【お知らせ】 誠に勝手ながら、このブログは現在休止中という扱い にさせてもらっています。たまに記事は更新していくつもりですが、皆さまがお寄せ下さるコメントやご質問すべてにお答えするのは難しい状況にあります。ごめんなさい。引き続きこのブログが手術室看護に関する皆さまの情報交換の場としてお使いいただけたら幸いです。(2008.4.9)

2017年09月15日

医師の指示でもX-Pイメージのフットスイッチをナースが踏むのは違法

全国のオペナースの皆さん、こんなニュースがでてますけど、、、大丈夫ですか?

X線、無資格操作10年 千葉・佐倉の病院、手術時に



今回は、病院組織に対する口頭指導で済んだようですけど、記事中にも書かれているように診療放射線技師法違反です。


オペ中にX-Pイメージのフットスイッチを踏む行為って


臨床工学技士だったからNGだったわけじゃないですよ!?

看護師もダメです。


えっー、知らなかった!

という声が聞こえてきそう(笑)

確かに「診療の補助」という点では、医師からの指示さえあればたいていのことはできる看護師免許ですが、放射線関係は別。

X線放射のフットスイッチを踏むなんて、なんの専門性もないし、目の前の医師の直接指示だし、いいじゃん! というのは私も大いに納得するのですが、放射線は別、という点は知っていたので、私が関わるオペでは医師に言われたとしても若い外回りの子にも、フットスイッチは踏ませないようにしていました。


ということで、免許を持った専門家として働いている人は、自分の免許は自分で守りましょう。

医師だって、知らないかもしれないしね。看護免許でフットスイッチを踏めないなんて。

医師からみれば大したことない軽いことでも、免許という面では命取りになるかもしれませんよ。



X線、無資格で10年操作 千葉・佐倉の病院、手術時に

 千葉県佐倉市の総合病院「聖隷佐倉市民病院」(304床)で、少なくとも2007年から、整形外科手術の際に放射線を扱う資格がない臨床工学技士が医師の指示でX線装置を操作していたことが14日、同病院などへの取材でわかった。県が再発防止を指導したほか、厚生労働省も10年間続いていたことを問題視し、違反の実態などの報告を求める方針だ。

 病院の説明では、県印旛保健所や朝日新聞の指摘を受け、整形外科手術にかかわる医師や臨床工学技士らに聞きとり調査をした。X線画像で確認しながら行う背骨などの手術で、X線放射装置を操作する際、執刀医が台座に乗って足元のスイッチを押せない場合などに、執刀医に指示された臨床工学技士が代わりに押していた事例があった。

 放射線を扱う医療機器は人体への影響が大きいため、診療放射線技師法は、医師・歯科医師または診療放射線技師しか操作できないと定める。厚労省によると、医師が指示したとしても臨床工学技士がスイッチを押す行為は同法に違反する。県印旛保健所は、病院の報告を受け、臨床工学技士による機器操作の中止と改善策の検討を口頭で指導した。(9/15(金) 9:20配信 朝日新聞デジタル)







posted by Metzenbaum at 19:50 | Comment(0) | 外回り/麻酔看護
2017年08月31日

医療用ドリルバー使い回し 看護師だけが処分?

見過ごせないニュースがありました。

使い捨ての医療機器、洗って再使用 兵庫医大病院



整形外科や脳外科、歯科口腔外科などで使用する窒素ドリルの先端バーの再利用。
きっとどこの病院もやっていることだと思います。

むしろ、再利用禁止品だと知らないで、再生するのがあたりまえという感覚すらあるかもしれません。

それが医療現場の現実です。

事実、2006年の調査では、92.1%の医療施設が単回使用器具のなんらかの再使用をしていたという報告があります。


さて、今回、大きく着目したのは、最後の一文。


「同病院は看護師らの処分を検討する」


看護師の責任が問われている、ということです。

これは免許を持って働いている専門家として、自分が手を下してやったことですから、当然と思います。

仮に医師の指示であったとしても、ある意味、「実行犯」なのは事実ですから。


しかし、現場の看護師の感覚からしたら、納得できないという意見も少なからずあるだろうとは思います。

手術室ならびに中央材料室で働いていた自分の経験からは、立場からすると、こうしたことは珍しいことではないし、職場の空気感として、あたりまえで疑問を感じることがないような雰囲気も理解できます。

医師の指示があったとしても、直接指示というよりは、歴代の慣習みたいなもので、昔からそうしているからあたりまえ、ということで、明確な指示の証拠はおそらく出てこないでしょう。

あったとしても、「これ、回しておいてよ」程度の軽い一言。

このことから、恐らく医師の責任を追求するだけの証拠は出てこないと思います。


となると、確実に言えるのは、現場で実際に手を下して再滅菌処理をした看護師の責任だけです。

理不尽だと思うかもしれませんが、免許をもって専門業務についている以上、看護師もその判断と行動の責任はあって当然ですし、専門職者の倫理観としておかしいと思うことはおかしいと声を上げて、場合によっては上司や医師の指示であっても拒否しなければならないのです。

これがただの会社の上司と部下の関係とは違う部分です。

現場感覚では、ただのコマのひとつに過ぎない自覚かもしれませんが、世間からしたら一個の専門家なのです。





使い捨ての医療機器、洗って再使用 兵庫医大病院
8/29(火) 18:43配信
神戸新聞NEXT


 兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市武庫川町)は29日、厚生労働省の通知で手術後に廃棄するよう定められている医療機器を、洗浄して患者130人に再使用していたと発表した。同病院によると、感染症など患者の健康被害は確認されていないが、手術後1年間は経過観察を行うという。

 この機器は、骨に穴を空けるドリルの先端に取り付ける金属製器具4種類。昨年12月から今年7月末にかけ、医療機器の洗浄を担当する複数の看護師が事前協議をせずに、手術で1度使った器具を洗浄、滅菌し、整形外科と脳神経外科で135回の手術に再使用していた。

