2016年01月22日

「看護師・准看護師は気管挿管を行うことができる」って知ってました?【厚生労働省通達】

去年、2015年10月に、看護師・准看護師は、気管挿管をできる、と厚生労働省がお墨付きを出したのをご存知でしたか?


「経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの挿管」、「経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの抜管」、(中略)については、従前どおり、看護師および准看護師(以下「看護師等」という。)は、診療の補助行為として、医師又は歯科医師の指示の下行うことができるものであること。
 ただし、医行為の実施に当たり、看護師等に診療の補助を行わせるかの判断は、患者の病状や看護師等の能力を勘案し、医師又は歯科医師が行うものであること。




2015年10月1日付で、厚生労働省医政曲看護課長が各都道府県衛生主管部(局)長宛に通知した「看護師等が行う診療の補助行為及びその研修の推進について」(医政看発1001第1号:平成27年10月1日)という文書の中の一文です。

看護師等が行う診療の補助行為及びその研修の推進について


看護師等が行う診療の補助行為及びその研修の推進について


これを見ると、気管挿管は、ただの「診療の補助」であり、医師にしか行えない絶対的医行為ではないし、特定行為研修が求められる看護師の特定行為でもないということがわかります。

しかも、「従前どおり」とありますから、昔からそうだったよ、ということを、シレッっと言ってるわけです。


これ、びっくりする人が多いんじゃないでしょうか?

確かに、2004年に救急救命士に気管挿管が認められました。救急救命士免許は「看護師の業務独占の一部」が行える資格ですから、救命士ができる以上、看護師がダメといわれる法的根拠はなかったといえば、そのとおりなのですが、看護や医療業界の通念としてはダメという理解が大勢だったように思います。

この平成27年10月1日という日付は、法改正による看護師の特定行為研修に関する規程が運用開始されたのと同じ日です。

ナースの特定行為をめぐる攻防戦の中では、医師会や麻酔科学会が反対して、気管挿管は特定行為に含まれないことになったのですが、まさか特定行為とは別枠で、特定行為発効の日に気管挿管もOK通達が出るとは想像だにしませんでした。

喧々諤々の審議の上で、気管挿管は特定行為に含めない、と決まったのであれば、普通は、挿管は絶対的医行為でナースはダメなのね、と思うじゃないですか?

それがまさかの「診療の補助」扱いだから、特定行為ではないという解釈だったとはビックリです。

この通達文書を読んでもらうとわかりますが、気管挿管は特定行為じゃないから、研修義務のようなものは課されていません。また特定行為を行うためには必須となる法定書類でもある「手順書」も不要。

病院施設ごとに独自に取り組みをつくってやっていってね、ということで、基本的には放任。

これっていうのは、きっと、今後新たに挿管訓練を行えということではなく、いままでもナースに気管挿管させていた病院施設に正当性を持たせるための確認通達ってことなんじゃないかと思います。

2015年10月1日から看護師の特定行為の法改正が施行して、そこで規定された特定行為に気管挿管が盛り込まれなかった以上、ナースが気管挿管はしちゃいけないという不文律が生まれてしまう。

そうなると、これまでナースに挿管をさせていた医師や施設が困ってしまうから、特定行為発効と同じ日に、これまであえて触れてこなかったナースの挿管について、通達文書を出してお墨付きを与えた、という感じなのかなと勝手ながら思っています。


もしかしたら、これまで小規模施設などで野放図にナースによる挿管が行われている現状があったとしたら、これまでグレーだったから、ひっそりこっそりだったかもしないけど、これを機に、ダメとは言わないから、せめてきちんとトレーニングをして責任持ってやってよね、という意図なんでしょうかね?


ちなみに2004年以前の既存の救急救命士は、新たに講習を受けて認定を取らないかぎり気管挿管は行えないことになっていますが、気管挿管認定を取るために必要な研修は、62時限(1時限は50分)以上の講習と気管挿管成功症例30例以上(厚生労働省医政局指導課長通達)とされています。

対して、看護師は、施設と医師任せで、特に要件指定なし。


救命士に挿管を認めるまでには、あんなに大騒ぎしていて、しぶしぶでもったいぶった感じだったのに、この違いはなんなんでしょうね。

裏でどういう力が働いているのかはわかりませんが、まつりごとっていうのは、世相にあわせて不思議な動きをするもんだなと思いました。


ここでは、看護師が挿管すべきとか、それは良くないとか、そういう議論はしません。

実務で考えたら、気管挿管の訓練なんかより、まず気道確保とバッグマスク換気でしょ。

つまり、医療者レベルでのBLSです。

そこすらろくすっぽ出来てない業界なのに、挿管だなんてちゃんちゃらおかしいぜ、というのはごもっとも。


でも、現実、厚生労働省がこういうことを言ってきちゃってるわけですから、看護師の特定行為のことも含めて、看護師のあり方とか、医療界での看護師の立ち位置、今後について、政治的な視点も含めて考えていきたいですね。



posted by Metzenbaum at 01:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 看護師スキルアップ
2016年01月17日

