それぞれの施設では、手術介助のマニュアルがあると思いますが、どんな形式でしょうか? 新人のときは、マニュアルはともに生活するくらいの必要性があり、本当になかったら不安になるものでした。 うちの、マニュアルは文字で手術の進行とともに、必要な機械・外回り看護師の動きが書いてるんですが、すべて文字です。個人的な意見ですが、手術室のマニュアルはすごい大切だと思うんです。新人のころは器械の名前なんて、まったくイメージができず、また普段は滅菌してるので、簡単には現物がみれなかったり、さわれなかったり。 もちろん、基本的な外科の器械などは未滅菌であったり、写真で掲載されていたりしますが、特殊な数が少ない機械となるとそうはいきません。 そこで、今回、器械の写真や、術中の動きなど動画を盛り込んだマニュアルを作成しようということになりました。DVDなどにマニュアルをいれようとしています。研究でやってるんですが、他の施設ではどのようなマニュアルを使用しているんでしょうか? ご意見お願いします。 (れんさんより) |
ということで、今日はナース向けの手術手順マニュアルについてお話ししようと思います。まず最初にわたしの施設で使っているマニュアルをご紹介しますと、、、、
こんな感じです。(あーぁ、公開しちゃった。同じ職場の人が見てたら身元がバレちゃうだろうなぁ。まぁ、いっか。気付いても、ここでは固有名詞を出すような書き込みはご遠慮下さいね)
クリックすると拡大されます。(ブラウザによっては縮小表示になってしまう場合がありますが、ダウンロードしてからクリックしてもらえばきちんと読めるようになります。)
見てもらえばわかるとおり、最初のページが外回り業務に関すること、2ページ目以降に器械出しの手順が書かれています。外回りは特殊なセッティングの場合などは、別紙で詳述することもありますが、概ね1枚に収まる感じです。
問題は器械出しの部分で、整形外科の THA や PLIF など大量の借物器械を使う場合は、当然ページ数は長くなっていきます。
うちもちょっと前までは手書きの文章中心で、特殊な器具や借物に関しては、ナースが手書きでイラストを入れたり、ポラロイドで撮った写真を貼り付けたりしていましたが、最近はようやくパソコンを活用が増えてきて、デジカメで撮った写真をマニュアルに含めるようになってきました。
もっとも、うちの手術室で行なう術式は全部で500以上あるらしいので、すべてのマニュアルがきちんと整備されているわけではありません。いまでも手書きのマニュアルや、モノによっては昭和○○年なんて書かれた古い手書きマニュアルも残っていたりします。いま科毎に担当者を決めて、手分けしてせっせとデジタル化を進めているところです。
こうして作ったマニュアルの管理は、旧来からの方式で科毎にクリアファイルに入れるようにしています。必要な人はそこからコピーを取っていくというスタイルです。手術の方法や使う糸はローテーターのDr.によって違ってきますので、気付いたことは積極的にマニュアル原本に書込んでいってもらいたいのですが、実際のところ、個人の手持ちマニュアルはみんなそれぞれ更新しているようですが、原本のほうにはなかなか情報が還元されないのがいま問題になっています。
変更点があった場合、赤字でマニュアル原本に書き込んでもらうようにして、それがある程度たまってきたら科毎の担当者が、パソコン内のデータを修正して、新たにプリントアウトしてファイルに入れていくということを繰り返していきます。
◆ 完全デジタル化を目指したけど
現在、大方の術式はWordのデータとしてパソコン内に入っていますので、さらにIT化を進めて、パソコン画面上で科毎のマニュアル一覧を表示したり、術式検索ができるように試行錯誤しています。いまのところ、ホームページ作成技術を応用してhtmlで、マニュアルの一覧表示を作成し、クリックすると簡単に Word のマニュアルが開くような段階までにしました。さらにローカルPCに疑似サーバを入れて、科毎にCGI掲示板を付けて、最近の傾向などを気軽に書き込みできるようにしてみたのですが、さすがにここまでは時期尚早だったみたいで、みんなちっとも活用してくれてません、、、、
うちの職場ではインターネットを活用している人っていうのがほとんどいないようで、掲示板とはなにかがわかってないようで残念。きっとこのブログを見てくれている人たちなら、フル活用してくれると思うんですけどね。せっかく疑似サーバを立ち上げたので、他にもいろいろな応用ができそうなので、今後ボチボチと考えていこうと思っています。
◆ 写真入り手術器械セットメニュー
手術特有の特殊な器械については、手順マニュアルの中に写真入りで説明するようにしていますが、新人看護師のために、写真入りの手術器械セット一覧のようなものも作っています。最初のうちは、ペアンもコッヘルもよく分からない状態ですから、やっぱり写真効果は大きいと思います。例として外科の開腹器械セット一覧と、整形の借物スクリューセット一覧を載せておきますね。
(うまく画像化できなかったので、PDFファイルで公開します。ファイル名をクリックすると、別窓が開いてPDFファイルが表示されます。それぞれ2.15MB程度ありますので、ブロードバンドじゃない人は気軽にはクリックしない方がいいかも)
● 外科器械セット ⇒ lap.pdf
