2009年11月29日

手術室での急変対応シミュレーション(ACLS)

久々にマジメなオペ室ネタです。

手術中の突然のVF(心室細動)、皆さんのところではどのように対応していますか?

私の勤務する手術室ではあまり頻度が高いことではなく、過去5年間に2回ほど(年間約6,000件のオペをしている手術室です)。

私自身は心停止に当たったことはなく、過去の2回も私が勤務ではなかったときなので、伝え聞くだけなのですが、手術室での救命処置(BLS+ACLS)は、一筋ならではいかないなという印象があります。

病院内勉強会や、AHA ACLS、日本救急医学会のICLSなどで、病院内での急変対応シミュレーション教育は進んでいますが、手術室の場合、いろいろ特殊なことがありすぎて、それらのコースを受講しただけではなかなか対応は難しいと思います。(突っ込んで言えば、それはどこの部署でも同じかもしれませんが)

手術室の特徴、問題になることをいくつか列挙してみます。

 ・既にVラインが取れていて、多くの場合は挿管されている
 ・執刀医と麻酔科医、リーダーシップを誰が取るか
 ・清潔野をどうするか、胸骨圧迫の問題、除細動器パドルの問題
 ・特殊体位(腹臥位、側臥位、坐位、など)

これらの問題を考えると、手術室は手術室で、ある程度基準を作るとか、話し合いをして患者急変シミュレーショントレーニングをしておくことは不可欠と思います。

ただ手術室では、外科系のすべての科が関わっていますので、これらを含めたコンセンサス作りはなかなか困難です。

基本は、麻酔科と手術室看護師である程度話し合いをし、それを各科へ打診するということになるでしょうか。


手術中に突然VF(心室細動)になった場合、取り急ぎ必要なのは胸骨圧迫の開始です。開腹手術などの場合は、胸部は清潔なドレープがかかっていますから、助手(第三助手)の外科医が胸骨圧迫を開始するというのが現実的かなと思います。

手術操作を止めることができるならいいですが、そうでなければ執刀医と第一助手は止血など、手術を中断できるところまで処置を進める必要があります。

止血操作など手術操作が進むなら、器械出し看護師はその補助に当たるべきですが、手術操作が止っていれば胸骨圧迫の交代要員となれます。

除細動器が届いたら、パドルをどうするかが問題。

皆さんのところでは清潔野で使える滅菌パドルの準備をしていますか?

清潔野で除細動をするとしても、たとえば開腹手術の場合、パドルを当てる位置はドレープの下に隠れています。

ドレープをはがして、隙間から奥へ手を入れなければパドルを当てることは不可能。

かといって、不潔野からパドルを当てるにしても、清潔野を維持しようと思ったら、結構困難です。それにドレープの下に盲目的に手を差し入れた場合、感電という点でちょっと心配。

確実なのはドレープをはがして、裸体状態にするべきですが、手術は一時中止というある意味大きな判断が必要です。執刀医がそういう判断を素早くしてくれればいいですが、麻酔科側としてそう強く言えるかどうか。

器械出しナースとしてできることは、術野を覆うための覆布やドレープシールを準備することでしょうか。

手術室での急変時の難しい点として、手術進行というシビアな状況をコントロールする執刀医と、全身管理を行う麻酔科医、どっちがリーダーシップを取るか、どこまでお互いの領域に踏み込んで進言・決断をするかというところにあると思います。

リーダーさえ決まれば、手術室ナースはそれに従って行動、また医師たちの注意から漏れた細かい配慮を行っていけばいいのですが、リーダーが決まるまでが結構重要かとも思います。

手術室外回り看護師の大事な役割は、手術進行の全体的なコーディネート。

リーダーが決定せず、判断や指示系統がはっきりしないときには、オペ室ナースとして本領発揮かもしれません。

「先生、○○しましょうか?」
「○○はどうしましょうか?」

そんな感じの「建設的介入」によって、処置進行の促し、決定の促しができます。

そのためにはACLSの基本的な知識が不可欠です。

急変時には誰もが焦ります。

中でもリーダーとしての役割が期待される医師たちの重圧は大きいものと思います。

ましてや執刀医と麻酔科医という力関係の微妙な立場を考えれば、中間的に間を取り持つのはナースの仕事ではないでしょうか?

そのためにも、ACLSの基本的対応を理解し、手術の場面でどのようにそれを適応するかを考えることは大切だと思います。


皆さんの施設では、そんな防災訓練とも言うべき急変シミュレーションを行っていますか?
posted by Metzenbaum at 18:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)
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