2006年04月08日

緊急手術の話

私のいるオペ室では、1週間毎に週間手術予定を立てて、それに基づいて手術室を運営しています。

予定手術はいちおう朝8:30から夕方5:30までに収まるように組まれるはずなんですけど、まあ、メチャクチャです。4時間予定の手術を縦に2つも入れてくるっていったいどういうこと??

予定時間4時間といってもこれは手術自体の時間ですので、その前後に麻酔を掛けて覚ましたり、体位のセッティングを含めたら5-6時間。
どう考えても日勤帯の8時間の間に終わるはずがありません。

「オペ室ナースは定時で終われていいよね」

なんて言われますけど、トンデモございません。

そんなメチャクチャな手術の組み方に加えて、うちらの仕事は手術だけではなく、そのまえの準備と患者さんが帰った後の器械洗いと掃除、それに次の手術のセッティングもあるわけですから、定時なんかで帰れるわけがない。
定時上がりなんて絵に描いた餅です。

予定手術だけでもたいへんなのに、さらに番狂わせなのが突然に飛び込んでくる「緊急手術」。うちの場合、だいたい平均して1日2件くらいは入ってきますね。

急患オペとして多いベスト3をあげるとしたら、帝王切開アッペ(虫垂切除)穿頭血腫除去あたりでしょうか。

まあ、このあたりはオペ時間が30分〜1時間の簡単な手術なのでまあ、いいんですけど、やめて欲しい代表は次のふたつ。

・脳外のクリッピング
・心外のCABG

クリッピングというのは、脳動脈瘤破裂のための手術で、CABGは心筋梗塞のときに行なう心臓の冠動脈をつなげる手術。

どちらもかなりの大手術で、オペ時間だけでも3〜6時間。特に心臓血管外科の開心術(CABG)は人工心肺を使いますので、はじめる前の諸準備もとってもたいへん。予定手術であっても相当気合いがいる感じ。

こんなのが人手が少ない夜間帯や土日のon call(急患対応の自宅待機番)で入るともうたいへんです。ナースふたりでこんな繁雑なことやってられっかって思ってしまいます。

まあ、でも何百人もいる病院のナースのなかで、オペの介助ができるのは自分たちしかいないのだから仕方がない。病棟スタッフだったらいくらでも替わりがあるかもしれませんけど、そうでないのがオペ室の仕事。

実際に、1分1秒を争うような命に関わる手術に入ると、この仕事は自分しかできないんだ、という自分を奮い立たせるような思いが自然と強くなります。逃げたいけど逃げられない。はっきりいって、自分自身がコワイわけですけど、だからこそしっかりしなくちゃという思いに支配されて、自分でも驚くほど冷静になったり。

手術が終わって患者さんが退室した後に、どっと疲れが出てきて放心状態になってしまったりするんですよね。

ふだんは、BGMに好きな音楽をかけつつ、医者たちと軽口叩きながら仕事をしている手術室ですが、このときばかりは恐ろしい職場にいるんだなということを実感してしまいます。
posted by Metzenbaum at 21:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
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