 7月中旬に厚労省から西宮市保健所に情報提供があり、8月1日、同保健所と近畿厚生局が立ち入り検査。その後、同病院を文書で是正指導した。

 病院によると、看護師らは「厚労省の通知は知っていたが、滅菌して安全性が担保されていれば再使用しても問題ないと思っていた」と説明。同病院は看護師らの処分を検討する。

 相談についてはフリーダイヤル0120・456・613(平日午前9時〜午後4時45分)





参考まで、この手の使い回しは、「違法」ではありません

厚生労働省医薬局長通知(医薬発第1340号)で、製造者には再生禁止を添付文書に記載することを義務付けていますが、医療機関に対しては、再生使用してはいけないとは定めていません。医師の判断・裁量としては許容されている、とも言えます。

平成16年2月9日付厚生労働省医政局長通知(医政発第0209003号)の中では、

「ペースメーカーや人工弁等の埋め込み型の医療材料については医療安全や感染の防止を担保する観点から、その性能や安全性を十分に保証し得ない場合は再使用しない等の措置をとるなど、医療機関として十分注意されるよう(中略)よろしくお願いする」

とあり、再生使用は禁止ではなく、なるべくしないようにお願いね、という程度の扱いになっていることを申し添えておきます。

行政からの通達文で、よろしくお願いする、というのも、歯切れが悪く、背後に渦巻くなにかを感じさせます。




2017年06月29日

「学修成果レポート」書き方指南書 改訂 −学士(看護学)取得への途

例の学士(看護学)取得マニュアル本がまた改定されていました。

学位授与機構に提出する「学修成果レポート」の書き方に関する方のやつです。




合格したレポートのサンプル数が増えている以外に、あの宮子あずささんが執筆陣に参加しているのにはビックリ。

もしかしたら若い看護師さんはご存じないかもしれませんが、ナースのエッセイストの走りともいえる大御所です。

看護婦だからできること」などが有名。私も看護師になる前に読みました。

とても勉強熱心な方で、病院勤務とライターとしての仕事の傍ら準学士、学士、修士、博士を取得していった過程がブログにまとめられています。






さて、今回、その宮子さんが書かれていたのが、病院でやらされる看護研究と研究論文は違うという話。

臨床の看護研究は、「業務改善」を目標としているから先行研究のリサーチという視点が弱いという指摘がされていました。

現場ですでに行った看護研究を、学士取得の学習成果として出す場合は、先行研究レビューでページ数を増すとともに、質の高い研究論文を多く読むことで「型」を学び、体裁を整えるといいですよ、という内容でした。

病院や大学で研究指導もしている宮子さんならでの解説とアドバイス、説得力がありました。



今回、初めて知ったのですが、大学評価・学位授与機構、また組織名称が変わったんですね。

今は、正しくは 独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構 というらしいです。


学位授与事業に関しては、なにも変わっていないようなので一安心。


私も次回は、4つ目の学位として学士(教育)取得を狙っています。(いつになることやら)




posted by Metzenbaum at 09:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学士(看護学)取得
2017年02月24日

「最後のオペ」記念撮影 なにが問題?

2月22日にフジテレビ系列でスクープとして流れたこのニュース。




どう思います?

この院長先生も、こんな論調でマスコミに突かれてしまったから、「患者に申し訳ないことをした。軽率だった」と謝罪をしているけど、まあ、そんな特別なことじゃないし、大げさな! という思いもあるんじゃないかと思います。

どこの手術室でもふつうにあることですよね、きっと。


そもそもスクープと銘打ったこの報道。

これって事件でもニュースでもなく、ただのゴシップ報道だと思いません?

「最後のオペの記念とはいえ、全身麻酔で眠らせ、何が起こるかわからない状態の患者と写真を撮るという、非常識な行動。」と断罪する取材記者。

あまりに浅いというか、軽いなぁ。さらには主観的すぎるしロジックがなにも見えません。なにが問題なのか、論旨が不明です。

この文面を見るかぎり、この取材記者は、手術室を常に全身全霊を込めての真剣勝負が繰り広げられている神聖な場、みたいに考えているんでしょうね。

だからこそ、非常識、という短絡的結論に至っているのでしょう。

正直、ドラマの見すぎじゃない? くらいにしか言えないです。


またこの問題を別の視点で、患者に無断で写真を撮ってSNSに晒したことを問題とする見方もあります。

こっちに立脚したとしても、このFNSの報道はマズイです。

「SNS上にアップされた、1枚の写真。真剣に手術をしているとみられる医師と対照的に、ピースサインをしてみせる看護師。さらに、カメラ目線でポーズをとる医師たちの姿もあった。しかし、その下には、手術台に横たわる患者の手。」

患者の手に肖像権があるのかどうかはわかりませんが、まあ、無許可で他人の写真をSNSにアップしたことは問題だとしましょう。

でも、患者の肖像権を侵害した写真をSNSに載せるのと、全国ネットのテレビ放送で載せるの、どっちが問題なんですかね?

そもそもフジテレビ側は、SNSにアップした看護師に写真の公開許可をとったんでしょうか?

また、手が写り込んでいる手術を受けた患者に、「あなたの手の写真を公開しますよ」と許可を取ったんでしょうか?

幸い、この取材記者は患者の権利云々ということは主張していませんが、もともとは問題ではなかった、もしくは小さな問題をいたずらに拡大して、この記者はいったい何をしたかったのか? 正義の名の下、無責任に騒いで野次を飛ばしているだけにしか見えません。


いろんな意味で、巨大ブーメランが返ってきてそうなこの報道。

なんとも微妙でした。

同業者の皆さんはどう捉えたでしょうか?