自分らしく生きるコツ

私、一般社会人としては、比較的、自由に生きている方だと思います。

病院というブラックなムラ社会の中で、声を上げて行動して、ボトムアップでいろいろと改善をしてきた自負があります。(カテゴリ「看護師の労働条件」あたりの過去記事をご覧ください)

特に日和見主義な看護婦(あえて「婦」と書きます)の世界で、声を上げることは一般には勇気がいることですが、私はあまりその辺りは気にせず、自分の信じたとおりの言動を貫いてきました。

私がそのように自由に生きてこれたのには、それなりの作戦がありました。若いころからの自由を求めて手を打ってきたからに他なりません。そのことについて、メモしておきたいと思います。

1.クビになるのは怖くない。看護師免許があれば…
2.病院勤務以外の収入源を確保する
3.仕事に繋がる特技を持つ

究極的に、社会人が恐れるのは「食っていけない」という状況に陥ることです。

つまり、収入が立たれると生きていけない、だから嫌なことでも我慢せざるを得ないというのが、根本的な不自由さの原因ではないかと思います。

目立つことをして、職場の中で居心地が悪くなったらどうしよう? ということの先には収入源がなくなるという不安が見え隠れしています。

でも、考えてみれば、看護師の仕事は資格職で社会的需要も大きいわけですから、別にいまの職場にいられなくなっても大きな心配はありません。このあたりは普通のOLやサラリーマンと違うところです。

そこに気づいたナースは、職場にこだわらず点々と職場を移る人も珍しくはありませんし、単発や短期のアルバイトで生計を立てる人も少なくありません。(いやいやながら、我慢して精神を病みつつも働いている看護師は、卒後最初に就職した病院のナースが多いんじゃないかという気がします。)

しかし、なんだかんだ転職するというのは、時間的にも精神的にも負担が大きいのは事実。

そこで、普段から本業以外の副収入を得る道を作っておけば、いざとなったら辞めてやる! という覚悟へのハードルが下がります。

看護師の場合は、いわゆる派遣の仕事の経験があると、その辺はすごくハードルが低くなるんじゃないかと思います。

私の場合は、学生時代からしていたライターとしての仕事や、大学非常勤講師、セミナー講師など、本業の傍らで続けていた兼業の存在が、心のゆとりとなっていました。その他、学生時代にしていた単発での需要の多い葬儀屋や、資格を活かした通信関係のバイトなどでもやっていける確証は持っていました。

そんな風に、自分の生きる場所がいまの職場だけではない、というバックアップを作っておくことが、精神的な自由にも繋がると思うのです。

嫌ならやめればいい。で、やめて何をするの?

というところを具体的にイメージしていて、いつでも移れる体制を保持しておくこと。

それが、私の自由な行動の背後にありました。


これはたまたまそうだったというのではなく、私は意図的に構築してきました。

きっと不安症だったんでしょうね。高校生の頃から、手に職を! と思って行動してきたのは事実です。高校時代は資格マニアでした。国家資格だけで20近く取った気がします。そして、その資格を活かしたバイトを行っていたこと。これは収入源という以上に、実務経験を持つことで、本業にもし得るということは常に意識していました。

また、自分の取った資格、してきた経験を単発で終わらせるのではなく、お互いを関連付けて新しい価値観を作るということも意識していました。

例えば、看護師としての経験と、趣味だったアウトドアの経験を融合させて、野外救急法のプログラム開発という独自の価値を作ってきたわけです。看護師としても野外生活に関しても、どちらもエキスパートとはいえないとしても、両方の視点を活かすことで新規性という新しい価値が生まれます。

このあたりが、セミナー講師や文筆ということの糧になっていました。

ひとつの世界で勝負したら勝てなくても、別の業界の知識や技術、経験をつなげて融合させることで、社会的に価値のある新たな価値観・財産が作れるという発想。ナンバーワンではなく、オンリーワンというのに近い感じかもしれませんね。


ということで、経済的な不自由さから開放されたとき、自分の価値観や信念に従って行動できる基盤が生まれます。それを意識して日々生活しているかどうか?

常に自分の強みを意識して学生生活や看護師生活を送ること。

そしてその強みを活かせる道があれば、いつかやろう、ではなく、すぐに行動すること。

そうした積み重ねが、自分に対する自信を高めますし、はからずも特技を活かした別の収入源に繋がるかもしれません。

それが、内面的にも外要因的にも、自分の自由度を高めていくことになると思います。




posted by Metzenbaum at 14:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 看護師スキルアップ