2006年04月12日

モニター心電図くらい読めるようになりたいよね(看護師が学ぶACLSの話)

オペナースに限らず、看護師ならぜひ押えておきたい基礎知識の筆頭としてモニター心電図があります。循環器病棟やICU勤務のナースだったらモニター心電図のイロハなんて常識なんでしょうけど、一般病棟ではどうなんでしょう?

オペ室では、簡単な局所麻酔手術を含めて、オペ室で何らかの処置をする患者全員にルーチンでモニター心電図を装着します。それだけにオペナースにとっては非常に身近な機械ではあるのですが、それをきちんと活用できているかというと甚だ疑問です。

というのは、別の項目でも書きましたが、全身麻酔や脊椎麻酔手術など、麻酔科医が全身管理を行なう手術の場合、モニター心電図の取り扱いは麻酔科医の守備範囲内で必ずしもナースが監視するものではないからです。

言ってしまえば、モニターチェックは麻酔科の仕事、ナースはノータッチ。

そんなわけで、オペ・ナースはとかく心電図には無頓着な人たちが多いようです。(うちの職場だけ?)毎日誰もが扱う器械な割には、職場内の勉強会でも心電図の読み方を扱うことはこれまで無かったようですし、心電図なんて看護学校で教わるものでもないし、病院の集合教育でもやらないし、、、、それじゃ、新人でオペ室に配属になった人はどこで心電図を覚えるのかという疑問にぶちあたります。

たぶんみんななんとなくでこれまで来てるんでしょうね。それで困らない環境であれば当然の成り行きかもしれません。自分で勉強しようという人はいるでしょうけど、解説本を買ったところで、小難しいベクトルの話なんかが出てきて、それだけでギブアップしちゃったり。。。。

⇒ 【参考】 晴耕雨読的日常 OPナース兼主婦「ちょっと勉強してみる日もあり


かくゆう私も、自分で心電図の勉強をしようとしてくじけてきたひとりです。本を買ってきてみると、いろいろな不整脈が並んでいて、それぞれ説明されているけど、でも、ただそれだけなんですよね。

端的に言えば要点がわからない! その一言に尽きます。

◆ ACLSコースで気付いたモニター心電図を覚える目的

そうして私も放り出してしまったのですが、改めて心電図を勉強しようと思ったのはアメリカ心臓協会(AHA)のACLSプロバイダーコースの講習を受けてからでした。

皆さん、ACLSってご存じですか?

ACLS(Advanced Cardiac Life Support)は日本語では、二次救命処置などと訳されますけど、簡単に言えば心肺停止になったときに、どういう流れ蘇生をしたらもっとも安全で効率的かという方法を世界的に統一した規格・手順のことです。

その世界基準には民間人など素人が行なうBLS(Basic Life Support:一次救命処置)と医療従事者が行なうACLSがあって、ACLSは主に病院等に到着してから、エピネフリン(ボスミン)などの薬を使ったり挿管したり、という高度な救命処置の手順をまとめたものになっています。

ACLSでは、突然の心停止にいちばん多い原因が心室細動(VF)であるという話に始まり、VFに移行するまでの危険な不整脈への対応ということで、頻脈系・徐脈系の不整脈とそれぞれの治療法を学んでいきます。

そのACLSの講習で聞いた心電図の話は、きわめてシンプルで分かりやすかったです。というのは心電図を読めるようになる目的はいったいなんでしょう? 別にマニアックな波形を判読して自慢するのが目的ではないですよね。

死を未然に防ぐ、つまり心停止に移行しそうな波形を見つけて早めに対処する、それが心電図をモニターする最大の目的だと思います。

言ってみればあたりまえのことなんですけど、これまで世の中に出されていた心電図の本って、滅多に見ないようなマニアックな波形の判読に終始してばかりで、なんのために? で、その先はどうしたらいいの? という部分が非常に弱かった気がします。現実味のないそんな展開だから次第に興味が薄れ、モチベーションも下がってきてしまうのかもしれません。

その点、ACLSの勉強では、心電図はあくまで道具のひとつとして扱われます。救命という大きな目的のなかの一部に位置づけられている。

あたりまえのことなんですけど、「心電図の勉強をしよう!」とひとりで意気込んでいたときには意外と忘れがちな視点でした。いつの間にか心電図を読めるようになる! ということが目的になってしまっていたんでしょうね。

目の前で人が死んでいくのを防ぐ。

そういうふうに目的を限定すれば、おのずと知っておかなければならない心電図波形は限られてきます。循環器内科に併診をかければいいような緊急性のない不整脈はバサッと切り捨てて後回し。

アメリカ心臓協会(AHA)のACLS講習のいいところは、医師・看護師・救急救命士などが一緒になっておなじレベルの教育を受け、訓練をしていくことにあります。こういった職種混成の勉強会って日本ではいままであまり無かったんじゃないでしょうか?

ナース向けの講習や参考書では、なにかあれば「すぐに医師を呼ぶ!」に落ち着いてしまうようなことでも、ACLSコースでは、自分が医師になった想定で診断をし、周りのスタッフに指示を出さなくてはいけません。

実際は法律的な問題で、ナースが薬剤投与を指示したり、勝手に除細動を行なうことは許されていませんが、学ぶための意識付けとしてはとても大きなものがあったと思っています。

このACLSコース受講を通して、心電図の学んで行き方というのがわかった気がしますし、何より現実的な問題として興味関心を持つことができるようになりました。

看護師でACLSプロバイダーコースを受講するというのはまだまだ少ないようですが、機会があったら、ぜひACLSを学んでみることをお薦めします。アメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association)のACLS Provider講習が本家本元ですが、日本事情を加味したICLSコースという日本救急医学会認定の講習会もあります。

まあ、どちらにしても心肺蘇生に関する国際ガイドライン2005が去年に改定されたばかりで、ACLS講習自体はまだしばらくは古い「国際ガイドライン2000」に沿って行なわれるみたいなので、もうちょっと「待ち」かもしれませんが、、、、

心電図とACLSの話は、まだまだ書き足りないことがあるので、またいつか触れたいと思います。



ACLSプロバイダーマニュアル日本語版心肺蘇生の『国際ガイドライン2000』を発表したアメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association)が出しているACLSプロバイダーマニュアル日本語版。今でこそICLSだのなんだのがあるけど、国際ガイドラインに則ったオリジナルACLSの公式マニュアルがコレ。翻訳本なのでやや取っつきにくい部分はあるものの、ACLSに関しては原著的な本。他にもたくさん関連書はありますが、ぜんぶこの本をもとに書かれています。エビデンスに基づいてしっかり勉強したい人には必携の本です。



posted by Metzenbaum at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
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