法的な問題、倫理的な問題。

いろんな視点がありますが、確実に言えるのは、SNSの拡散性を正しく認識して、クローズドな世界とSNSをごっちゃにする危険は認識した方がいいですね。

(そういう私もYahooニュースのページのキャプチャ、許可とってませんけどね。引用の範囲とご理解いただけたら…)






posted by Metzenbaum at 07:59 | Comment(1) | TrackBack(0) | 手術室の話 [ 雑談 ]
2016年11月21日

医師の指示受けず救急隊員が「特定行為」・・・ナースの無責任さ!?

ナースの責任が問われそうな事件がありました。



温度差、というんですかね。

医師の指示でしか医行為が行えないという点では、看護師も救急救命士も同じですが、病院内というブラックボックスで守られている看護師と、メディカルコントロール下で検証の対象となる救急救命士の違い。

そんな認識が看護師に薄かったんだろうなと思った次第です。

看護師は「臨時応急の処置」ということで、緊急時には医師の指示がなくても診療の補助として医行為を行えることが保助看法で規定されていますが、すべての業務が緊急時とも言える救急救命士業務にはそのような例外事項はありません。

病院内であれば、日ごろ顔が見える主治医との関係性の中で、看護師の医行為について、比較的敷居が低いのが現状ですが、救急救命士が置かれているメディカルコントロールの世界観はまた別の話。


そもそも看護師で、看護師免許と救急救命士免許の関係性や位置づけについて理解している人ってほとんどいないですよね。

まったく別の専門職種と思っていて、救急救命士が看護師免許の範囲内で規定された資格であることすら知らない人が多いです。

戦争法案の関係もあって、救急救命士の業務拡大が目立つ昨今ですが、免許をもった立場である以上、看護師も自分が行う行為の法的根拠は把握しておくべきですし、今回のような軽薄でズサンな対応も問題として認識すべきだと思います。





posted by Metzenbaum at 00:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | ope室以外の医療ネタ
2016年11月04日

社会人学生として、学割の恩恵を満喫する

久々に学位絡みの話です。

独立行政法人大学評価・学位授与機構に申請して学士(看護学)を取得するのに、積み上げ単位を取るには放送大学が便利なのですが、学位取得後も私は放送大学に再入学して、学籍を保持しています。

放送大学は一度卒業しても「コース」を変えて再入学すれば、全部で6回卒業できるんです。(1回卒業すると、その後の入学は編入扱いになってしまうので、4年×6回=24年ではなく、4年+2年×5回=14年が最大在籍年数になりますが。)

私の場合、最初は放送大学教養学部教養学科「生活と福祉」コースに入学して、31単位を取った後は退学手続きして、学位授与機構に学士(看護学)を申請(在学中は申請できないので)。看護学士を取得できた後に再入学して、「生活と福祉」コースを卒業して学士(教養)を取得。そのあと放送大学教養学部教養学科「教育と心理」コースに再入学して今に至ります。

今となっては、学位取得が目的ではないので、身分としての「学生」を長期維持するために、あえてガツガツと単位は取らずに在籍可能期間ギリギリ延長を目指して、学生生活を続けています。

社会人をしながら、学生を続けるメリットってけっこう大きくて、学生って優遇されているなぁとつくづく感じます。

1.学術集会参加費用

看護師だと学会に入っていることが多いと思いますが、学会によっては学生会員という制度があったりします。また学術集会の参加費も、学生だと安い金額設定されていることが多く、学会によっては学生は無料ということも!

最近、締め付けが厳しくなってきていて、社会人学生は除く、というルールも増えてきましたが、いろんな学会をつまみ食いしたい場合に大学生の学籍を持っていることは有利に働く場合があります。

2.学割

放送大学でも全科履修生であれば、学生証が交付されます。学生証があれば映画館とか美術館とか、学割が効きます。それ自体、微々たる額ではありますが、大きいのはパソコン・ソフトやApple Storeでの学割です。

例えば、マイクロソフト社のOffice(WordとかExcelとか)のProfessional版をふつうに買うと、5,9800円しますが、学生なら、これが25,800円になります。

私はPhotoshopやIllustratorといったAdobeの画像処理ソフトを多用しているのですが、10万円オーバーのものが数万円で買えるとなると、ソフト購入のためだけに入学金を払ってもいいというくらいになります。

3.Amazon Student

日常的に使えてお得感が強いのは、Amazon Studentかなと思います。

これはネット書店の Amazon.co.jp の会員サービス、Amazon Prime の学割版+α で、学生だけが入会できるサービスです。

 ・書籍10%ポイント還元
 ・送料無料
 ・お急ぎ便無料
 ・映画・動画配信サービス無料
 ・音楽配信サービス無料
 ・オンラインストレージ(写真やファイルの保存)無料
 ・電子書籍月1冊無料

今年になってアマゾンの送料無料が廃止されて2000円以下の買い物の場合は送料がかかってしまうようになりました。でもAmazon Studentなら、購入金額にかぎらず送料無料ですし、「お急ぎ便」の手数料もかかりませんので、発注して翌日到着する快適さは絶大です。

Amazon Student特有のメリットして、本を1割引きで買えることがあります。アマゾン・ポイントでの還元になりますが、これは大きいですよね。特に医療系の本は5、6千円することは珍しくありませんので、5、600円引きで買えるというのは絶大な魅力です。

あと、映画が見放題とか、音楽配信サービスも魅力的。

最初の6ヶ月以降は年額1,900円が発生しますが、アマゾン・プライムの3,900円からすると得です。特に書籍の1割引きはプライムにはありませんので、学生ならではの特典ですね。年額19,000円以上、本を買う人はまちがいなく元がとれますし、後は映画配信とかの付帯サービスでの価値をどれだけ感じるか、でしょうね。

入学後4年間は資格を維持できるというのもポイントで、卒業しても4年間はサービスの恩恵を受けられます。

そういった意味でも、現役の学生さんであっても、卒業前にぜひ加入しておくべきサービスかなと思います。


学生というと、半人前の象徴みたいな印象もありますが、社会的に優遇は半端ないものがあります。社会人であっても通信制大学の学生になることで、いろいろな恩恵にあずかれますので、社会人大学生、おすすめです。






posted by Metzenbaum at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学士(看護学)取得
2016年07月28日

