2010年08月30日

内科系疾患標準化コースAMLS

ハワイに着いて3日目。

ACLSインストラクターの更新講習を終えて、この日は一日フリー。

前回来たときは、4日間、ずっと講習でホテルと講習会場の往復以外はナンにもなかったので、今回はあえて1日フリーの日を作ってみました。

別に買い物とかは興味がないので、散歩がてらハワイ大学の医学部キャンパスへ、プラプラと。


ハワイ州立大学医学部キャンパス


ホノルルからアラモアナショッピングセンターに向けて歩いて、海岸沿いをてくてく。

ショッピングセンターを越えて、さらに30分ほど歩いた左側に医学部キャンパスがあります。

2年前に来たときは、ACLSインストラクターとしてのモニター試験という教育実習が、この医学部キャンパスの階段教室でありました。

インストラクターとしてのデビュー戦みたいなもので、緊張ながら、一緒にインストラクターになった3人の仲間と、2日間、どうにかコース開催をしたものです。

時間的に学食は終わっていたので、購買部の医学書センターへ。

小さいながらも一通りの方がそろっていて、日頃手にとってみることができない、FCCS、PHTLS、AMLSなどのアメリカの医療標準化コースのテキストをパラパラと。

で、結局AMLSのテキストを買ってきました。

AMLSの英語版テキスト


AMLSは Advanced Medical Life Support の略で、アメリカの救急隊員向けの内科系の初期対応教育プログラム。

この手の講習は日本だと AHA の ACLS が有名ですが、アメリカでは色々な団体が色々な内容の標準化コースをやっています。

AHAのACLSは Cardiac ですから主に循環器系の急変対応を学ぶコース。命に関わる心臓疾患への対応はこれでいいのですが、そうでない場合や意識がある人への対応方法はあまり含まれていません。

ACLSは医療従事者の常識はありますが、実はそれだけでは不十分。

ということで、アメリカの医療標準化教育はおおむねこんな図式になっています。

1.内科系標準化コース・・・・AMLS
2.外傷系標準化コース・・・・PHTLS、ITLS
3.循環器系標準化コース・・・・ACLS

ここまでやっておけば、ケガから病気、心停止まで一通りの判断と処置ができるという構造。ちなみにBLSが入っていないのは、医療従事者になる以前の常識だから。みんな学生のうちに実習が始まる前に習得する内容です。


日本を振り返ってみてみると、循環器系はAHA-ACLSとか日本救急医学会のICLSでだいぶ浸透しています。

外傷系もJATEC、JPTEC、JNTEC や 米国系の ITLS がそこそこ認知されている。

でも内科系の統合プログラムってないんです。

一応ISLSが脳卒中ということで内科系ではありますが、あまりに特化されて過ぎていて、なんだか病態・原因がわからない患者へのアプローチ法は学べません。

でも、本当はそこが一番重要なんですよね。

なんか様子がおかしい。そう思ったときに、何を観察して、どう評価して、どう対応するのか。すべての急変の入り口を学ぶコースが日本にはありません。

いちおう外傷系コースでは、初期評価、一次評価、二次評価といった大事な点が含まれていますが、でも前提は外傷。内因性へのアプローチは相当弱い。

なので、やっぱりAMLSのような内科系総合アプローチを学ぶコースは必須だと思うんです。


実は今回のハワイでの夏期集中セミナーには、AMLS2日間コースもありました。

そこへの受講も勧められていたのですが、これまで私の周りで受講しているのはACLSのファカルティクラスのドクターばかりで、そのドクターたちがけっこう骨があったと感想を漏らされていたので躊躇していました。

でも今回、日本から来ているナースの受講生が何名かいました。

それを見て私も受けておくんだったなぁとちょっと後悔。

でもまあ、今回とこれまでにプロバイダーになった人たちを対象に、今年インストラクターコースがあるそうです。

おそらく今回、受講していた看護師の方たちも、インストラクターへの道を進まれるのだと思います。

来年あたりかな。

日本でも公認のAMLSコースを開けるようになる予定、ということなので、そのときは第一期受講者になるべく、今回、予習用に英語版テキストを購入、というわけです。



こうしてアメリカのシステマチックに整理された医療の学びの体系をみると、日本はまだまだだなぁと感じます。アメリカのシステムのおもしろいところは、あまり医師・看護師・救命士と分けられていないところにあります。

さらにはウィルダネス・ファーストエイドという市民向けの野外救急法も、医療者向け外傷コースと親和性があるように作られていて、AVPUスケールの意識レベルの評価や報告システムなどもそのまま病院に引き継げるような教え方がされていたり。


勉強になります。
posted by Metzenbaum at 10:27 | Comment(2) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
この記事へのコメント
たまに訪れては自分のエナジーチャージとしていました。ありがとうございます。


AMLSってのがあるんですね。なんかACLSは心臓よりだと思ってましたが、内科一般の急変向けってのがあるので納得しました。


これからも頑張って下さい!
Posted by しがないオス看護師 at 2010年09月07日 21:07
同じ趣旨の日本内科学会によるJMECCが運営されています!http://www.naika.or.jp/jmecc/jmecc_top.html
Posted by ひろ at 2012年07月29日 08:10
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