プレゼンといえば、以前にナース特有の学会発表の傾向について書いたことがありました。そこで プレゼンテーションZEN という本を紹介したのですが、その続編 「裸のプレゼンター」(ガー・レイノルズ著) が今回のテーマです。
プレゼンテーションとはなにか? というある意味哲学的な命題に真っ向から向き合った本。
一言でいえば、プレゼンテーションってアートなんですよね。
大げさにいうと映画と同じく総合芸術。
スライド資料というマルチメディア(文字、写真、図版、音声、動画)と話し手の語り口の融合。さらには演者の立ち位置や手振り、表情、声の抑揚、間、などの非言語的表現。
それら複合メディアを駆使しての「表現」がプレゼンテーション。
その目的は? というと話し手から聴衆へのメッセージを伝えること。
抄録に活字を乗せるだけの文字情報ではなく、マルチメディア+口演というパフォーマンスを使うのは、それだけ鮮烈にメッセージを伝えたいからに他なりません。
そんな高度な表現活動なんです、プレゼンテーションって。
そんな風に考えたことってありました?
看護研究や学会発表で、PowerPoint資料を作って、人前でしゃべるということは、何年もナースをやっていれば、1度や2度はあると思います。
その目的はなに? と言ったときに「発表すること」自体が目的になってる傾向がないかなと私は感じています。
学会発表という儀式をこなす、その儀式にはPowerPoint資料が必要だから、とりあえず作ってみた。発表は原稿を作って、それを流暢に読み上げればOK、みたいな。
発表によって何を伝えたいのか? そのメッセージはなに?
根源的な問いです。
伝えたい! そのエモーションが大切なのですが、それ以前に「お作法」に縛られるあまり、本質を見失いがちなのでは?
フォーマルな学会発表ですから、「型」も大切ですけど、ガチガチすぎると、しゃべってるほうも聞いてるほうもつまらない。
別の言い方をすると、主体はどっちかという点です。
話し手と聞き手。
話したいことを話せばいいのか? わかってもらわなければ意味がないのか?
このあたりを突き詰めると、プレゼンテーションは変わりますし、さらには病院内での勉強会でも後輩指導でも変わるはずです。
教育のあり方を含めて、勉強になる本でした。お奨めです。