「無許可で医師、看護師が宿直勤務…県立病院が労基法違反」

またまた発覚! 公立病院の労働基準法違反の開き直り。

クリップしておきます。

無許可で医師、看護師が宿直勤務…県立病院が労基法違反


無許可で医師、看護師が宿直勤務…県立病院が労基法違反

2016年7月26日(読売)

埼玉県病院局は25日、県立循環器・呼吸器病センター(熊谷市)で、労働基準監督署の許可がないまま、医師や看護師の宿直勤務が行われていると発表した。人員不足が原因で、労働基準法違反の状態が続いている。

 労基法では、夜間の宿直や休日の日直勤務を行う際は、労基署の許可が必要と定めている。宿日直勤務の職員は、病室の巡回などの軽度な業務しか従事できない。

 同センターは1994年5月の開院当初に許可を得たものの、許可書を紛失。2014年2月に再申請したが、熊谷労基署が不許可とした。理由として、医師や看護師が足りず、通常勤務と宿日直勤務の境目が不明確で、心臓へのカテーテル治療などの高度な医療行為を宿日直職員が常態的に行っていると指摘された。

 同局は「許可がないのは好ましい状況ではないが、医療サービスの質は低下させない。許可を受けられるよう、勤務条件の整備や、医師の増員に努めたい」としている。

 同様の労基法違反が千葉県の6病院で今月判明したことを受け、同局が県立4病院の状況を調べた。



posted by Metzenbaum at 22:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 看護師の労働条件
2016年07月24日

日本一タチの悪いブラック企業といえば、やっぱり病院。【千葉県立病院無許可当直】

日本一タチの悪いブラック企業といえば、やっぱり病院、でしょうね。



「労働基準監督署に当直業務の許可申請をしたけど、許可されなかったから、無許可でやってました」というこのニュース。6つの千葉県立病院がすべて、というのだからびっくりですよね。つまり公務員が業務命令で違法な労働をさせられていた、ということです。

病棟勤務の看護師さんはあまり意識していないかもしれませんが、夜勤と当直は違います。

ここで問題になっているのは、当直です。

当直は、ちょっとした見回りなどの軽微な業務で、基本的には寝ていて良い業務です。週40時間の法定労働時間にはカウントされません。ですから当直業務の翌日、つまり当直明けはふつうに日勤業務となります。

夜勤は、昼間のかわりに夜に勤務するわけですから、朝、定時を超えれば、明けとなって家に帰れますよね?

それとは違う、一般的には医師に適応されている勤務体系です。

小さい病院だと看護師でも病棟勤務の人も当直扱いのところもあるらしいですが、2交代とか3交代とかの大病院では基本は「夜勤」のはずです。ただ、大病院でも手術室では当直制のところも多いとは思います。


この当直業務、翌日もふつうに日勤になるってことは、寝られるのが前提。

ですから、

「常態としてほとんど労働する必要のない勤務であり、原則として、通常の労働の継続は許可しない」

という条件が満たされていない限り認可はされない、ということになっています。(医師・看護師向けにはもう少し細かい規則がありますが…)

今回の千葉県の場合、こういった労働者を守る条件が担保されていなかったので許可されなかったわけです。つまり、業務形態からしたら当直ではなく、夜勤として勤務させるべきなのですが、そうしなかった。無許可当直という横暴な手に出たわけですね。

さらに、今回の立入検査で指摘されて、是正するのかと思えば、記事によれば、「千葉県は『当直勤務が認められないと翌日の勤務ができないため、医師などの数が足りなくなる』としており、労働基準監督署と引き続き協議を続けたい」ということです。

つまり、「ムリなんだもん、しょうがないじゃん。大目に見てよ〜」と堂々と言っているわけで、、、


ふつうだったら、それなりに処分がでてもいいところを、病院の公益性ゆえに許されるんでしょうかね。

一般企業だって、労働基準を守って残業代を出してたら、仕事が回らない。潰れてしまう、ってよく言ってますよね。でも病院だとそれが許されるのか?

社会的にみたら、地域で病院が機能することは必須なことですが、そのしわ寄せを一労働者である医療従事者が自分と家族を犠牲にしているとしたら、あまりに不健全な社会構造ですよね。


ただ、こういうことって全国のどこの病院でもあることで、恐らく実態とは違う申請でも、当直許可が降りているんじゃないかって気がします。だからこそ、千葉県も「そんな厳しいこと言わないでよ」と強気に出ているわけですが、逆にまっとうな判断をしてくれている千葉の労働基準監督署は拍手ものだなと思います。




千葉の県立病院 医師や看護師が無許可で当直勤務

7月22日 12時39分(NHKニュース)
千葉県にある6つの県立病院すべてで、労働基準監督署の許可がないまま、医師や看護師に深夜などの当直勤務をさせていることが分かりました。千葉県は、「これまでもたびたび許可を申請してきたが、認められなかった」として、労働基準監督署と引き続き協議を続けたいとしています。

病院で医師や看護師が深夜に待機や監視の軽い業務を行ったあと、翌日に通常の業務を行う「当直勤務」は特殊な勤務形態であるため労働基準監督署の許可を得る必要がありますが、千葉県がんセンターなど千葉県内にある6つの県立病院すべてで、許可を得ないまま、当直勤務をさせていることが分かりました。
千葉県によりますと、ことし5月、労働基準監督署から千葉県がんセンターの立ち入り検査を受け、勤務の現状について確認を求められたということです。千葉県は「これまでもたびたび許可を申請してきたが、『深夜の業務が軽い業務とは言えない』などという理由で当直勤務として認められなかった」としています。
千葉県は「当直勤務が認められないと翌日の勤務ができないため、医師などの数が足りなくなる」としており、労働基準監督署と引き続き協議を続けたいとしています。



posted by Metzenbaum at 23:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | 看護師の労働条件
2016年07月20日

