼻づまりで眠れなくなってしまいます。日本でも抗ヒスタミン処方されていたんですが、効き目(強さ?)が全然違うので、最初は怖かったです。
Posted by CRNA at 2006年11月05日 23:30
CRNAさん、ごめんなさい、やりとりしているうちに話がごっちゃになってきてしまいましたが、ジフェンヒドラミンとプソイドエフェドリンが入っている薬って、「抗アレルギー薬」でしたね。それだったらプソイドエフェドリンが配合されている理由も納得です。てっきり睡眠薬の話をしているつもりで前回のコメントを書いてしまいました。

説明しなおしますと、ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン剤で、炎症反応を抑えるのが主たる働きですが、副作用として精神安定作用や眠くなる作用があります。その催眠作用を利用したのが最近日本で販売になったドリエルです。でも一般的には睡眠薬というよりは抗炎症薬と認知されています。

Benadrylの場合は、炎症を抑えるのが主目的ということで、眠気を抑えるために覚醒作用があるプソイドエフェドリンを配合しているんでしょうね。プソイドエフェドリンは覚醒剤の前駆薬というか原料として使われるためにアメリカでも大衆薬ながら規制下におかれることが多いらしいです。
Posted by 管理人 at 2006年11月05日 23:52
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