2006年10月27日

香港医学博物館レポート

先週末から、遅い夏休みをとって香港に行っていました。
香港医学博物館」をというちょっとマイナーな博物館にも足を延ばしてみたので、
たまには気分を変えてレポート風に書いてみたいと思います。

香港医学博物館 Hong Kong Museum of Medical Sciences の看板

香港島の中心地、上環駅から歩いて15分ほどの高台に 香港醫學(医学)博物館 はあります。近くにはアンティーク屋や露天のガラクタ屋が軒を連ねる Cat Street などがありますが、あたりは観光地というよりは庶民の下町といった感じの町並みでした。

元検疫検査所だった建物を改装して作られた博物館は、茶色いレンガ造りでとても風情のある感じ。ノスタルジックな洋館です。

香港といえば1997年の中国返還まで長くイギリスの植民地でした。もともとあった漢方や鍼灸を中心とした中国医学と西洋医学が折り混ざっていた場所でもあります。西洋医学に関する資料館・博物館は世界各地にありますが、香港医学博物館のように、東洋医学と西洋医学が重なった流れを追っているあたりはとても珍しいそうです。

纏足のX線写真香港醫學博物館でひときわ目を引くのは纏足(てんそく)に関する展示かもしれません。

纏足というのはかつて中国で行なわれていた体型矯正(?)文化のひとつで、女性の足を矯正して小さくするというもの。幼少のころに無理矢理足をヒモで締め上げて、通常であれば20数センチになる足を10センチくらいにしてしまうものですが、その纏足のX線写真が展示されていました。

まるで馬の蹄のようになっていたんですね。どう考えたって不自然です。当然うまく歩けるわけもなく、虐待的な要素が強いため、現在は法律で禁止になっている過去の文化です。私もここに行くまで纏足がなんたるかを知らなかったのですが、纏足の歴史的背景や「纏足の作り方」などを紐解いてみると非常に痛々しいものがありました。かつてはそれが「正しいこと」として常識的に行なわれていたことを考えると、常識ってなに? と考えさせられます。

西洋医学の部分では、かつて使われていた医療器具がいくつか展示されていました。私が注目したのは昔の手術台や無影灯、麻酔器など。へぇ、こんなものまで展示されているんだと、オペ室看護師としてなんだかうれしくなってしまいました。

手術器械としてはなぜか鉗子分娩に使う児頭鉗子が並べてありました。そういう特殊な器具ではなく、もっと一般的な手術器械を見たかったなぁ、と思うのは個人的な希望。ペアンとかコッヘルなんかは昔から変わってなかったりするのかな。

その他、昔使っていた頸椎のハロベストだとか、竹でできたシーネなんかもありましたね。竹製というのがいかにも中国っぽい感じです。



陶器でできた昔の解剖台オペ台の他には、白い陶器でできた解剖台なんてものもありましたね。ちょうど解剖室が地下部分にあって、建物自体の古めかしい雰囲気とあいまって、ひとりで入っていくにはちょっとドキドキする感じがしました。

病理標本もいくつか展示してあって、脳内出血を起した脳や、結石がたまった膀胱、腹部大動脈瘤などがホルマリン固定されていました。こうした人体標本も日本の博物館等ではなかなか見ないものかもしれません。(最近でこそ「人体の不思議展」なんてものもありますけど)

おもしろかったのは中国に伝わる医学書の一部がパネルとして展示されていたあたり。骨折の整復方法などが図説してあって、おそらく経験則から成立したものだと思うのですが、今の整形外科の徒手整復の教科書に書いてあることとほとんど同じだったり。

博物館としては、展示品目が少なかったり、イマイチぱっとしない感じではありますが、医療従事者が見る上ではなかなか興味深い場所でした。いちおう日本語のガイドブックにも紹介されていますので、香港にいって時間があったらチラッと覗いてみてもおもしろいかもしれません。香港の地下鉄はわかりやすいし、地下鉄の上環駅から歩いて15分くらいなので気軽に行けますよ。オペナースだったらそこその楽しめるはず。視点が他の人と違うはずですから(笑) たぶん観光ツアーに組まれるような場所ではないだろうなぁ。

posted by Metzenbaum at 23:33 | Comment(2) | TrackBack(0) | ope室以外の医療ネタ
この記事へのコメント
お帰りなさい。管理人さん。はじめまして・・・
夏休み満喫できましたでしょうか??

香港医学博物館http://morimorihongkong.gateau.jp/hk_museum_of_medical_sciences_001.htm

確かに、医療従事者(特にオペ室関係者)としては、
非常に興味をそそられる場所ですね。
ガイドブックには載っていても、一般の方にしてみれば
あまり足を運ぼうとは思わない場所かもしれません。
放射線機器や漢方なども展示されているようで、
海外の医療文化や歴史を知るにはとても価値のあるスポットだと思います。

機会があれば是非訪れてみたいですね〜。

レポートご苦労さまでした(笑)

撮影OKだったんですね〜。
Posted by にゃんぽりん at 2006年10月28日 13:36
にゃんぽりんさん、こちらにも顔を出してくださってありがとうございます。

医学博物館、行ったのは平日の昼頃だったのですが、他のお客さんはオランダ人の女性ひとりと、地元の学生さんとおぼしき女の子がひとりだけでした。仮に休日に行ったとしても、人で賑わっている、というはないんでしょうね。

写真はNGという表示はなく、係員さんがいる前でシャッターを切っても何も言われなかったので、大っぴらに撮りまくってきてしまいました。リンクを張ってくれたサイトでは、うち以上に写真貼りまくってますね(笑)
Posted by 管理人 at 2006年10月28日 16:55
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