急性アル中で倒れた人にAEDを使おうとしたら怒られたのは、なぜ?【解説】

ここ数日、Twitter上でAEDに関する話題をよく目にします。

倒れた人にAEDを使ったら通りすがりの看護師に怒られた、という内容です。

ご本人が拡散希望と書いているので、そのまま引用しましたが、下記のような内容です。(今後、ご本人がTweetを消去することがあれば、こちらも削除します)


これ本当に拡散希望なんだけど、昨日横浜駅で急性アル中でぶっ倒れてる人がいたから助けに入ったんだけど、徐脈で意識レベル低下してたからとりあえずAED使ったら通りすがりのBBA看護師に「AEDなんか使うな??そんなの点滴すれば治るでしょ??すぐ剥がして??」って言われて(続く)リンク

(続き)「何も分かんないの?」的スタンスで言うだけ言って去っていったんだけど、別にAEDって貼ってもすぐ電気流れるわけじゃ無いし必要なかったらちゃんと「使わなくてOK」って言ってくれるから確認の為でも使った方がいいんだよ。こっちだって100%必要だと思って使ってねえよ(続く)リンク

(続き)急性アル中でもし吐物が詰まって気管閉塞してたら?それで心停止に繋がったら?AEDはそれをちゃんと「確認」してくれる機械なんです。むやみやたらに電気ショックしません。なのにただ見ただけで必要無いっていうのはおかしいんじゃないの?看護師なのに大丈夫?って思って(続く)リンク

(続き)道で倒れて専門的な機械が無い場所で、AEDは万が一の為の装置なんです。もしそれでその人が死んだらどうするの?死んだ人も点滴で治るの?違うだろ。本当に腹立ちました。みんなは今回のおばさんのこんな言葉に惑わされず、迷わずAED使ってほしい。ダラダラと失礼しました。リンク

H/N: 水玉みよこは柄まで通ってる
twitterアカウント:@mizutama345



これをもとに「まとめサイト」がいくつも立ち上がり、「正しい知識を持つ」ことが肝心ですね、とか、看護師なのに老害! などと多くの声が寄せられています。


文面を見るかぎり、この通りすがりの看護師というのが、言うだけ言って、何もしないで去っていったという点で、確かにひどいなという印象です。

でも、だからといって、言っていることが間違っているかといえば、あながち間違いではありません。特にAEDが必要ない、という部分は紛れもなく正解です。


先入観で「悪」と決めつけているのか、誰も気づいていないようです。Twitter世論では完全に抜けている部分なので、少々書かせていただきます。



結論からいうと、「徐脈で意識レベル低下」という状態の人にAEDを装着するべきではありません。AEDは心停止、つまり生命徴候がない人に装着するものだからです。

徐脈というのは脈拍が遅い状態のことを指します。つまり、このケースは脈は触れますので、少なくとも心停止ではありません。(原文で徐脈という言葉が使われていますが、Twitter投稿された筆者の方も実は新人の看護師さんだそうです。医療者以外は脈拍を確認することは推奨されてません)

AEDの添付文書(取扱説明書)にも「明らかに生きている人に使っちゃダメだよ」って書いてあります。

こちらは、旭化成が扱っているZollというメーカーのAEDの添付文書です。

AED添付文書:意識・呼吸+脈のない人にのみ装着する



【禁忌・禁止】
 <適用対象(患者)>
 対象患者が以下の状態の場合は、本品を使用しないでください。
 ・意識がある場合
 ・呼吸している場合
 ・脈拍を触知できる、又は血流を示す他の兆候がある場合



添付文書とは、薬事法に基づいて作成が義務付けられた公文書です。AEDのような医療機器の他、薬剤にも付いています。薬剤で言ったら用法・容量が定められている大元の書類で、どんな人には使ったらいけないという「禁忌」が明示されています。

AEDは家電とは違います。本来は医師しか使用が許されない高度管理医療機器ですから、薬と同じで、使用条件が厳密に定められています。先ほどは取扱説明書という言い方をしましたが、添付文書に書かれている条件は、家電の取扱説明書とは比較にならない厳しいものであるという点は、おわかり頂けますよね?

その添付文書で、AEDは、意識がある場合や呼吸をしている場合、脈拍がある場合は使用したらいけない、禁忌ですよ、と書かれているわけです。

メーカーと薬事法が定めるところでダメといってるわけですから、誰がなんといおうと、「脈がある人にAED装着してもいい」とは、私は言えません。

Twitter世論では、一部の医師も含めて「いいんじゃない?」と言っていますが、その根拠はどこにあるのでしょうか?

医師なら、医師免許の下に自分の裁量で添付文書を超越した適応をすることも許されますが、看護師の私にはそんな判断はできませんし、ましてや責任を負えない一般の方であれば、法律の範囲内で添付文書に従って使うのが正解と言わざるを得ません。


なんで、意識、呼吸、脈のある人にAEDを装着したらいけないのか、という点については 私のTwitterの過去ログ を辿ってみてください。7月19日〜18日あたりに連投しています。

簡単にいうと、AED設計上の「仕様」としてショック適応判断の限界があり、心電図波形によっては、心停止ではない人に装着した場合でも、誤ってショックが必要と判断してしまう危険性が否定できないからです。

AEDは心電図上での心室頻拍(VT)を検出できますが、それが心停止(つまり無脈性心室頻拍)であるかの判断はできません。だから、人間が生命徴候の有無を判定した上でないと、AEDを装着してはいけないと定めているのです。(最近は各メーカーが工夫して解析性能が上がってますので、過度に心配するほどの頻度ではないと思います。詳しく知りたい方は「AEDの心電図解析と無脈性心室頻拍の判断」(日本心臓財団ウェブ)も参考になります。