● 整形外科プレートセット ⇒ screw.pdf
こうした器械一覧表も去年あたりから私が取り組んで整備を進めているのですが、効果は絶大です。かつては新人各自が特徴をイラスト書きしたり、写真を撮ったりして必死に覚える努力をしていたようですが、こうした写真一覧のお陰で、教える方もわざわざ滅菌された器械セットを開かなくて済むし、覚えも早いようです。
これまでうちの手術室ではかなりゆっくりペースで器械出しを覚えてもらっていましたが、写真入りマニュアル&器械メニュー表のお陰で、進みをちょっと早めてもいいかなというくらいになってきています。確実に効率は上がりますので、まだのようでしたら、ぜひ写真の活用をオススメします。
以上、この数年、私が職場内で取り組んでいるマニュアル整備の話をさせてもらいました。
追伸:DVDの利用かぁ。私、動画を扱った経験がないので、そこまでは思いつきませんでした。
れんさん、研究が完成した暁にはぜひ、結果を教えてくださいね。
パソコンは使いこなせると、面白いですね。管理人さんはかなり使いこなせる様子。今後は、パソコンをどんどん活用していきたいと思います。
うちで完全にデジタル化できない原因のひとつに、図の取り込みの問題があります。サンプルで載せたマニュアルの最初のページに室内の物品配置の図があるのですが、私はベクトル系の画像ソフトで描いてWordに貼り付けているんですが、ただでさえWordを使うのが精一杯なスタッフが多いため、この部分は手書きで付け加えるというパターンがほとんど。私が管理している泌尿器科のマニュアルに関しては全部パソコンで作ったんですが、他科のものまで全部私がやるというのはさすがに無理な話。
せめて手書きの図をスキャナで読みとって、貼り付けるという方法でもみんながやってくれるといいのですが、、、
確かに面倒くさい作業ではあるのですが、誰かが一度でもベースを作ればどうにかなるので、できるかぎり頑張っていこうと思っています。
れんさん、写真の活用は効果が大きいと思いますよ。
動画といえば、うちでは以前いた脳外のDr.が開頭手術の実況中継をするビデオを作ってくれたのがあって、初めて脳外手術にはいるときには必ず見せるようにしています。
動画だと、わざわざ見る機会を作らないと見れないというのが、ちょっとおっくうなんですよね。パソコンも常に立ち上がっている状態ならいいですけど、見たいときにサラッと見れるという点では、やっぱり紙媒体の資料が現実的に一番いいのかなという気もします。
ゴーグルは滅菌してませんよね?という質問でした。
THAの術後など、ゴーグルが血しぶきでかなり汚れますので、気持ち的に滅菌されていれば安心というのもわからなくもないです。
それに医療用ゴーグルの中には、オートクレーブ滅菌可と銘打たれている製品もありますので、ゴーグルを滅菌するというのは、あながち特殊な発想ではないのかもしれません。
滅菌することで実害はないのですから、特に問題なければどちらでもいいんじゃないでしょうか?
余談になりますが、うちのオペ室では、更衣室に術衣と一緒に靴下がおいてあって、洗濯して使いまわしているのですが、なぜか靴下だけはカストに入れてオートクレーブ処理をしているんだそうです。専門業者の洗濯だけで十分に殺菌効果はあるのですが、気持ち的な問題なんでしょうね。
それより、チロさんの施設の整形のDr.は、滅菌されたゴーグルを清潔な手で取って自ら装着するんですか?
それはそれで、手を不潔にしてしまうリスクが大きくて問題ありな行動にも思えますが、、、
マニュアルみました!!管理人さんすごい分かりやすくていい感じですよ
私の病院では個人ノートですので、マニュアル作りたいけど、どうしても手術とかがあるため時間外に作らざるを得ないんですね。パソコン打つのも遅いし、なかなか出来ないですよ…1つ作るのに10日以上かかりそうでゾッとします。
パソコン使いこなしたら楽しめながらできますかね
手術介助に必要なデータは、言ってみれば重要な資産です。
それが各個人に分散しているというのは、手術室という組織で見た場合、非常に損失というか、あまり良くない状態だと思うんですよね。
うちも公共のマニュアルはあるけど、実は各個人が作っているマニュアルのほうが充実しているし、最新のデータにもアップデートされているという現実があります。
手術室という組織単位で考えると、マニュアルはできれば公共のモノ一つにして、すべての情報をそこに集約させるのが理想かなと思っています。
確かに、改めて体裁を整えて、誰が読んでもわかるように整備するとなるとなかなかたいへんな話。でも、例えば術式名と、集める糸や小物類を書いておくだけでも、十分に参考になると思うんですよね。一度でもそうやって術式毎の台紙ができてしまえば、後は誰か気付いた人が追記していってくれるかもしれませんし。
ぜひそんなちょっとしたところからでもはじめてみてはどうでしょう?
公共のマニュアル、きっとこれからのオペ室の宝物になっていくはずですから。
めぐさん、メッセージありがとうございました。
大それたものを作らなくてもいい、という御意見、同感です。
術式は何百もあるわけですから、質にこだわっていたらいつまでたっても先に進みませんよね。うちのマニュアルも、過去十数年かけてようやく今のような形に落ち着いてきたようです。