2006年03月20日

もっともオペ室らしい仕事−「器械出し」業務とは?

手術室看護師の役割は、大きく分けてふたつあります。

「間接介助」と「直接介助」
「外回り」と「手洗い」

いろいろな言い方がありますが、最近では、「器械出し」と「外回り」という言い方をすることが多いようです。

まずは手術室看護のシンボルとも言うべき「器械出し業務」についてお話ししたいと思います。
器械というのは、手術器具のこと。メスとかハサミとかの類ですね。
つまりは、器械出し業務とはよくテレビドラマなんかである、医者に「メス!」と言われたら「ハイ!」と言ってメスを渡すあの役割のことです。

まあ、誰でもそんな場面のイメージは付くと思いますが、なんでわざわざ医者に道具を渡すだけの役目が必要なのでしょう? その辺の話はあまり知られていない部分かも知れません。

まあ、ぶっちゃけた話、器械出しなんて看護師がやる必要はあまりないんです。
アメリカあたりでは、看護師とは別にテクニシャンと呼ばれる器械出し専門の技師さんが手術を支えていたりもします。研修医がいっぱいいるような病院だったら研修医がやってもいいですし、さらに言えば、手術をする医者が自分で台から道具を取っていっても良いわけです。

まずは、わざわざ手渡しで道具をもらわないで医者が自分でメスとかを台から持ってかないのはなぜ? という点をお話しします。

なぜか? それは医者は手術をしている部分(術野といいます)に集中したいからです。例えば手術中に動脈を切ってしまって血がピューっと吹き出してきた場面を想像してみてください。片手で出血点を押えつつ、止血に使う糸はどこだ? と医者自身が探し回ったらどうでしょう? こういう場面では出血点から目を離すだけで危険です。筋鉤(傷を拡げる器具)などで腸管などを除けつつ作業をしているような状況で、術野から目を離した隙に鉤がずれようものなら、とぐろを巻いたような腸管に埋もれて出血点がわからなくなってしまうこともあります。

術野から目を離すことなく、安全に操作を行ないたい、それが器械出し業務がいる意義です。

まあ、実際はそんなホントに器械出しが存在意義を発揮するような場面は1手術中一回あるかないか程度のものなんですけどね。

特に最初の「メス!」という一言はほとんど儀式みたいなもんです。別に医者が自分でメスを持っていって勝手に切り始めてもなーんにも問題はありません。でも一応、「メス!」という一言で手術が始まることになっているんですね。それは昔からの習慣みたいなもんだと思います。


次に、看護師が器械出し業務をする必要があるのか? 器械出しは果たして看護なのか? という点をお話しします。

手術室業務は看護ではない! そんな言葉をよく聞きます。
看護というと患者さんのもとに言って、直接のコミュニケーションの中から関係性を築いていってケアするみたいなイメージがあるじゃないですか。
その点、手術室ではほとんどが全身麻酔で、意識のない人相手の仕事。そんなの看護じゃない! と思っている人が結構います。

まあ、これについては非常に重みのあるテーマで、おいそれと答えを出すことはできないのですが、序盤のここでは、とりあえず手術室運営には絶対に看護の視点が必要であり、看護師は欠かせないという点をはっきり申し上げておきたいと思います。

といっても実際のところ、手術室看護というと次回にお話ししようと思う「外回り業務」による部分が大きいのは事実です。

器械出しについては、アメリカのように専門技師であるテクニシャンのような存在があればそれでも構わない部分かもしれません。ただ現行の法律では、診療の補助を行なえるのは看護師でしかあり得ませんから、仕方ないんですね。

とはいえ、整形外科の人工物手術(人工骨頭置換術とか人工股関節全置換術など)では、人工物メーカーの社員が看護師に替わって器械出しを行なうという場合もあります。(大都市のそれなりの規模の病院では考えられませんが)
法律的にもグレーゾーンな領域みたいですけどね。そんな話は、いつか余裕があったら裏話的にお話ししたいと思います。
posted by Metzenbaum at 22:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | 器械出し/直接介助(直介)
この記事へのコメント
コメントというよりも、ご質問です。
この間、手術中に小さなコバエが器械台の上でヨジヨジしているのを発見しました。
こんなときどうしたら一番よいと思いますか?
虫をつまんで捨て、イソジンを塗りたくればいいという人もいました。
たぶん器械台を新しくするのがいいのでしょうが・・
本当はコメントを出すところとわかっていますが、良い知恵をお貸しください。

Posted by 葛城 倫子 at 2009年09月09日 22:13
特に外周りの出入り時(開閉)は「徹底」しないとですね。

虫を誘導する意味でも清掃時ope室設置の空調ダスト(吸引・清掃確認)が大切でしょうね。

それと、「たぶん・・・」では無く、IOG等で「滅菌」を必ずしましょう。

もちろん、滅菌済み予備が在れば、それに換えましょうね。

「清潔」「不潔」は基本中の基本では?

何気ない普段の冷静な言動が正しく遂行されて居れば、自ずとヒヤリハット防止にも繋がりますよ。

応援してますね(^^)v
Posted by satoshi at 2010年01月24日 22:53
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