最近は一部マスコミも含めて、「人が倒れていたら迷わずAEDを!」といい加減なことを言うケースが目立ちます。以前はきちんと「人が倒れていて意識と呼吸がなければ迷わずAEDを!」だったのですが、いつ、どこから省略されるようになってしまったのか、、、

慌ててしまって、呼吸の確認を忘れた! というのはありだと思います。それは批難されるべきものではありませんし、過失や、責任追求されるものでもありません。それに誤作動の可能性としては決して高いものではないので過度に恐れる必要もありません。

ただ、AEDに興味をもってくれている人なら、ぜひAED装着前には、「反応と呼吸を確認する」ということは知っておいてほしいなと思います。(医療従事者は反応と呼吸に加えて脈拍の確認も求められています)



そこで大事なことを1点。

呼びかけて返事やうめき声、開眼などの反応がないことは確認したけど、呼吸は「よくわからない」という場合は、「ナシ」と判断してもらって大丈夫です。これは蘇生法のガイドラインでも書かれていることなので、ご安心を。

目安は10秒。

10秒間、胸からお腹のあたりの動きを見て、いつもどおりの呼吸をしている、と確信できない場合は、AEDを装着して構いません。

ただし、AEDを装着するということは、心臓マッサージ(胸骨圧迫)も必要な状況ですから、他の人がいれば胸を押してもらう、またAEDの解析後「触っても大丈夫」と言われたら、ただちに胸骨圧迫をするようにしてください。

ところで、公衆の面前で、他人の服を脱がすというのは、すごく勇気のいることだと思いませんか? だから、私だったら、服をはだける前に、きちんと胸から腹をよーく見ます。

わからなければ10秒で「いつもどおりの呼吸なし」と判断していいとガイドラインに書いてあるわけですから、10秒たったら堂々と服をはだけます。

もしなにかの間違えで、あとでトラブルになったとしても、その呼吸確認のプロセスさえしっかりしておけば、規定通りの正しい行動をしたと自信をもって説明ができます。


AED使用は決して難しいものではありません。それは事実です。

ただ、イケイケGoGo! の根拠のない勢いだけで不正確な知識が広まるのは、私は問題だと思っています。

広めている人は、AEDの敷居を下げたい、みんなに使ってほしいという思いなのはわかります。

でも、医療器具の使用法なんですから、それなりに根拠をもっていなければいけないと思うのです。


すでに広まってしまっているものはどうしようもありませんので、せめて正しい情報を、と思い、これを書かせてもらいました。

最終的に何が正しいのかは読み手の皆さんに判断していただけたらと思います。

反応確認と呼吸確認を市民に求めるのは酷。誤作動のリスクが低いなら、具合悪そうな人がいたらとりあえずパッドを貼ればいいじゃん、というのもひとつの考え方です。

あえて、そう判断するならなにもいいませんが、少なくともメーカーと国が定めたAEDの使い方ではない、ということは知っておいてほしいです(さらに言えば国際的な使用基準からも外れてます)。知らずに、そう早合点しているとしたら、誰にとっても不本意なことではないでしょうか。



もし、なるほど、と思った人がいたら、ぜひこの記事の拡散をお願いします。




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2016年07月03日

人工呼吸はやっぱり重要ですよ、という報道とプレスリリース

看護職の皆さんは、人並み以上に救命スキル【BLS】に関心が強いと思いますが、皆さんは昨今における人工呼吸の位置づけをどのように理解していますか?

世間一般では、「最近の心肺蘇生法は人工呼吸をしなくてよくなったらしいよ!?」なんて、言われていますが、もしかしたら人様にCPRを教えることがあるかもしれない看護職にとっては、この点、いかがでしょうか?

先日、読売系で興味深い報道がありました。

救急車の到着遅れても…「心肺蘇生」で救命率2.7倍」



倒れるところを目撃された心停止のうち、何もされなかった群にくらべて、救急司令の指示で胸骨圧迫をすると生存退院率が1.5倍に増えて、さらには通りすがりの人が自発的に胸骨圧迫と人工呼吸がなされた場合は生存退院率が2.7倍だった、という内容。

金沢大学の研究者がヨーロッパ蘇生協議会(ERC)の機関誌、Resuscitationに発表したもので、なんで日本の新聞が取り上げたかというと、金沢大学が日本国内の報道機関に向けてプレスリリースを打ったからです。

そのプレスリリースがこちら。

金沢大学プレスリリース「救急車到着に時間を要する地区では人工呼吸を組み合わせて行う心肺蘇生の自発的実施が格段に優れた救命効果をもたらす!」


救急車到着に時間を要する地区では人工呼吸を組み合わせて行う心肺蘇生の自発的実施が格段に優れた救命効果をもたらす!」というタイトルで、PDF(680KB)で誰でも読めます。たった3ページですから、ぜみ皆さん、目を通してみてください。

このプレスリリースの冒頭では、私たち医療従事者に向けて、警鐘ともいうべきメッセージが載っています。

市民に対して蘇生教育を行う立場の医療従事者に人工呼吸の重要性を再認識させる(中略)必要性を示唆する結果となりました。

人工呼吸は、依然大事だから、それを啓蒙するのは医療者の役目だよ、というわけです。


一般の方たちは、NHK報道なんかで、人工呼吸は不要になったと言われれば、それを真に受けてしまいます。

しかし、人が生きるメカニズムと、命を落とすメカニズムをきちんと学んでいる私たち看護師は、細胞の酸素化を考えた時に、胸骨圧迫のみでいい場合と、ダメな場合があるということを理解しています。

そのことを踏まえて、適正に市民向けに健康教育(蘇生教育)を行う必要があるのです。

例えば、

・救急車が到着するまで数十分かかるような場所
・溺水など水難事故が想定される現場の職員
・呼吸原性心停止が多いとされる子どもの急変を想定しているような職業人

などに対して救命法を指導する上では、胸骨圧迫のみの蘇生法では万全とはいえないということです。


マスコミはセンセーショナルなものに飛びついて風評を流布していきますが、きちんと基礎から理解している私たちはその砦となる必要があると、金沢大学の研究は訴えているのです。





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2016年03月12日

ナース向け心電図テキストの決定版「看護に活かせる心電図ノート」

看護師なら誰もが一度は、勉強しよう! と志して、大抵の場合は挫折で終わる代表格といえば、心電図。

循環器病棟とかICUに配属になったら、否が応でもどうにかしなくちゃいけないんでしょうけど、いつも麻酔科医がいるオペ室や、普通の病棟勤務だったら、なんとなく、、、で、どうにかなってしまうのも事実。

心電図は苦手! という意識の看護職が多いのが現実ではないでしょうか?


