例えば鼠径ヘルニアの手術についての説明した本は腐るほどあるのですが、ナース向けに産婦人科(業界用語では「ギネ」といいます。英語のgynecologyに由来)手術を解説した本となると驚くほど少ないんですよね。
心臓血管外科とか整形外科など応用編ともいうべき特殊な手術になると、それなりに資料もあるのですが、どういうわけだか婦人科に関してはほとんど見たことないんです。ひどく専門的な感じでもないし特殊性がないからということなんでしょうかね。
婦人科手術でも腹式単純子宮全摘(ATH:abdominal total hysterectomy)など開腹手術なら、外科開腹に準ずる形で新人さんに対してそれなりに説明もできるのですが、困ってしまうのは膣式手術ってヤツ。
手術室看護師1年生も、膣式単純子宮全摘(VTH:Vaginal Total Hysterectomy)などは比較的初期のうちから器械出しを担当するようになるのですが、どうやったら膣から子宮を取り出すことができるのかなかなかイメージが付かないようなんです。
実際に手術見学に入っても、「なにがどうなっているんだかよく分からなかった、、、、」なんて言われてしまう始末で、いい図版もなく教える側としてもどう教えたらいいものか代々職場の悩みの種になってきたようです。
そんなとき、私が活用しているのは以前どこかでも書きましたが、医師向けの手術手技書です。
医師が手術手技を覚えるために、イラスト入りで手術の流れを解説した本というのがあって、手術そのものを理解するなら、もっとも確実な資料といえます。
婦人科手術に関しては私がいままで見てきたなかでは医学書院から出ている「産婦人科手術の基本」(永田一郎)がいちばんわかりやすかったです。これは手技書というよりは、婦人科医一年生向けのオペ入門書みたいな感じで、非常に丁寧に書かれています。
手洗いの方法からガウンテクニック、手術体位、産婦人科手術の基本器械の解説、糸結びの方法など、手術室看護師にとってもかなり重要なポイントが写真・イラスト入りで要領よくまとめられています。もともと産婦人科って扱う術式自体少ないので、産婦人科領域に関してはコレ一冊で十分です。(最近流行のラパロ[腹腔鏡]下手術のことは一切触れられていませんが、、、、)
1996年出版の本なのですが、今現在、書店には在庫はないようです。もしかしたらもう絶版になってしまっているかも。どこかの図書館で見かけたら、是非とも一度は目を通しておきたい本です。図版もすごくいいので特に膣式手術のページはコピーを取っておくと、部署の手術手順マニュアル用などに活用できそうですよ。
まあ、この本に限らず、とにかく医師向けの産婦人科手術手技書をあたれば膣式手術について図入りでの解説が必ず載ってますから、まずは病院の図書室に行ってみてください。
これを読んでくださっているオペナースの皆さん、産婦人科手術のいい参考書ってなにかご存じですか? 特に看護婦向けと銘打っているような本があったらぜひ教えてください。
確かにラジカルは開いて出すのでわかるのですが、
膣式は手順を読んでもイメージがつきません・・・。
なので出す器械も予測がつかず、手順丸暗記状態です。
是非とも図書館でこの本を探して見ます!
新人ナースは(・・・というより、私は)
「何がわからないかわからない」状態なんです。
だからこのブログはオペにつく上での視点も与えてくれるので、
本当に勉強になります。
これからも更新を楽しみにしています!♪
膣式手術に関しては、本稿で紹介した本に限らず、とりあえず婦人科の手技書は最低1冊は病院図書室にあると思いますので、それを見ると疑問もすっきり解決すると思いますよ。
私なりに、新人さんが見落としがちなポイントとか重要だと思う点を中心に書いていきたいと思っていますが、ご質問も大歓迎、お待ちしています。
そのうちネタ切れになって、更新も滞ってくると思いますので、そんなときはぜひ積極的に質問をお願いしますね(笑)
縫合糸ですが、先日中国地区手術看護学会でジョンジョンさんのセミナーがわかりやすかったです。一度相談して、勉強会していただいたらいかがでしょうか?
P-3とかSH-1って、バイクリルとかエチコンの針糸の記号ですよね? これはエチコンの内部規則の針の形状です。おだんごさんがご指摘くださっているようにエチコンの営業担当者に相談すると院内で糸と針の勉強会を開いてくれます。うちも毎年新人看護師向けにお願いしています。