2006年04月04日

オペ室ナースが見た『人体の不思議展』

今日は当直明け。月数回の貴重な平日休みの日。
「人体の不思議展」チケットいま横浜で開かれている『人体の不思議展』に行ってきました。もう何年もまえから日本各地を巡回しているので、見た方もいらっしゃるかとは思いますが、内容はというと模型ではない本物の「人体解剖標本展」です。

うちら手術室スタッフは人の体の中なんて見慣れてますけど、普通の人にとっては未知の世界。それを「プラストミック」という新しい標本技術で腐敗しないように固定したホンモノの人体を惜しげもなく展示している、ある意味貴重な展示会です。

まあ、感想を一言で言っちゃえば、勉強になりましたねぇ。。。

看護師の場合、学生時代に解剖学を時間をかけて勉強しますけど、実際の人体に触れるのは大学医学部に行っての解剖見学の時だけ。時間にしてせいぜい数時間。それもすでに剖出してあるところしか見れませんから。

それなりに働いている看護師さんだったら、これまで文字でしか理解していなかった構造が立体的に見えて繋がってくる良い機会だと思います。

実際、あれだけの系統標本が勢揃いしているというのは医学部標本室にしてもないと思います。はっきり言って「人体の不思議展」の標本は非常に質が高いです。

私はこれまで国内では有数のコレクションを誇ると言われている医学部標本室を何ヶ所かまわったことがありますが、ぜんぜん比較になりません。医学部標本室ではどうしても病理標本とか貴重な症例の記録みたいな感じの標本が多くて、正常解剖標本って実は少ないんです。

そういった意味でも、解剖を勉強したければ、医学部解剖標本室に行くより絶対に「人体の不思議展」のほうが価値があります。コメディカルならぜひ行くべきですね。

今回、私が特に注目してみてきたのは脊髄神経周辺の構造。いま職場では脊椎外科を専門にやっているので、ふだん見ている術野の光景を思い浮かべながら脊柱管や神経の走行をおさらいしてきました。

「人体の不思議展」では、かなり多彩な切り口で人体各部を見せていますので、何科のナースでもとりあえず参考になるモノは絶対にあると思います。

それにしても、あの会場の中にいったい何人分の「死体」が並んでたんだろう?
10体や20体ではないと思う。全身標本だけで10体分以上あったし、全身の血管だけを剖出した標本や、骨格だけとか頭部だけ、手だけ、胴だけとかとにかくスゴイ数でした。

よくも現代にこれだけの解剖標本を作ったなと感心してしまうくらい。
これが中国人献体というところが非常にアヤシイんですけどね。

そうそう、そういえばオペ・ナースなら見逃せない「手術器具を着けた人体」みたいな全身標本がありましたね。人工膝関節に橈骨創外固定、開頭術後のプレート固定、下顎骨のプレート固定。背中にはペディクル・スクリューなんかも入ってて、とにかくいろんなインプラントの総パレード。

意味もなく体のあちこちに開創器が掛けてあって、なんで開胸器を足につけとるねん! という突っ込みどころ満載でおかしかった。というより、人の体を使って遊んでない!? 見方によっては冒涜的な標本とも言えるかも。

冒涜といっちゃ、弓を引く人跳躍する人イスに座る人
遺体に無理矢理ポーズを取らせているのもどうかな。必然性がまったくわかりません。筋肉が収縮でもしてれば、それなりに意味もあるんでしょうけど、ただ形だけそんなポーズをさせているだけ。「見せ物」として以外の解剖学的なきちんとした意味があるなら誰か教えてほしいです。


最後にオペ室的な視点で一言。
ホントの生きた人体の中は、色が鮮やかで張りがあって、もっともっと神秘的ですよぉ〜


ガラス瓶から解き放たれた人体−新解剖学の夜明け−余談になりますが、ホルマリンに浸けなくとも常温で遺体を腐らないように保存できる技術「プラストミック」(プラスティネーション)とはなんぞや? という人には「ガラス瓶から解き放たれた人体−新解剖学の夜明け−」(坂井 建雄、NECクリエイティブ)という本が参考になります。

一連の展覧会の発端は東京国立科学博物館での展示が最初でした。最初はホンモノの人体標本を展示するなんて! と非難囂々、いろいろ問題があったようですが、展覧会にこぎ着けるまでの解剖学者たちの熱い思いと、なぜ標本を一般人に見てもらう必要があるのか、現代死生観にまつわる根本問題に触れた本です。


posted by Metzenbaum at 22:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
この記事へのコメント
「人体の不思議展」の情報です
中国人死刑囚を闇で売買して加工し皮をはいで見世物にして金儲けしています。
★献体同意書は盗用偽装だった
http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-186.html
★カリフォルニア州で人体展禁止法案が可決されました★
http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-181.html
★★日本語字幕のPart1,Part2がRedFoxサイトにあります★★
 http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-174.html
・「死体」の写真があります。ABCnewsのPart2の7分52秒のシーンで使われている「死刑囚」の写真のサイト 
 http://www.observechina.net/info/artshow.asp?ID=47822
   検索:唸声中国/死刑囚の遺体を人体標本に、  のなかの2番目UR
Posted by 人体 at 2009年02月11日 11:36
現在行われている「人体の不思議展」の不透明さについては私も承知しています。

日本で初めてプラスティネーションが一般公開されたのは国立科学博物館での特別展であったと記憶していますが、そのときの展示と今の商業ベースにのった人体の不思議展ではまったく別物になっているようです。

ただ本家本元のプラスティネーション開発者のドイツ人も、最近はやや首を傾げるような派手なパフォーマンスに徹していて、難しいところです。
Posted by 管理人 at 2009年03月29日 19:06
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