心電図の勉強法については、過去にも何度か書いたことがありましたが、私が勧めていたのは、ACLSを通して心電図を勉強しろ! というものでした。

いわゆる心電図の本を買って勉強しようとすると、いつの間にか、心電図を学ぶことが目的になってしまいがちという落とし穴に気づいたからです。

看護師がなぜ心電図を勉強する必要があるのか? 

患者を死なせないため、ですよね。

心電図で波形当てクイズをしたいためではなく、致死性不整脈を判別して、しかるべき行動を取るため。

つまり、心電図を知ることは、急変対応の一部分であるはずなんです。

であれば、急変対応(ここではACLS)を学ぶ中で、必然として心電図を身につけるというのが、順当な学び方ではないでしょうか?

ACLSから、心電図の勉強を始めれば、優先度が高いのは心停止の4つの波形ですし、さらには心停止につながりかねない危険な不整脈がその次。という順番も自然と見えてきます。

心電図が読める、というよりは、その波形をみたら、何を考えてどう行動するか、ということの方がはるかに大事、という原点に立ち返ってみることが大切かなと思っています。


日頃、そんなことを考えていたのですが、最近出版された「看護に活かせる心電図ノート」という本を見たら、私が考えていたのと同じことが書かれていて、びっくり。

しかも著者はナースでした。

ナースが書いた「看護に活かせる心電図ノート」鈴木まどか


巷に出ている心電図解説本の著者の多くは、医師です。看護師が心電図の解説をするというのは極めて珍しいと思います。また共著ではなく、単著であるという点も。

この本の中で、看護師が心電図を学ぶ上での問題点として指摘されているのは、

1.基礎医学(特に解剖学、生理学)の学習が足りない
2.教本に臨床活用、特に看護の視点が足りない

ということでした。

まったくもって同感。

最近、看護学生相手に心電図を教える機会がよくあります。彼女たちは1-2年生のうちに解剖生理学を学び、心電図についてもカリキュラム的には既習ということになっています。しかし、私が関わる3-4年生の時点では、バラバラの知識のままで、つながりがないケースが目立ちます。

刺激伝導系とか洞房結節とか、そういう言葉は知っていても、心電図の波形と心臓の動きについてのイメージはつながっておらず、「しんしつさいどう」「しんぼうさいどう」という言葉は知っていても、その漢字の意味と実際の心臓の動きについては、考えたことすらないという印象。

国家試験の勉強でも、丸暗記で対応しようとする傾向が強く、理解したら覚えなくていいから楽なのに…と思うことがしばしばです。

そう考えた時に、「看護に活かせる心電図ノート」でいうように、私たちは、解剖生理学と心電図と臨床行動をバラバラに教わって、そのまま臨床に出て行くんだなということを強く感じます。

そんな基本理解のあたりが、丁寧に書かれているのがこの本の特徴。



あとは、やっぱり、「なんのために」というところですね。

この波形を見たら、ナースとして、何を観察して、どう行動し、何を報告するか?

そうした対応ありきの心電図解説本って、あるようで、なかったと思います。


正確に教えようと思うと、難しくなる。でもざっくりとした理解をまず得ること。そこから興味と学習がスタートするものだと思います。そういった意味で、心電図嫌いをなくすための、ナースによるナースの心電図と循環器理解の本。

おすすめです。




posted by Metzenbaum at 23:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 看護師スキルアップ
2016年02月19日

アーティスト/ナースとしての生き方

看護師の多様性ということで、今日はアーティストとして生きる看護師さんの話を書きたいと思います。

この老人のイラスト、saori obataさんの作品です。

(saori obataさんの作品といえば、「成人看護学」「基礎看護学」「老年看護学」といったLineスタンプ・シリーズで知っている方が多いかもしれません。)

現世 by 小幡早織(saori obata アーティスト/看護師)



タイトルは「現世」。

これを見てどんな印象・感想を持たれるでしょうか?



胃瘻、経管栄養。



看護師であれば、そんな単語が飛び出てくると思います。



そしてこの座禅を組む老人はなんなのか?



即身仏、そして、「現世」というタイトル。




命の尊厳とQOL、延命。そんな陳腐かもしれない言葉で語られがちな、現代日本の生き様を、ひとつの抽象的な絵が訴えかけています。



人によっては、この絵を快く感じない方もいるでしょう。

不快に思うとしたら、その感情が湧き上がるのは、なぜなのか? この一枚の絵から、私たちの心のなかにある何と何が想起されて、繋がり合ってひとつの感情になっていくのか?

