2016年03月12日

ナース向け心電図テキストの決定版「看護に活かせる心電図ノート」

看護師なら誰もが一度は、勉強しよう! と志して、大抵の場合は挫折で終わる代表格といえば、心電図。

循環器病棟とかICUに配属になったら、否が応でもどうにかしなくちゃいけないんでしょうけど、いつも麻酔科医がいるオペ室や、普通の病棟勤務だったら、なんとなく、、、で、どうにかなってしまうのも事実。

心電図は苦手! という意識の看護職が多いのが現実ではないでしょうか?


心電図の勉強法については、過去にも何度か書いたことがありましたが、私が勧めていたのは、ACLSを通して心電図を勉強しろ! というものでした。

いわゆる心電図の本を買って勉強しようとすると、いつの間にか、心電図を学ぶことが目的になってしまいがちという落とし穴に気づいたからです。

看護師がなぜ心電図を勉強する必要があるのか? 

患者を死なせないため、ですよね。

心電図で波形当てクイズをしたいためではなく、致死性不整脈を判別して、しかるべき行動を取るため。

つまり、心電図を知ることは、急変対応の一部分であるはずなんです。

であれば、急変対応(ここではACLS)を学ぶ中で、必然として心電図を身につけるというのが、順当な学び方ではないでしょうか?

ACLSから、心電図の勉強を始めれば、優先度が高いのは心停止の4つの波形ですし、さらには心停止につながりかねない危険な不整脈がその次。という順番も自然と見えてきます。

心電図が読める、というよりは、その波形をみたら、何を考えてどう行動するか、ということの方がはるかに大事、という原点に立ち返ってみることが大切かなと思っています。


日頃、そんなことを考えていたのですが、最近出版された「看護に活かせる心電図ノート」という本を見たら、私が考えていたのと同じことが書かれていて、びっくり。

しかも著者はナースでした。

ナースが書いた「看護に活かせる心電図ノート」鈴木まどか


巷に出ている心電図解説本の著者の多くは、医師です。看護師が心電図の解説をするというのは極めて珍しいと思います。また共著ではなく、単著であるという点も。

この本の中で、看護師が心電図を学ぶ上での問題点として指摘されているのは、

1.基礎医学(特に解剖学、生理学)の学習が足りない
2.教本に臨床活用、特に看護の視点が足りない

ということでした。

まったくもって同感。

最近、看護学生相手に心電図を教える機会がよくあります。彼女たちは1-2年生のうちに解剖生理学を学び、心電図についてもカリキュラム的には既習ということになっています。しかし、私が関わる3-4年生の時点では、バラバラの知識のままで、つながりがないケースが目立ちます。

刺激伝導系とか洞房結節とか、そういう言葉は知っていても、心電図の波形と心臓の動きについてのイメージはつながっておらず、「しんしつさいどう」「しんぼうさいどう」という言葉は知っていても、その漢字の意味と実際の心臓の動きについては、考えたことすらないという印象。

国家試験の勉強でも、丸暗記で対応しようとする傾向が強く、理解したら覚えなくていいから楽なのに…と思うことがしばしばです。

そう考えた時に、「看護に活かせる心電図ノート」でいうように、私たちは、解剖生理学と心電図と臨床行動をバラバラに教わって、そのまま臨床に出て行くんだなということを強く感じます。

そんな基本理解のあたりが、丁寧に書かれているのがこの本の特徴。



あとは、やっぱり、「なんのために」というところですね。

この波形を見たら、ナースとして、何を観察して、どう行動し、何を報告するか?

そうした対応ありきの心電図解説本って、あるようで、なかったと思います。


正確に教えようと思うと、難しくなる。でもざっくりとした理解をまず得ること。そこから興味と学習がスタートするものだと思います。そういった意味で、心電図嫌いをなくすための、ナースによるナースの心電図と循環器理解の本。

おすすめです。




posted by Metzenbaum at 23:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 看護師スキルアップ