それが作者の意図するものと一致することは、きっと作者も望んでいないでしょう。


感情を揺さぶるひとつのきっかけ、起爆剤。


無の中に投げ込まれる一つの小さな、さざ波といったらいいでしょうか。


そんなものをこのイラストの中に感じました。そして、その発信者が自分と同じ文化を共有する看護師であるということが、これを他人事ではなくさせています。


かつてナイチンゲールは、看護はアートだと言いました。

この文脈の中でのArtは「技巧」という根源的な意味合い以上のものはないかなと思っていますが、拡大解釈するなら、人の生死に多く立ち会う医療者が、自分の思いや考えを込めるのは、看護実践の場だけとは限らないということです。

現にナイチンゲールも、看護をメディアにして表現を行っていた思想家ですが、その思想の多くは、看護実践の場でパフォーマンスとして体現しただけでなく、著作という形で世に残しています。



とりとめのない抽象的な話になってしまいましたが、看護師であり、アーティストであるという存在を皆さんに知っていただきたく、書いてみました。

現代医療のまっただ中にいる私たちは、深く「人間」というものを考える存在の一つだと思っています。

訴えかけたい何かがあった場合、それをどう表現するか?



最後に、この絵をみたとき、医療者と一般の方とでは受ける印象、考えることがまったく違うかもしれませんね。そこも含めて、アートなんだと思います。



「現世」Tシャツby 小幡早織(アーティスト/ナース)
↑「現世」はTシャツとして入手可能です。





posted by Metzenbaum at 23:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | 看護師スキルアップ
2016年02月04日

ここが変わった! BLS/ALS【G2015】|蘇生科学者になりませんか?

去年の10月に改定された心肺蘇生法のガイドライン。

看護雑誌でもようやく取り上げられるようになったきたようです。

こちらはエキスパートナース誌の2016年1月号

特集記事は、

「ここが変わった! BLS・ALS」です。


ここが変わったBLS/ACLS|エキスパートナース誌


ガイドライン改訂の中身については、すでに JRCガイドライン2015オンライン版 でご存知の方も多いと思います。

分量が膨大でどこから読んでいいかわからないという人は、AHAガイドラインのハイライト というガイドライン変更点がコンパクトにまとまったPDFが無料配信されています。(米国版ガイドライン準拠ですが)

AHAガイドライン・ハイライトは最初から日本語化もされていましたので、こちらだけは目を通したという人も多いかもしれません。



今回、看護雑誌でガイドライン改訂が特集されたということで、看護師にとって、なにが変わるのかという点に注目しましつしたが、エキスパートナースの記事は、なかなかの好印象でした。

まず、基礎情報のおさらいですが、JRC版蘇生ガイドライン2015で変更になったのは大きく下記の点です。

BLS(一次救命処置)
1.死戦期呼吸の判断に迷ったらすみやかにCPRを開始する
2.胸骨圧迫の深さの上限 6cm
3.胸骨圧迫のテンポは100〜120回/分
4.CPR中は100%酸素の根拠性

ALS(二次救命処置)
1.マニュアル除細動の2回目は高エネルギー量で
2.バゾプレシンは非推奨
3.抗不整脈薬の第一選択はアミオダロン
4.低体温療法は32〜36℃

このあたりはガイドラインを見ればわかることですが、今回のエキスパートナース特集記事で特に目を引いたのは、「社会に与える影響と"ナースに期待されること"」という部分。

ガイドラインの変更を総論的にとらえた解説記事としては端的で良かったです。

詳しくは本記事に譲りここでは触れませんが、やっぱりナースにはCPRの質が求められますよ、という点ははっきり言われていますね。ここまでBLSの敷居が下がって、市民がバイスタンダーとして積極的にCPRをして、救命成功がニュースになる時代、医療者が市民と同じ水準のCPR技術でいいとは思いません。

市民救助者は、無我夢中であってもいいと思いますが、医療者は「質の高いCPR」を意識して、コントロールしていきたいものです。



また、これもこのブログでも何度も取り上げている点ですが、世界の蘇生シーンをリードするのは看護師である、という点が今回、初めて活字になったという点が嬉しかったですね。

以前、アメリカ心臓協会(AHA)のナショナル・ファカルティ・オリエンテーションに参加させてもらったことがありますが、AHAという巨大組織のECC(救急心血管治療と心肺蘇生)部門や教育部門を取り仕切っているのは、医師ではなく、看護師でした。

Mary Fran Hazinski女史や、Jo Haag女史は有名ですね。

あの世界の蘇生シーンをリードするAHAのガイドライン改訂の責任者はナースだった、って知ってました?

蘇生科学といったら、私たち日本の看護師は医師の専門領域と考えがちですが、世界を見たら決してそうではないです。


たとえば、の話として、俗語ではありますが、「脳科学者」という言葉が広く知られています。

マスコミに登場する脳科学者たちの多くは医師(医師免許を持っていない)ではありません。脳を語ると言ったら医師でないといけないというイメージもあるかもしれませんが、現実的には生物学や心理学、情報工学分野出身の研究者だったりします。(余談ですが、医学博士であっても非医師が多いです。もちろん、看護師で医学博士の人もたくさんいます)

そういった意味で、今後は、AHAやERC(ヨーロッパ蘇生協議会)のように、看護学をバックグラウンドとしたナースの蘇生科学者というのが出てきてもいいんじゃない? と思います。

蘇生科学者とは名乗ってはいませんが、世界の蘇生シーンで活躍する日本人ナースも実際にはいる点は、先のエキスパートナース誌でも触れられていました。



さて、今回の記事では取り上げられていませんでしたが、米国版やヨーロッパ版のガイドラインでは、病院内心停止というのが大きなキーワードになっています。

院内での心停止は、心室細動による突然のものは多くない、「急」変ではなく、段階的に悪化していくものなんだ、だから予兆に気づいて防げ!、ということが強く打ち出されています。

入院患者の変化に気づけるのは、病棟勤務の看護師をおいて他にありません。

今後はこのような視点でガイドライン改訂を紐解くような解説記事が出てくるんじゃないのかなと期待しています。


そんなわけで、5年ぶりの蘇生ガイドライン改訂。なにが変わった、いう末端的な話ではなく、看護師としてこのガイドライン改訂の意義をどう捉えるかという視点でもぜひ、この先の動向を注目してほしいと思います。







posted by Metzenbaum at 23:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急蘇生 (BLS、ACLS)